海外旅行への準備を進める中で、インターネット通信に関する不安を抱える方は多いでしょう。旅行先で安全にネットを使うためにVPNは必要なのか、そもそもどういった仕組みなのかなど疑問に思っている方も少なくないはずです。また、滞在先から日本の動画サービスを楽しみたい、オンラインで銀行の口座を安全に確認したいといった目的をお持ちの方もいるかもしれません。特に空港やホテルのフリーWi-Fiに潜む危険性を耳にすると、セキュリティ面の対策やどのようなVPNサービスを選ぶべきなのかも気になるところでしょう。この記事では、海外旅行におけるVPNの基礎知識やサービス選ぶポイントについて解説していきます。
- 海外の通信におけるセキュリティリスクとVPNの基本
- 海外旅行でVPNを利用する主なメリットとデメリット
- 旅行スタイルに最適なVPNサービスと出発前の準備
- 国や地域でのVPN利用における知っておきたい注意点
海外旅行でVPNは必要?基本と役割

ここでは、なぜ海外でVPNを利用する必要があるのか、そのメリットや基本的な仕組みについて解説します。旅行中のセキュリティ対策から利用する際に押さえておきたい注意点まで、旅の安心を支える基礎知識を深めていきましょう。
VPNとは?基本的な仕組み

海外旅行の準備をしていると「VPN」という言葉をよく耳にするようになりましたが、パソコンやITに詳しくない方にとっては少し難しそうに感じられるかもしれません。ここでは、VPNの基本的な仕組みについて解説していきます。
VPNの基本的な仕組み
VPNは「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の略称です。インターネットの世界は、例えるなら誰でも通れる「巨大な公道」のようなものです。普通に通信をしていると、やり取りしているデータはハガキのように悪意のある人から中身を覗き見されてしまうリスクがあります。
そこでVPNを使うと、この公道の中に「外部からは見えない、暗号化された自分専用のトンネル」を作り出すことができます。データはこのトンネルを通って送受信されるため、大切な個人情報を安全に運ぶための強力なセキュリティの仕組みと言えます。
VPNを活用することで、具体的には以下のようなことができるようになります。
【VPNの代表的な役割】
- 通信の暗号化
カフェや空港などのフリーWi-Fiでも、通信内容を保護して安全にネットが使えるようになります。 - IPアドレスの変更・秘匿
VPNに接続すると、Webサービスなどから見えるIPアドレスをVPNサーバーのものに変更できます。そのため、IPアドレスから推測される接続元の地域を隠したり変更したりできます。 - ジオブロック(地域制限)の回避
動画配信サービスなどが国ごとに設けているアクセス制限(ジオブロック)を、IPアドレスを変更することでクリアし、海外から日本のサービスを利用することもできます。
VPNが近年で普及している背景
これまでVPNといえば、一部の企業が社員のリモートワーク用に使ったり、ITに詳しい人が使う専門的なツールというイメージがありました。しかし、ここ数年でその状況は大きく変わってきています。
その背景にあるのが、近年におけるサイバー犯罪の増加と、個人レベルでのプライバシー保護意識の高まりです。また、動画配信サービスが私たちの生活に欠かせないものになったことで、「海外旅行中でも日本のドラマが見たい」「現地の規制に縛られずにSNSを使いたい」といったエンタメや利便性を目的とした需要も一気に拡大しました。
また、VPNアプリ自体の技術進化があります。2019年に登場した『WireGuard』という高速な通信方式をベースに、NordVPNやExpressVPNなど各社が独自の高速プロトコルを開発・普及させてきました。これにより「VPNに繋ぐと通信が極端に遅くなる」という以前の弱点は年々改善されており、現在ではスマホアプリをワンタップするだけで快適に接続できるようになってきています。
eSIMやポケットWiFiとの違い

