ヨーロッパ旅行におすすめの国とは?人気の都市や計画のポイント

ヨーロッパ旅行におすすめの国とは?人気の都市や計画のポイント

ヨーロッパ旅行を計画する際、「おすすめの国はどこだろう?」と迷いますよね。この記事では、最新の人気の国ランキングや観光都市ランキングを基に、ヨーロッパ観光で絶対行くべき魅力的な国々を厳選してご紹介します。初心者でも安心な治安の良い国から、費用や予算を抑えたい方向けの物価の安い国、さらには学生旅行にもぴったりの情報まで網羅しました。複数国を巡るモデルコースや、旅行におすすめの時期、便利なツアーの活用法まで、あなたの知りたい情報がきっと見つかるはずです。

記事のポイント
  • データに基づく人気の国や都市がわかる
  • 初心者や学生など目的別の国の選び方がわかる
  • 旅行費用やおすすめの時期など計画のコツがわかる
  • 複数国を効率よく巡るモデルコースがわかる

目次

ヨーロッパ旅行でおすすめの国や都市を紹介

ヨーロッパ旅行でおすすめの国や都市を紹介
  • 人気の国ランキングで見る旅先
  • 人気の観光都市と近年の注目都市
  • 絶対行くべきヨーロッパ観光スポット
  • 初心者も安心な治安の良い国

人気の国ランキングで見る旅先

ヨーロッパ旅行の計画を始めるにあたり、多くの人が最初に参考にするのが「人気の国」の情報です。世界中の旅行者がどこを目指しているのかを知ることは、旅先選びの羅針盤となります。国連世界観光機関(UNWTO)の報告などを見ても、長年にわたりフランス、スペイン、イタリアが訪問者数で世界のトップクラスに位置し続けています。これらの国々は、まさにヨーロッパ観光の王道と言えるでしょう。

フランスは、首都パリの圧倒的な知名度に加え、南仏の美しいリゾート地やアルザス地方の可愛らしい村々など、多彩な魅力を持っています。スペインは、バルセロナの個性的な建築からアンダルシア地方の情熱的な文化まで、地域ごとに全く異なる顔を見せてくれます。そしてイタリアは、ローマの古代遺跡、フィレンツェのルネサンス芸術、ヴェネツィアの水の都と、訪れる都市ごとに深い歴史と文化が息づいています。

ここでは、主要な人気観光国の特徴を一覧で比較できるよう、詳細な情報を加えた表をご用意しました。それぞれの国の魅力を吟味し、あなたの旅のテーマに最も合う国を見つける手助けとしてください。

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国名主な魅力おすすめの旅行テーマ治安レベル(GPI)予算目安
フランス世界遺産の数々、美食とワイン、芸術鑑賞、ファッションの中心地パリ、多様な自然景観(南仏、アルプスなど)芸術、グルメ、ショッピング、歴史探訪中程度
スペインガウディ建築、イスラム建築(アルハンブラ宮殿)、情熱的なフラメンコ、タパスやパエリアなどの食文化建築、グルメ、文化体験、リゾート比較的良好
イタリア古代ローマ遺跡、ルネサンス芸術の宝庫、ヴェネツィアやアマルフィ海岸の絶景、地域ごとの豊かな郷土料理歴史、芸術、グルメ、絶景巡り中程度中~高
イギリスロンドンの歴史的建造物と最先端文化の融合、美しい田園風景(コッツウォルズ)、スコットランドの雄大な自然文化、歴史、ショッピング、自然散策中程度
ドイツ中世の面影を残す街並み(ロマンチック街道)、ベルリンの現代史、ビール文化(オクトーバーフェスト)、クリスマスマーケット歴史、ドライブ、ビール、イベント参加良好
スイスマッターホルンやユングフラウなどアルプスの絶景、登山鉄道やハイキング、清潔で美しい都市自然、アウトドア、絶景、鉄道旅非常に良好非常に高い

