世界で人気のスポーツについて知りたいと思い調べてみると、サッカーや野球、バスケットボールといった日本でも馴染み深い競技だけでなく、クリケットのような意外な種目が上位にランクインしていることに驚かされるかもしれません。ファン数や競技人口をはじめ市場規模や選手年俸といった多様な視点でデータを見ていくと、国や地域によってスポーツへの熱狂の仕方が大きく異なることが分かってきます。また近年のトレンドである女子スポーツの躍進やeスポーツの台頭も見逃せないポイントです。この記事では世界のスポーツに関する様々なランキングやデータを基に、その実態を解説していきます。
- ファン数と競技人口という2つの視点から見る人気スポーツの実態
- 日本ではあまり知られていないが世界で熱狂的な支持を集める競技
- ビジネス規模や選手年俸から読み解くスポーツの経済的な影響力
- 女子スポーツやデジタル化などこれからの時代を変える最新トレンド
世界のスポーツ人気・競技人口ランキング

一口に「人気」と言っても、スタジアムやテレビで熱狂的に応援する「ファン」の多さと、実際に汗を流してプレーする「競技者」の多さは必ずしも一致しません。ここでは、観戦を楽しむファン数と、実際にプレーする競技人口という2つの側面から、世界のスポーツシーンを紐解いていきます。
抑えておきたい世界三大スポーツ
「世界三大スポーツ」と聞いたとき、皆さんはどの競技を思い浮かべるでしょうか。日本国内の感覚であれば、「野球」「サッカー」に加えて、歴史ある「大相撲」や、近年盛り上がりを見せる「ラグビー」「バスケットボール」などが候補に挙がるかもしれません。しかし、グローバルな視点、つまり世界規模でのファン数や普及度、商業的な影響力を総合的に判断すると、その顔ぶれは少し変わってきます。
一般的に、世界的な統計や業界レポートにおいて「世界三大スポーツ」として定義されるのは、以下の3つの競技です。
- サッカー(Association Football)
世界中のあらゆる地域で圧倒的な人気を誇る、名実ともにNo.1のスポーツ。 - クリケット(Cricket)
インドやイギリス連邦を中心に、数十億人規模の熱狂的なファンを持つ巨大スポーツ。 - バスケットボール(Basketball)
NBAのグローバル展開やファッション性も相まって、若年層を中心に世界中で愛されるスポーツ。
まず、不動の1位と言えるのがサッカーです。国際サッカー連盟(FIFA)の加盟国・地域数は国連の加盟数を上回っており、文字通り地球上で最も普及しているスポーツと言えます。貧富の差や宗教、文化の壁を超えてルールが共有されており、ワールドカップなどのイベントは人類最大のお祭りとなります。
次に、日本人には少し意外に思われるかもしれないのがクリケットの存在です。イギリス発祥のこのスポーツは、かつて大英帝国の影響下にあったインド、パキスタン、オーストラリア、イギリスなどで絶大な人気を誇ります。特に人口14億人を超えるインドでの熱狂ぶりは凄まじく、国民的スポーツとして生活の一部になっています。ファン数だけで見れば、サッカーに次ぐ規模を持っているのが現実です。
そして3つ目がバスケットボールです。アメリカのNBAが牽引する形で、エンターテインメントとしての完成度が非常に高く、ファッションや音楽といったカルチャーとの親和性も抜群です。中国やフィリピンといったアジア圏、そしてヨーロッパでも人気が高く、特に10代から20代の若年層における支持率は他のスポーツを圧倒しています。
このように、グローバルな視点で見ると、クリケットやバスケットボールの存在感が非常に大きいことが分かります。特定の地域(例えばアメリカや日本での野球人気)だけに囚われず、世界地図全体を見渡すことで、スポーツの真の人気構造が見えてくるのです。
世界のスポーツ人気ランキング

では、具体的にどれくらいの人がそのスポーツに関心を持ち、ファンとして試合を観戦しているのでしょうか。ここでは、テレビ視聴者数やメディアへの露出度、SNSでのフォロワー数などを総合した「ファン数(関心層)」の推定ランキングを見ていきましょう。
各種調査機関や国際連盟のデータを統合すると、概ね以下のような順位になることが一般的です。
