海外旅行のホテルを探していると、必ずと言っていいほど目にするBooking.com(ブッキングドットコム)。
世界最大級のサイトで非常に便利そうですが、いざ予約しようとすると「Booking.comの評判や口コミって実際どうなんだろう?」と、ふと手が止まってしまうことはありませんか。特にネットで検索すると、「ひどい」「詐欺」といった、かなり不安を煽るような言葉も目に入ります。
安全性は本当に大丈夫なのか、もしトラブルがあった時に返金はスムーズに行われるのか、カスタマーサポートの電話が繋がらないという話は本当なのだろうか…。私自身も海外の宿を手配する際、こういった評判を目にして同じような不安を感じていました。
また、便利だと言われる会員プログラム「Genius」の仕組みは具体的にどうなっているのか、楽天トラベルやAgodaといった他の予約サイトと比べて、結局どっちがいいのか。なぜ安いプランが多いのか、そしてキャンセルの手順は難しくないか、など、具体的な疑問は尽きません。
この記事では、Booking.comの実際の評判や口コミについて、多くの旅行者が評価する良い面と、注意すべき悪い面の両方を見ながら、どうすれば安全に、賢くこのプラットフォームを活用できるのかを独自の視点でまとめています。
- Booking.comの基本情報と主な特徴
- 安全性や利用者の評判、口コミの傾向
- 万が一のトラブルへの具体的な対処法
- 他社との比較とシーン別の賢い使い方
Booking.com(ブッキングドットコム)の評判・口コミと安全性

まずは、Booking.comがなぜ世界中のこれほど多くの旅行者に選ばれているのか、その具体的なメリットや良い評判を見ていきましょう。特に注目すべきは、特徴的な会員プログラム「Genius」と、他のサイトを圧倒するその規模感、そして使いやすさにあります。
Booking.comの特徴と基本情報
Booking.comは、1996年にオランダのアムステルダムで設立された、世界最大級のオンライン旅行代理店(OTA: Online Travel Agent)です。現在では「Booking Holdings」(米NASDAQ上場)という巨大な旅行関連企業グループの中核を担っており、その信頼性や企業規模は非常に大きいものがあります。
多くの方に最大の特徴は、やはり圧倒的な宿泊施設の掲載数です。
公式情報では数千万件規模のリスティング(宿泊施設や部屋)が登録されていると言われており、その種類も多岐にわたります。
- 5つ星の高級ホテル、リゾート
- ビジネスホテル、シティホテル
- 個人経営のアパートメント、バケーションレンタル
- B&B(朝食付きの宿)、ゲストハウス
- さらには城、イグルー、ツリーハウスといったユニークな物件まで
これだけの選択肢があるため、どんなにニッチな目的地であっても、予算や旅のスタイルに合った何かしらの宿泊先が見つかるという絶対的な安心感があります。
また、グローバルなサービスであるがゆえに、サイトやアプリは40以上の言語と多くの通貨に対応しています。私たち日本人にとっても、為替を気にせず日本円で料金を把握し、日本語でシームレスに予約手続きが完了するのは、海外旅行のハードルを大きく下げてくれる強みです。
さらに、宿泊施設だけでなく、フライト、レンタカー、空港タクシー、現地のアクティビティ予約まで、旅に関するあらゆる要素を一つのプラットフォームで手配できる総合力も持っています。海外旅行の準備は宿探しだけでなく多岐にわたりますが、こうした便利なプラットフォームを活用することで、計画もスムーズに進めることができます。
Geniusプログラムの仕組み

Booking.comを利用する上で、絶対に外せないのが無料のロイヤルティプログラム「Genius(ジーニアス)」です。
これは、Booking.comを使えば使うほどお得になる会員制度で、その仕組みは非常にシンプルです。過去2年間の「宿泊完了数」に応じて、3段階のレベルが設定されています。
Geniusプログラム レベル別特典
以下は、Geniusプログラムの主な特典内容です。
| Geniusレベル | 達成条件 (過去2年間) | 主な特典 |
|---|---|---|
| レベル 1 | アカウント作成・ログイン | ・対象施設が10% OFF ・対象レンタカー 10% OFF |
| レベル 2 | 5回の宿泊完了 | ・対象施設が10%~15% OFF ・一部施設で「無料朝食」 ・一部施設で「無料アップグレード」 |
| レベル 3 | 15回の宿泊完了 | ・対象施設が10%~20% OFF ・レベル2の特典(対象施設が増加) ・Genius会員限定の優先サポート |
このプログラムの最もすごい点は、一度レベルを達成すると、その特典が永久に利用できるという点です(アカウントを削除しない限り)。
レベル1はアカウントを作成してログインするだけで、すぐに対象施設の10%割引が適用されます。そのため、Booking.comを一度でも利用する可能性があるなら、必ず会員登録してから予約すべきです。
レベル2やレベル3に達すると、割引率が上がるだけでなく、対象施設によっては「無料朝食」や「無料の客室アップグレード」といった非常に価値の高い特典が付いてくることがあります。これらは旅の満足度を格段に上げてくれる嬉しいポイントです。
さらに、レベル3では「優先サポート」も受けることができます。後ほど「マイナスな評判」の部分で詳しく触れますが、Booking.comはサポート体制についてネガティブな意見も見られます。この優先サポートが万が一のトラブルの際でも、ヘビーユーザーにとって価値を持つ可能性があります。
なぜ安い?お得な理由とは