豆知識:治安レベルの指標「世界平和度指数(GPI)」について
表中の治安レベルは、世界的なシンクタンクである経済平和研究所(Institute for Economics & Peace)が毎年発表する「世界平和度指数(Global Peace Index)」を参考にしています。これは、国内の紛争、治安、軍事化など複数の指標を基に各国の平和度を数値化したもので、旅行先の安全性を客観的に比較検討する上で非常に有用なデータです。

人気の観光都市と近年の注目都市

人気の観光都市と近年の注目都市

目的地を国単位で絞り込んだら、次に旅の拠点となる魅力的な都市を選びましょう。訪問者数で見ると、やはりパリ、ロンドン、ローマという三大都市が圧倒的な人気を誇ります。これらの都市は、それぞれが国の象徴であり、初めてのヨーロッパ旅行で多くの人が訪れたいと願うランドマーク、美術館、歴史地区が集まっています。また、国際空港や主要駅が整備されており、ヨーロッパ周遊の起点としても非常に機能的です。

しかし、ヨーロッパの魅力はこれらの大都市だけにとどまりません。近年、旅行者の関心は、より個性的でコストパフォーマンスに優れた都市へと多様化しています。

近年注目度が上昇している都市

  • リスボン(ポルトガル)
    ノスタルジックな路面電車が走る坂の街。物価が比較的安く、美味しいシーフードと哀愁漂う音楽「ファド」が楽しめます。
  • プラハ(チェコ)
    「百塔の街」と称される、まるでおとぎ話のような美しい街並みが魅力。中世の雰囲気が色濃く残る歴史地区は世界遺産に登録されています。
  • アムステルダム(オランダ)
    運河が網の目のように巡る美しい水の都。ゴッホ美術館などのアートスポットや、自由で開放的な雰囲気が人気です。

これらの都市は、主要な観光大国の首都に比べて宿泊費や食費を抑えやすい一方、独自の文化と歴史的な美しさで、訪れる旅行者に高い満足感を与えています。

オーバーツーリズムとその対策
前述の通り、一部の超人気都市では観光客の過度な集中が社会問題化しています。この問題に対し、各都市は具体的な対策を講じ始めています。例えば、ヴェネツィアでは特定の時期の日帰り観光客に対して入場料(アクセスフィー)を試験的に導入。アムステルダムでは宿泊税を引き上げるなど、観光による負荷を軽減し、持続可能な観光を目指す動きが活発化しています。旅行者としても、こうした現地のルールを尊重し、ピークシーズンを避ける、地方都市にも足を延ばすといった賢明な計画を立てることが、結果的に自分自身の旅をより豊かにすることに繋がります。

絶対行くべきヨーロッパ観光スポット

絶対行くべきヨーロッパ観光スポット
イメージ:サントリーニ島(ギリシャ)

ヨーロッパの魅力は、その国々の多様性にあります。歴史の重み、芸術の輝き、そして息をのむような自然。ここでは、あなたの知的好奇心や感性を刺激する、各テーマを代表する「絶対行くべき」観光スポットを深掘りしてご紹介します。

歴史の息吹を肌で感じる場所

ヨーロッパの土壌には、何層にもわたる歴史が刻まれています。その物語を体感できる場所へ足を運んでみませんか。

  • コロッセオ(イタリア・ローマ)
    剣闘士と猛獣の戦いが繰り広げられた古代ローマ帝国の象徴。その巨大な建築物の前に立つと、約2000年前の歓声が聞こえてくるような錯覚に陥ります。
  • アクロポリス(ギリシャ・アテネ)
    西洋文明の礎を築いた古代ギリシャの中心地。丘の上に毅然とそびえるパルテノン神殿の姿は、民主主義と哲学が花開いた時代の栄光を静かに物語っています。
  • ポンペイ遺跡(イタリア・ナポリ近郊)
    西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火により、一瞬にして時が止まった古代都市。当時の人々の生活が生々しく保存されており、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。

