イギリスへの旅行や留学に向けて準備を進めていると、現地でのSIMをどうするか悩んでしまいますよね。とくに現地の通信事情について調べ始めると、おすすめのサービスはどれか、格安プランはどう探せばいいのかといった疑問が次々と湧いてくると思います。また、中長期の滞在を考えている方は、電話番号付きのものはどこで買うのが正解なのかなど、さらに具体的な悩みをお持ちかもしれません。通信手段は見知らぬ土地での生活の質を左右するインフラですので、慎重に選びたくなるのは当然のことでしょう。この記事では、イギリスへの短期旅行から長期滞在まで、目的や期間に合わせた最適なSIMや通信手段について解説していきます。通信トラブルへの不安を解消して、快適なイギリス滞在の第一歩を踏み出しましょう。
- イギリスにおける最新の通信環境と主要キャリアの基礎知識
- デジタルなeSIMと物理的なSIMカードのそれぞれの特徴とメリット
- 短期旅行から長期留学まで目的に合わせたおすすめの通信サービス
- 無駄な通信費を賢く抑えるための具体的な選び方のコツと設定術
イギリスのSIMにおすすめの選び方

イギリスでの快適な滞在を実現するためには、現地の通信事情を正しく理解し、ご自身のスタイルに最適な通信手段を選ぶことが欠かせません。ここでは、現地の通信環境から最近主流になりつつある手軽なeSIM、そして従来型の物理SIMカードの特徴まで、イギリスの通信に関する基礎知識を解説していきます。
イギリスにおける通信環境
イギリスにおけるモバイル通信の基盤は、自社で広大な通信網を保有するMNO(移動体通信事業者)によって支えられています。代表的なキャリアとしては、通信速度とカバー率で国内トップクラスの評価を誇る「EE(BTグループ)」、カスタマーサービスや若年層向けの特典に強い「O2(Virgin Media O2)」、そしてグローバル展開に強みを持つ「Vodafone」、大容量データを安価に提供する「Three」が挙げられます。
旅行者や留学生が現地でスマートフォンを利用する場合、基本的にはこれらの大手キャリアのいずれかの電波を直接、あるいはこれらから回線を借り受けているMVNO(格安SIM事業者)を経由して利用することになります。それぞれのキャリアには明確な個性があり、ビジネス利用で安定性を極限まで求めるならEE、ヨーロッパ周遊の利便性を重視するならO2といったように、用途によって最適な選択肢が変わってきます。
イギリスの通信インフラは、政府の積極的な投資もあり年々進化を遂げています。特に5Gネットワークのカバー率は目覚ましく、(出典:英国情報通信庁 Ofcom『Connected Nations 2025』)によれば、ギガビット対応の固定ネットワークと5Gモバイルネットワークの双方が継続的に拡大しており、人々の生活を支えています。
さらに、2025年には業界を大きく揺るがす出来事としてVodafoneとThreeの合併が完了し、イギリス最大の契約数を誇るモバイル通信事業者が誕生しました。この歴史的な再編により両社のネットワークが統合され、これまで電波が届きにくかったエリアが改善されるなど、通信品質の底上げが進んでいます。
都市部と地方における通信事情
ロンドン、マンチェスター、バーミンガム、エディンバラといった主要都市においては、4Gや5Gのネットワークが整備されており、日本国内と遜色のない快適な通信が可能です。また、ロンドン地下鉄(Tube)においても、一部路線ではトンネル内でも4G/5G通信が可能になるなどインフラの近代化が進んでいます。
しかし一方で、湖水地方やスコットランドのハイランド地方、ウェールズの山間部など郊外や地方都市に足を延ばすと、途端に電波が弱くなったり圏外になったりするエリアが存在するのも事実です。田舎へ旅行する予定がある場合は、オフラインマップを事前にダウンロードしておくなどの対策が必須となります。
手軽で便利なeSIMの特徴