| 順位 | 競技名 | 推定ファン数 | 主な人気地域・解説 |
|---|---|---|---|
| 1位 | サッカー | 約35〜40億人 | 欧州、南米、アフリカ、アジアなど、地球上のほぼ全ての地域でNo.1の人気を誇ります。ワールドカップ決勝の視聴者数は桁外れです。 |
| 2位 | クリケット | 約25億人 | インド、イギリス、オーストラリアなど英連邦諸国が中心。特に南アジアの巨大な人口がこの数字を支えています。 |
| 3位 | バスケットボール | 約22億人 | 北米のNBA人気に加え、中国での爆発的な普及が寄与しています。FIBA(国際バスケットボール連盟)の推計でも急速な成長が示されています。 |
| 4位 | フィールドホッケー | 約20億人 | 日本ではマイナーですが、インドやパキスタン、欧州の一部で根強い人気があります。アイスホッケーとは別の競技としてカウントされます。 |
| 5位 | テニス | 約10億人 | 個人競技としては世界最大です。グランドスラム(4大大会)は世界中で放送され、男女ともにスター選手が存在するため、ファン層が厚いです。 |
| 6位 | バレーボール | 約9億人 | FIVB(国際バレーボール連盟)の加盟国が多く、ブラジルや欧州、アジアで高い視聴率を誇ります。 |
| 7位 | 卓球 | 約8.5億人 | 中国の国技的な扱いであり、圧倒的な人口母数がファン数を押し上げています。 |
| 8位 | 野球 | 約5億人 | アメリカ、日本、韓国、中南米での熱狂度は非常に高いものの、欧州やアフリカでの普及度が低く、世界全体ではこの位置になります。 |
ランキングを見て改めて感じるのは、サッカーの圧倒的な強さです。世界人口の約半数が何らかの形で関心を持っている計算になります。
そして注目すべきは2位のクリケットです。「25億人」という数字の背景には、やはりインドの存在があります。近年では「T20」と呼ばれる試合時間を短縮したスピーディーな形式のリーグ(IPLなど)が大成功を収めており、商業的な価値も急騰しています。日本ではあまりニュースになりませんが、世界のスポーツビジネスを語る上でクリケットは避けて通れない存在なのです。
また、テニスが5位に入っている点も見逃せません。特定の国に偏らず、世界中でまんべんなく人気がある数少ない「真のグローバルスポーツ」の一つと言えるでしょう。
世界のスポーツ競技人口ランキング

次に視点を変えて、実際にそのスポーツをプレーしている「競技人口(実施者数)」を見てみましょう。「ファン数」が観戦を楽しむ受動的な人数を含むのに対し、こちらは自ら体を動かす能動的な人々の数です。プロ選手だけでなく、学校の授業や趣味で定期的にプレーするアマチュア層も含んだ推計値です。
| 順位 | 競技名 | 推定競技人口 | 特徴・普及の理由 |
|---|---|---|---|
| 1位 | バレーボール | 約5〜8億人 | 身体接触がなく怪我のリスクが低いため、老若男女問わずプレーされます。ビーチバレーを含め、ボール一つで楽しめる手軽さが勝因です。 |
| 2位 | バスケットボール | 約4.5〜6億人 | 都市部の公園など限られたスペースでもゴールさえあればプレー可能。ストリートカルチャーとしても定着しています。 |
| 3位 | 卓球 | 約3億人 | 中国での競技人口が圧倒的。屋内で天候に左右されず、高齢になっても続けられる生涯スポーツとしての側面も持ちます。 |
| 4位 | クリケット | 約3億人 | インドなどの空き地や路地裏で子供たちが日常的にプレーしています。バットとボールがあれば簡易的に遊べるのが強みです。 |
| 5位 | サッカー | 約2.6億人 | FIFAの公式統計(Big Count)などに基づく数値。登録選手数も多いですが、未登録の草の根プレーヤーを含めるとさらに膨大な数になります。 |
