「オーストラリア英語が聞き取れない…」と悩んでいませんか。留学やワーホリを計画している方、あるいはTOEICやTOEFLの対策をしている方にとって、その独特な響きは大きな壁に感じられるかもしれません。リスニングが早いと感じたり、特有のオーストラリア訛りの発音に戸惑ったりするのは、あなただけではありません。
その原因は、単にリスニング力が不足しているからではなく、オーストラリア英語の特徴そのものにあります。この言語は、アメリカやカナダの英語とは大きく異なり、ニュージーランドやイギリス英語との違いも明確に存在します。また、その歴史や文化背景から生まれた、他の国では耳にしない単語やスラングも頻繁に使われます。
しかし、聞き取りにくいと感じる一方で、フレンドリーでオージー英語のかっこいい魅力に気づくこともあります。この記事では、オーストラリア英語が聞き取れない根本的な原因を多角的に分析し、具体的な学習方法やおすすめの教材まで、あなたの疑問を解消するための情報を網羅的に解説します。
- オーストラリア英語が聞き取れない根本的な原因
- アメリカやイギリスなど他の英語との具体的な違い
- 留学や試験で役立つ実践的な対策と学習法
- 聞き取りの先にあるオージー英語の魅力と文化
なぜオーストラリア英語は聞き取れないのか

- オーストラリア英語の特徴とは
- 特徴を形成した歴史と文化背景
- オーストラリア訛りの独特な発音ルール
- 頻出する単語やユニークなスラング
- リスニングが早いと感じる理由とは
- オージー英語の魅力やかっこいい点
オーストラリア英語の特徴とは
オーストラリア英語(AusE)が聞き取りにくいと感じる際の対策として、その基本的な特徴を理解することから始まります。オーストラリアの英語は、単なるアメリカ英語やイギリス英語のバリエーションではなく、独自の体系を持つ英語として捉えることができます。
根本的に、オーストラリア英語はイギリス英語をベースに発展しました。そのため、単語のスペル(綴り)はアメリカ英語と異なる点がいくつか見られます。例えば、「色」を意味する単語はアメリカ英語で color
ですが、オーストラリアではイギリスと同様に colour
と表記します。同様に center
は centre
に、organize
は organise
となる傾向があります。
また、語彙の面で最も顕著な特徴の一つが「指小辞(ししょうじ)」の多用です。これは、単語を短くして親しみを込める表現方法で、語尾に -o
や -ie
を付けるのが一般的です。例えば afternoon
(午後)は arvo
、barbecue
(バーベキュー)は barbie
、service station
(ガソリンスタンド)は servo
といった具合です。日常会話で頻繁に登場するため、これらを知らないと会話の流れを掴むのが難しくなるかもしれません。
このように、オーストラリア英語はイギリス英語の遺産を受け継ぎつつ、独自の語彙や表現を発展させてきました。これらの基本的な特徴を把握することが、聞き取り能力向上のための重要な土台となります。
特徴を形成した歴史と文化背景