海外旅行の通信準備をしていると、「VPNを契約すれば、海外でスマホがネットに繋がるの?」と誤解される方も中にはいらっしゃいます。結論から言うと、VPNだけではインターネットには繋がりません。
海外でLINEを送ったり地図を見たりするためには、まずインターネットの「回線そのもの」を用意する必要があります。それが、現地キャリアの電波を拾う「海外ローミング」「eSIM」「現地のSIMカード」、またはルーターを持ち歩く「ポケットWiFiのレンタル」などです。VPNは、そうやって繋がったインターネット回線の上に、見えない安全なカバー(保護層)を被せるためのツールです。
役割の違いを明確に理解する
分かりやすく役割を整理してみましょう。
| サービス名 | 主な役割・提供するもの | 単体でネットに繋がるか |
|---|---|---|
| eSIM / 現地SIM | 現地の携帯電話会社の電波を使ってインターネット回線そのものを提供する。 | 繋がる(回線契約そのもの) |
| ポケットWiFi | 現地の電波を受信し、Wi-Fiとして手元のスマホやPCにネット環境を共有する。 | 繋がる(専用端末が必要) |
| VPN | 既に繋がっているネット回線の通信を暗号化し、接続元の位置情報(国)を偽装・保護する。 | 繋がらない(別途Wi-FiやeSIM等の回線が必須) |
つまり、海外旅行では「eSIMやポケットWiFiでインターネットへの道を作り、その道を通るデータをVPNで強力に守る」という、回線とVPNの併用が基本的なスタイルとなります。特に私の経験上、物理的なSIMカードの入れ替えが不要で、日本にいる間に設定が完了する「eSIM」と「VPN」の組み合わせは、身軽に動きたい旅行者にとっておすすめの選択肢と言えるでしょう。

VPNを利用する主なメリット

海外旅行の準備をしていると、「そもそもVPNって本当に必要なの?」という疑問にぶつかると思います。一言で言えば、「絶対にないと旅行できない」というわけではありませんが、「安全でストレスのない旅にするためには、おすすめしたいツール」だと言えます。
旅行先でのネット環境を整えるうえで、VPNを利用するメリットは大きく3つに分けられます。それぞれの具体的なシチュエーションを見ていきましょう。
フリーWi-Fiなどのセキュリティ対策
空港やホテル、カフェなどの公共Wi-Fiは便利ですが、ネットワークが必ず信頼できるとは限りません。現在はHTTPSなどによる暗号化が広く普及しているため、公共Wi-Fiに接続しただけで通信内容が簡単に盗み見されるとは限りませんが、偽のWi-Fiアクセスポイントやフィッシングサイトなどのリスクは残っています。VPNは公共ネットワーク上で端末からVPNサーバーまでの通信を暗号化する対策の一つとして活用できます。
また、キルスイッチと呼ばれるVPN接続が切断された際に通常のインターネット接続へ自動的に切り替わることを防ぐ機能も存在します。VPN接続中だけ通信を行いたい場合にキルスイッチを有効にしておくと、VPN切断時のIPアドレス露出などを抑えやすくなります。
ただし、VPNは端末からサーバーまでの通信を暗号化することでネットワーク上での盗聴リスクを低減できますが、偽サイトへの情報入力やマルウェア感染、アカウント乗っ取りなどを防ぐものではない点には注意が必要です。
海外からの日本のサービスへのアクセス
海外のホテルでリラックスしている時、いつも見ている日本の動画配信サービスを開いたら、「お住まいの地域からはご利用いただけません」というエラーが出てしまった経験はありませんか?また、海外から日本のネットバンキングにログインしようとしてはねられてしまい、焦ったという声もよく耳にします。
これは、サービス提供側が「海外からのアクセス」を自動的にブロックしているために起こります。VPNアプリを使って「日本のサーバー」を経由させることで、インターネット上の住所(IPアドレス)が日本国内のものに切り替わり、海外にいても普段通りにサービスを利用できるようになります。
一方で、VPNで日本のIPアドレスに変更しても全ての海外利用制限や追加認証を回避できるとは限りらないため、渡航前に利用するサービスの海外利用条件を確認しておきましょう。
ネット規制が厳しい国でのアプリ利用
中国をはじめ、中東の一部などでは、国家のシステムによってインターネットの閲覧が厳しく制限されています。そのまま渡航すると、日本で当たり前に使っているLINE、Google検索、Googleマップ、Instagramなどが一切開けず、連絡手段が断たれてしまいます。
こういった地域へ行く場合、VPNは単なるセキュリティツールではなく、日本との繋がりを保つためのインフラとなります。VPNを出発前に入れておくことで、現地でもスムーズにいつものアプリを利用することも可能となります。一部のVPNは難読化や特殊な接続方式を用意していますが、渡航先の通信規制によって接続状況は変化するため、出発前に設定・動作確認を行い、複数の通信手段を準備しておくことが大切です。
このように、海外旅行におけるVPNは、見えないデジタルな危険から身を守り、制限のない快適なネット環境を整えるために大きな役割を果たしてくれます。初めての海外旅行でも、VPNを一つ準備しておくだけで安心感が違ってきます。
考えられるデメリットとは

