海外旅行の計画は心躍るものですが、多くの人が頭を悩ませるのが現地でのインターネット接続方法です。スマートフォンの普及により、今や海外でも地図アプリでの案内や、レストラン情報の検索、SNSでのリアルタイムな情報は欠かせないものとなりました。
通信手段の選択一つが、旅全体の快適さを大きく左右すると言っても過言ではありません。海外旅行ではSIMとWiFi、どっちを選べばいいのか迷われる方も多いでしょう。物理的なSimカードや近年主流になりつつある便利なeSim、グループ旅行に最適なレンタルwifi(ポケットワイファイ)、そして設定不要で手軽な国内キャリアの海外ローミングまで、選択肢は多岐にわたります。
この記事では、それぞれのSimとwifiの技術的な違いや、結局どっちがいいのかという疑問に答えるため、各手段のメリットとデメリットを徹底的に掘り下げて解説します。「Simカードがあればwi-fiはいらないの?」といった具体的な疑問から、自分の使い方に合った何ギガ必要かの目安まで、あなたの旅行スタイルにぴったりな、おすすめの通信手段を見つけるためのお手伝いをします。
- SIMとWiFiの基本的な違いと仕組み
- それぞれの通信手段のメリットとデメリット
- 旅行スタイル別におすすめの通信手段
- 自分に合ったデータ容量の選び方
海外旅行でSIMとWiFiどっちがいいか違いを比較

- そもそもSimとwifiの違いとは?
- SimカードとeSimの違いを比較
- 手軽さが魅力のレンタルwifi(ポケットワイファイ)
- 便利な国内キャリアの海外ローミング
- 各通信手段のメリットを解説
- 知っておきたいデメリットと注意点
そもそもSimとwifiの違いとは?
海外でのインターネット接続を考えるとき、最初の疑問は「SIMとWiFiは何が違うの?」ということでしょう。この二つの最も大きな違いは、インターネットに接続するための根本的な仕組みにあります。表面上は同じ「スマホでネットを使う」という行為ですが、その裏側は全く異なります。
SIMカード(eSIMを含む)は、スマートフォン本体に直接情報をセットし、端末自体を現地の通信事業者が提供する携帯電話ネットワーク(セルラーネットワーク)に接続させるための「通行許可証」のようなものです。つまり、あなたのスマートフォンが、あたかも現地の携帯電話であるかのように、直接電波を掴むようになります。これにより、ルーターなどの追加の機器を持ち歩く必要がなく、普段日本で使っているのと同じ感覚で、身軽にインターネットを利用できるのが最大の特徴です。
一方、レンタルWiFiは、ポケットサイズのWiFiルーターという専用の小型通信機器を使います。このルーターの内部に現地通信会社のSIMカードが内蔵されており、まずルーターが携帯電話ネットワークの電波を受信します。そして、その受信した電波をWi-Fi信号(無線LAN)に変換して、あなたのスマートフォンやPC、タブレットなどのデバイスに飛ばす「仲介役」を果たします。これは、自宅のWi-Fiルーターを持ち運べるようにしたイメージと捉えると分かりやすいでしょう。
ポイントのまとめ
- SIM:スマートフォンが直接現地の電波に接続する「個人プレイ」。機器はスマホのみで完結します。
- WiFi:ルーターが電波を掴み、Wi-Fiとして周囲に共有する「チームプレイ」。ルーターという司令塔が必須です。
どちらが良いかは一概には言えず、利用人数、使用するデバイスの種類、渡航先の環境、そして個人のITリテラシーによって最適解は変わります。まずはこの基本的な違いを深く理解することが、自分に合った後悔のない選択をするための重要な第一歩となります。
項目 | SIMカード / eSIM | レンタルWiFi |
---|---|---|
接続の仕組み | スマホが直接、現地セルラー回線に接続 | ルーターが現地回線を中継し、Wi-Fiで共有 |
必要な機器 | スマートフォンのみ | スマートフォン + WiFiルーター本体 + 充電器 |
携帯性 | ◎(荷物が一切増えない) | △(ルーターと関連機器の携帯・管理が必要) |
設定の難易度 | △(SIM交換やAPN設定が必要な場合がある) | ◎(電源ONとパスワード入力のみで非常に簡単) |
SimカードとeSimの違いを比較