心揺さぶる芸術と建築の殿堂

時代を画した巨匠たちの情熱が結晶化した芸術作品や建築物は、訪れる者の心を豊かにします。

  • ルーブル美術館(フランス・パリ)
    『モナ・リザ』、『ミロのヴィーナス』など、あまりにも有名な傑作が並ぶ世界最大級の美術館。一日では到底見尽くせないほどのコレクションに圧倒されるでしょう。
  • サグラダ・ファミリア(スペイン・バルセロナ
    天才建築家アントニ・ガウディが生涯を捧げた未完の教会。自然をモチーフにした有機的なデザインと、内部に広がる光の森は、他に類を見ない神秘的な空間です。
  • ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
    ルネサンス絵画の宝庫。ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』やレオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』など、美術の教科書で見た名画との対面は感動的です。

魂を浄化する壮大な大自然

都市の喧騒から離れ、地球が創り出した雄大なアートに触れる体験は、旅の記憶をより深いものにしてくれます。

  • マッターホルン(スイス)
    「アルプスの女王」と称される、鋭く天を突く孤高の山。ツェルマットの村から眺める朝焼けや夕景の美しさは、一生忘れられない光景となります。
  • サントリーニ島(ギリシャ)
    断崖絶壁に連なる白壁の家々と、どこまでも青いエーゲ海のコントラストが美しい島。特にイアの街から望む夕日は「世界一美しい」と称賛されています。
  • ガイランゲルフィヨルド(ノルウェー)
    氷河が創り出した壮大な渓谷に、エメラルドグリーンの海水が深く入り組む絶景。断崖を流れ落ちる滝と共に、北欧ならではの神秘的な自然美を堪能できます。

初心者も安心な治安の良い国

初心者も安心な治安の良い国

どんなに素晴らしい景色や文化も、安全が確保されていなければ心から楽しむことはできません。特に海外旅行に不慣れな方や、一人旅を計画している方にとって、治安の良さは旅先選びの最優先事項の一つでしょう。その客観的な判断材料として、前述の「世界平和度指数(Global Peace Index, GPI)」は非常に信頼性が高い指標です。

GPIのランキングで常に上位に名を連ねるヨーロッパの国々は、旅行先として極めて安全性が高いと言えます。

  • アイスランド
    長年GPIで世界1位を維持する、非常に平和な国。オーロラや氷河など、手つかずのダイナミックな自然が魅力です。
  • スイス
    永世中立国として知られ、国内の治安は極めて良好。時間に正確な公共交通機関も発達しており、ストレスなく旅行できます。
  • ポルトガル
    近年、治安の良い国として評価が急上昇。温暖な気候とフレンドリーな国民性も、安心して滞在できる要因です。

これらの国々は、凶悪犯罪の発生率が非常に低く、旅行者がトラブルに巻き込まれる可能性は低いですが、もちろん最低限の注意は必要です。例えば、夜間の単独での人通りの少ない場所への立ち入りは避けるべきでしょう。

一方で、フランスやイタリア、イギリスといった観光大国がGPIで中位に位置するのは、テロのリスク評価に加え、大都市における軽犯罪の多さが影響しています。パリのモンマルトル周辺、ローマのテルミニ駅周辺、バルセロナのランブラス通りなど、観光客が密集するエリアでは、スリや置き引きが頻発しています。

海外での安全確保に関する情報は、外務省の海外安全ホームページで国・地域別の詳細な危険情報や安全対策基礎データが提供されていますので、渡航前に必ず確認することをおすすめします。

旅のアドバイス
大都市でよく見られる軽犯罪には、特定の手口があります。例えば、数人が取り囲んでミサンガを強引に結びつけて金銭を要求する「ミサンガ詐欺」、偽の署名を求めて注意を引き、その隙に仲間が貴重品を盗む「署名詐欺」などです。「おかしいな」と感じたら、曖昧な態度は取らず、はっきりと「No!」と意思表示してその場を離れる勇気が大切です。基本的な防犯意識を持つことで、旅の安全度は格段に向上します。