オーストラリア英語のユニークな特徴は、国の歴史と文化背景と結びついています。言語の成り立ちを知ることで、なぜ聞き取りにくいと感じるのか、その根源的な理由が見えてきます。
オーストラリア英語の礎が築かれたのは、1788年にイギリスからの第一船団が到着し、流刑植民地が設立されたことに始まります。初期の移民は囚人や入植者で、彼らはロンドン、アイルランド、スコットランドなど、イギリス各地の多様な方言を話していました。この「方言のるつぼ」の中で、意思疎通を図る必要性から、人々は互いの方言を調整し始めます。このプロセスは言語学で「水平化(levelling)」と呼ばれ、特定の地域方言が支配的になることなく、新しい均質なアクセントが驚くほど速いスピードで形成されました。
この水平化の過程が、広大な大陸全土で比較的均一なアクセントを生み出した一因と考えられています。これは、オーストラリアの核となる価値観である「平等主義(egalitarianism)」、つまり、誰もが平等であるという考え方を言語的に反映しているとも解釈できるでしょう。
1850年代のゴールドラッシュは、次の大きな転換期でした。多くのアメリカ人採掘者が流入し、 digger
(採掘者)や bonzer
(素晴らしい)といったアメリカ英語の語彙が取り入れられました。この出来事は、オーストラリアがイギリス以外の文化、特にアメリカから大きな影響を受ける最初の波となり、言語の多様性をさらに豊かにしました。
そして、第二次世界大戦後の多文化政策により、ヨーロッパやアジア、中東、アフリカから多くの移民を受け入れます。これにより、それぞれの母語の影響を受けた「エスノレクト」と呼ばれる新しい英語の変種が生まれ、現代のオーストラリア英語はさらに多様で多層的なものになっています。
以上の点を踏まえると、オーストラリア英語は単一のルーツから生まれたのではなく、異なる時代、異なる文化との接触を通じて、常に変化し続けてきたダイナミックな言語であることが明確になります。
オーストラリア訛りの独特な発音ルール
オーストラリア英語の聞き取りを難しくしている最大の要因は、その独特な発音ルールにあります。ここでは、特に重要な3つのポイントを解説します。
母音の発音、特に「A」の音の変化
最も特徴的なのは母音、特に前舌母音の発音です。例えば cat
や trap
に含まれる「a」の音は、アメリカ英語よりも舌の位置が高く、口の前方で発音されます。このため、日本人学習者には「キャット」が「キェット」のように聞こえることがあります。
さらに有名なのが、day
や mate
に含まれる二重母音です。アメリカ英語では「デイ」「メイト」と「エ」の音に近いですが、オーストラリア英語では口の奥から始まる「ア」に近い音になるため、「ダイ」「マイト」と聞こえます。この違いを知らないと、today
が to die
(死ぬこと)のように聞こえてしまい、全く意味を取り違える可能性もあるため注意が必要です。
Rを発音しない「非ローチ性」
多くのイギリス英語のアクセントと同様に、オーストラリア英語は「非ローチ性(Non-Rhoticity)」です。これは、単語の終わりや子音の前の r
の音を発音しないルールを指します。例えば、car
は「カー」、park
は「パーク」のように、舌を巻かずに伸ばすだけです。この点は、カタカナ英語の発音に近いため、日本人にとっては比較的発音しやすいかもしれません。
ただし、注意点もあります。law and order
が law-r-and order
のように、本来 r
がない場所に r
の音を挿入する「侵入のR」という現象が起こることがあります。これも、リスニングの際に混乱を招く一因です。
文末が上がるイントネーション(HRT)
「アップトーク」とも呼ばれるHRT(High Rising Terminal)は、平叙文(普通の文)の終わりが、まるで疑問文のようにイントネーションが上がる話し方です。これは、オーストラリア英語の象徴的な特徴としてよく挙げられます。
しかし、この上昇調は必ずしも不確かさや疑問を表しているわけではありません。実際には、相手に「話についてきていますか?」と確認を促したり、まだ話の続きがあることを示して相手の割り込みを抑制したり、発言を和らげて断定的な響きを避けたりするなど、多様なコミュニケーション機能を持っています。これを単なる疑問文と誤解すると、会話の意図を正確に把握できなくなるでしょう。
頻出する単語やユニークなスラング