現在、イギリスへ渡航する短期旅行者の間で最も圧倒的な人気を集めているのがeSIM(イーシム)です。eSIMとは「Embedded SIM」の略称で、スマートフォン本体の基板にあらかじめ組み込まれているデジタルなSIMチップのことを指します。従来の通信契約では、プラスチック製の小さなICカード(物理SIM)を店舗で購入したり郵送で受け取ったりして、手作業で差し替える必要がありました。しかしeSIMの場合は、通信事業者のウェブサイトや専用アプリで希望のプランを購入し、プロファイルをダウンロードするだけで通信回線の設定が完了するという画期的な仕組みを持っています。
eSIMを利用する最大のメリットは、何と言っても物理的なカードの差し替え作業が一切不要になることです。これにより、揺れる飛行機の機内や、混雑した空港のベンチで極小のSIMカードを落として紛失してしまうというリスクを避けることができます。また、日本にいる出発前の段階で余裕をもって購入とインストールを済ませておくことができるため、現地でもスムーズに接続することが可能になります。
デュアルSIM運用と対応機種の確認
さらにeSIMの優れた点は、「デュアルSIM」としての運用が容易にできることです。スマートフォンの物理SIMスロットには日本で契約しているキャリアのSIMカードを入れたままにしておき、イギリスでのデータ通信のみをeSIMで行うという設定が可能です。これにより、日本の電話番号に届く重要なSMS認証をイギリスでもリアルタイムで受信しながら、高額な海外ローミング通信費を回避することができます。
ただし、eSIMを利用するには、ご自身のスマートフォンがeSIMに対応した機種(iPhone XS/XR以降や、Google Pixel、最新のGalaxyシリーズなど)であることと、端末の「SIMロック」が解除されていることが絶対条件となります。渡航前に必ずご自身の端末の設定画面を確認しておきましょう。
現地SIMカードのメリット

旅行であればデータ通信専用のeSIMで十分ですが、イギリスに数ヶ月以上滞在する語学留学生や、ワーキングホリデー(YMS)の参加者、長期駐在員にとっては、従来型の物理的なSIMカード(または現地キャリアが発行するeSIM)を契約することが重要になります。その最大の理由は、現地の通信事業者と契約することでイギリスの正規の電話番号(+44から始まる番号)が付与されるからです。イギリスでの生活を立ち上げる際、例えばフラット(シェアハウス)の内見予約、大学や語学学校の連絡網への登録、NHS(国民保健サービス)への登録など、あらゆる場面で現地の電話番号の提示が求められます。
イギリスでは旅行者や短期滞在者でも簡単にアクセスできる柔軟なプランが用意されています。代表的なのが「Pay As You Go(従量課金・プリペイド式)」と「Monthly Rolling(月額更新プラン)」です。特に留学生に人気を誇るのが月額更新型のプランで、12ヶ月や24ヶ月といった煩わしい長期契約の縛りが一切ありません。クレジットヒストリー(イギリスでの信用情報)の審査も不要なため、到着したその日から契約でき、データ容量が足りなくなれば翌月から自由に大容量プランへ変更し、帰国時にはペナルティなしで即座に解約できるという、滞在者にとって理想的なシステムとなっています。
格安SIM(MVNO)が広く普及している背景
また、イギリスでは大手キャリア(MNO)の回線を借りて安価にサービスを提供する「MVNO(仮想移動体通信事業者)」、いわゆる格安SIMが日本以上に広く普及しており、市民権を得ています。O2の回線を利用し、オンライン完結型のシンプルなサービスで若者や留学生に人気の「giffgaff」や、Vodafoneの回線を利用し国際通話に強みを持つ「Lebara」、Threeの回線を利用し大容量データを格安で提供する「Smarty」などがその筆頭です。これらMVNOは、大手キャリアと近い通信エリアと安定性を維持しながらも月額料金を半額以下に抑えることができるため、長期滞在で生活費を節約したい方にとっては外せない選択肢となっています。