VPNは海外旅行で大活躍するツールですが、メリットばかりではなく、いくつかの弱点や気をつけたいポイントもあります。ここでは、初めて使う方が戸惑いやすいデメリットとその対策についてお伝えします。
通信速度が遅くなることがある
VPNを利用すると、通信データは強力に暗号化され、専用のサーバーを経由するという「遠回り」のルートを通ります。そのため、通常のWi-Fi接続と比べると、どうしても通信速度が低下する傾向があります。
特に、無料のVPNやサーバーの性能が低いサービスを使うと、動画がカクついたり、ウェブサイトの読み込みに時間がかかったりすることが増えます。快適に使うための対策としては、自分の滞在先に近い国のサーバーを選んだり、速度低下が少ない最新の通信方式を採用している品質の高い有料サービスを選ぶことがポイントです。
スマホのバッテリー消費が早まる
海外旅行中はスマホで地図を見たり写真を撮ったりするため、バッテリーの残量は死活問題ですよね。VPNを常にオンの状態にしておくと、データの暗号化処理が裏で動き続けることになります。さらに、移動中で電波が不安定な時にVPNが何度も再接続を繰り返すことで、バッテリーをさらに消費してしまう原因になります。
そのため、安全なeSIMの回線を使っている時や移動中はVPNをオフにしておき、カフェのフリーWi-Fiに繋ぐ時や日本の動画を見る時だけオンにするという、メリハリをつけた使い方もおすすめです。
一部のウェブサービスでアクセスをブロックされる
VPNを使っていると、「私はロボットではありません」といった画像選択の認証画面が頻繁に表示されることがあります。これは、同じVPNサーバーのIPアドレスを世界中の多くの人が共有しているため、サイト側が「怪しいプログラムからのアクセスではないか」と警戒するためです。
また、一部のオンラインバンキングや動画配信サービス、決済サイトなどでは、VPN経由のアクセス自体をシステムでブロックしているケースもあります。どうしてもログインや手続きができない場合は、一時的にVPNをオフにして安全なモバイル回線に切り替えるか、VPN内の別のサーバー(都市)に変更して試してみてください。
完全な匿名性が保証されるわけではない
VPNを使えばインターネット上の住所であるIPアドレスを隠すことはできますが、それだけで完全に匿名になれるわけではありません。ブラウザに残ったCookie(閲覧履歴などのデータ)や、スマホのGPS位置情報、ログイン中のアカウント情報などから、あなたを識別することは十分に可能です。
VPNはあくまで通信の通り道を保護するためのツールです。巧妙なフィッシングサイトに誘導され、ご自身でクレジットカード番号などを入力してしまった場合の被害までは防げません。
VPNは絶対的な魔法の盾ではないため、不審なWi-Fiには繋がない、パスワードを使い回さないといった基本的な自己防衛を併用しましょう。各サービスの最新のルールについては必ず公式サイトをご確認いただき、最終的なセキュリティ判断や対策は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
国で異なるVPN利用の注意点