オーストラリア英語のリスニングを攻略するには、頻繁に使われる独自の単語やスラングの知識が不可欠です。これらは、現地の文化や国民性を色濃く反映しており、日常会話の至る所に登場します。
親しみを込めた短縮語(指小辞)
前述の通り、オーストラリア人は単語を短くして親しみを込めて呼ぶことを好みます。この習慣は非常に一般的で、知っておくと会話がぐっとスムーズになります。
元の単語 | オーストラリア英語の短縮形 | 意味 |
Breakfast | Brekkie | 朝食 |
McDonald’s | Maccas | マクドナルド |
Christmas | Chrissie | クリスマス |
Politician | Pollie | 政治家 |
Avocado | Avo | アボカド |
Mosquito | Mozzie | 蚊 |
日常でよく使われるスラング
挨拶から相槌まで、日常会話はユニークなスラングで溢れています。これらは、オーストラリアの「のんびりした(laid-back)」文化や、人々との距離感を縮める「メイトシップ」の精神から生まれています。
G’day (グダイ)
「こんにちは」を意味する最も有名な挨拶です。Good day
の短縮形です。
Mate (マイト)
「友達、仲間」という意味ですが、見知らぬ人への呼びかけにも使われる非常に便利な言葉です。ただし、言い方によっては警告の意味にもなるため、使われる文脈に注意が必要です。
No worries (ノーウォリーズ)
「どういたしまして」「問題ないよ」「大丈夫」など、広い意味で使われる万能な返事です。
Fair dinkum (フェアディンカム)
「本当の」「正真正銘の」という意味で、信憑性を強調したい時に使われます。
Tucker (タッカー)
「食べ物、食事」を意味する言葉です。
これらの単語やスラングは、オーストラリアの人々のアイデンティティの一部です。すべてを一度に覚える必要はありませんが、代表的なものを知っておくだけで、リスニングの理解度は大きく向上するでしょう。
リスニングが早いと感じる理由とは

多くの学習者が、オーストラリア英語のリスニングは「早い」と感じます。しかし、実際の平均的な会話速度はアメリカ英語よりも速く、イギリス英語(RP)よりは遅いとされており、速度自体が極端に速いわけではありません。
では、なぜ早く聞こえるのでしょうか。その理由は、主に以下の3つの要因にあると考えられます。
第一に、独特のリズムと平坦なイントネーションです。アメリカ英語が比較的リズミカルで抑揚がはっきりしているのに対し、オーストラリア英語はイントネーションの起伏が少なく、平坦に聞こえる傾向があります。このため、単語の区切りが分かりにくく、全体として一つの速い流れのように感じてしまうのです。
第二に、音の連結や脱落が挙げられます。例えば、going to
が gonna
になるように、英語では単語同士の音が繋がったり、一部の音が発音されなくなったりすることがよくあります。オーストラリア英語でも、going
の最後の g
の音が脱落して「ゴーイン」のように聞こえることがあり、このような音声変化に慣れていないと、聞き取りが追いつかなくなります。
そして第三の、そして最も本質的な理由は、不慣れな音韻体系を処理するための認知的負荷です。前述したような独特の母音の発音やリズムに耳が慣れていないと、脳は一つ一つの音を理解しようと必死に働きます。この処理に時間がかかるため、話す速度が実際以上に速く感じられるのです。
したがって、「早い」という感覚は、実際の速度だけでなく、聞き手がその話し方にどれだけ精通しているかに大きく左右されます。オーストラリア英語の音の特性に慣れることが、この感覚を克服する鍵となります。
オージー英語の魅力やかっこいい点

オーストラリア英語は「聞き取りにくい」「訛りが強い」といった側面ばかりが注目されがちですが、その独特の響きや表現には多くの魅力があり、かっこいいと感じる人も少なくありません。ネガティブな印象を一旦脇に置いて、そのポジティブな側面を見ていきましょう。
まず、その響きにはフレンドリーで親しみやすい雰囲気があります。mate
(マイト)という言葉を誰にでも気さくに使う文化や、brekkie
(朝食)やbarbie
(バーベキュー)のように単語を短縮して呼ぶ習慣は、相手との心理的な距離を縮め、打ち解けた空気を作り出します。このような言葉遣いは、オーストラリア人の陽気で平等主義的な国民性を反映していると言えるでしょう。
次に、オーストラリアの「のんびりした(laid-back)」文化が言語に表れている点も魅力です。例えば、「なんとかなるさ」を意味する She'll be right.
というフレーズは、細かいことを気にしない大らかな姿勢の象徴です。このような表現に触れると、リラックスした気持ちになれます。
さらに、会話の中にユーモアやウィットが頻繁に登場することも特徴です。他人をからかったり(teasing)、軽口を言い合ったり(banter)することは、オーストラリア流のコミュニケーションの一環であり、親愛の情の表れであることが多いです。この独特のユーモアのセンスを理解できるようになると、会話は一層楽しくなります。
このように、オーストラリア英語は単なるコミュニケーションの道具ではなく、その国の文化や人々の価値観を映し出す鏡です。聞き取りの難しさを乗り越えた先には、ユニークで人間味あふれる言語の魅力が待っています。
オーストラリア英語が聞き取れない対策を紹介