SIMを利用すると決めた後、次に考えるべきは「物理的なSIMカード」と、新しい常識となりつつある「eSIM」のどちらを選ぶかです。これらは同じSIMという枠組みですが、その利便性や機能性において大きな違いがあり、現代の海外旅行スタイルを大きく変えるほどのインパクトを持っています。
物理SIMカード
物理SIMカードは、従来からあるICチップが埋め込まれた小さなプラスチックカードです。海外で利用する場合、スマートフォンの側面にあるSIMトレイを専用のピンで開け、日本で使っているSIMカードを取り出し、渡航先に対応した海外用のSIMカードに物理的に差し替えて使用します。入手方法は多岐にわたり、出発前にAmazonや専門のオンラインストアで購入して郵送で受け取る方法や、現地の空港の通信カウンター、市中のキャリアショップやコンビニエンスストアなどで購入する方法が一般的です。
物理SIMは指先ほどの大きさしかないため、交換作業中に手から滑り落ちて紛失したり、静電気などで破損したりするリスクが常に伴います。また、日本で使っていた元のSIMカードをなくさないよう、旅行中はケースに入れるなどして大切に保管する必要があります。
eSIM(イーシム)
eSIMは「Embedded SIM」の略で、その名の通り、スマートフォン本体の基板に予め埋め込まれているデジタルなSIMを指します。物理的なカードの抜き差しが一切不要なのが最大かつ革命的な特徴です。利用方法は極めてシンプルで、オンラインストアで通信プランを購入後、メールなどで送られてくるQRコードをスマートフォンのカメラで読み込むだけ。これだけで契約情報(プロファイルと呼ばれます)がスマホにダウンロードされ、すぐに現地の回線が使えるようになります。空港に到着してから購入・設定しても数分で完了するため、時間を無駄にしません。
eSIMのもう一つの大きな利点は、デュアルSIM機能を容易に実現できることです。多くの対応スマートフォンでは、日本の物理SIMを挿入したまま、海外用のeSIMを追加して有効化できます。これにより、データ通信は割安な海外eSIMプランを使い、日本からの重要な電話の着信やSMS認証は日本の電話番号で受ける、といった高度な使い分けが可能になります。これは、物理SIMを差し替えると日本の電話番号が完全に使えなくなるという、従来の大きな欠点を克服する画期的な機能なのです。
比較項目 | 物理SIM | eSIM |
---|---|---|
形態 | 物理的なICカード | 端末内蔵型のデジタルSIM |
入手方法 | オンライン購入(郵送)や現地店舗 | オンラインで購入・即時発行 |
利用開始までの手間 | SIMピンでのカード交換作業が必要 | QRコードのスキャンなどで設定完了 |
紛失・破損リスク | あり(カードが小さく、管理に注意が必要) | なし(デジタルデータのため物理的リスク皆無) |
日本の電話番号 | 利用不可(SIMを抜くため) | 利用可能(デュアルSIM機能による) |
注意点:SIMロックとeSIM対応機種
海外用のSIMやeSIMを利用する大前提として、お持ちのスマートフォンがSIMフリー(SIMロックが解除されている状態)である必要があります。日本では、総務省のガイドラインに基づき、2021年10月1日以降に新たに販売された端末へのSIMロック設定は原則禁止されていますが、それ以前の端末はロックがかかっている可能性があります。事前にご自身のキャリアで解除手続きを済ませておきましょう。
また、eSIMは比較的新しい技術のため、利用できるスマートフォンが限られます。一般的にiPhoneでは2018年発売のiPhone XS/XR以降のモデル、Androidも近年のハイエンドモデルが中心です。利用を検討する際は、必ずご自身の端末がeSIMに対応しているか事前に確認してください。
参考:eSIM 対応機種一覧|Wifiレンタル本舗
手軽さが魅力のレンタルwifi(ポケットワイファイ)