日本やアメリカ、ヨーロッパなどの多くの国では、VPNの利用は完全に合法であり、個人のプライバシーを守るための正当な手段として推奨されています。しかし、世界に目を向けると、国家の体制や宗教的・政治的な背景から、インターネットの利用を政府が厳しく監視・統制している国も少なくありません。
渡航先によっては、「知らずにVPNを使っただけで法律違反になってしまった」というトラブルに発展する可能性もあります。ここでは、世界各国のVPNに対する規制状況や、日本人旅行者に人気の高い要注意国について解説します。
世界各国・地域でのVPN規制の例
各国の法規制は、大きく分けて「厳格な規制」「条件付き合法」「合法だが技術的制限あり」の3つに分類することができます。
| 規制レベル | 主な該当国 | 旅行者への影響とリスク |
|---|---|---|
| 厳格な規制 | 中国、ロシア、北朝鮮、イラン、イラク、ベラルーシ、オマーンなど | 政府認可以外のVPN利用は違法、または技術的に完全に遮断される。見つかった場合、罰金や法的なリスクがある。 |
| 条件付き合法・罰則あり | UAE(ドバイ・アブダビ等)、エジプトなど | VPNを持つこと自体は合法だが、政府が禁止しているサイトの閲覧やサービスの利用に使うと、非常に高額な罰金が科されるリスクがある。 |
| 合法だが技術的制限あり | インド、トルコ、ウガンダなど | 利用は適法だが、政府の指示により特定の時期(選挙など)にVPNがブロックされたり、事業者に通信記録の保存が義務付けられたりしている。 |
まず知っておくべきことは、国によってVPNに対する法的な扱いが全く異なるという点です。
例えば、中国ではVPN技術そのものが一律に禁止されているという単純な話ではありませんが、政府の認可を受けていないVPNなどを利用して規制されたインターネットへアクセスする行為には法的リスクがあります。米国務省も、VPNの利用が多くの場合違法であり、端末の没収、罰金、拘束につながる可能性があると案内しています。
一方、ドバイなどで知られるUAEではVPN技術そのものが一律に禁止されているわけではなく、企業などが内部ネットワークへ安全にアクセスするためのVPN利用は認められています。しかし、ISPによるフィルタリングを回避して禁止コンテンツへアクセスする目的などでは問題になる可能性があります。
このように、「技術的にVPNが繋がるか」ということと「法律的に安全かどうか」は別問題として慎重に捉えることが大切です。VPNの利用目的とアクセス先によって法的な扱いが異なるため、「旅行者なら問題ない」と考えずに渡航前に最新の情報を確認する必要があります。
鉄則は出国前の事前準備
規制国に渡航する際、最も多くの方が陥る失敗が「現地に着いてネットが使えなくなってからVPNを契約しようとする」ことです。
規制の厳しい国では、空港に到着した時点でGoogleや各種SNSだけでなく、VPNサービスの公式サイトやアプリストアへのアクセス自体がブロックされています。現地で慌ててアプリをダウンロードしようとしても、すでに手遅れとなってしまうため注意が必要です。
【制限のある国へ行く前の事前準備】
- 日本にいる間に、VPNの契約とスマホへのインストールを完全に済ませておく。
- アプリを開いてログインし、正常に接続できるかテストしておく。
- 現地の規制強化によって突然通信が遮断される場合に備え、メインとは別の通信方式を持つVPNサービスをバックアップとして複数用意しておく。

海外旅行向けVPNのおすすめと選び方

基礎知識を理解したところで、次はいよいよ具体的なサービスの選び方に入ります。数あるVPNサービスの中から、ご自身の旅行スタイルや目的に合ったものをどう見極めればよいのか、代表的なチェックポイントとおすすめのサービスを目的別にご紹介します。
VPNサービスを選ぶポイント