- ニュージーランド英語やイギリス英語との違い
- アメリカ英語やカナダ英語との違い
- TOEICやTOEFLのリスニング対策
- 留学やワーホリで役立つコミュニケーション術
- おすすめの学習方法とリスニング教材
ニュージーランド英語やイギリス英語との違い

オーストラリア英語を理解するためには、地理的・歴史的に関係の深いニュージーランド英語やイギリス英語との違いを把握することが有効です。
イギリス英語(BrE)との比較
オーストラリア英語はイギリス英語から派生したため、共通点が多くあります。
- 類似点: どちらも単語末尾の
r
を発音しない「非ローチ性」です。また、colour
やcentre
のようなスペルも共有しています。 - 相違点: 最大の違いは母音の発音です。オーストラリア英語の母音は、イギリスの容認発音(RP)に比べてより口の前方で、鼻に抜けるように発音される傾向があります。また、
water
のt
がd
のように発音される「Tの弾音化」はオーストラリア英語で顕著ですが、RPではあまり見られません。
ニュージーランド英語(NZE)との比較
オーストラリア英語とニュージーランド英語は非常に似ており、英語話者でない人には区別が難しいかもしれません。しかし、現地の人々には明確に分かる、決定的な違いが存在します。
- 「フィッシュ・アンド・チップス」母音: 最も有名な違いは
fish
やkit
に含まれる短い「i」の母音です。ニュージーランド英語では、この音が曖昧な「ə」(シュワー)の音に近くなるため、オーストラリア人にはfish
がfush
(フシュ)のように聞こえます。 - NEAR/SQUARE母音の合流: ニュージーランド英語では、
hear
(NEAR)とhair
(SQUARE)の母音が合流し、同じように発音されます。一方、オーストラリア英語ではこれらは明確に区別されます。
これらの微妙な違いを知ることで、リスニングの際に「今聞いているのはどの地域の英語か」を意識できるようになり、より精密な聞き取りが可能になります。
アメリカ英語やカナダ英語との違い

オーストラリア英語と北米の英語(アメリカ、カナダ)との間には、より明確な違いが存在します。これらの差を認識することは、聞き分け能力を高める上で非常に重要です。
アメリカ英語(AmE)との比較
オーストラリア英語とアメリカ英語の対比は非常に鮮明です。
- ローチ性(Rhoticity): 最大の違いは
r
の発音です。アメリカ英語はcar
やpark
のr
を舌を巻いてはっきりと発音する「ローチ性」ですが、オーストラリア英語は発音しない「非ローチ性」です。これは、聞き分ける上で最も分かりやすい指標となります。 - 母音体系:
day
が「ダイ」に聞こえるといったオーストラリア英語の母音シフトに対し、アメリカ英語は異なる母音体系を持っています。hot
やfather
のような単語の母音も発音が異なります。 - スペルと語彙: スペルでは、アメリカ英語が
-or
(color),-er
(center),-ize
(organize) を好むのに対し、オーストラリア英語はイギリス式(-our, -re, -ise)です。lift
(エレベーター) とelevator
、petrol
(ガソリン) とgasoline
のように、日常的な語彙にも多くの違いがあります。
カナダ英語(CanE)との比較
カナダ英語はアメリカ英語と多くの特徴を共有していますが、独自の特徴も持ち合わせています。
- ローチ性: カナダ英語もアメリカ英語と同様に「ローチ性」であり、この点でオーストラリア英語とは明確に異なります。
- カナディアン・レイジング: カナダ英語の際立った特徴に「カナディアン・レイジング」があります。これは、
price
やhouse
のような単語の二重母音が、特定の子音の前でより高い位置から発音される現象です。このため、about
がアメリカ人にはa-boat
のように聞こえることがあります。この音韻現象はオーストラリア英語にはなく、両者を区別する重要なポイントです。
以下の表は、主要な英語の違いをまとめたものです。
特徴 | オーストラリア英語 | イギリス英語(RP) | アメリカ英語 | ニュージーランド英語 |
ローチ性 | 非ローチ性 | 非ローチ性 | ローチ性 | 非ローチ性 |
KIT母音 (fish) | 高く前寄り [ɪ] | 高く前寄り [ɪ] | 高く前寄り [ɪ] | 中心化 [ə] (“fush”) |
NEAR/SQUAREの区別 | 区別あり | 区別あり | 区別あり | 合流 (hear=hair) |
スペル (-our/-or) | -our (colour) | -our (colour) | -or (color) | -our (colour) |
語彙 (歩道) | footpath | pavement | sidewalk | footpath |
TOEICやTOEFLのリスニング対策