バレーボールが1位というのは、日本人にとっては少し意外に感じるかもしれませんが、世界的に見れば非常に納得のいく結果です。サッカーやバスケットボールと異なり、ネット越しにボールを打ち合うため、相手選手との激しい接触(コンタクト)がありません。これにより怪我のリスクが比較的低く、性別や年齢を問わずに混合で楽しむことができる「平和なスポーツ」として、学校教育やレクリエーションの現場で重宝されているのです。
また、卓球が上位に入っているのも特徴的です。これは中国という巨大な人口を持つ国で「国技」として愛されていることが最大の要因ですが、同時に、省スペースで設置でき、体力差が出にくいという特性が、レジャーとしての普及を後押ししています。
野球とサッカーの世界競技人口

日本においては、長年「野球」と「サッカー」が人気の双璧をなしていますが、世界的な視点で競技人口を比較すると、そこには大きな開きがあります。
サッカーの最大の強みは、その「シンプルさ」と「低コスト」にあります。極端な話、ボールに見立てた丸い物体さえあれば、裸足でも、どんな広場でも試合が成立します。ルールも「手を使わずに相手のゴールに入れる」という直感的なものであり、言語が通じなくても理解できます。このため、アフリカや南米の貧困地域を含め、世界中のあらゆる場所で子供たちがプレーしており、競技人口は約2.6億人以上という巨大な規模を誇ります。
一方、野球はどうでしょうか。野球をプレーするには、バット、グローブ、ボールという専用の道具が最低限必要です。本格的に行うなら、ヘルメットやキャッチャー防具、ベースなども必要になります。また、ルールも「ストライク・ボール」「フォースアウト」「インフィールドフライ」など比較的複雑で、理解するのに時間がかかります。
こうした用具のコストやルールの複雑さがハードルとなり、野球の世界競技人口は約3,500万人程度と推計されています。これはサッカーの数分の一から十分の一程度の規模です。普及している国も、発祥国のアメリカ、そして日本、韓国、台湾、ドミニカ共和国、キューバ、ベネズエラなど、特定の歴史的背景を持つ地域に集中しています。
しかし、競技人口の多寡がスポーツの価値を決めるわけではありません。野球には「間」の魅力や、一球ごとの心理戦、データ分析の深さなど、他のスポーツにはない面白さがあります。だからこそ、普及している地域では国民的な熱狂を生み出し続けているのです。
世界的に人気の大会やイベント

スポーツの「人気」を測る上で欠かせないのが、世界中が注目するメガイベントの存在です。これらの大会は、単なるスポーツの枠を超えて、社会現象としての影響力を持っています。
FIFAワールドカップ(サッカー)
4年に1度開催されるサッカーの祭典は、間違いなく世界最大の単一競技イベントです。2018年大会や2022年カタール大会などでは、大会期間中の累積視聴者数が世界人口の半数近く(約35億〜40億人)に達したと報告されています。国を背負って戦うナショナリズムと、最高峰の技術が融合し、普段サッカーを見ない層まで熱狂させます。
夏季オリンピック
平和の祭典であるオリンピックは、陸上や水泳など普段あまりメディア露出のない競技にもスポットライトが当たる貴重な機会です。開会式の視聴者数は数億人規模に上り、開催国の文化を世界に発信する場としても機能します。
クリケットワールドカップ(ICC Cricket World Cup)
日本では馴染みが薄いですが、インド対パキスタン戦などの注目カードは、1試合だけで数億人がライブ視聴するという桁外れの記録を叩き出します。特にインドにおける視聴率は驚異的で、国民の生活がストップするほどの騒ぎになります。
スーパーボウル(NFL)
アメリカンフットボールの王者決定戦です。アメリカ国内だけで毎年1億人以上が視聴し、視聴率は40%を超えます。試合の合間に流れるテレビCM枠は「30秒で数億円」とも言われ、世界で最も高価な広告枠として知られています。ハーフタイムショーには世界的なアーティストが登場し、スポーツファン以外も釘付けにします。
世界のスポーツ人口と人気ランキングを深掘り

スポーツは感動や興奮を与える文化であると同時に、巨大な金額が動くビジネスでもあります。ここからは、市場規模や選手の年俸といった「お金」の視点から、世界のスポーツシーンを分析してみましょう。
世界で人気のスポーツの異なる視点
