海外旅行のクレジットカードは何枚持つべきか迷っていませんか?1枚だけで十分なのか、それとも複数枚必要なのか。また、現金やデビットカードとどっちがお得になるのかも気になるところです。海外で使う際のレートや手数料、そして具体的な使い方についても不安があるかもしれません。海外でクレジットカードを使うのは危ない、あるいは使えない場面があるのではないか、海外利用の事前連絡やロック解除はどうすればいいのか、といった疑問もあるでしょう。さらに、クレジットカードの付帯保険で十分なのか、他にどんな付帯特典があるのかも知っておきたい点です。この記事では、海外旅行のカード選びのポイントを、様々な視点で比較しながら解説します。
- 海外旅行のクレジットカードは何枚が最適かわかる
- 現金やデビットカードとの賢い使い分けがわかる
- 海外利用時の手数料や注意すべきポイントがわかる
- 保険や特典を活かしたカードの選び方がわかる
海外旅行にクレジットカードは何枚必要なのか

- 1枚持ちはリスク?何枚持つべきか
- クレジットカードと現金どっちがいい?
- デビットとクレジットのどっちを選ぶ?
- 海外でカードを使うレートと手数料
- Wiseのデビットカードという選択肢
1枚持ちはリスク?何枚持つべきか
海外旅行へ行く際、クレジットカードを何枚持っていくべきか。この問いに対する答えは明確です。結論から言えば、最低でも2枚、可能であれば3枚のカードを併用することをおすすめします。
最大の理由は、「リスクの分散」です。海外では、日本国内では想定しにくい様々な決済トラブルが発生する可能性があります。1枚のカードに依存する「1枚持ち」は、そのトラブル発生時に即座に決済手段を失うことになり、非常に危険です。
クレジットカード1枚持ちのリスク
もしクレジットカードを1枚しか持っていなかった場合、以下のような事態が発生すると即座に決済不能に陥る可能性があります。
- 紛失・盗難
最も頻繁に起こり得るリスクです。財布ごと盗まれたり、どこかに置き忘れたりした場合、カード会社に連絡して停止するまでの間に不正利用される危険もあります。 - 磁気不良・ICチップ破損
カードが物理的に故障し、端末で読み取れなくなるケースです。特にスマートフォンのケースなど磁気が強いものと一緒に保管していると発生しやすくなります。 - 国際ブランド非対応
訪れた店舗が、あなたの持つカードの国際ブランドに対応していない場合があります。例えば、ヨーロッパの小規模な店舗ではAmExやJCBが使えず、VisaかMastercard®のみという場所も少なくありません。 - 不正利用検知によるロック
カード会社はセキュリティのため、普段と異なる利用パターン(例:日本で利用直後に海外で高額決済)を検知すると、カードを一時的にロックすることがあります。これは利用者を守る機能ですが、結果として正当な利用ができなくなります。 - ATMでのカード飲み込み
海外のATMでは、操作ミスや機器の不具合でカードが飲み込まれ、返却されないトラブルも報告されています。
これらのトラブルが発生し、手持ちの現地通貨も尽きてしまった場合、旅行の続行が困難になるほど深刻な事態になりかねません。
一方、複数のカードを併用することには、これらのリスクを回避するための大きなメリットがあります。
複数枚を併用するメリット
- リスクヘッジ(予備の確保)
1枚が紛失や故障、ロックで使えなくなっても、予備のカードがあれば安心して決済を続けられます。 - 国際ブランドの分散
加盟店網で困らないための最強の組み合わせは、世界シェア1位のVisaと2位のMastercard®を1枚ずつ持つことです。これにより、世界のほぼ全てのカード加盟店をカバーできます。3枚目として、日本語サポートが手厚いJCBや、独自の優待サービスが魅力のAmerican Expressを目的地に応じて加えるのも良い戦略です。 - 用途別の使い分け
「メイン決済用(ポイント還元率が高いカード)」と「ATMでの現金引き出し用(キャッシング金利が低い、またはデビットカード)」、「海外旅行保険用(自動付帯で補償が手厚いカード)」など、カードの特性に応じて賢く使い分けることも可能です。
複数枚持つ場合の最も重要なポイントは、「分散して保管する」ことです。全てのカードを財布に入れて持ち歩いては、盗難に遭った際にすべてを失います。1枚は財布に、もう1枚はホテルのセーフティボックスに、さらにもう1枚はスーツケースの奥深くや別のカバンに保管するなど、万が一の盗難に備えて物理的にリスクを分散させましょう。
クレジットカードと現金どっちがいい?

