海外旅行、特に日数が長くなる長期旅行では「衣類の洗濯はどうするべきか」という問題に直面する人も多いでしょう。日数分の衣類を持っていくと荷物がかさばり、かといって現地での洗濯は方法がよく分かりにくいものです。
海外旅行中の洗濯については、滞在先のホテルに依頼するのか、街のコインランドリーを探すのか、あるいは費用を抑えるために手洗いするのか、様々な選択肢があります。短期旅行であれば思い切って洗濯しないという判断も有効です。
もし手洗いするなら、脱水して干す場所の確保や、どんな洗濯洗剤がおすすめなのかも気になるところです。実は、ジップロックのような身近なアイテムや100均で手に入る便利な洗濯グッズ、例えば物干し用のロープや紐、洗濯袋などを活用することで、洗濯の悩みは大きく軽減されます。
この記事では、旅のスタイルに合わせた最適な洗濯方法を見つけるためのガイドをお届けします。
- 旅行期間やスタイルに合わせた最適な洗濯方法
- ホテル、コインランドリー、手洗いのメリット・デメリット
- 手洗いをマスターするための具体的な手順とコツ
- 海外旅行の洗濯が劇的に楽になるおすすめ便利グッズ
海外旅行で洗濯はどうする?方法比較

- 短期旅行・長期旅行での洗濯の必要性
- 洗濯しないという選択肢はアリか
- 洗濯方法はどうする?特徴を比較
- 手軽なホテルのランドリーサービス
- 長期ならコインランドリーが経済的
短期旅行・長期旅行での洗濯の必要性
海外旅行中に洗濯をするかどうかの最初の判断基準は、旅行期間です。旅の長さによって、洗濯を計画に含めるべきかどうかが大きく変わってきます。
まず、3〜4泊程度の短期旅行であれば、日数分の下着や靴下、そして着回しが効く衣類を数パターン準備することで十分に対応できます。洗濯にかかる時間や手間を考えると、全ての衣類を持参する方が効率的と言えるでしょう。
一方、5泊以上の長期旅行や周遊旅行になる場合、洗濯は計画に組み込むべき必須事項となります。すべての期間分の衣類を持っていくのは現実的ではなく、スーツケースの重量と容量を著しく圧迫します。衛生面を保ち、快適な旅を続けるためにも、定期的な洗濯は避けられない計画の一部として認識する必要があります。
期間以外の判断基準
旅行期間だけでなく、目的地や旅のスタイルも洗濯の必要性に影響します。例えば、東南アジアのような高温多湿の地域では汗をかく量が増えるため、洗濯の頻度は高まります。また、ハイキングやビーチアクティビティが中心の旅でも、衣類は汚れやすくなるでしょう。
洗濯しないという選択肢はアリか
意外に思われるかもしれませんが、3泊4日程度の短期旅行であれば、最も効率的な戦略は「洗濯をしない」という選択です。
この戦略の最大のメリットは、貴重な旅の時間を洗濯という雑事に費やさなくて済む点にあります。コインランドリーを探して移動したり、手洗いや乾燥に時間を取られたりすることなく、観光や食事といった旅の本来の目的に集中できます。
もちろん、日数分の衣類を持つため荷物はわずかに増えますが、洗濯にかかる手間や、慣れない海外でのストレスを考えれば、そのデメリットを上回るメリットがあると言えるでしょう。特に、都市間の移動が多い弾丸ツアーのような旅程では、洗濯の時間を確保すること自体が困難なため、この「洗濯しない」戦略が非常に有効になります。
洗濯しない際のポイントとして、着回しの効くトップスやボトムスを中心に、汗をかきやすい下着やTシャツは日数分用意するのが基本です。帰国後にまとめて洗濯をすれば、旅先での負担はゼロになります。
洗濯方法はどうする?特徴を比較

海外旅行中に洗濯をすると決めた場合、主に3つの方法が考えられます。それは、「ホテルのランドリーサービス」「コインランドリー」「手洗い」です。それぞれにメリット・デメリット、費用が大きく異なるため、ご自身の旅のスタイルや予算に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
ここでは、それぞれの洗濯方法の特徴を一覧表にまとめました。どの方法が自分に合っているか、比較検討してみてください。
洗濯方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ホテルのランドリーサービス | ・圧倒的に手軽 ・プロによる綺麗な仕上がり | ・値段は高額 ・時間がかかる場合がある |
コインランドリー | ・大量の衣類を一度に処理 ・乾燥機で確実に乾かせる | ・探して移動する手間 ・待ち時間が発生する |
手洗い | ・無料 ・いつでもどこでも可能 | ・手間と時間がかかる ・脱水が弱く乾きにくい |
旅の目的がビジネスで時間を節約したいならホテル、長期滞在でコストを抑えたいならコインランドリー、荷物を最小限にしたいバックパッカーなら手洗い、というように使い分けるのがおすすめです。
手軽なホテルのランドリーサービス