先ほどのランキング比較で、ファン数(観戦者)が多いスポーツと、実際にプレーしている人が多いスポーツの順位が必ずしも一致しないことに気づかれたかもしれません。この現象は、スポーツ産業を理解する上で非常に重要な視点、すなわち「スペクテイタースポーツ(観るスポーツ)」と「パーティシペーションスポーツ(するスポーツ)」という、全く異なる2つの性質によって引き起こされています。
なぜあるスポーツは観る専門になり、あるスポーツはやる専門になるのか。その構造的な理由を深掘りしてみましょう。
非日常の興奮を提供する「観戦型人気」
数億人の視聴者を集める一方で、競技人口が限られるスポーツには明確な共通点があります。それは、「一般人には再現不可能な非日常性」を提供している点です。
スペクテイタースポーツの特徴(アメフト、F1、格闘技など)
- 超人的な身体能力
体重100kgを超える大男同士が全力で衝突する(NFL)など、生物としての限界を超えたパフォーマンスが魅力です。 - 高いリスクとコスト
モータースポーツのように1台数億円のマシンが必要だったり、ボクシングのように怪我のリスクが常につきまとうため、趣味として気軽に始めるにはハードルが高すぎます。 - エンターテインメント性
ルールが複雑で戦略性が高いことも多く、「理解して観戦する」こと自体に知的興奮を伴います。
これらのスポーツは、自分がプレーできないからこそ、選ばれしアスリートたちの戦いに憧れ、熱狂します。ビジネスとしては、放映権料やチケット収入、スポンサーシップといった「興行収入」が市場の柱となります。
日常の健康と交流を支える「参加型人気」
一方で、世界中で何億人もの人々がプレーしているにもかかわらず、プロリーグの視聴率がそれほど高くないスポーツも存在します。これらは「生活に溶け込む日常性」が鍵となっています。
パーティシペーションスポーツの特徴(ランニング、バドミントン、水泳など)
- 高いアクセシビリティ
特別な施設や高価な道具を必要とせず、思い立ったその日に始められます。「靴一足あればできるランニング」はその代表格です。 - 安全性と生涯性
身体接触がなく、自分のペースで強度を調整できるため、子供から高齢者まで長く続けられます。 - ソーシャルな機能
バドミントンやボウリングのように、勝敗そのものよりも、プレーを通じた友人や家族とのコミュニケーションが重視されます。
これらのスポーツの市場価値は、興行収入よりも、シューズやウェア、ラケットといった「用品の売上」や、ジムやコートなどの「施設利用料」に支えられています。
「観る」と「する」の比較
この2つの性質を整理すると、スポーツの人気構造がより鮮明に見えてきます。
| 比較項目 | 観戦型(スペクテイター) | 参加型(パーティシペーション) |
|---|---|---|
| 主な価値 | 興奮、感動、非日常 | 健康、交流、自己実現 |
| 参入障壁 | 極めて高い(コスト・リスク大) | 低い(手軽・安全) |
| ビジネスモデル | 放映権、チケット、広告 | 用具販売、施設利用、レッスン |
| 代表的な競技 | アメフト、F1、格闘技 | ランニング、水泳、ヨガ |
もちろん、サッカーやバスケットボールのように、「観ても最高に面白く、やっても手軽で楽しい」という両方の性質をハイレベルで兼ね備えているからこそ、覇権を握っているスポーツも存在します。
このように、「人気スポーツ」という言葉一つとっても、それがビジネスとしての「興行規模」を指しているのか、人々の健康を支える「普及度」を指しているのかで、見える景色は全く異なります。ニュースで「人気スポーツランキング」を目にした際は、それがどちらの側面を切り取ったものなのかを意識してみると、データの裏側にある社会背景が見えてくるはずです。
世界のスポーツ市場規模ランキング

プロスポーツリーグとしての「市場規模」である年間収益(放映権、チケット、スポンサー、グッズ収入などの合計)を見ると、アメリカのスポーツビジネスの圧倒的な強さが浮き彫りになります。