主要な各通信手段を比較

ご自身に最適なプランを決定するためには、そもそもどのような通信手段が存在するのかを理解しておくことが大切です。それぞれには明確な強みと弱みがあり、渡航スタイルに合ったものを選ばないと、予想外の出費に繋がったり、不便な思いをしたりすることにも繋がります。
以下の表で、主要な4つの通信手段の特徴を一覧でまとめています。ご自身の滞在目的に照らし合わせて、最適なものを見極めてください。
| 通信手段 | 準備・設定の手間 | イギリス電話番号 | コスト感 | どんな人に最適か |
|---|---|---|---|---|
| eSIM(デジタルSIM) | 非常に簡単(オンライン完結) | 基本なし(データ専用が多い) | 安い〜普通 | 設定を手軽に済ませたい短期旅行者、最新スマホ利用者 |
| 物理SIMカード | 普通(SIMピンでの差替必要) | あり(現地の番号が付与) | 非常に安い〜普通 | 現地での生活基盤を築く留学生、ワーキングホリデー |
| 海外ローミング(日本のキャリア) | 不要(設定をオンにするだけ) | 日本の番号(+81)を維持 | 無料枠内〜非常に高い | ahamo等の対象プラン契約者、数日の短期出張者 |
| ポケットWi-Fi(ルーター) | 普通(端末の受取・返却が必要) | なし | 普通〜やや高い | 家族やグループで通信をシェアしたい方、PC作業が多い方 |
上の表をご覧いただくとわかるように、全てが万能な通信手段というものは存在しません。一人旅で身軽に動きたいなら旅行用eSIMや海外ローミング、イギリスで長期滞在するなら物理SIM、家族で行動を共にするならポケットWi-Fiといったように、渡航のシチュエーションによってベストな選択肢は変化します。
通信手段の基本的な違いを理解した上で、ご自身の「イギリスでやりたいこと」や「絶対に避けたいトラブル」と照らし合わせてみることで、後悔のないSIM選びができるはずです。

事前に日本で購入する方法

イギリスでの通信手段を確保する際におすすめなのが「日本にいる間、つまり出発前に購入と設定を済ませておく」というアプローチです。14時間以上の長時間のフライトを終えてヒースロー空港に降り立った直後、重い荷物を引きずりながら現地のSIM売り場を探したり、時差ボケで疲れた頭で英語のプラン説明を理解したりするのは、想像以上に精神的な負担がかかります。日本で事前に準備を完了させておけば、現地ですぐにネットワークに接続できるな安心感が手あります。
旅行用eSIMの事前購入
まず、短期旅行者に大人気の「eSIM」を事前購入する方法です。これは非常にシンプルで、AiraloやWorld eSIM、trifaといった通信会社の公式サイト、あるいは専用のスマートフォンアプリから、クレジットカードやApple Pay等で希望のプランを購入するだけです。決済が完了すると、登録したメールアドレス宛に設定用のQRコードが即座に送られてきます。あとは、日本の自宅の安定したWi-Fi環境でそのQRコードを読み込み、通信プロファイルをスマートフォンにインストールしておくだけで準備完了です。
現地に到着したら、設定画面で該当のeSIMの「データローミング」をオンに切り替えるだけでインターネットが利用可能になります。物理的なカードの配送を待つ必要がないため、極端な話、出発前夜にパッキングをしながらでも手配できるのが最大の強みです。
中長期滞在者向けの方法
次に、留学やワーキングホリデーなどで「イギリス現地の電話番号(+44)」がどうしても必要な中長期滞在者向けの方法です。実は、物理的なSIMカードであっても、日本にいながら事前に手に入れる手段があります。日本人留学生の定番となっている現地の格安SIM「giffgaff」は、なんと公式サイトから申し込みを行うと、日本の自宅のポストまで国際郵便でSIMカードを無料で届けてくれます。
通常、手元に届くまでの目安として2〜3週間程度かかるため、渡航の1ヶ月前には注文しておくのがポイントです。出発の数日前に、日本のクレジットカードを使ってオンラインで初月のプランを購入し、アクティベーション(開通手続き)を済ませておけば、イギリスに到着した瞬間からデータ通信も音声通話も利用できる状態を作ることができます。
通販サイトとSIMロックの注意点
Amazonなどの日本のネット通販サイトを利用して、「ヨーロッパ周遊SIM」などの物理SIMを購入する方法もありますが、並行輸入品や古い在庫が混ざっていることがあり、利用開始期限が過ぎていたり、万が一現地で繋がらなかった際の日本語サポートが受けられなかったりするリスクがあります。購入時は販売元のレビューを必ず入念に確認してください。
また、eSIM・物理SIMのどちらを利用する場合でも、日本で使っているスマートフォンが「SIMロック解除済み」であることが絶対条件となります。 2021年10月以前に日本の大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなど)で購入した端末はロックがかかっている可能性があるため、出発前に必ず解除手続きを行っておきましょう。
(出典:総務省『SIMロックについて』)