ヨーロッパ旅行におすすめの国と計画のポイント

ヨーロッパ旅行におすすめの国と計画のポイント
  • 旅行にかかる費用と予算の目安
  • おすすめの時期やシーズンとは
  • 費用を抑えられる物価の安い国
  • 学生旅行で賢く楽しむポイント
  • 便利なツアーか自由な個人手配か
  • 複数国を巡るモデルコースを紹介

旅行にかかる費用と予算の目安

夢のヨーロッパ旅行を実現可能な計画へと落とし込む上で、最も現実的な問題が「費用」です。総額がいくらかかるのか、何にどれくらいかかるのかを具体的に把握することが、計画の第一歩となります。

旅行費用は、訪問国、期間、スタイルにより千差万別ですが、一般的な目安として、日本からの往復航空券を含めた総費用は1週間の旅行(5泊7日~6泊8日)で1人あたり約25万円~41万円10日間の旅行(8泊10日)では約30万円~53万円程度が相場となります。この金額を基準に、ご自身のプランに合わせて調整していくと良いでしょう。

費用の主な内訳

総費用の内訳は、主に以下の4つの要素で構成されます。

  1. 航空券代: 最も大きな割合を占める費用。時期や航空会社、経由地の有無で大きく変動します。オフシーズンなら10万円前後から見つかることもありますが、夏休みなどのピーク時は20万円を超えることも珍しくありません。
  2. 宿泊費: 滞在先の物価に最も左右される費用。パリやロンドン、特にスイスは高額になる傾向があります。都市の中心部から少し離れた場所を選ぶだけでも、費用を抑えることが可能です。
  3. 食費: 1日あたり6,000円~10,000円が目安。高級レストランでの食事ばかりでなく、地元のマーケットやスーパーでデリを購入する「中食」や、キッチン付きの宿泊施設での自炊を取り入れると、大幅に節約できます。
  4. 現地交通費・観光費: 美術館の入場料や都市内の移動費など。多くの都市では、公共交通機関が乗り放題になる観光パスが販売されており、これらを活用するとお得になる場合があります。

これらの要素を考慮し、ご自身の旅行スタイルに合わせた予算シミュレーションを見てみましょう。

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旅行スタイル1週間(6泊8日)の予算目安2週間(13泊15日)の予算目安スタイルの特徴
バックパッカー22万円~30万円~宿泊はホステル、食事は自炊やストリートフード中心。移動は格安バスやLCCを多用し、現地での交流と体験を重視する。
スタンダード35万円~60万円~宿泊は3つ星クラスのホテル、食事はレストランとカフェをバランス良く利用。移動は鉄道やLCCを計画的に使用し、快適さと観光を両立。
ラグジュアリー60万円~80万円~宿泊は4~5つ星ホテル、食事はミシュラン星付きレストランも視野に。移動は鉄道の一等車やタクシーも利用し、特別な体験と快適性を最優先。

おすすめの時期やシーズンとは

おすすめの時期やシーズンとは

ヨーロッパはその広大さゆえに、訪れる地域や目的によってベストシーズンが異なります。気候、混雑度、費用の3つの観点から、それぞれの季節の魅力と注意点を理解し、ご自身のプランに最適な時期を見つけましょう。

総合的におすすめ:春(4月~6月)と秋(9月~10月)

この「ショルダーシーズン」は、ヨーロッパ旅行のゴールデンタイムと言えます。

  • 気候:暑すぎず寒すぎず、非常に穏やかで過ごしやすい日が多いです。街歩きやハイキングに最適な季節です。
  • 混雑度:夏のピークシーズンを外れているため、主要な観光地でも比較的ゆったりと見学できます。
  • 費用:航空券やホテルの料金が夏のピーク時に比べて手頃な価格に落ち着きます。