| 順位 | リーグ名(競技) | 推定年間収益 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 1位 | NFL(アメリカンフットボール) | 約2兆円〜3兆円規模 | 圧倒的な1位です。試合数は少ないものの、1試合あたりの価値が極めて高く、アメリカ国内の放映権料が巨額です。 |
| 2位 | MLB(野球) | 約1.5兆円前後 | 年間162試合という試合数の多さが、入場料収入やローカル放映権料の積み上げに寄与しています。 |
| 3位 | NBA(バスケットボール) | 約1.5兆円前後 | グローバル展開が成功しており、海外放映権やグッズ収入が成長中。選手のスターパワーによる収益力も高いです。 |
| 4位 | プレミアリーグ(サッカー) | 約1兆円前後 | サッカーリーグとしては世界最高収益。世界中で放送されており、放映権収入の海外比率が高いのが特徴です。 |
| 5位 | IPL(クリケット) | 急成長中(数千億円〜1兆円規模へ) | インドのクリケットリーグ。開催期間はわずか2ヶ月程度ですが、放映権料はNFLに次ぐ水準まで高騰しています。 |
ここで特筆すべきは、世界的な競技人口やファン数では比較的マイナーなNFL(アメフト)が、ビジネス規模では世界一の座に君臨していることです。これは、アメリカという世界最大の経済大国で最も人気があるスポーツであることに加え、「サラリーキャップ制度(戦力均衡策)」などを徹底し、リーグ全体のブランド価値を高める経営戦略が成功しているためです。
また、5位に入っているインドのIPL(クリケット)は、現在世界で最も成長率が高いスポーツリーグと言われています。インド経済の発展とともに、今後さらに順位を上げてくることは確実視されており、スポーツビジネスの重心が欧米からアジアへシフトしつつあることを象徴しています。
世界のスポーツ選手年俸ランキング

トップアスリートたちが稼ぎ出す金額は、もはや「高給取り」というレベルを超え、ひとつの企業の売上や小さな国家の予算に匹敵する規模に達しています。経済誌『Forbes』などが毎年発表する「世界で最も稼ぐアスリート」ランキングを見ると、スポーツ界のお金の動きが鮮明に見えてきます。
選手の収入を理解する上で重要なのが、「オンフィールド(競技による給与・賞金)」と「オフフィールド(スポンサー契約・出演料・ライセンス収入)」という2つの収入源です。競技によって、この比率は大きく異なります。
| 順位 | 選手名 | 競技 | 国籍 | 総収入 | 競技内収入 (年俸・賞金) | 競技外収入 (スポンサー等) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | クリスティアーノ・ロナウド | サッカー | ポルトガル | 2億7,500万ドル | 2億2,500万ドル | 5,000万ドル |
| 2 | ステフィン・カリー | バスケットボール | アメリカ | 1億5,600万ドル | 5,600万ドル | 1億ドル |
| 3 | タイソン・フューリー | ボクシング | イギリス | 1億4,600万ドル | 1億4,000万ドル | 600万ドル |
| 4 | ダック・プレスコット | アメフト | アメリカ | 1億3,700万ドル | 1億2,700万ドル | 1,000万ドル |
| 5 | リオネル・メッシ | サッカー | アルゼンチン | 1億3,500万ドル | 6,000万ドル | 7,500万ドル |
| 6 | レブロン・ジェームズ | バスケットボール | アメリカ | 1億3,380万ドル | 4,880万ドル | 8,500万ドル |
| 7 | フアン・ソト | 野球 | ドミニカ共和国 | 1億1,400万ドル | 1億900万ドル | 500万ドル |
| 8 | カリム・ベンゼマ | サッカー | フランス | 1億400万ドル | 1億ドル | 400万ドル |
| 9 | 大谷翔平 | 野球 | 日本 | 1億250万ドル | 250万ドル | 1億ドル |
| 10 | ケビン・デュラント | バスケットボール | アメリカ | 1億140万ドル | 5,140万ドル | 5,000万ドル |