インターネット上でも国内外の様々なサービスが出てきて「一体どれを選べばいいの?」と迷ってしまう方も多いはずです。失敗しないVPN選びのためには、単に料金の安さだけでなく、セキュリティや使い勝手なども押さえておく必要があります。ここでは、初めてVPNを選ぶ際に押さえておきたい基本的なポイントをご紹介します。
目的の国にサーバーがあるか(特に日本サーバー)
海外旅行でVPNを使う主な目的が「日本の動画配信サービスを見たい」「日本のネット銀行にアクセスしたい」という場合、日本国内にサーバーが設置されているかが最重要ポイントになります。また、滞在先や周遊先(アジア、ヨーロッパなど)の近くにもサーバーが多いサービスを選ぶと、通信の遅延を抑えやすくなります。
ノーログポリシーと第三者機関による監査
プライバシーを守るために使うVPNだからこそ、運営会社の信頼性は欠かせません。「通信ログ(閲覧履歴やIPアドレスなど)を一切保存しない」という「ノーログポリシー(No-Log Policy)」を掲げているかを必ず確認しましょう。さらに、その主張が本当かどうかを第三者の世界的監査機関(デロイトやPwCなど)からチェック・証明されているサービスを選ぶと安心感があります。
通信速度の速さとプロトコル
VPNを介すとデータが遠回りするため通信が遅くなりがちですが、高機能なVPNは独自技術や「WireGuard(ワイヤーガード)」といった最新の高速プロトコルを採用しています。ストレスなく動画を再生したい場合や、大容量データをやり取りする場合は、速度に定評のあるサービスを選びましょう。
同時接続できる台数と日本語サポート
スマホだけでなく、タブレットやノートPCも同時に繋ぎたい場合、1契約で何台まで接続できるか(同時接続台数)を確認しておきましょう。ご家族でシェアする場合は「無制限」のサービスも魅力的です。また、設定で困った時や不具合が起きた際に、日本語で問い合わせができるチャットサポートや公式FAQが用意されているかも大きな判断基準になります。
多くの優良な有料VPNサービスには「30日間の返金保証」が用意されています。まずは渡航前に契約して、自宅のWi-Fiなどで実際に使い勝手を試してみることをおすすめします。
総合力でおすすめの定番VPN

海外旅行で初めてVPNを使う方や、仕事とプライベートの両方で安定した環境を求める方に向けて、世界的に圧倒的な知名度と実績を持つ2つの定番サービスです。どちらもセキュリティと通信速度のバランスが非常に優れており、「どれを選べばいいか分からない」という場合でも、この中から選べば大きな失敗はないでしょう。
NordVPN(ノードVPN)

| 運営拠点 | パナマ(プライバシー保護に有利な法域) |
|---|---|
| サーバー網 | 世界110カ国以上 / 7,000台以上(※時期により変動あり) |
| 同時接続台数 | 10台 |
| 独自プロトコル | NordLynx(高速通信に特化) |
| 主な特徴 | 業界トップクラスの総合力、マルウェアなどを防ぐ「脅威対策Pro」、ノーログの第三者監査済 |
| 返金保証 | 30日間 |
世界的な知名度と利用者の多さにおいて、多くの比較サイトでトップクラスの評価を受け続けているのがNordVPNです。プライバシー保護に有利なパナマに拠点を置き、ユーザーの通信記録を保存しない「ノーログポリシー」については、世界的な独立監査法人による厳しいチェックを複数回クリアしています。
最大の特徴は、独自に開発された通信プロトコル「NordLynx」による圧倒的なスピードです。VPNは性質上、通信速度が落ちやすいという弱点がありますが、NordVPNなら海外のホテルから日本の高画質動画を見たい場合でも、読み込みのも比較的スムーズに利用することができます。
また、上位プランに組み込まれている「脅威対策Pro」という機能も非常に優秀です。VPNに繋いでいるだけで、悪意のあるマルウェアやフィッシングサイト、さらには煩わしい広告トラッカーまで自動でブロックしてくれます。旅行先のフリーWi-Fi対策から、機密情報を扱うビジネス出張まで、「迷ったらNordVPNを選んでおけば間違いない」と言えるほどの高い総合力を持っています。
ExpressVPN(エクスプレスVPN)