春はオランダのチューリップ畑など花々が咲き乱れ、秋はブドウの収穫祭や美しい紅葉が楽しめるなど、季節ならではの風景にも出会えます。

ハイシーズン:夏(7月~8月)

ヨーロッパが最も活気づくバカンスシーズン。日照時間が長く、夜9時過ぎまで明るい日も多いため、一日を長く使って活動できるのが最大のメリットです。各地で音楽フェスティバルなどのイベントも開催されます。しかし、その反面、主要観光地はどこも大変な混雑に見舞われ、航空券・宿泊費ともに年間で最も高騰します。南ヨーロッパでは35℃を超える猛暑になることも珍しくなく、熱中症対策が必須です。

オフシーズン:冬(11月~2月)

旅費を最も安く抑えたいなら、この時期が狙い目です。観光客が少なく、美術館などを静かにじっくり鑑賞するには最高の季節と言えるでしょう。この時期ならではの魅力も豊富で、11月下旬から12月にかけてはドイツやオーストリアを中心に幻想的なクリスマスマーケットが開かれ、街全体がロマンチックな雰囲気に包まれます。また、北欧ではオーロラ鑑賞のベストシーズンを迎えます。ただし、寒さが厳しく、日照時間が短いというデメリットも理解しておく必要があります。

費用を抑えられる物価の安い国

費用を抑えられる物価の安い国

「ヨーロッパ」と一括りに言っても、国によって物価には大きな差があります。特に長期滞在や周遊旅行を計画している場合、物価の安い国を旅程に組み込むことで、総費用を効果的に抑えることが可能です。

一般的に、フランス、スイス、北欧諸国などの西欧・北欧は物価が高く、ポルトガルなどの南欧や、チェコ、ハンガリーなどの東欧は比較的安いとされています。

物価の安い国での滞在費目安(1日あたり)

  • 宿泊費(ホステル):2,500円~5,000円
  • 食費(自炊・ローカル食堂中心):3,000円~5,000円
  • 交通費・観光費:2,000円~4,000円

※上記はあくまで目安です。西欧の主要都市では、この1.5倍~2倍以上かかることもあります。

特におすすめなのが、独自の文化と美しい景観を持ちながらも、まだ物価が比較的安定している国々です。ポルトガルは、首都リスボンでも美味しいシーフードが手頃な価格で楽しめます。チェコのプラハは、その美しい街並みから「中世の宝石」と称され、ビールが水より安いと言われるほどです。また、近年注目されているのが、アルバニアボスニア・ヘルツェゴビナといったバルカン半島の国々。手つかずの自然と温かい人々、そして驚くほど低い物価水準が魅力で、新たな味わいを求める旅行者を惹きつけています。

ただし、かつて格安旅行の代名詞だったプラハやブダペストは、人気の上昇とともに物価も上昇傾向にあるため、過度な期待は禁物です。「もはやベルリンと変わらない」との声も聞かれます。

学生旅行で賢く楽しむポイント

学生旅行で賢く楽しむポイント

時間には恵まれているものの、予算は限られていることが多い学生旅行。ヨーロッパを賢く、深く、そして安全に楽しむためには、学生という特権を最大限に活用する戦略が不可欠です。

まず、何をおいても準備すべきなのが国際学生証(ISICカード)です。これは、世界共通で学生の身分を証明するカードで、ヨーロッパ中の美術館、博物館、城、史跡などで入場料の割引や、時には無料になることもあります。鉄道パスやレストラン、宿泊施設で割引が適用されるケースもあり、発行手数料を遥かに上回る恩恵を受けられる可能性が高い、まさに学生旅行の三種の神器の一つと言えるでしょう。

次に重要なのが、宿泊と移動の工夫です。

宿泊
ホテルの個室ではなく、ホステルの相部屋(ドミトリー)を選択することで、宿泊費を劇的に抑えられます。セキュリティーが気になる場合は、女性専用ドミトリーを選ぶと良いでしょう。キッチン付きのホステルを選んで自炊すれば、食費の節約にも繋がります。