レンタルWiFi(ポケットワイファイ)は、海外旅行の通信手段として長年にわたり多くの旅行者に支持されてきた、信頼性の高い選択肢です。その最大の理由は、専門的な知識や複雑な設定を一切必要としない、誰でも迷わず使える圧倒的な手軽さにあります。
利用者は、SIMロックの解除状況を確認したり、APN設定といった専門用語を理解したりする必要は全くありません。渡航前にオンラインで利用国と期間を指定して予約し、出発当日に空港の専用カウンターでルーター一式を受け取るか、自宅へ事前に配送してもらいます。現地に到着したらルーターの電源を入れ、本体に記載されているネットワーク名(SSID)とパスワードを、スマートフォンのWi-Fi設定画面で一度入力するだけ。この簡単な3ステップで、すぐに安定したインターネットに接続できます。
また、1台のルーターで5台から10台程度の複数デバイスを同時に接続できる点は、レンタルWiFiが持つ不変の強みです。友人とのグループ旅行や家族旅行で利用すれば、1台分のレンタル料金を参加人数でシェアできるため、一人当たりのコストを非常に安く抑えることが可能になります。さらに、スマートフォンだけでなく、会社のノートパソコンや個人のタブレットなども同時にインターネットに繋ぎたいビジネスユーザーにとっても、これ以上ないほど最適な選択肢となります。通信に関する処理を全て専用ルーターに任せるため、スマートフォンのバッテリー消費を通常通りに保てる点も、地味ながら大きなメリットです。
「海外旅行は初めてで不安」「スマホの細かい設定は苦手…」という方や、「家族みんなで気兼ねなくネットを使いたい」というニーズに対して、今でもレンタルWiFiが最も安心で確実なサービスを提供してくれます。
便利な国内キャリアの海外ローミング

海外ローミング(国際ローミング)は、契約している日本の通信キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど)のサービスを、特別な手続きなしにそのまま海外でも利用する仕組みです。かつては、データ通信料が使った分だけ青天井式に加算される従量課金制が主流で、「海外パケ死」と呼ばれる数十万円単位の高額請求問題の代名詞でした。このため、多くの旅行者にとってローミングは「絶対にONにしてはいけない設定」という怖いイメージが定着していました。
しかし、近年その状況は劇的に変化しました。特に、ahamoや楽天モバイルといった革新的なサービスが登場してからは、海外ローミングは「究極に手軽な最強の選択肢」として華麗な復権を遂げています。これらのプランでは、月額基本料金の範囲内で一定量の海外データ通信が追加料金なしで利用できるため、利用者は高額請求の恐怖から完全に解放されました。
最大のメリットは、何といっても他の追随を許さないその異次元のシンプルさです。海外用のSIMを別途契約したり、レンタル機器の受け渡しのために空港カウンターに並んだりする必要は一切ありません。現地に到着したら、スマートフォンの設定画面から「データローミング」のスイッチをオンにするだけ。文字通り、これだけで着陸した瞬間から、普段使っているスマートフォンがそのままインターネットに接続されます。この摩擦のない体験は、通信手段の確保に費やす時間と精神的エネルギーをゼロにしてくれます。
また、SIMカードを差し替えないため、自身の日本の電話番号での音声通話やSMS受信がそのまま利用できるのも、ビジネスでの重要な連絡や、各種サービスの二段階認証などでSMSが必要な場合に、大きな安心材料となります。
注意:プランごとの利用制限と対象エリア
便利な現代のローミングプランにも、利用上の注意点はあります。例えば、ahamoの公式サイトによると、海外での利用が最初に開始されてから15日を経過すると通信速度が送受信最大128kbpsに著しく制限されるため、2週間を超える長期滞在には全く向きません。また、楽天モバイルは無料で利用できる高速データ通信が毎月2GBまでとなっており、それを超えると低速になるか、1GBあたり500円でのデータ追加購入が必要です。渡航前にご自身の契約プランの詳細と、渡航先がサービス対象エリアに含まれているかを必ず確認しましょう。
各通信手段のメリットを比較