| 運営拠点 | 英領バージン諸島(プライバシー保護に有利な法域) |
|---|---|
| サーバー網 | 世界113カ国以上 |
| 同時接続台数 | ベーシックプラン10台/アドバンスプラン12台/プロプラン14台 |
| 独自プロトコル | Lightway(軽量で再接続が極めて速い) |
| 主な特徴 | 直感的でシンプルなアプリ画面、検閲の厳しい環境での安定した接続実績 |
| 返金保証 | 30日間 |
通信の「安定性」とアプリの「使いやすさ」に徹底的にこだわって作られているのがExpressVPNです。アプリを開いた時の画面が大きな接続ボタンひとつという非常にシンプルで直感的なデザインになっており、スマートフォンやパソコンの操作にあまり自信がない初心者の方でも、迷うことなく使いこなせます。
技術的な強みとして、独自に開発された「Lightway(ライトウェイ)」というプロトコルを採用しています。これにより、例えばホテルのWi-Fiから外に出て携帯の電波に切り替わった時など、ネットワークが変化した際の「再接続」が驚くほど速く、通信が途切れるイライラを極限まで減らしてくれます。
さらに、中国などの厳しいネット規制(検閲システム)をすり抜ける能力にも古くから定評があります。貿易の仕事などで、「どんな過酷な通信環境でも確実に日本と連絡を取りたい」と考えるビジネスパーソンから強い支持を集めている、信頼性の高いサービスです。
日本企業による安心感のVPN

日本国内の企業が運営し、日本語での充実したサポート体制が魅力のVPNサービスです。海外製の高性能なVPNでは「サポートの日本語が機械翻訳で不安」「数日間の旅行に適したプランがない」と悩む方も多いですが、ここで紹介する国産サービスはそのような日本人にも最適な選択肢だと言えます。
MillenVPN(ミレンVPN)

| 運営会社 | アズポケット株式会社(日本) |
|---|---|
| サーバー網 | 世界70カ国以上 / 2,000台以上(国産トップクラス) |
| 同時接続台数 | 無制限(※公正使用ポリシーあり) |
| 独自機能など | MillenVPN Native OpenConnect(通信規制の厳しい国向け) |
| 主な特徴 | 完全日本語対応、7日間や15日間の買い切り短期プランあり |
| 返金保証 | 30日間(サブスクリプションプラン対象) |
海外の大手VPNは高性能ですが、基本言語が英語であったり、サポートの日本語が機械翻訳で少し不自然だったりすることに不安を覚える方も少なくありません。その点、日本の企業(アズポケット株式会社)が運営しているMillenVPNは、公式サイトの案内からトラブル時のチャット・メール対応まで、すべて完璧な日本語で対応してもらえる圧倒的な安心感があります。
海外サービスの多くは1年や2年などの長期契約を前提としていますが、MillenVPNの最大の魅力は、旅行期間にジャストフィットする「7日間」や「15日間」といったワンタイムプラン(短期の買い切りプラン)が用意されていることです。一時的な海外旅行のためだけに数年分の契約をしたくない方にとって、非常に無駄のない選択肢となります。
さらに、以前は10台までだった同時接続台数の制限が撤廃され、現在では同時接続が無制限へと仕様がアップデートされました。これにより、スマートフォン、タブレット、パソコンなど、同行する家族全員の端末をまとめて安全な通信環境下に置くことができます(※極端な利用に対する公正使用ポリシーは適用されます)。国産VPNの中でもサーバー数が2,000台以上と非常に充実しており、海外から日本の動画サービスや銀行を利用したい旅行者にとって極めて使い勝手の良いサービスです。
スイカVPN