オーストラリア英語は、TOEICやTOEFLといった国際的な英語能力試験においても無視できない存在です。適切な対策を講じることが、スコアアップに直結します。
TOEICでの対策
TOEICのリスニングセクションでは、アメリカ、イギリス、カナダのアクセントに加えて、公式にオーストラリアおよびニュージーランドのアクセントが含まれています。ナレーターの一人がオーストラリア英語を話すパートが登場するのは一般的です。具体的な出題割合は公表されていませんが、試験の約4分の1が非アメリカ英語のアクセントであると考えられています。
対策の鍵は「慣れ」です。準備なしで試験に臨むと、特有の母音の響きや平坦なイントネーション、文末が上がるHRTに戸惑い、話の内容を理解する前に音声が終わってしまう可能性があります。普段からオーストラリア英語の音声教材に触れ、そのリズムや音に耳を慣らしておくことが極めて大切です。語彙に関しては、ビジネスシーンで使われる標準的なものが多いため、主に音韻面での対策が中心となります。
TOEFLでの対策
TOEFL iBTは、主に北米の学術的な環境を想定しているため、リスニングセクションの大半はアメリカ英語です。しかし、総合的な理解力を測るため、一部の講義や会話の場面で、オーストラリア英語を含む他の地域のアクセントが使用されることがあります。
TOEFLで求められるのは、スラングの知識よりも、学術的な内容を正確に聞き取る能力です。オーストラリア英語のアクセントに不慣れだと、その音声を処理するためにより多くの認知的なエネルギーを消費してしまい、肝心の内容理解に集中できなくなる恐れがあります。
これらの試験における成功は、単に英語を理解することではなく、英語の「多様性」を理解することにかかっています。オーストラリア英語の教材を用いたリスニング練習は、テスト当日の精神的な負荷を軽減し、パフォーマンスを向上させるための直接的かつ効果的な戦略と言えるでしょう。
留学やワーホリで役立つコミュニケーション術

オーストラリアへの留学やワーキングホリデーを成功させるためには、言語的な知識だけでなく、現地のコミュニケーション文化を理解することが非常に重要です。ここでは、円滑な人間関係を築くための実践的なヒントをいくつか紹介します。
カジュアルさを受け入れる
オーストラリア社会は平等主義が根付いており、非常にインフォーマルです。大学の教授や職場の上司に対しても、相手の様子を見ながらではありますが、ファーストネームで呼ぶのが一般的です。過度に丁寧な言葉遣いは、かえって壁を作ってしまい、よそよそしい印象を与えることがあるので注意しましょう。
ユーモアと「からかい」を理解する
オーストラリアのコミュニケーションでは、banter
(軽口の応酬)や teasing
(からかい)が頻繁に見られます。これは悪意からではなく、親しみや仲間意識の表れであることがほとんどです。誰かを軽くからかう take the piss
という表現がありますが、これを上手に受け流したり、時には穏やかにやり返したりするスキルは、現地に溶け込む上で役立ちます。
分からないことは素直に尋ねる
会話の中で知らないスラングや表現が出てきたら、遠慮せずに尋ねることが大切です。「Sorry, what does that mean?」(すみません、それはどういう意味ですか?)と聞けば、ほとんどのオーストラリア人は喜んで説明してくれます。知ったかぶりをするよりも、正直に尋ねる姿勢の方が好感を持たれます。
実践的なフレーズを覚える
以下のフレーズは日常的によく使われるため、覚えておくと便利です。
How’re you going?
How are you?
と同じ意味で使われる一般的な挨拶です。
No worries
「どういたしまして」「問題ない」など、あらゆる場面で使える魔法の言葉です。
Catch up soon
「また近いうちに会おう」という意味で、別れ際の挨拶として使えます。
現地の文化を尊重し、オープンな姿勢でコミュニケーションをとることが、オーストラリアでの生活をより豊かにすることに繋がるはずです。
おすすめの学習方法とリスニング教材