サッカー選手
近年のランキングで最も大きな変動要因となっているのが、サウジアラビアを中心とした「オイルマネー」の流入です。
国家プロジェクト級の契約
クリスティアーノ・ロナウド選手がサウジアラビアのクラブへ移籍した際の契約は、年俸だけで2億ドル(約300億円)規模と報じられました。欧州のトップクラブでも支払えない金額を提示することで、スター選手を獲得する動きが加速しています。
広告塔としての価値
サッカーは世界中で視聴されるため、選手の知名度も桁違いです。C・ロナウド選手のInstagramフォロワー数は6億人を超えており、SNSでの投稿1回あたりの広告価値だけで数千万円〜数億円になると言われています。
アメリカ(MLS)へ移籍したメッシ選手の契約には、リーグの放映権を持つApple TVの収益分配(レベニューシェア)や、アディダスの売上分配が含まれているとされます。単なる「給料」ではなく、ビジネスパートナーとしての契約を結ぶのが、現代の超一流サッカー選手の傾向です。
バスケットボール選手(NBA)
NBA選手は、競技による平均年俸が世界で最も高い水準にありますが、トップ層の真の凄さは「ビジネスマン」としての側面にあります。
レブロン・ジェームズ選手やステフィン・カリー選手のように、ランキング常連のスターたちは、自身のブランド価値を最大限に利用しています。特に大きいのが「シグネチャーシューズ契約」です。ナイキやアンダーアーマーなどのメーカーから自身の名前を冠したスニーカーが発売され、その売上の一部がロイヤリティとして入り続けます。これにより、現役中に資産が10億ドル(約1,500億円)を超える「ビリオネア」となる選手も登場しています。
ゴルフ選手
個人競技であるゴルフ界でも、地殻変動が起きています。サウジアラビア系ファンドが支援する新興ツアー「LIVゴルフ」の誕生です。
ジョン・ラーム選手などのトッププロがLIVゴルフへ移籍した際には、数億ドル(数百億円)規模の移籍金(契約金)が支払われたとされ、賞金王レベルの稼ぎをたった一度の契約で上回る事態となりました。これにより、ゴルフ界全体の賞金額が底上げされ、トップ選手の収入は急騰しています。
野球選手(MLB)
大谷翔平選手がドジャースと結んだ「10年総額7億ドル(約1,000億円)」という契約は、スポーツ史上最高額として世界中のニュースとなりました。
野球の収入構造の特徴は、「長期的な安定性」にあります。サッカーやNFL(アメフト)では契約の保証期間が短いことも多いですが、MLBでは5年〜10年単位の契約金が全額保証(怪我でプレーできなくても支払われる)されるケースが一般的です。これは、年間162試合という圧倒的な興行数によるチケット収入と、地域密着型の放映権ビジネスが、球団の経営を強固に支えているからこそ可能な投資です。
| 競技 | 主な収入の傾向 | 収入の特徴 |
|---|---|---|
| サッカー | 給与 + スポンサー | 中東マネーによる給与高騰と、世界的な知名度による広告収入のハイブリッド。 |
| バスケ (NBA) | 給与 + シューズ契約 | スニーカー文化と連動した巨額のロイヤリティ収入。 |
| 野球 (MLB) | 長期保証給与 | 10年単位の長期契約による生涯収入の安定確保。スポンサー収入は大谷選手など一部に限られる。 |
| テニス・ゴルフ | 賞金 + スポンサー | 大会賞金も高額だが、ウェアや時計などの「富裕層向けブランド」のスポンサー料が収入の大半を占める。 |
このように、同じ「高収入アスリート」でも、その中身は競技のビジネスモデルによって全く異なると言えるでしょう。
日本のスポーツ競技人口ランキング

視点を世界から日本国内に向けてみましょう。私たち日本人が普段どのようなスポーツに親しんでいるのか、その実態は「観るスポーツ」の人気順位(野球、サッカー、相撲など)とは全く異なる景色が広がっています。