ここまで紹介してきた各通信手段のメリットを、改めて要点として整理してみましょう。ご自身の旅行で「何を最も重視するか」を考えながら比較することで、あなたにとって最適な選択肢が明確に見えてきます。
SIM / eSIMのメリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス
レンタルサービスの運営コストやローミングのプレミアム料金といった中間マージンが価格に転嫁されないため、データ通信1GBあたりの単価が最も安い傾向にあります。特に数週間にわたる長期滞在や、動画視聴などで大量のデータを消費するユーザーにとって、その価格的優位性は絶大です。 - 最高のパフォーマンスと安定性
現地の通信事業者が自国民向けに提供しているネットワークに直接接続するため、通信速度、安定性、そして応答速度(低遅延)において、ローミング接続を上回るパフォーマンスを示すことが多く、ストレスフリーな「ネイティブ」な通信環境を享受できます。 - 究極の携帯性
追加の機器を一切必要としないため、ポケットの中もカバンの中もすっきりします。ルーターのように別途持ち運び、充電し、紛失を心配する必要がありません。荷物を1gでも減らしたいミニマリストな旅行者にとって、これは決定的なメリットです。
レンタルWiFiのメリット
- 誰でも使える設定の容易さ
専門知識が全く不要で、電源を入れてパスワードを入力するという、誰にとっても馴染みのある手順だけでインターネットを使い始められます。デジタル機器が苦手な方でも安心して利用できます。 - グループ・複数デバイス利用の最適解
1台で家族や友人のスマホ、PCなどをまとめて接続でき、グループ利用でのコスト効率は他の追随を許しません。ビジネス出張でPCとスマホを同時に長時間使うといったニーズにも完璧に応えます。 - スマートフォンのバッテリー維持
通信に関する負荷の高い処理を全て専用ルーターに一任するため、スマートフォンのバッテリー消費を通常レベルに保つことができます。地図アプリなどを多用する長時間の街歩きでも安心です。
海外ローミングのメリット
- 圧倒的な手軽さ
事前の申し込みや物理的な機器の受け渡し・返却が一切不要で、現地到着後にスマートフォンの設定を一つ変更するだけで利用を開始できます。最も摩擦の少ないソリューションです。 - 日本の電話番号の完全な維持
SIMを交換しないため、日本からの重要な電話や、金融サービス・SNSのログインに必要なSMS(二段階認証)などを、普段通りに遅延なく受け取ることができます。 - 絶大なサポートの安心感
通信に関する請求やトラブルシューティングは、すべて契約している日本の大手通信キャリアが一元的に管理します。言語の壁や時差を気にすることなく、使い慣れた日本語のカスタマーサポートを利用できる安心感は絶大です。
このように、それぞれの手段に明確な強みがあります。「コスト」を最優先するならSIM、「グループでの共有」ならレンタルWiFi、「手軽さ」を極めるならローミング、というように、ご自身の旅のスタイルと優先順位に合わせて選ぶことが重要です。
知っておきたいデメリットと注意点