空港や現地で購入する方法

日本での事前準備がどうしても間に合わなかった場合や、スマートフォンの初期設定をプロのスタッフに対面で手伝ってもらいたいという方は、イギリスに到着してから空港や現地の街中で物理SIMカードを購入することになります。ここでは、到着後の購入方法について紹介します。
イギリスの主要な玄関口である国際空港では、到着ロビー(Arrivals)の自動ドアを抜けるとSIMカードの販売カウンターや24時間稼働の自動販売機を見つけることができます。例えば、ヒースロー空港に出店している(出典:ヒースロー空港公式サイト『Sim Local』)などの専門店も便利です。店舗のカウンターにスマートフォンを渡せば、スタッフがすべての作業を代行してくれます。IT機器の操作や英語でのマニュアル解読に強い不安を感じている方にとっては、これ以上なく頼りになるサービスでしょう。
注意点としては、空港で旅行者向けに販売されている「Tourist SIM(旅行者用SIM)」は場所代や人件費が上乗せされており、ロンドン市内の街中のお店で購入するよりも料金が割高に設定されているケースがほとんどです。この点は「安心感を買うための手数料」と割り切る必要があります。
もし、通信費を節約してSIMを利用したいのであれば、空港での購入を控えるのが賢明だと言えます。街中ににある大手スーパーマーケットや売店に行くと、主要ネットワークのSIMカードが格安で販売されています。また、キャリアの直営店に行けば、正規の料金でスタッフに相談に乗ってもらうことも可能です。
イギリスでおすすめのeSIM・SIMカード

通信環境の基本と購入方法の全体像を把握したところで、ここからはあなたの具体的な渡航目的やライフスタイルに合わせたイギリスのSIMの選び方を深掘りしていきます。数日の短期旅行と数年の駐在では、求めるスペックが全く異なります。それぞれのニーズに合致した最強の通信手段を見つけていきましょう。
目的別のおすすめSIM一覧
イギリスでの滞在を快適にするためには、ご自身の目的や期間に合う通信サービスを見つけることが一番の近道です。とはいえ、選択肢が多すぎてどれが自分に合っているのか迷ってしまう方も多いはずです。
ここでは、目的別におすすめのサービスを一覧表としてご紹介します。ご自身の渡航スタイルに当てはめて、最適な通信手段を見つけるための参考にしてみてください。
| 渡航の目的・期間 | おすすめサービス例 | 主な特徴・ポイント | こんな方に最適 |
|---|---|---|---|
| 短期旅行(3日〜1週間) | trifa / Airalo | 1GBや10GBなど、必要な分だけを無駄なく購入できるeSIM。設定もアプリで完結し、到着後すぐに使えます。 | 地図アプリやSNSのチェックがメインで、通信費を賢く抑えたい旅行者。 |
| 動画・SNS重視の旅行 | Holafly / World eSIM | 日数を柔軟に指定できる完全無制限のeSIM。データ残量を一切気にする必要がなく、24時間の日本語サポートも心強いです。 | InstagramなどのSNS更新や、移動中の動画視聴を我慢したくない方。 |
| 語学留学・長期滞在 | giffgaff | 契約期間の縛りがなく、イギリスの電話番号が手に入る格安SIM。日本へ無料でSIMを郵送してくれるため渡航前の準備も万全です。 | 学校の連絡網やフラット探しで現地の電話番号が必須となる留学生。 |
| ワーキングホリデー | Lebara / SMARTY | Lebaraは日本への国際通話が無料枠に含まれ、SMARTYは無制限プランが格安。どちらも現地での就労や生活基盤の構築に欠かせない電話番号付きです。 | 銀行口座の開設や仕事探しがあり、実家への電話連絡も多くなる方。 |
| 短期出張・ビジネス | ahamo、楽天モバイル | ahamoは対象国で30GBまで追加料金なし。楽天モバイルは2GBまでの軽利用・予備回線向き。足りない場合はeSIM併用がおすすめです。 | 普段からahamoを利用しており、設定の手間を省いてすぐに仕事を始めたい方。 |
まずはご自身の「滞在期間」を軸に第一候補を絞り込んでみてください。その上で、現地の電話番号(+44)が必要かどうか、データ容量はどれくらい消費しそうかを考慮すると、失敗のないSIM選びができます。複数の国を訪れる場合は、対象国がしっかりカバーされている周遊プランを選ぶのがコツです。
短期旅行に最適な通信手段