| 運営会社 | 株式会社MAJ Tech(日本) |
|---|---|
| サーバー網 | 45都市 / 50サーバー以上(アジア周辺が中心) |
| 同時接続台数 | 最大50台(※同一サーバーへの同時接続は3台まで等の制限あり) |
| 接続方式 | IKEv2、PPTP、L2TP、OpenConnect、Shadowsocksに対応 |
| 主な特徴 | ネット規制回避、セキュリティに特化、1ヶ月から契約可能 |
| 無料期間等 | 30日間の返金保証あり |
同じく日本企業(株式会社MAJ Tech)が運営するスイカVPNは、もともとインターネット規制が厳しい地域への渡航者向けに特化して進化してきたという独自の背景があります。
最大の特徴は、強力な検閲システム(グレートファイアウォール)を回避することに長けた通信方式である「Shadowsocks」に標準対応している点です。これにより、VPN規制のあるからでもLINEやGoogle、SNSなどを利用しやすくなるため、出張の多いビジネスパーソンや留学生の間で人気を誇っています。
大手海外VPNと比べると世界的なサーバー数は控えめですが、1ヶ月からの短期契約も比較的安価に設定されており、必要な期間だけピンポイントで利用したい方に適しています。また、設定を登録できるデバイス数は最大50台と多いものの、「同じサーバーに対する同時接続は3台まで」といった独自ルールが設けられている点には注意が必要です。行き先が明確な方にとっては、手軽に導入できる心強い味方となるでしょう。
目的ごとに特化した海外VPN

家族旅行で全員のスマートフォンを保護したい場合や、コストを最小限に抑えつつ安全性を確保したい場合など、特定のニーズにピタリとはまるサービスも存在します。ここでは、大手の定番サービスとは一味違う強みを持ち、特定の目的に対して圧倒的なコストパフォーマンスや機能を発揮する特化型のおすすめVPNをご紹介します。
Surfshark(サーフシャーク)

| 運営拠点 | オランダ |
|---|---|
| サーバー網 | 世界100カ国以上 / 4,500台以上 |
| 同時接続台数 | 無制限 |
| 独自機能など | CleanWeb(広告・マルウェアブロック)、NoBorders機能、MultiHop(複数サーバー経由) |
| 主な特徴 | 圧倒的なコストパフォーマンス、家族全員でシェア可能 |
| 返金保証 | 30日間 |
家族旅行や、一人でスマホ、パソコン、タブレットなど複数の機器を同時に持ち歩く方にとって、最強のコストパフォーマンスを誇るのがオランダ拠点のSurfsharkです。デロイトなどの独立監査機関によるノーログの証明も受けており、安全性にも妥協はありません。
一般的なVPNサービスは「1つのアカウントで同時に接続できるのは5台〜10台まで」といった制限がありますが、Surfsharkは「同時接続台数が無制限」という強烈なメリットを打ち出しています。つまり、1回契約すれば、同行する家族全員のスマートフォンや、ホテルに置いているパソコンまで、すべてのデバイスを安全に保護することができます。
また、ネット規制を検知して自動で最適な接続方法を提示する「NoBorders」機能や、通信量を節約しつつ悪質なサイトを弾く「CleanWeb」機能も旅行中には非常に役立ちます。長期プランを利用した場合の月額料金も数百円単位まで下がるため、機能の豊富さに対してお財布に優しい、賢い選択肢と言えます。
Proton VPN(プロトンVPN)