オーストラリア英語の聞き取り能力を効果的に向上させるためには、戦略的な学習と適切な教材の選択が欠かせません。ここでは、具体的な学習方法とおすすめのリソースを紹介します。
効果的な学習方法
音韻ルールのインプット
まずは、この記事で解説したような基本的な発音ルールを知ることで、リスニングの際に「なぜそのように聞こえるのか」を意識できるようになります。
シャドーイングと音読
ネイティブの音声を少し遅れて影(シャドー)のようについていくシャドーイングは、リスニング力と発音を同時に鍛えるのに非常に効果的です。スクリプトを見ながらの音読も、口と耳を慣らすのに役立ちます。
文脈での語彙学習
スラングや特有の単語は、リストで暗記するだけでなく、実際の会話や映像コンテンツの中で、どのような文脈で使われるかを学ぶことが大切です。
おすすめのリスニング教材
ポッドキャスト
学習者向けに特化した「Aussie English」は、スラングや発音、文化を分かりやすく解説しており、最初の一歩として最適です。また、オーストラリアの国営放送である「ABC Radio National」の番組は、よりフォーマルな一般向けのオーストラリア英語に触れる絶好の機会を提供します。
テレビ番組・映画
子供向けアニメの「Bluey」は、平易な言葉で日常会話が展開されるため、初心者におすすめです。リアリティ番組の「MasterChef Australia」や長期ドラマの「Home and Away」は、自然な会話のリズムや多様な人々の話し方に触れるのに役立ちます。
オンラインリソース
オーストラリア国立辞書センター(ANDC)のウェブサイトは、オーストラリア英語の語源や定義を調べる上で非常に信頼性が高い情報源です。また、オンライン英会話のようなプラットフォームを使えば、オーストラリア人のネイティブスピーカーと一対一で会話練習をすることも可能です。
これらの教材を組み合わせ、継続的にオーストラリア英語に触れる環境を作ることが、聞き取り能力向上の最も確実な道筋です。その他におすすめのリスニング素材については以下でも詳しく紹介しています。

総括:オーストラリア英語が聞き取れない対策
この記事では、オーストラリア英語が聞き取れない原因から、その特徴、具体的な対策までを詳しく解説しました。最後に、内容の要点をまとめます。
- オーストラリア英語はイギリス英語が基盤だが独自に発展した言語である
- 聞き取りにくさの原因は発音・リズム・語彙の独自性にある
day
を「ダイ」と発音するような母音の変化が大きな特徴- 単語の終わりの
r
を発音しない「非ローチ性」の英語 t
がd
のように聞こえる「Tの弾音化」が頻繁に起こる- 文末が上がるイントネーションは必ずしも疑問を意味しない
G'day
やmate
など親しみを込めたスラングが豊富に使われる- 単語を短くする
arvo
やbarbie
のような指小辞が多用される - 会話速度そのものより不慣れなリズムが「早い」と感じさせる原因
- ニュージーランド英語とは
fish
の発音などで明確に区別できる - アメリカ英語との最大の違いは
r
を発音するかどうかという点 - TOEICにも登場するためリスニング対策がスコアに影響する
- 留学やワーホリでは非公式なコミュニケーション文化の理解が鍵
- 現地のテレビ番組やポッドキャストが効果的な学習教材となる
- これらの特徴を体系的に理解することが聞き取り克服への第一歩である