笹川スポーツ財団が定期的に実施している調査によると、成人が年1回以上実施している運動の上位は、「ウォーキング(約4,600万人)」「筋力トレーニング(約1,600万人)」といった、一人で手軽に行える種目が圧倒的多数を占めています。これは健康志向の高まりや、24時間ジムの普及により、スポーツが「勝敗を競うもの」から「自己管理として運動する」スタイルが定着していることを示しています。
では、球技などの「競技スポーツ」に限定するとどうなるでしょうか。近年の推計データを基にしたランキングは以下の通りです。
| 順位 | 競技名 | 推定競技人口 | 普及の背景と特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ゴルフ | 約912万人 | 圧倒的1位です。ビジネスや社交の場として根強く、コロナ禍では「密にならないスポーツ」として若年層の参入も増加しました。練習場(打ちっ放し)だけの利用者も含めると巨大な市場を持っています。 |
| 2位 | テニス | 約312万人 | 硬式・軟式を合わせた数字です。男女比のバランスが良く、市営コートやスクールが充実しているため、学生からシニアまで「生涯スポーツ」として長く続けられる点が強みです。 |
| 3位 | サッカー (フットサル含む) | 約309万人 | Jリーグの地域密着策により、子供の習い事から大人のフットサルまで環境が整っています。テニスと僅差で上位を争っています。 |
| 4位 | 野球 (キャッチボール含む) | 約297万人 | 「観戦人気」は国内最強ですが、「プレー人口」ではサッカーやテニスを下回る結果となっています。場所の確保や用具の負担がハードルとなり、大人になってからの継続率が低いのが課題です。 |
| 5位 | バレーボール | 約266万人 | 学校体育での経験者が多く、特に「ママさんバレー」など地域コミュニティ活動が活発なため、女性層を中心に安定した競技人口を維持しています。 |
| 6位 | バスケットボール | 約240万人 | Bリーグの盛り上がりや漫画・映画の影響で、10代〜20代を中心に人気が急上昇中。2000年代と比べて競技人口が増えている数少ない種目です。 |
このランキングで特筆すべきは、テニスが野球やサッカーと肩を並べる、あるいは上回る競技人口を持っている点です。テニスは「男女混合で楽しめる」「2人でもプレーできる」「公営コートなら安価」という特性があり、学生時代の部活動(特に軟式テニス)をきっかけに、社会人になってもサークルやスクールで継続する人が多いためです。
一方で野球は、観るコンテンツとしては不動の王者ですが、プレー環境としては「9人集める必要がある」「広いグラウンドが必要」「ボール遊び禁止の公園が増えた」といった逆風が吹いており、気軽さが失われていることが競技人口減少の要因と考えられています。
対照的にバスケットボールは、ストリートファッションとの親和性や、少人数(3×3など)でも楽しめる手軽さが若者に支持されています。競技人口の増加率は主要スポーツの中で最も高く、次世代のメジャースポーツとしての地位を固めつつあります。
このように、日本のスポーツ人口は「学校の部活動」という土台の上に、社会人になっても続けやすい「環境(場所・人数・コスト)」が整っている競技ほど、人口を維持している傾向にあります。また、社会環境の変化とともに、より手軽で個人のライフスタイルに合ったものへとシフトしてきているとも言えます。
(出典:笹川スポーツ財団『スポーツライフ・データ』)
スポーツ業界における近年のトレンド

最後に、これからのスポーツ界を形作る新しい動きについて触れておきましょう。スポーツの世界は、単に「競技レベルの向上」だけでなく、テクノロジーの進化や社会的な価値観の変化に合わせて、その在り方自体を劇的に変化させています。ここでは、今後のスポーツビジネスや文化を理解する上で欠かせない3つの潮流を深掘りします。
1. 女子スポーツにおける人気の向上
これまで長い間、男子スポーツの「付属」や企業の「社会貢献活動(CSR)」の一環として扱われることの多かった女子スポーツですが、現在は「確実に収益を生む巨大な成長市場」として、ビジネスの最前線に躍り出ています。
視聴者数と動員数の増加