数日間から2週間程度のイギリス旅行を計画している場合、滞在中の限られた時間をいかに有効に使うかが旅の満足度を大きく左右します。イギリスに到着してすぐにスマートフォンが使える状態であれば、ヒースロー空港からロンドン市内へ向かう地下鉄(Tube)の乗り換え案内を調べたり、予約していたパブへ迷わず移動したりすることが可能です。この短期間の滞在において、私が最もおすすめする通信手段は、物理的なカードの交換が不要な「eSIM」、またはご自身が現在契約している日本のスマートフォンの「海外ローミング」をそのまま活用することです。
手間を減らして即開通できる「eSIM」
短期旅行において、現地でのSIMカード購入や設定に貴重な観光時間を奪われるのは非常にもったいないことです。その点、スマートフォンに内蔵されたデジタルSIMである「eSIM」は、短期滞在者にとって最強のツールと言えます。出発前に日本で「Holafly」や「World eSIM」、「Ubigi」などのプランをオンラインで購入しておけば、イギリスに到着して機内モードを解除して回線を切り替えるだけで現地のネットワークに接続されます。
また、日本で使っているSIMカードを抜く必要がないため、デュアルSIM機能を使って「日本の電話番号での着信やSMSの受信」を維持できるのも大きなメリットです。クレジットカードの不正利用防止のためのワンタイムパスワード(SMS認証)などを現地でも確実に受け取れるため、海外旅行中の予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。
- コスパを重視するなら
「Airalo(エラロ)」などの少容量プランが安価で、地図や検索中心の方に最適です。 - 安心の日本語サポート
「trifa(トリファ)」なら、万が一の際も日本語で手厚いサポートが受けられます。
日本のスマホ契約を活かす「海外ローミング」
もしあなたが「ahamo(アハモ)」や「楽天モバイル」を日本で契約しているなら、わざわざ新しく通信サービスを購入する必要はないかもしれません。例えばahamoであれば、事前申し込みや追加料金を支払うことなく、月間30GBの国内データ容量の範囲内でイギリスでもデータ通信が可能です。予期せぬ高額請求の心配も、こうした定額対象のプランであれば不要となります。
楽天モバイルも月間2GBまでは無料で海外ローミングが使えるため、メインの通信手段としては少し心もとないですが、eSIMが繋がらなくなった際などの予備回線として非常に優秀な役割を果たします。ただし、ahamoの場合は「海外での利用開始から15日経過後に速度制限がかかる」というルールがあるため、あくまで2週間以内の短期旅行に特化した手段であると認識しておきましょう。