海外旅行において、クレジットカードと現金をどのように使い分けるかは、利便性、安全性、そしてコスト(手数料)に直結する重要な問題です。どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの長所と短所を理解し、シーンに応じて賢く使い分けるのが最も合理的です。
クレジットカードの長所と短所
クレジットカードの最大のメリットは、高額な支払いに強いことと、安全性です。宿泊費や高額なブランド品の買い物、ツアー代金などを、多額の現金を持ち歩くリスクなしに安全に決済できます。
また、多くのカードには盗難・紛失時の補償が付帯しており、不正利用が疑われる場合には「チャージバック(支払い異議申し立て)」の仕組みを利用して、調査を依頼し、認められれば請求を取り消してもらえる可能性があります。これは現金にはない大きな強みです。
コスト面でもメリットがあります。為替レートは、国際ブランドが設定する「基準レート」にカード会社所定の「外国取引手数料(事務手数料)」が上乗せされますが、この手数料を含めても、現金の両替手数料よりトータルで有利になるケースが多いです。
ただし、デメリットとして、屋台やローカルマーケット、一部のタクシーや公共交通機関など、カード決済に対応していない場面もあります。また、後述する「DCC(自国通貨建て決済)」という割高な請求をされるリスクにも注意が必要です。
現金の長所と短所
現金は、小額決済やカード非対応の場面で必須の決済手段です。チップの支払いやローカルな交通機関の利用、屋台での飲食など、現金でしか支払えないシーンは依然として多く存在します。
一方で、最大のデメリットは安全性とコストです。多額の現金を持ち歩くことは、スリや置き引き、強盗などの犯罪の標的になるリスクを著しく高めます。一度失うと、保険が適用される一部のケースを除き、取り戻すことはほぼ不可能です。
コスト面では、日本円から現地通貨への「両替」に必ず手数料がかかります。特に空港やホテルの両替所は、市中の銀行や両替所に比べてレートが不利(手数料が高い)に設定されていることが一般的です。現地通貨が余った場合に日本円に再両替すると、再度手数料がかかり、二重のコスト負担となります。
賢い使い分けのルール(推奨)
- 高額な支払い(ホテル、航空券、レストラン、ショッピング): クレジットカード
→ 安全性、ポイント還元、履歴管理の面で圧倒的に有利。 - 小額な支払い(屋台、チップ、交通費、ローカル市場): 現地通貨(現金)
→ カードが使えない場面に備える。
現地通貨は、多額を一度に両替するのではなく、必要最小限をこまめに調達するのが基本です。調達方法としては、現地の銀行ATMでクレジットカードのキャッシング機能を使うか、後述するデビットカードで引き出すのが、空港での両替よりもレート面で有利な場合があります。
デビットとクレジットのどっちを選ぶ?

決済カードとして、クレジットカードとデビットカードのどちらを選ぶべきか。これは利用者の資産管理の考え方にもよりますが、海外旅行においては「メインはクレジットカード、サブでデビットカード」という組み合わせが最もバランスが取れています。
両者の最大の違いは、「支払いタイミング」と「信用(補償・付帯サービス)」です。
デビットカードは、利用した瞬間に銀行口座から代金が即時引き落とされる仕組みです。一方、クレジットカードは「信用(クレジット)」に基づき、カード会社が代金を一時的に立て替え、後日まとめて利用者に請求する「後払い」方式です。
| 比較項目 | クレジットカード(後払い) | デビットカード(即時払い) |
|---|---|---|
| 支払いタイミング | 利用月の翌月などにまとめて引き落とし | 利用した瞬間に銀行口座から引き落とし |
| 利用限度額 | カード会社が設定した与信枠 | 銀行口座の残高まで |
| 不正利用時の補償 | 手厚い傾向(チャージバック等)。利用停止しても口座残高は減らない。 | 補償はあるが、不正利用されると口座残高が即座に減少する。返金までに時間がかかる場合あり。 |
| デポジット(保証金) | 利用枠が一時的に確保されるだけで、引き落としはされない。 | 即時に口座から引き落とされる場合があり、返金まで時間がかかる。 |
| 付帯サービス | 海外旅行保険、空港ラウンジ、マイル特典などが豊富。 | 限定的(ほとんど付帯していないか、補償が手薄)。 |
デビットカードのメリットは、銀行口座の残高以上に使えないため、予算管理がしやすく、使いすぎを防げる点です。支出をリアルタイムで把握したい人には適しています。
しかし、海外旅行においてはデメリットもあります。最大の懸念点は、不正利用された際のインパクトです。クレジットカードなら利用停止を依頼し、請求を保留(チャージバック)できますが、デビットカードは銀行口座と直結しているため、不正利用されると口座のお金が即座に引き出されてしまいます。補償があったとしても、調査と返金が完了するまでの間、旅行中の資金が枯渇するリスクがあります。
また、海外のホテルやレンタカー利用時に求められる「デポジット(保証金)」の扱いで大きな差が出ます。クレジットカードは利用枠を仮押さえするだけですが、デビットカードはデポジット額が口座から即時引き落とされ、チェックアウト後もしばらく返金されないケースがあり、資金繰りを圧迫する可能性があります。
これらの理由から、手厚い補償と付帯サービス(特に海外旅行保険)が期待できるクレジットカードをメインの決済手段とし、現金引き出し用や使いすぎ防止用のサブカードとしてデビットカードを併用するのが賢明な選択です。
以下の記事でも海外旅行でのクレジットカードとデビットカードの使い分けについて紹介しています。