光があれば影があるように、それぞれの通信手段が持つメリットの裏側には、必ずデメリットや利用前に理解しておくべき注意点が存在します。これらを事前に把握しておくことが、現地での「こんなはずじゃなかった」という失敗を防ぐために不可欠です。
SIM / eSIMのデメリット・注意点
- SIMロックの解除が必須
日本の大手キャリアで分割購入したスマートフォンは、他社のSIMを認識しない「SIMロック」がかかっている場合があります。海外SIMを使うには、渡航前にキャリアのショップやオンラインでこのSIMロックを解除(SIMフリー化)しておく必要があります。この一手間が最大のハードルとなることがあります。 - 自己責任での設定作業
物理SIMの差し替え作業や、APN(アクセスポイント名)というネットワーク接続先情報を手動で設定する必要がある場合があります。これらの手順は、スマートフォンの操作に不慣れな方にとっては心理的なハードルとなり得ます。設定を間違えるとインターネットに繋がりません。 - 端末の互換性の確認
特にeSIMは、対応している機種がまだ限られています。また、物理SIMであっても、渡航先の国が使用している周波数帯(バンド)に、お使いのスマートフォンが対応していないと、通信が不安定になったり、全く繋がらなかったりする可能性があります。購入前に対応機種と対応周波数帯を必ず確認しましょう。
レンタルWiFiのデメリット・注意点
- 物理的な荷物が増える
常にルーター本体を持ち運ばなければならず、旅行中の荷物を確実に増やし、重くします。充電用のケーブルや、場合によってはモバイルバッテリーもセットで携帯する必要があり、身軽さが損なわれます。 - 充電管理という名のプレッシャー
ルーターは内蔵バッテリーで動作するため、その稼働時間はバッテリー残量に完全に依存します。観光中にバッテリーが切れてしまえば、それはただの文鎮と化します。常に残量を気にかけ、ホテルに戻れば充電を忘れないように管理する必要があり、これが精神的な負担となり得ます。 - 紛失・破損時の金銭的リスク
利用者はレンタルされた機器に対して管理責任を負います。万が一、旅行先でルーターを紛失、盗難、あるいは破損させてしまった場合、数万円単位の高額な弁償金が請求されるリスクがあります。これを回避するための補償プランは、多くの場合、総コストをさらに押し上げる要因となります。 - 「リード効果」による行動の制約
グループで一台のルーターを共有する場合、その利便性と引き換えに、メンバー全員がルーター保持者の行動範囲内に留まらなければならないという制約が生まれます。これは「電子的なリード(鎖)」に繋がれているような状態であり、旅の自由度を損なう可能性があります。
海外ローミングのデメリット・注意点
- 旧来プランでの高額請求リスク
ahamoや楽天モバイルのような革新的なプランを契約していない場合、意図せずデータ通信を行ってしまうと、メガバイト単位で高額な料金が課金される「パケ死」のリスクが依然として存在します。渡航前には、ご自身の契約内容を細心の注意を払って確認することが極めて重要です。 - プランごとの厳格な利用制限
前述の通り、ahamoの15日制限や楽天モバイルの2GB上限など、利便性と引き換えにいくつかの重要な利用制限が付帯します。ご自身の滞在日数や想定データ使用量が、これらの制限の範囲内に収まるかを冷静に判断する必要があります。 - パフォーマンスのばらつき
ローミング時の通信品質は、日本のキャリアと現地の提携キャリアとの間のネットワーク接続方式に大きく依存します。一部のサービスでは、データが一度日本のサーバーを経由するなどの理由から、応答速度(Ping値)が著しく高くなる傾向があり、Webページの表示などで体感的な遅延(もっさり感)を感じることがあります。
海外旅行はSIMとWiFiどっちがいい?目的別選び方