サッカー女子ワールドカップや、欧州女子チャンピオンズリーグでは、スタジアムに数万人が詰めかけるのが当たり前の光景となりました。アメリカの女子バスケットボールリーグ(WNBA)では、ケイトリン・クラーク選手のようなスーパースターの登場により、チケット価格が高騰し、全米の注目を集める社会現象となっています。
スポンサー企業の意識変化
デロイトなどの大手コンサルティング会社は、女子エリートスポーツの収益が世界全体で10億ドル(約1,500億円)を突破すると予測しています。企業は「支援」ではなく、明確なリターンを見込んだ「投資」として女子スポーツに資金を投じるフェーズに入りました。
2. eスポーツのオリンピック化とデジタルネイティブへの接近
「テレビゲームはスポーツか?」という長年の議論に、一つの歴史的な決着がつきました。国際オリンピック委員会(IOC)による「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」の創設決定です。
この動きの背景には、既存のスポーツ界が抱える「若者のスポーツ離れ」への危機感があります。Z世代以下のデジタルネイティブ層は、90分のサッカーの試合をテレビで観るよりも、YouTubeやTwitchでゲーム実況やハイライト動画を視聴する時間を優先する傾向にあります。フィジカルスポーツの権威であるオリンピックがデジタル空間へ進出したことは、スポーツの定義そのものが拡張された象徴的な出来事と言えるでしょう。
同時に、F1人気の再燃を呼んだNetflixのドキュメンタリー『Drive to Survive』のように、試合中継だけでなく、ストリーミング配信を通じた「裏側のドラマ」や「ストーリーテリング」が、新規ファン獲得の主戦場になっているのも近年の大きな特徴です。
3. ピックルボールなど「ライフスタイル型スポーツ」の台頭
既存のメジャースポーツの枠に収まらない、新しい競技が欧米を中心に爆発的に普及しています。その代表格が、アメリカで「最も急成長しているスポーツ」として不動の地位を築いた「ピックルボール」です。
| 競技名 | どんなスポーツ? | 流行の理由 |
|---|---|---|
| ピックルボール (Pickleball) | テニス、卓球、バドミントンを混ぜたようなラケット競技。穴の空いたプラスチックボールを使用。 | テニスよりコートが狭く、ボールが弾まないためラリーが続きやすい。「激しすぎない」ことがシニアから若者まで幅広く受け入れられ、コミュニティ形成の場として機能している。 |
| パデル (Padel) | スペイン発祥。テニスコートを小さくし、周囲を強化ガラスや金網で囲った競技。壁を使えるのが特徴。 | スカッシュのような戦略性とテニスの爽快感を併せ持ち、欧州や中東でブームに。日本でも施設が急増中。 |
これらの新興スポーツに共通するのは、「ガチすぎない(競技性より社交性を重視)」という点です。勝利至上主義ではなく、プレイを通じた友人や家族とのコミュニケーションを重視するスタイルが、現代人のライフスタイルに合致していると考えられます。
このように、これからのスポーツ界は「多様性」がキーワードになります。性別、フィジカルかデジタルか、競技志向かエンジョイ志向か。選択肢が広がり、誰もが自分に合った形でスポーツに関われる時代になったと言えるでしょう。
総括:世界のスポーツ競技人口・人気ランキング
今回は「世界で人気のスポーツ」について、ファン数、競技人口、そしてビジネス規模という異なる角度から解説しました。
世界を見渡すと、サッカーの圧倒的な普及度に加え、クリケットやバスケットボールが巨大な勢力を持っていることが分かります。一方で、アメリカンフットボールのように特定の地域で爆発的な収益を生むスポーツもあれば、バレーボールのように商業規模以上に人々の生活に根ざし、広く愛されているスポーツもあります。
こうした背景を知ると、普段のニュースや国際大会を見る目が少し変わって面白いかもしれませんね。ビジネスとしてのトレンドを感じたり、異文化理解の入り口としたり、スポーツの見方は無限大です。興味が湧いた方は、ぜひ今まで見たことのなかったスポーツの試合もチェックしてみてください。