海外でカードを使うレートと手数料

海外でクレジットカードを利用する際、多くの人が見落としがちなコストが2種類あります。それは「外国取引手数料(海外事務手数料)」と「DCC(Dynamic Currency Conversion)」です。
1. 外国取引手数料(Foreign Transaction Fee)
これは、海外でカードを利用した際に、カード発行会社(楽天カード、三井住友カード、JCBなど)が徴収する事務手数料です。海外での決済データを日本円に換算するためのコストとされています。
利用金額に対し、約1.6%〜3.0%程度(カード会社や国際ブランドによって異なる)が上乗せされて請求されるのが一般的です。例えば、外国取引手数料が2.2%のカードで10万円の買い物をした場合、為替レートで換算された金額に加え、2,200円の手数料がかかる計算になります。
この手数料率はカードによって異なるため、ご自身のカードの規約を確認することが重要です。中には、この手数料が無料のカードや、非常に低率に設定されているカードも存在します。
2. DCC(Dynamic Currency Conversion)
DCCは、海外旅行者が最も注意すべき「隠れコスト」であり、「罠」とも言えます。
これは、現地の店舗やATMで決済する際、「現地通貨(例:USD, EUR)」ではなく「自国通貨(日本円)」での支払いを提案される仕組みのことです。
DCC(自国通貨建て決済)の注意点
レジで「JPY(日本円)で支払いますか?」と流暢な日本語で聞かれたり、決済端末の画面に「現地通貨」と「JPY」の選択肢が表示されたりすることがあります。
一見、その場で日本円の支払額が確定して安心できるように見えますが、確実に「現地通貨」を選ぶようにしましょう。
DCC(日本円建て)を選択すると、カード会社が定めた公正なレートではなく、店舗側(またはその提携DCC業者)が独自に設定した為替レートが適用されます。このレートには通常、数パーセントから、悪質な場合には10%を超えるような非常に高額な為替マージン(手数料)が上乗せされています。
結果として、カード会社の外国取引手数料を払って現地通貨で支払うよりも、総額が大幅に割高になってしまいます。
DCCは「Dynamic Currency Conversion(動的通貨換算)」の略です。これは旅行者のための親切なサービスではなく、店舗側が為替マージン(手数料収入)を得るための仕組みです。迷わず「Pay in Local Currency(現地通貨で支払う)」と伝えましょう。
Wiseのデビットカードという選択肢