長期向け電話番号付きSIM

数日間の観光旅行とは異なり、数ヶ月から数年にわたってイギリスに腰を据える語学留学、ワーキングホリデー(YMS)、そして海外駐在といったシチュエーションでは、通信手段に対する要件が根本から変わってきます。海外においての通信手段は「社会的な信用を証明し、生活基盤を構築するための身分証」に等しい役割も果たします。
長期滞在において、旅行用のデータ専用eSIMだけで乗り切ろうとするのはリスクが伴うと言えます。イギリスでの新しい生活を立ち上げるためには、家を借りる、アルバイトや仕事に応募する、国民保健サービス(NHS)に登録してかかりつけ医(GP)を持つといった様々な手続きが待ち受けています。しかし、これらの重要書類のほとんどでイギリスの正規の電話番号(+44から始まる番号)の記入が必須となります。
雇用主からの面接日程の連絡も、物件の大家さんとの日常的なやり取りも、宅配便の受け取り時間の調整も、すべては現地の電話番号を持っていることが前提で進んでいきます。また、ワーキングホリデー参加者や駐在員にとって最初の大きな難関となるのが、給与を受け取るための「イギリスの銀行口座の開設」ですが、多くの銀行において、不正利用を防ぐための顧客認証が厳格化されています。
長期滞在におすすめのSIMサービス
では、具体的にどの通信キャリアを選べば良いのでしょうか。大手キャリア(EEやO2など)の店舗で直接長期契約(Contract)を結ぼうとすると、イギリスの銀行口座に加えて、クレジットヒストリー(過去の信用情報)や厳格な住所証明が求められることが多く、到着したばかりの日本人にはハードルが高くなっています。そのため、審査なしでオンラインから簡単に契約できる「MVNO(格安SIM)」の月額更新プラン(Monthly Rolling)を利用するのが最適です。ここでは、目的別におすすめの通信サービスをいくつかご紹介します。
【留学生の定番】giffgaff(ギフガフ)
イギリスに渡航する日本人留学生に人気なのが、O2回線を利用する「giffgaff」です。最大の魅力は、なんと言っても日本の自宅のポストへ無料でSIMカードを国際郵送してくれる点に尽きます。出発の数週間前にオンラインで注文し、渡航直前にクレジットカードで最初のプランを購入しておけば、ヒースロー空港に着陸した瞬間にイギリスの電話番号で通信を開始できる状態を作ることができます。月額10ポンド〜20ポンド程度で十分なデータ量が確保できるのが魅力です。
【ヘビーユーザーにおすすめ】VOXI(ボクシー)
Vodafoneのサブブランドである「VOXI」は、SNSでのコミュニケーションや情報収集が生活の中心となっている若年層や学生に絶大な人気を誇っています。月額10ポンド〜15ポンドのベースプランを契約するだけで、主要なアプリのデータ通信が国内で「使い放題」になるという特典が付帯しています。通学中のバスの中や、カフェでの空き時間に動画を視聴してもデータ残量が減らないため、結果的に毎月のトータル通信費を節約できるサービスとなっています。
【ワーホリ・駐在員の向けの国際派SIM】Lebara(レバラ)
仕事で渡英する方や、日本の実家や職場との繋がりを大切にしたい方に強くおすすめしたいのが、Vodafone回線を利用する「Lebara」です。月額5ポンド〜15ポンドという低価格でありながら、イギリス国内の通話が無制限になるだけでなく、日本を含む世界数十カ国への国際通話がプランに無料で組み込まれているのが特徴です。LINEなどのアプリ通話が使えない日本の役所や銀行窓口への問い合わせ、あるいは固定電話へ直接ダイヤルしなければならない場面でも利用できる安心感は大きなメリットとなります。

データ無制限の通信プラン

現代のインターネット環境において、容量制限は常にストレスの原因となります。特にヘビーユーザーの悩みを解消してくれるのが、データ容量を気にせずインターネットに接続できる無制限(Unlimited)の通信プランです。イギリスでは様々な無制限プランを展開されており、ライフスタイルに合わせて最適なものを選ぶことができます。
中長期でイギリスに滞在する予定で、とにかくコストパフォーマンス良く無制限の通信環境を手に入れたいのであれば、Threeの回線を利用するMVNO「Smarty(スマーティ)」が候補となります。Smartyの無制限プランは、契約期間の縛りがない月額更新型でありながら、月にわずか約20ポンド(約4,000円弱)というイギリス国内でも最安水準の価格で提供されています。EEやVodafoneなどの大手キャリアで同様の無制限プランを契約すると月に30ポンド以上かかることを考えると経済的だと言えます。
一方、数週間の短期旅行で無制限の通信環境を利用したい場合は、海外eSIMの「Holafly」や日本企業の「World eSIM」がおすすめです。これらのサービスは日本にいながら事前に購入でき、到着後すぐに無制限のデータを利用できます。家族旅行で複数端末に共有したい場合には、ポケットWi-Fiと個別eSIMを併用すると安心です。
無制限プランにおける「フェアユースポリシー」
ただし、イギリスの通信会社が提供する「無制限(Unlimited)」という言葉には、知っておかなければならない注意点が存在します。それが「フェアユースポリシー(Fair Usage Policy / 公正利用規約)」と呼ばれるルールの存在です。常識的な範囲内でYouTubeを見たりSNSを楽しんだりする分には全く問題ありませんが、重いファイルをダウンロードし続けるような極端な使い方をすると制限がかかるリスクがあることは理解しておきましょう。
料金が安いプランの選び方