手間をかけずに洗濯を済ませたい場合に最も便利なのが、ホテルのランドリーサービスです。客室に備え付けのランドリーバッグに洗濯物を入れ、伝票を記入してスタッフに渡すだけで、洗濯からアイロンがけまで済ませて綺麗に折り畳まれた状態で返却されます。
メリットと活用シーン
最大のメリットは、その圧倒的な手軽さです。時間を最大限に有効活用したいビジネス出張や、洗濯に一切の手間をかけたくない場合に最適な選択肢と言えるでしょう。
一方でその利便性の反面、高めの価格設定が一般的で、数日分をまとめて依頼すると想像以上に高額になるケースもあります。
利用時の注意点
料金の高さに加えて、仕上がりまでに通常1日、場合によってはそれ以上かかることもあります。また、近年は人手不足などを理由にサービス自体を停止しているホテルも見られるため、利用を前提とする場合は宿泊予約時やチェックイン時にサービスの有無を確認しておくことが重要です。
これらの理由から、ホテルのランドリーサービスは、手洗いやコインランドリーでは対応が難しいスーツやコート、デリケートな衣類など、「どうしても必要なものだけを限定して利用する」のが賢い使い方と言えます。
長期ならコインランドリーが経済的

1週間以上の長期滞在や家族旅行で洗濯物が多く出る場合には、コインランドリーの利用が最も現実的で強力な選択肢となります。ホテルサービスに比べて費用を格段に抑えられ、洗濯機と乾燥機で大量の衣類を一度に洗濯できます。
コインランドリーの探し方と使い方
最も確実な探し方は、Googleマップなどの地図アプリで検索することです。その際、「laundry」だけだとクリーニング店がヒットすることが多いため、アメリカ英語の「laundromat」やイギリス英語の「laundrette」で検索するのがポイントです。
国や地域によって機械の操作方法や支払い方法(コイン、専用カード、アプリ決済など)が異なりますが、基本的な使い方は日本と大きくは変わりません。多くの場合、洗剤は備え付けの自動販売機で購入できます。
コインランドリー利用時の豆知識
洗濯から乾燥が終わるまでの1〜2時間の待ち時間は、一見すると無駄な時間に思えるかもしれません。しかし、観光地から少し離れた住宅街のコインランドリーで過ごす時間は、ガイドブックには載っていない地元のカフェやお店を発見するチャンスにもなり得ます。この「雑事」を、その土地の日常に触れるユニークな文化体験へと変えてみるのも、旅の醍醐味の一つです。
海外の洗濯機は衣類が傷みやすい?
海外の洗濯機は日本のものより水流が強い傾向があるため、デリケートな衣類は洗濯ネットに入れて保護するのがおすすめです。大切な衣類が傷まないよう、少しの手間を惜しまないようにしましょう。
海外旅行での洗濯・手洗いと洗濯グッズ

- 手洗いでのジップロックの活用方法
- 海外旅行におすすめの洗濯洗剤とは
- 脱水・乾燥と効率的に干すポイント
- 洗濯グッズや物干しに便利なアイテム
- 100均でも揃う便利な洗濯グッズ
- 服や着替えなどパッキングのコツ
手洗いでのジップロックの活用方法
荷物を最小限に抑え、コストを徹底的に節約したいバックパッカーやミニマリストにとって、手洗いは非常に便利な洗濯方法です。宿泊先のシンクさえあれば、費用も時間も気にせず自分のペースで洗濯ができます。
しかし、ホテルのシンクは衛生面が気になったり、排水栓がなかったりするケースも少なくありません。そんな時に効果を発揮するのが、ジップロックのような密閉できる袋です。
ジップロックや袋を使った洗濯方法
- Lサイズ以上の丈夫なジップロックを用意します。
- 中に洗濯物(Tシャツ1枚や下着数点など少量)を入れます。
- ぬるま湯と適量の洗剤を加え、空気を抜いてしっかりと口を閉じます。
- 袋の上から、揉んだり振ったりして洗います。袋の中で水が攪拌(かくはん)され、少ない水量でも効率的に洗浄できます。
- 洗い終わったら汚れた水を捨て、きれいな水で同様にすすぎを行います。
この方法は、シンクを汚さず衛生的に洗濯できるのが大きなメリットです。また、ジップロックは普段、衣類の圧縮袋や濡れたものを入れる防水ケースとしても使えるので、一石二鳥のアイテムにもなります。より本格的に洗いたい場合は専用の洗濯袋なども市販されているため、用途に合わせて利用するのがおすすめです。
海外旅行におすすめの洗濯洗剤とは