近年、従来の銀行やクレジットカードとは一線を画す新しい決済手段として、海外旅行者や留学生の間で急速に注目を集めているのが、Wise(ワイズ)のデビットカードです。
Wiseは、もともと海外送金サービスとして成長したフィンテック企業で、「マルチカレンシー口座」というサービスを中核に据えています。これは、アプリ上で日本円や米ドル、ユーロなど数十種類の通貨を同時に保有・管理できる口座です。Wiseデビットカードは、この口座に直結しています。
Wiseデビットカードが支持される最大のメリットは、為替レートの圧倒的な透明性と低コストな手数料にあります。
Wiseデビットカードの主なメリット
- ミッドマーケットレート(実際の為替レート)の適用:
多くの銀行やカード会社が為替手数料(マージン)を上乗せした独自の「社内レート」を使用するのに対し、Wiseは手数料を上乗せしない「実際の為替レート(ミッドマーケットレート)」を決済に適用します。これは、Google検索で表示されるレートとほぼ同じです。 - 格安で透明性の高い両替手数料:
通貨を両替(例:口座の日本円を使って米ドルで決済)する際にかかる手数料が、一般的・伝統的な銀行やクレジットカードの外国取引手数料と比較して非常に低く設定されている傾向があります。手数料はアプリで明確に提示されます。 - ATM引き出しの利便性:
海外ATMでの現地通貨引き出しも可能です。月2回・合計3万円までなど、一定の無料枠が設けられており、それを超えた場合の手数料も比較的安価な設定です。(詳しくはWise公式サイトをご確認ください)
例えば、口座に日本円しか持っていなくても、海外で決済をするとWiseがミッドマーケットレートで必要な分だけを自動的に両替し低コストな手数料で決済してくれます。
注意点としては、Wiseは決済と送金に特化したサービスです。そのため、一般的なクレジットカードに標準付帯しているような、手厚い海外旅行傷害保険や空港ラウンジの利用特典、ショッピング保険などは付帯していません。したがって、Wiseは「決済や現金引き出しの手数料を極限まで抑えるためのカード」として非常に優秀ですが、万が一の病気やケガ、盗難に備える保険機能は、他のクレジットカードでしっかりと補う必要があります。
Wiseのデビットカードを一枚持っておくことで手数料を抑えて両替や決済をすることが可能になるため、海外に行く予定のある方には非常におすすめのカードだと言えます。
以下の記事でもWiseの特徴や海外旅行での使い方について紹介しています。

海外旅行でクレジットカードを何枚も使うポイント

- 旅行でのクレジットカードの使い方
- 海外での利用は危ない・使えない?
- 海外利用の事前連絡とロック解除
- クレジットカード付帯保険で十分?
- 海外旅行用のカード選びのポイント
旅行でのクレジットカードの使い方
海外でクレジットカードを安全かつ効率的に使うためには、出発前の入念な準備と、現地での冷静な実践が重要です。ここでは基本的な使い方について紹介します。
出発前に必ず確認すべきこと
- 有効期限の確認
渡航期間中にカードの有効期限が切れないか、カード券面を見て必ず確認してください。 - 国際ブランドの確認
渡航先で広く受け入れられているVisaまたはMastercard®を最低1枚は用意しましょう。JCBやAmExしか持っていない場合、国によっては使えない店が多い可能性があります。 - 緊急連絡先のメモ
カード裏面の緊急連絡先(海外からかけられる番号)を、カード本体とは別の場所(スマートフォンのメモアプリ、手帳、同行者の荷物など)に控えておきます。 - PIN(暗証番号)の確認
ヨーロッパなどでは「Chip & PIN」が主流で、サイン(署名)よりもPIN(4桁の暗証番号)の入力を求められることがほとんどです。忘れてしまった場合は、出発前にカード会社に照会し、再設定などの手続きを済ませましょう。 - カード裏面の署名
署名欄にサインがないカードは、店舗で利用を断られたり、紛失・盗難時の補償対象外になったりするリスクがあります。必ず署名しておきましょう。
現地での実践的な使い方
- DCCは拒否する
前述の通り、決済時に日本円(JPY)での支払いを勧められたら、必ず「現地通貨(Local Currency)」を選択してください。これは最も重要な鉄則の一つです。 - チップの支払い
チップ文化がある国では、少額の現金を常に用意しておくとスムーズです。レストランでは、伝票の「Tip」または「Gratuity」という欄にチップ額を自分で記入し、「Total」欄に合計額を書いてサインすることで、カードでまとめて支払うことも可能です。チップを現金で置く場合は、Tip欄に「Cash」と記入するか×印をつけ、合計額が食事代と同じであることを確認します。 - ATMでの現金引き出し(キャッシング)
- 空港や観光地の独立系ATM(派手な装飾のもの)は避け、銀行が運営・設置しているATMを利用する方が、手数料が安価でスキミングのリスクも低い傾向にあります。
- クレジットカードの「キャッシング枠」を利用した現金化は、金利が非常に高く設定されている(年利15%〜18%が一般的)ため、あくまで緊急手段と考え、利用は最小限に留めましょう。
- キャッシングの利息は日割りで発生するため、帰国後すぐにカード会社に連絡して「繰り上げ返済」を行うことで、利息負担を最小限に抑えるテクニックもあります。
海外での利用は危ない・使えない?