| 運営拠点 | スイス(プライバシー保護法が厳格な国) |
|---|---|
| サーバー網(有料版) | 世界140カ国以上 / 20,000台以上 |
| 同時接続台数 | 最大10台(※無料版は1台) |
| 独自機能など | Secure Core(二重経由のプライバシー保護)、NetShield |
| 主な特徴 | 「無料プラン」あり、プライバシー重視の高度なセキュリティ |
| 返金保証 | 30日間(有料プラン対象) |
「できるだけ費用をかけずに、しかし信頼できる安全なVPNを使いたい」という方に強くおすすめしたいのが、Proton VPNです。スイスのジュネーブに拠点を置き、欧州合同原子核研究機関(CERN)出身の科学者たちが立ち上げた、プライバシー保護に極めて厳しい哲学を持つサービスです。
このサービスの最大の注目ポイントは、「広告なし・データ容量無制限・ノーログ」という太っ腹な無料プランが提供されていることです。世の中の無料VPNの多くがユーザーデータを転売して利益を得ている中、Proton VPNは有料プランの収益で無料プランを支えるというビジネスモデルを採っているため、無料でも安心して利用できます。
ただし、無料プランは選べる国が限られるといった制約があるため、日本の特定のサービスを見たい場合や動画視聴には不向きな面があります。一方で、有料の「VPN Plus」プランにアップグレードすれば、世界140カ国以上、2万台以上のサーバーへのアクセスが可能になり、複数サーバーを経由して追跡を困難にする「Secure Core」機能なども使えるようになります。ご自身の求めるセキュリティレベルに合わせて、無料から気軽に試せるのが魅力です。
出国前の設定などの基本手順

前述したように、VPNの契約とアプリのインストールは、「必ず日本を出発する前(自宅や空港の出発ロビー)」にすべて完了させておくことが鉄則です。なぜなら、中国などのネット規制国に到着してからでは、そもそもVPNの公式サイトにアクセスできなかったり、アプリストアからVPNアプリが消されていてダウンロードできなかったりするからです。
基本のセットアップ手順(iPhone / Android共通)
- 渡航前に、公式サイトから自分に合ったプランを契約する。
- App Store(iPhone)または Google Play(Android)から公式アプリをダウンロードし、作成したアカウントでログインする。
- 日本にいる間に、一度適当な国のサーバーを選んで「接続」ボタンを押し、正常に繋がるかテストしておく。
初回接続時に、スマートフォンのOSから「VPN構成の追加を許可しますか?」といった警告が出ますが、これは通信設定を行うための正常な手順ですので「許可」をタップしましょう。
現地で繋がらない時の対策
現地に到着して、いざホテルのWi-FiでVPNボタンを押しても、ずっと読み込み中のまま繋がらないことがあります。これはホテルのネットワーク管理者が、VPNでよく使われる通信の通り道(UDPポート)を意図的に塞いでいることが原因であるケースが大半です。
このような場合は慌てずに、VPNアプリの「設定」画面を開き、通信プロトコルを「OpenVPN (TCP)」に変更してみてください。TCPという方式は、普通のウェブサイトを見る時と同じ通り道(ポート443)を使うため、無事にVPNが繋がる可能性が高くなります。どうしても解決しない場合は、日本で契約したeSIMなどのモバイル通信に切り替えて対応しましょう。
総括:海外旅行でのVPNの基本

ここまで、海外旅行におけるVPNの重要性から、具体的なサービスの選び方、そして実践的な使い方までを解説してきました。現代の旅行においてインターネットは単なる便利ツールではなく、ご自身の安全や旅の質を左右するインフラとなります。
海外におけるインターネット利用には目に見えないリスクも潜んでいるため、セキュリティを備えた信頼できるVPNを利用することは有効な自己防衛の手段となります。また、日本で利用しているアプリやサービスを使う際にもVPNは強力なサポーターとなります。世界的なサービスから日本語サポートが手厚い国産サービスまで選択肢は豊富に用意されているため、渡航先や利用目的に合ったものを選び、日本にいる間に設定と動作確認を済ませておきましょう。
この記事が、ご自身の海外旅行をより安全で充実したものにする一助となれば幸いです。