イギリスでは、大手通信キャリアの回線を間借りして安価にサービスを提供する「MVNO(格安SIM)」が日本以上に広く普及しており、市民権を得ています。毎月の固定費である通信費を大きく節約できるため、留学生やワーホリメーカーはもちろん、現地のイギリス人にも人気があります。ここでは、数ある格安SIM選びの基準とコストパフォーマンスに優れたおすすめのブランドをご紹介します。
格安SIMサービスを選ぶポイント
格安SIMは自社でアンテナを持たず、EE、O2、Vodafone、Threeのいずれかの大手ネットワークを借りて通信を提供しています。そのため、「どの格安SIMを選ぶか」は「どの大手キャリアの電波を選ぶか」とほぼ同義になります。例えば、イギリス全土の地方や郊外まで足を運ぶことが多いのであればEEやVodafoneの回線を利用するサービスを、ロンドンなどの都市部での生活が中心であればO2やThreeの回線を利用するサービスを選ぶのが一つの目安です。事前に各回線のカバレッジマップ(電波のカバーエリア図)を確認し、自分の滞在先や学校の周辺で十分な電波が飛んでいるかをチェックしておくことが失敗を防ぐ第一歩です。
次に確認すべきは、料金プランの仕組みです。イギリスの格安SIMの多くは「Monthly Rolling(1ヶ月更新)」という契約形態を採用しており、いつでも解約やプランの変更が可能です。さらに一歩踏み込んで、自分が消費するデータ量にムラがあるかを考慮してみてください。月によってあまりデータを使わないことがある方は、使わなかったデータ容量分を翌月の料金から割り引いてくれる(キャッシュバックされる)仕組みを持つサービスを選ぶと、無駄な支払いを1ペニーも発生させずに済みます。
格安SIMを選ぶ際のポイント
- ベースとなる通信回線(EE、O2、Vodafone、Three)は自分の行動範囲に合っているか
- 12ヶ月などの長期の契約縛り(ロックイン)がないか
- EU圏内へ旅行した際の無料ローミングが含まれているか
- 手動でのAPN(アクセスポイント)設定の手順が公式サイトに分かりやすく記載されているか
おすすめの格安SIMブランド
前述のセクションでご紹介したgiffgaffやLebara以外にも、特定のニーズに対してコストパフォーマンスと利便性を発揮する格安SIMが存在します。
【大容量・無制限を最安で使いたい方】SMARTY(スマーティ)
前述したThreeの回線を利用する「SMARTY」は、データ消費が激しいヘビーユーザーの強い味方です。完全無制限のプランが月額20ポンド前後というイギリス市場でも最安水準で提供されているだけでなく、テザリングにも制限がないため、パソコンを繋いでリモートワークをする方にも最適です。
【日々の買い物ついでに手軽に管理したい方】Tesco Mobile(テスコモバイル)
イギリス全土に展開する大手スーパーマーケット「Tesco」が運営し、O2回線を利用する格安SIMです。最大の特徴は、文字通りスーパーのレジやサービスカウンターで手軽にSIMカードを購入したり、料金をチャージしたりできる点です。日々の食料品の買い出しのついでに通信費の管理ができるため、現地での生活に根ざした安心感を求める方に人気があります。
総括:イギリスでおすすめのSIM

ここまで、イギリスへの渡航目的や滞在期間に合わせたイギリス向けSIMのおすすめや選び方について解説してきました。通信手段を選ぶ際には、「滞在期間」「データ通信量」「現地電話番号の必要性」を意識して検討するのが基本となります。
数日から2週間程度の短期旅行であれば、SIMカードの物理的な差し替えリスクが一切なく、日本で事前購入して到着後すぐに通信が開始できる「eSIM」がおすすめです。一方で、1か月を超える留学・ワーキングホリデー・長期出張では、英国の電話番号が付与される「現地SIM」を検討するとよいでしょう。従来の物理SIMだけでなく、現地キャリアやMVNOが提供する電話番号付きeSIMも選択肢になります。
ぜひ、ご自身の渡航スタイルに合わせて最適なプランを選択してみてください。この記事の内容が少しでもイギリスでの通信手段やSIM選びの参考となれば幸いです。