「海外でのカード利用は危ない」というイメージもありますが、リスクを正しく理解し、適切な対策を講じれば、多額の現金を持ち歩くよりもはるかに安全な決済手段です。また、「使えない」ケースに備えることも重要です。
主なリスクと具体的な対策
- スキミング・不正複製
ATMのカード挿入口やキーパッドに、情報を盗み取る装置(スキマー)が巧妙に被せられていることがあります。また、悪質な店員が決済時に一瞬だけカードを別の機械に通し、情報を盗む手口(ハンドスキミング)も存在します。
【対策】
ATMを利用する際は、挿入口やキーパッドに不審な機器や接着剤の跡がないか軽く触って確認しましょう。可能であれば銀行支店内や監視カメラのある場所のATMを利用します。レストランなどでテーブル会計が一般的な国では、カードを店員の見える範囲で処理してもらうか、レジまで同行して決済します。カードから目を離さないことが基本です。 - 紛失・盗難
物理的にカードを失うリスクです。特に観光客を狙ったスリや置き引きは多発しています。
【対策】
前述の通り、複数のカードを分散して保管します(財布、ホテルの金庫、サブバッグなど)。万が一紛失や盗難に気づいた場合は、即座にカード会社の緊急連絡先に電話し、カードを停止してもらいます。スマートフォンのアプリで一時利用停止(ロック)機能の使い方を事前に確認しておくと、被害を最小限に抑えられます。 - フィッシング詐欺・ネット盗難
空港やホテルの公衆Wi-Fi(フリーWi-Fi)を利用してカード情報を入力すると、通信を傍受される危険性があります。また、「カード会社」や「税関」を装った偽のメールやSMSで、偽サイトに誘導しカード情報を盗む手口も増えています。
【対策】
セキュリティが確保されていない公衆Wi-Fi環境下では、カード情報の入力やネットバンキングの操作は避けましょう。必要な場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)サービスを利用して通信を暗号化します。不審なメールやSMSのリンクは絶対に開かないでください。日本クレジットカード協会の注意喚起ページなども参考に、最新の手口を知っておくことも有効です。
カードが「使えない」ケースと対策
カードが利用拒否される主な理由
- ブランド非対応
店舗がそのカードの国際ブランド(特にAmExやJCBなど)に対応していない。 対策: VisaとMastercard®のカードを併用する。 - 磁気不良・破損
カード本体が物理的に使えない。 対策: 予備のカード(サブカード)を準備しておく。 - 不正検知システム作動
カード会社が「普段と違う場所(海外)での利用」を不正と誤検知し、カードをロックしてしまう。 対策: 下記の「事前連絡とロック解除」を参照。 - 通信障害・端末の不具合
お店側の決済端末や通信回線の問題。 対策: 少し待ってから再度試すか、別のカードを試す、あるいは現金で支払う。
海外利用の事前連絡とロック解除