移動
都市間の移動は、鉄道の早割チケットもお得ですが、より安さを追求するならFlixBusやRegioJetといった格安長距離バスが強力な味方になります。時間はかかりますが、料金は鉄道の半額以下になることも。また、夜行バスを利用すれば、移動時間と一泊分の宿泊費を同時に節約できるというメリットもあります。

旅のアドバイス
学生旅行の醍醐味は、現地の若者や世界中から集まる旅行者との交流です。ホステルの共用スペースは、まさにその絶好の舞台。また、多くの都市で開催されている「無料ウォーキングツアー」に参加するのもおすすめです。地元の学生ガイドが街の歴史や見どころを案内してくれることが多く、チップ制(ツアー終了後に満足度に応じて任意で支払う)なので費用を抑えつつ、効率的に街を理解できます。ガイドブックには載っていないローカルな情報を得られるチャンスでもありますよ。

便利なツアーか自由な個人手配か

便利なツアーか自由な個人手配か

ヨーロッパ旅行のスタイルを決定する上で、誰もが一度は悩むのが「パッケージツアーに申し込むか、それとも航空券やホテルを自分で手配するか」という選択です。それぞれに明確なメリットとデメリットがあり、どちらが優れているということではなく、ご自身の旅の目的や性格に合った方を選ぶことが大切です。

パッケージツアーのメリット・デメリット

メリット:最大の利点は、手間の削減と安心感です。航空券、宿泊、主要な観光、移動手段がすべてセットになっているため、複雑な予約手続きから解放されます。添乗員付きのツアーなら、現地でのトラブル時にも日本語でサポートが受けられるため、特に海外旅行初心者の方や語学に不安がある方にとっては心強い存在です。

デメリット:一方で、自由度の低さは避けられません。決められたスケジュールに沿って行動する必要があり、「このカフェでもう少しゆっくりしたい」「興味のないお土産屋さんは飛ばしたい」といった個人の希望を優先するのは困難です。団体行動が苦手な方にはストレスになる可能性もあります。

個人手配のメリット・デメリット

メリット:最大の魅力は、完全な自由と柔軟性です。旅程のすべてを自分の思い通りにデザインでき、気になった路地裏に迷い込んだり、気に入った街に急遽延泊したりすることも可能です。自分の価値観に合わせて「宿泊は節約して食事は豪華に」といった予算配分ができるのも強みです。

デメリット:自由の対価として、膨大な計画の手間と自己責任が伴います。情報収集から予約まで全て自分で行う必要があり、フライトの遅延や盗難などの不測の事態にも自力で対処しなければなりません。

両方の良いとこ取り「ハイブリッド型」

近年、合理的で人気が高まっているのが、ツアーの利便性と個人手配の自由度を両立させる「ハイブリッド型」のアプローチです。

  • フリープラン型ツアーの活用
    往復の航空券とホテルだけがセットになったツアーを利用します。最も手間のかかる部分を旅行会社に任せつつ、現地での行動は完全に自由というスタイルです。
  • 個人手配+オプショナルツアー
    基本は個人で手配し、自力でのアクセスが難しい郊外への日帰り旅行(例:モン・サン=ミッシェル)や、専門知識が必要な美術館のガイドツアーなど、必要な部分だけ現地のオプショナルツアーを組み込む方法です。

この方法も選択肢に含めることで、計画のストレスを軽減しながら自分らしい旅を実現できる可能性が高まるはずです。以下の記事でもツアーと個人手配の違いについて紹介しています。

複数国を巡るモデルコースを紹介

複数国を巡るモデルコースを紹介

陸続きで多様な文化を持つ国々が隣接していることこそ、ヨーロッパ旅行の最大の魅力です。せっかくなら複数の国を訪れて、その文化のグラデーションを肌で感じたいもの。ここでは、周遊旅行の計画に役立つ、テーマ別の珠玉の2週間モデルコースを3つご紹介します。