旅先での洗濯を成功させるためには、洗剤選びも重要なポイントになります。特にヨーロッパや北米など多くの地域は、日本と水質の異なる「硬水」です。硬水は洗剤が溶けにくく、洗浄力が低下する傾向があります。
このため、海外旅行に持参する洗剤は、硬水でも安定した洗浄力を発揮するタイプを選ぶのがおすすめです。
タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
液体・ジェル | チューブや小分けパックが主流 | 硬水に溶けやすく、洗浄力が安定している | 液漏れのリスクがある(要対策) |
シート | 紙のように薄く、ちぎって使える | 究極に軽量・コンパクトで液漏れの心配ゼロ | 大量の洗濯には向かない |
粉末 | 軽量で液漏れの心配がない | 硬水や冷水に溶け残ることがある | 使用にお湯が必要な場合がある |
液漏れ対策は必須!
液体やジェルの洗剤は、気圧の変化で容器が膨張し、キャップの隙間から漏れ出すことがあります。持ち運ぶ際は、必ずジップロックなどの密閉袋に入れて二重に保護しましょう。
以下の洗剤は旅行にも便利な小分けタイプなのでおすすめです。
脱水・乾燥と効率的に干すポイント

手洗いの最大の難関であり、乾燥時間を左右する最も重要な工程が「脱水」です。ここでの一手間が、翌朝に服が乾いているかどうかを決定づけます。
まず、すすぎ終わった衣類を雑巾のように固くねじって絞るのは、繊維を傷め型崩れの原因になるため絶対にやめましょう。両手で優しく包み込むように、大まかな水分を押し出す程度に留めます。
便利な「タオルプレス」の方法
手洗いした際の脱水ではタオルプレスが一つの手段として役立ちます。
- バスタオルをスペースのある場所で広げます。
- その上に、水気を切った洗濯物をシワにならないように広げます。
- タオルの端から、洗濯物を芯にして「巻き寿司」を作るようにきつく巻いていきます。
- 巻き終わったタオルを、上から両手で強く押す、あるいは足で体重をかけて踏みつけます。
これにより、洗濯物の水分がタオルへ移動し、水分が抜けてしっとりとした状態になります。この工程を丁寧に行うだけで、乾燥時間は数時間単位で短縮されます。
干す場所は「寝室」がベスト
多くの人がやりがちなバスルームでの部屋干しは、換気が悪く湿気がこもりやすいため、生乾きの臭いの原因になります。洗濯物を干す場所は、エアコンが効いていて空気が乾燥している寝室が最適です。エアコンの送風口の近くなど、空気の流れがある場所に干せば、乾燥速度は劇的に向上します。
洗濯グッズや物干しに便利なアイテム

手洗いの技術をマスターしても、それを干すための「場所」と「道具」がなければ意味がありません。ホテルの備品は頼りにならないことが多いため、物干し用の道具は自分で持参するのが賢明です。
ハンガーストップ機能付きのロープ・紐
持参をおすすめしたいのが、携帯用の物干しロープです。特に推奨されるのが、ロープ自体がはしご状になっていたり、ゴムで編み込まれていたりする「ハンガーストップロープ」です。この形状により、かけたハンガーが傾斜で中央に滑り落ちるのを防ぎ、洗濯物同士の間隔を保って効率的に乾かすことができます。両端がフックや吸盤になっているタイプを選べば、部屋の様々な場所に設置できて非常に便利です。
携帯ハンガー
前述の通り、ホテルのハンガーはクローゼットから持ち出せない固定式がほとんどです。洗濯した衣類を干すために、折りたたみ式の携帯ハンガーもロープとセットで持っておくと便利です。
洗濯袋・ランドリーバッグ
シンクを使わずに洗濯を完結させられる専用の洗濯袋も、非常に便利なアイテムです。花王の「アタック どこでも袋でお洗たく」のように洗剤がセットになったものや、専用のランドリーバッグも便利です。防水バッグとしても使えるため、一つ持っていると旅の様々なシーンで役立ちます。
100均でも揃う便利な洗濯グッズ