海外でカードが使えなくなる最大の原因の一つが、カード会社の不正検知システムによる利用停止(ロック)です。これはカードが盗まれたのではなく、カード会社が「持ち主以外の誰かが不正に使っているかもしれない」と判断し、利用者を守るために一時的にカードを止める措置です。
事前連絡(トラベルノーティス)は必要?
かつては海外渡航前にカード会社へ「トラベルノーティス(旅行通知)」として、「いつからいつまで、どの国へ行く」という情報を電話やWebで連絡するのが一般的でした。
しかし、近年はAIによる不正検知システムの精度が飛躍的に向上したため、多くの大手カード会社では、この事前連絡を「原則不要」としています。カード会社側が、利用者のスマートフォンの位置情報やアプリの利用状況、過去の渡航履歴などから、本人の利用である可能性を高度に分析できるようになったためです。
ただ、一部のカード会社や、クレジットカードを初めて海外で使う場合、非常にマイナーな地域への渡航、あるいは現地でいきなり高額な買い物(宝飾品など)を予定している場合は、念のためアプリやWebの会員ページから渡航情報を登録しておくと安心です。
事前連絡が不要になった背景には、カード利用者がスマートフォンのアプリでリアルタイムに利用通知を受け取れるようになったことも大きいです。不正利用があれば即座に利用者が気づき、アプリからカードをロック(一時停止)できるため、カード会社の検知システムも柔軟に対応できるようになりました。渡航前に利用通知設定をONにしておくことをおすすめします。
ロックされてしまった場合の解除方法
万が一、現地でカードがロックされて使えなくなった場合(決済端末でエラーになった場合)は、慌てずに以下の対応を取ってください。
- カード会社からの連絡を確認
カード会社は、ロックと同時に登録済みの携帯電話番号にSMS(ショートメッセージ)やメールアドレス、または専用アプリにプッシュ通知を送ることが多いです。通知内の指示に従い、その利用が本人によるものであることを承認すれば、すぐにロックが解除される場合があります。 - 緊急連絡先に電話
通知が来ない場合や、急ぐ場合は、控えておいたカード会社の海外緊急連絡先に電話します。本人確認(氏名、生年月日、住所など)の後、ロックを解除してもらいます。この際、なぜか現地(例:フランス)の公衆電話からかけると、それ自体が本人確認の一助となりスムーズな場合があります。 - アプリで解除
一部のカード会社では、アプリ上での本人確認操作(SMS認証など)を経て、一時的なロックを自分で解除できる機能を提供しています。
このためにも、予備のカード(サブカード)の携帯が非常に重要になります。
クレジットカード付帯保険で十分?

クレジットカードを選ぶ際、決済機能だけでなく「付帯保険」と「特典」も、特に海外旅行においては重要な比較ポイントです。年会費無料のカードでも、賢く選べば充実したサービスを受けることが可能です。
海外旅行傷害保険は「自動付帯」か「利用付帯」か
カード付帯の海外旅行保険には、適用条件によって大きく分けて2種類あります。この違いを理解していないと、いざという時に保険が適用されないという最悪の事態に陥るため、ご自身のカードがどちらのタイプか必ず確認してください。
- 自動付帯
そのクレジットカードを持っているだけで(旅行代金をそのカードで決済しなくても)、海外旅行保険が自動的に適用されます。最も安心なタイプです。 - 利用付帯
そのクレジットカードで「旅行代金」を支払うことを条件に、保険が適用されます。「旅行代金」の定義はカード会社によって異なりますが、一般的には「パッケージツアーの代金」や「日本出国前に決済した航空券、または空港までの電車・バスの乗車券」などが含まれます。
年会費無料のカードは「利用付帯」であることが多いため、注意が必要です。利用付帯のカードを保険目的で持っていく場合は、適用条件(例:空港までのリムジンバス代をそのカードで支払うなど)を確実に満たす必要があります。
補償内容は十分か?
保険が適用されるとして、次に重要なのは「補償内容」と「補償金額」です。特に以下の項目が重要です。
- 傷害・疾病治療費用(医療費)
最も重要な項目です。海外(特にアメリカなど)では、盲腸の手術だけで数百万円、集中治療室に数日入院すれば1,000万円を超える医療費が請求されることも珍しくありません。ご自身のカードの補償額が十分か(最低でも200〜300万円以上、できれば500万円以上)を確認してください。 - 携行品損害
旅行中にカメラやスマートフォン、スーツケースなどが盗難・破損した場合の補償です。(免責金額(自己負担額)が設定されていることが多いです) - 救援者費用
現地で入院し、家族が日本から駆けつける際の渡航費や滞在費を補償します。
保険の主な注意点と使い方
- 補償額は十分か
特に医療費の補償額を確認してください。不安であれば、別途、掛け捨ての海外旅行保険に加入することも検討しましょう。 - 対象範囲
家族(配偶者や子供)も補償対象か(「家族特約」の有無)を確認します。 - 日数制限
多くのカード保険は、旅行期間が90日(約3ヶ月)を超えると対象外になります。留学や長期出張の場合は注意が必要です。 - 請求手続き
保険金を請求する際には、現地での「医師の診断書(Medical Certificate)」や「領収書(Receipt)」、「盗難証明書(Police Report)」が必須です。必ず現地で取得し、大切に保管してください。 - 保険の「合算」
複数のクレジットカードを持っている場合、「傷害死亡・後遺障害」の補償額は最も高いカードの金額が上限となりますが、「傷害・疾病治療費用」や「携行品損害」の補償額は、各カードの補償額を合算(上乗せ)できます。これが複数枚持ちの大きなメリットの一つです。
その他の付帯特典
海外旅行をより快適にする、以下のような特典もあります。
- 空港ラウンジアクセス
ゴールドカード以上のカードや、「プライオリティ・パス」が付帯するカードで利用できます。フライト前の時間を静かなラウンジで過ごせます。 - 手荷物無料宅配
帰国時に、空港から自宅までスーツケース1個を無料で配送してくれるサービスです。(主にゴールドカード以上) - マイル・ポイント還元
航空会社提携カードなど、旅行費用でマイルが貯まりやすいカードもあります。
海外旅行用のカード選びのポイント