- 結局eSimとポケットWiFiどっちがいい?
- SimカードがあればWi-Fiはいらない?
- 海外旅行で1日何ギガ必要かの目安
- SIM・レンタルWiFi・海外ローミングのおすすめ
結局eSimとポケットWiFiどっちがいい?
「結局、自分にはeSIMとポケットwifi(レンタルWiFi)のどっちがいいの?」これは多くの旅行者が抱く最大の疑問であり、最も重要な選択の分岐点です。結論から言うと、あなたの旅行スタイル、同行者の有無、そして使用するデバイスの種類によって、最適解は分かれます。
eSIMがおすすめな人は、以下のような旅行スタイルの方です。
- 一人旅やカップル、少人数での旅行
追加の荷物を一切持ちたくなく、コストを抑えつつも高品質な通信を確保したい場合に最適です。eSIMの身軽さとコストパフォーマンスは、個人旅行者のニーズに完璧に合致します。 - 利便性とコストのバランスを最優先する人
オンラインで数分で手続きが完結する手軽さと、レンタルWiFiの機器レンタル料や人件費、ローミングのプレミアム料金が含まれない、データそのものに近い価格設定のバランスが魅力です。 - 日本の電話番号での着信やSMSを逃したくない人
デュアルSIM機能を使えば、データ通信は割安な海外プランを使い、ビジネスの電話やサービスの二段階認証SMSは日本の電話番号で受ける、というスマートな両立が可能です。
一方、ポケットwifiを選ぶべき人は、次のような目的があるケースです。
- 3人以上のグループや未成年の子供連れの家族旅行
1台の契約で全員がインターネットを使えるため、一人当たりのコストが劇的に安くなります。子供に自分のスマホを渡して動画を見せる際なども、親のスマホのテザリングを使わずに済むため、非常に便利です。 - ノートPCやタブレットなど複数のデバイスをヘビーに使う人
出張先でPCを使った長時間のオンライン会議や、大容量ファイルの送受信など、安定した通信環境が必須のビジネスユーザーにはポケットwifiが必須です。スマートフォンのバッテリーを全く気にせずに作業に集中できる点は、何物にも代えがたい利点です。 - スマートフォンの設定に全く自信がない、あるいは不安を感じる人
SIMロック解除やAPN設定などのプロセスに少しでも不安を感じるなら、迷わずポケットwifiを選びましょう。難しい設定が一切不要という安心感は、旅行中の余計なストレスをなくしてくれます。
簡単にまとめると、「身軽さとコスパを求める個人旅行ならeSIM」、「グループでの共有や、PC利用などの特定ニーズがあるならポケットwifi」と考えると間違いないでしょう。
SimカードがあればWi-Fiはいらない?

「Simカードがあればwi-fiはいらない?」という疑問に対する答えは、SIMカード(またはeSIM)があれば、別途Wi-Fiを契約する必要は基本的にないと言えます。
その理由は非常に明快です。SIMカードを利用するということは、前述の通り、スマートフォン自体がインターネットに直接接続する能力を持つということです。これにより、スマートフォンは独立した通信端末として機能するため、地図アプリでのナビゲーション、Webサイトの閲覧、SNSの利用、LINEでの通話など、すべての通信をスマートフォン単体で完結させることができます。レンタルWiFiルーターのように、別途Wi-Fiの電波を探したり、仲介する機器を持ち運んだりする必要は一切ないのです。
「テザリング」がPCやタブレット利用に便利
「でも、旅行先でノートパソコンやタブレットも使いたい場合はどうするの?」という心配もあるかもしれません。その疑問を解決するのが、現代のスマートフォンに標準搭載されている「テザリング(インターネット共有)」機能です。
テザリングとは、スマートフォンをモバイルルーターのように使い、そのデータ通信(SIMカードが受信している電波)を、Wi-FiやBluetooth、USBケーブル経由で他のデバイスに共有する機能です。これにより、SIMカードを入れたスマートフォンが1台あれば、それが親機となって、ノートPCやタブレット、友人のスマートフォンなども同時にインターネットに接続させることができます。
加えて、宿泊先のホテルではフリーWi-Fiが使えるケースがほとんどのため、パソコンやタブレットで容量の大きい通信を使う際にはそちらを利用するのが賢明でしょう。
テザリングの知っておくべき注意点
非常に便利なテザリングですが、万能ではありません。最大の注意点は、スマートフォンのバッテリーを著しく消耗することです。親機となったスマホは、基地局との通信と、子機へのWi-Fi電波の発信という二つの重い処理を同時に行うため、バッテリーがみるみるうちに減っていきます。また、端末がかなり熱を持つ原因にもなります。長時間のオンライン会議や大容量ファイルのダウンロードといったヘビーな使い方をする場合は、モバイルバッテリーが必須になるか、レンタルWiFiルーターの方が適していると言えます。
しかし、出先で少しメールをチェックしたり、調べ物をしたりといった短時間の利用であれば、テザリングで十分に対応可能です。したがって、「SIMカードがあればWi-Fiは基本的にいらない」と考えて問題はないでしょう。
海外旅行で1日何ギガ必要かの目安