「旅行用の洗濯グッズをわざわざ揃えるのはちょっと…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、心配は無用です。実は、100円ショップ(100均)を賢く活用するだけで、海外旅行の洗濯環境を快適にする便利なアイテムを揃えることができます。
100均で揃えられる便利アイテム
洗濯ネット
デリケートな衣類を守る本来の用途に加え、旅行中は「ランドリーバッグ(汚れ物入れ)」として活用するのが非常にスマートです。汚れた衣類をこのネットにまとめておけば、スーツケース内で清潔な服と混ざるのを防げます。そして帰国後は、ネットごとそのまま洗濯機に投入できるため、後片付けの手間が劇的に減ります。
携帯ハンガー
手のひらサイズに折りたためるコンパクトなハンガーです。ホテルのハンガーは盗難防止用で取り外せないことが多いため、洗濯物を干す際には自前のハンガーが必須となります。
ミニ角ハンガー
下着や靴下といった小物をまとめて干すのに最適なアイテムです。これもコンパクトに折りたためる製品が販売されています。
詰め替え容器
お気に入りの液体洗剤を少量だけ持っていきたい場合に重宝します。液漏れしにくいパッキン付きのチューブやボトルを選ぶと良いでしょう。
服や着替えなどパッキングのコツ

海外旅行の洗濯を楽にするか、あるいは大変な作業にしてしまうかは、実のところ、「どんな服をスーツケースに入れるか」というパッキングの段階でその大半が決まります。洗濯方法を考える以前に、衣類選びこそが最も重要な戦略と言えるでしょう。
ポイントは、「速乾性」と「着回しやすさ」の2点に集約されます。この基準で衣類を選ぶだけで、持っていく荷物の量を劇的に減らし、旅先での洗濯の負担を最小限に抑えることが可能です。
パッキングのポイント
- 乾きやすい化学繊維やメリノウール素材を選ぶ
- 着回しが効くベーシックカラーの服を基本にする
- 厚手の服1枚より、薄手の服を重ね着する「レイヤリング」を意識する
最優先すべきは「乾きやすさ」
手洗いやコインランドリーの利用を少しでも考えているのであれば、衣類の素材選びが成功の鍵を握ります。夜に洗って翌朝には乾いている、という状況を作れるかどうかが、持っていく着替えの枚数に直結するためです。
推奨される素材
ポリエステルやナイロンといった化学繊維、そして高機能素材であるメリノウールです。これらの素材は軽量でシワになりにくく、何よりも手洗い後の乾燥時間が圧倒的に短いという特徴があります。
避けるべき素材
対照的に、綿(コットン)100%の厚手のTシャツや厚手のデニム、スウェット生地のトレーナーなどは、旅先での洗濯には不向きです。大量の水分を吸収して非常に乾きにくく、部屋干しでは生乾きの嫌な臭いの原因になりがちです。
「着回し力」で荷物を圧縮する
少ない枚数で多くのコーディネートを組むことができれば、それだけ荷物を減らすことができます。デザイン性の高い服よりも、シンプルで着回しやすいアイテムを優先しましょう。
例えば、厚手のセーターを1枚持っていく代わりに、薄手の速乾性シャツやフリースを重ね着する「レイヤリング」のスタイルは、体温調節がしやすいだけでなく、洗濯の観点からも非常に合理的です。汚れたインナーだけを洗えば済むため、アウターは繰り返し着用できます。
上級テクニック:「使い捨て戦略」
着古した下着やTシャツを持っていき、着用後に現地で処分していく方法も、帰りの荷物を劇的に減らす有効な手段です。空いたスペースにお土産を詰めることができるため、特に長期旅行者にはおすすめのテクニックです。
以下の記事でも荷物を少なくするためのポイントをまとめています。

海外旅行での洗濯方法について総括
この記事で解説してきたように、海外旅行中の洗濯には様々な選択肢とテクニックがあります。最後に、この記事の要点をリストでまとめます。次の旅行の準備にぜひ役立ててください。
- 海外旅行の洗濯は事前の計画が何よりも重要
- 3泊程度の短期旅行なら洗濯しないのも賢い選択
- 5泊以上の長期旅行では洗濯は必須と考える
- 洗濯方法はホテル、コインランドリー、手洗いの主に3つ
- ホテルのランドリーサービスは最も手軽だが高価
- コインランドリーは大量の洗濯物を安価に処理できる
- 手洗いは最も経済的で荷物を減らせる柔軟な方法
- 持っていく衣類は綿よりポリエステルなど速乾性の素材を選ぶ
- 手洗いで最も重要な工程はタオルを使った脱水(タオルプレス)
- 洗濯物を干す場所は湿気の多いバスルームより寝室が最適
- 海外は硬水地域が多いため液体やジェルの洗剤がおすすめ
- 専門グッズがなくても100均アイテムで十分に代用可能
- 洗濯ネットは汚れ物入れとして使うと帰国後の片付けが楽
- ハンガーがずれない物干しロープや携帯ハンガーは持参すると便利
- ジップロックは洗濯袋や防水ケースとしても活躍する万能アイテム