これまでの情報を踏まえ、海外旅行に持っていくクレジットカードを選ぶ際には、ご自身の旅行スタイルに合わせて、以下のポイントを総合的に比較検討することをおすすめします。
- 外国取引手数料(コスト)
最も重視すべき点の一つです。この手数料が0%(無料)または低い(1.6%程度)カードを選ぶだけで、旅行中の総支出を大きく節約できます。年会費が無料でも、この手数料が3%近くと高いカードもあるため、「年会費無料=お得」とは限りません。 - 国際ブランド(普及率)
渡航先で確実に使えることが大前提です。VisaまたはMastercard®のどちらか、あるいは両方を持つようにしましょう。AmExやJCBは、国や地域によって使えない場所が多いため、メインカードには不向きです。 - 付帯保険(安全性)
特に医療費(傷害・疾病治療費用)の補償が手厚いカードを選びましょう。適用条件が「自動付帯」であれば、他のカードで旅行代金を決済しても保険が適用されるため、サブカードとして非常に優秀です。複数のカードで補償額を合算する戦略も有効です。 - サポート体制(緊急時)
万が一の紛失・盗難に備え、24時間365日対応の海外緊急連絡先(日本語対応、コレクトコール可能)が用意されているか、アプリでのカードロック機能が充実しているかも重要な確認ポイントです。 - 年会費(費用対効果)
年会費が有料でも、上記の手数料が安かったり、保険やラウンジ特典(プライオリティ・パスなど)が充実していたりするなど、ご自身の利用頻度やニーズと照らし合わせ、トータルコストで判断することが重要です。
例えば、「年会費無料で保険が自動付帯のカードを保険用サブカードとして持ち、「外国取引手数料が低いカード」や「マイルが貯まるカード」をメイン決済用にする、といった戦略的な組み合わせが、賢い旅行者の選択と言えるでしょう。
海外旅行にどのクレジットカードを持っていくか迷った際には、年会費無料で付帯保険も充実しているエポスカードがおすすめです。今回の情報も参考にしながら、ご自身の目的に合ったカードをぜひ見つけてみてください。
エポスカードについては以下の記事でも紹介しています。

海外旅行のクレジットカードは何枚持つべきか総括
最後に、「海外旅行のクレジットカードは何枚持つべきか」という疑問について、この記事の要点をまとめます。海外旅行を安全で快適に楽しむために、これらのポイントもチェックしてみてください。
- 結論としてカードは最低でも2枚、できれば3枚の併用が安全
- 1枚だけでは紛失・盗難・磁気不良・ロック時に決済不能になる
- 複数枚持つことでブランドを分散(VisaとMastercard®など)できる
- メインカードとサブカードは分けて保管(財布と金庫など)する
- 高額決済はクレカ、小額決済(チップや屋台)は現金の使い分けが基本
- デビットカードは使いすぎ防止になるが、不正利用時のリスクや保険面でクレカに劣る
- Wiseデビットカードは為替レートと手数料の面でサブカードとして有力
- ただしWiseは保険が付帯しないため、保険は別カードで補う必要あり
- カード利用時は「外国取引手数料」(1〜3%)が発生する
- 決済時はDCC(日本円建て決済)を避け、必ず「現地通貨」を選択する
- スキミングや紛失対策として、ATMの確認やカードの分散保管を徹底する
- 不正検知ロックに備え、カード会社の緊急連絡先を控えておく
- 事前連絡(トラベルノーティス)は近年不要のカード会社が増加傾向
- 付帯保険は「自動付帯」か「利用付帯」かを確認する
- 特に「傷害・疾病治療費用」の補償額が十分か確認する
- 治療費用の保険金は複数カードの補償額を合算できる
- カード選びは手数料・ブランド・保険・サポート体制のバランスで決める