通信プランを選ぶ上で最も悩むのが「データ容量(ギガ)をどれくらいにすれば良いか」という実用的な問題です。容量が少なすぎると旅の途中で通信できなくなり非常に不便ですし、多すぎても無駄な出費となってしまいます。自分の使い方に合った適切な容量を選ぶために、以下の目安をぜひ参考にしてください。
様々な調査がありますが、一般的な観光スタイルの旅行者のデータ使用量は、1日あたり1GBが最もバランスの取れた標準的な容量とされています。これだけあれば、Googleマップでのナビゲーション、レストランや観光地のWeb検索、Instagramへの写真投稿などを、データ残量を過度に気にすることなく快適に行うことができます。
以下は、旅行者のタイプ別におすすめの1日あたりのデータ容量とデータ消費量の目安になります。
利用者タイプ | 推奨容量(1日) | 主な利用用途のイメージ |
---|---|---|
ライトユーザー | 300MB~500MB | 地図アプリでの簡単な位置確認、LINEやメールでのテキストベースの連絡、緊急時の情報検索が中心。SNSの閲覧や写真のアップロードは基本的にホテルの無料Wi-Fi利用時のみ。 |
スタンダードユーザー | 1GB | 地図やWeb検索を頻繁に利用。インターネットで情報収集したり、旅先で撮影した美しい風景や食事の写真をリアルタイムで投稿する。 |
ヘビーユーザー | 2GB~3GB | 観光に加え、出張先での業務が伴う。大容量ファイルの添付されたメールの送受信、クラウドストレージへのアクセス、そして時には短時間のビデオ会議も行う。 |
パワーユーザー | 無制限プラン | 家族全員分のデータプランを管理するだけでなく、移動中の電車や待ち時間に子供を楽しませるためにYouTubeなどの動画をストリーミング再生する。 |
海外旅行におけるデータ容量の目安や選び方については以下の記事でも解説しています。

SIM・レンタルWiFi・海外ローミングのおすすめ

ここまで解説した比較だけでなく、実際に高い評価を得ており、多くの旅行者から選ばれている具体的なサービスを知ることで、より最適な選択ができるはずです。ここでは、各分野で代表的かつ信頼性の高いおすすめサービスを、その特徴とともに紹介します。
eSIMのおすすめ
World eSIM

日本の上場企業、株式会社ビジョンが運営するeSIMサービスです。最大の魅力は、利用者数no.1のレンタルwifiを提供している日本企業ならではの圧倒的な安心感と、質の高い日本語でのカスタマーサポート体制です。万が一の通信トラブルや設定の疑問にも、チャットやメールで迅速かつ丁寧に対応してくれます。eSIMを初めて利用する方や、海外での万一のトラブルを絶対に避けたい、安心感を最優先する方におすすめです。
Saily