周遊旅行の重要知識:シェンゲン協定
ヨーロッパの多くの国は、出入国審査なしで国境を越えられる「シェンゲン協定」に加盟しています。これにより、列車やバスでの国境越えが非常にスムーズになります。ただし、日本人旅行者がビザなしでシェンゲン圏内に滞在できるのは「あらゆる180日の期間内で最大90日間」という厳格なルールがあります。長期旅行の場合は日数の管理に注意が必要です。詳細は外務省のウェブサイトでもご確認ください。

プランA:西ヨーロッパ4カ国周遊(イギリス・フランス・スイス・イタリア)

ルート
ロンドン(3泊) → [ユーロスター] → パリ(3泊) → [高速鉄道TGV] → スイス・インターラーケン(2泊) → [高速鉄道] → ローマ(4泊)

テーマ
初めてヨーロッパを訪れる方に最適のコース。ロンドンの歴史、パリの芸術、スイスの壮大な自然、そしてローマの古代遺跡と、ヨーロッパのハイライトを凝縮しました。都市間の移動は高速鉄道を駆使し、快適で効率的な旅が楽しめます。

プランB:中欧3カ国周遊(チェコ・オーストリア・ハンガリー)

ルート
プラハ(4泊) → [鉄道/バス] → ウィーン(4泊) → [鉄道/バス] → ブダペスト(4泊)

テーマ
かつて広大なハプスブルク帝国の文化が花開いた3つの首都を巡ります。「百塔の街」プラハ、「音楽の都」ウィーン、「ドナウの真珠」ブダペストと、それぞれ異なる魅力を持つ美しい街並みは圧巻です。クラシック音楽鑑賞やカフェ文化、温泉体験など、この地域ならではの文化に深く浸ることができます。西ヨーロッパに比べて費用を抑えられるのも大きな利点です。

プランC:南欧2カ国周遊(スペイン・イタリア)

ルート
バルセロナ(3泊) → [LCC] → ローマ(4泊) → [高速鉄道] → フィレンツェ(2泊) → [LCC] → マドリード(3泊)

テーマ
太陽が降り注ぐスペインとイタリア、二大美食大国を心ゆくまで満喫する旅。バルセロナのガウディ建築、ローマの歴史、フィレンツェの芸術、マドリードの活気と、見どころも満載です。各地でタパス、パエリア、パスタ、ジェラートなど、本場の味を巡る食い倒れの旅はいかがでしょうか。

ヨーロッパ旅行でおすすめの国を総括

この記事では、データに基づく人気の国から、予算や目的に合わせた国の選び方、そして具体的な旅行計画の立て方まで、ヨーロッパ旅行を成功させるための情報を網羅的に解説しました。最後に、記事の重要なポイントをリストで振り返ります。

  • ヨーロッパ旅行の計画は目的地の選定から始まる
  • 人気の国はフランスやスペイン、イタリア
  • パリやロンドン、ローマは初心者にも人気の都市
  • 治安を重視するならスイスやポルトガルがおすすめ
  • 歴史や芸術、自然などテーマで旅先を選ぶのも良い
  • 旅行のベストシーズンは気候が穏やかな春と秋
  • 夏は活気があるが費用が高く混雑する傾向
  • 冬はクリスマスマーケットやオーロラが楽しめる
  • 1週間の旅行予算の目安は約25万円から
  • 費用を抑えるなら物価の安いポルトガルや東欧諸国
  • 学生旅行では国際学生証(ISIC)が必須アイテム
  • 移動は鉄道やLCC、バスを組み合わせるのが賢い
  • 初心者は安心なパッケージツアーも選択肢の一つ
  • 自由な旅を望むなら手間を惜しまず個人手配が最適
  • この記事を参考にあなただけの最高の旅を計画しよう
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