世界的に有名なVPNサービス「NordVPN」で知られるNord Security社が提供するeSIMサービス。最大の強みは、リーズナブルな価格設定と高度なセキュリティ性です。多くの人気渡航先で1GB/7日間プランが数ドル程度から提供されており、コストを最優先するテクノロジーに慣れたユーザーから絶大な支持を得ています。アプリも直感的で分かりやすく、購入から利用開始までが非常にスムーズです。
レンタルWiFiのおすすめ
グローバルWiFi

前述した株式会社ビジョンが運営する、海外WiFiレンタルの最大手です。長年の実績と信頼性があり、世界200以上の国と地域という広範なエリアをカバーしています。特筆すべきは、電話、メール、LINEなど多様なチャネルを通じて提供される24時間365日対応の日本語サポート体制で、これは他の追随を許しません。全国の主要空港に多数のカウンターを設置しており、出発・帰国時の受け取り・返却の利便性も非常に高いです。グループ旅行やビジネス出張の際の「鉄板」の選択肢と言えるでしょう。
海外ローミングのおすすめ
ahamo

NTTドコモが提供するahamoは、月額2,970円(税込)の基本料金内で、追加料金なしで海外91の国・地域で月30GBまでデータ通信が利用できます。大容量、高品質な通信、そして究極の手軽さという3要素を極めて高いレベルで両立させており、15日以内の一般的な海外旅行であれば、これ以上ない「最強」の選択肢です。事前の申し込みも一切不要というシンプルさも魅力です。
楽天モバイル

「Rakuten最強プラン」契約者は、追加料金なしで毎月2GBまで海外での高速データ通信が利用できます。2GBを超過した後も、1GBあたり500円という手頃な価格で高速データを追加チャージできるため、データ使用量が少ないライトユーザーや短期旅行者にとっては最も経済的なソリューションの一つです。「Rakuten Link」アプリを利用すれば、対象国から日本への国際通話が無料になる点も、他社にはない大きなメリットです。
物理Simカードのおすすめ
前述したように、Simカードは渡航先での空港やショップで購入することができますが、事前に用意しておくことで現地で慌てることなく旅行をすることにつながります。国内でもAmazonや楽天などの大手ネットショップで手軽に入手することができるため、必要な方はスケジュールに余裕を持って準備しておきましょう。「Almond sim」は国やデータプランのオプションも多い定番のSimカードになります。上記のSIMカードはヨーロッパ対応となっていますが、地域や容量をご自身の目的に合わせてお選びください。
どのサービスも一長一短があります。サポートの手厚さを取るか、絶対的なコストの安さを取るか、あるいは究極の利便性を取るか。ご自身の旅における優先順位を明確にして、これらの具体的なサービスから選んでみてくださいね。
総括:海外旅行はSIMとWiFiどっちを選ぶべきか
記事のポイントをまとめます。
- 海外の通信手段は主にSIM、レンタルWiFi、ローミングの3つ
- SIMはスマホに直接セットして現地の回線に接続する方式
- eSIMは物理的なカードが不要でオンラインで手続きが完結する
- レンタルWiFiは専用ルーターを介して複数台でネットを共有できる
- ローミングは日本のキャリア契約のまま海外で通信する便利な仕組み
- コストと身軽さを重視する個人旅行ならeSIMが最もバランスが良い
- 3人以上のグループや家族旅行ではレンタルWiFiが一人当たりで割安になる
- PCなど複数のデバイスを安定して使いたいならレンタルWiFiが最適
- 究極の手軽さを求める15日以内の短期旅行ならahamoのローミングが強力
- SIMやeSIMの利用にはSIMロックが解除されたSIMフリー端末が必須
- レンタルWiFiはルーターの持ち運びや毎日の充電が手間になることも
- ahamoの海外利用は15日間、楽天モバイルの無料枠は月2GBという制限に注意
- 1日のデータ使用量は観光がメインなら1GBあれば安心できる目安
- 動画視聴はギガ消費が激しいため無制限プランの検討が推奨される
- 最終的には自分の旅行スタイル、人数、期間、予算を総合的に考えて決めることが重要