「Booking.comは他のサイトと比べて安い」と感じることがよくありますが、これには主に3つの理由が考えられます。
圧倒的なグローバル規模と競争
第一に、その圧倒的な規模です。世界中の数千万件という膨大な数の施設が登録されているため、プラットフォーム内で施設間の自然な価格競争が常に起こっています。利用者はより安く、より条件の良い施設を選ぼうとするため、施設側も競争力のある価格を提示せざるを得ません。
Genius割引の自動適用
第二に、前述した「Genius」プログラムによる割引が非常に強力です。会員がログインした状態(特にレベル2以上)で検索すると、多くの施設が最初から10%~15%割引された価格で表示されます。これは、非会員が見ている価格や他のサイトの価格よりも単純に安くなる、直接的な理由です。
柔軟な料金設定(エージェンシーモデル)
第三に、ビジネスモデルの違いです。Booking.comは主に「エージェンシーモデル」を採用しています。これは、宿泊施設側が自ら在庫や料金を直接管理・設定する方式です。これにより、施設側が「週末だけ割引する」「直前で空室が出たから安くする」といったダイナミック・プライシング(動的価格設定)を柔軟に行いやすくなっています。
注意点:価格パリティ条項を巡る問題
ただ、注意点として、Booking.comは過去に宿泊施設に対し、自社サイトで提示する価格を他のどの予約サイト(やホテルの公式サイト)よりも安く、あるいは同等にするよう求める「価格パリティ(最良価格)条項」を契約に含めていたことが知られています。
この慣行は「市場の公正な競争を妨げる」として、特に欧州各国で独占禁止法違反の疑いで調査や訴訟の対象となり、多くの国で規制・修正されています。このため、「Booking.comが常に最安値であるとは限らない」という点は、利用者として理解しておくべき点でしょう。
豊富な宿と予約の使いやすさ

多くの旅行者がBooking.comを使い続けている最大の理由は、メリットがデメリットを上回ると感じているからに他なりません。特に「選択肢の多さ」と「アプリ(サイト)の使いやすさ」は、他のサービスと比較しても強みがあると感じます。
直感的な地図検索機能
私が海外の宿を探す際、最も多用するのが「地図表示」機能です。初めて訪れる都市では、地名だけ見ても土地勘がありません。「駅近」と書かれていても、実際にはどの駅なのか、主要な観光地からどれくらい離れているのかは、地図で見ないと分かりません。
Booking.comの地図検索は、PCでもアプリでも動作が非常にスムーズです。地図を拡大・縮小・移動させながら、そのエリアにある宿の料金相場やクチコミ評価がピンで表示され、直感的に「この辺りの立地で、この価格帯なら良さそうだ」と判断できます。立地を最重要視する私にとって、この機能は宿選びのストレスを大幅に軽減してくれます。
詳細な絞り込みフィルター
数千万件という膨大な選択肢は、そのままでは多すぎて選べません。そこで重要になるのが「検索フィルター(絞り込み機能)」です。
Booking.comのフィルターは非常に優秀で、旅の目的に合わせて細かく条件を設定できます。
便利な検索フィルターの例
- 価格帯、星評価(5つ星など)
- 施設タイプ(ホテル、アパートメント、B&B、ゲストハウスなど)
- 必須の設備(無料Wi-Fi、プール、キッチン、駐車場、エアコンなど)
- キャンセル条件(キャンセル無料のみ表示)
- クチコミスコア(例:「とても良い:8.0以上」のみ)
- 立地(中心地からの距離、特定の観光スポットからの距離)
- 支払い方法(現地決済、事前決済不要など)
例えば、「パリ中心部で、クチコミ8.5以上、キャンセル無料で、1泊2万円以下のアパートメント」といった、かなり具体的な要望でも瞬時に候補を絞り込めます。この絞り込み性能の高さが、効率的な宿探しを実現してくれています。
キャンセル無料プランの活用法
Booking.comが多くの旅行者(特に計画を重視するタイプ)から強く支持される理由の一つが、「直前までキャンセル無料」のプランが非常に豊富に揃っている点です。
海外旅行の計画は、数ヶ月前から立てることも多いですよね。しかし、仕事の都合、体調、あるいは現地の情勢など、予定がどう変わるか分からないという不安は常につきまといます。そんな時、とりあえず「キャンセル無料」のプランで良さそうな宿を確保しておけるのは、精神的な安心感が非常に大きいです。
「キャンセル無料」プランの活用例
- 旅行の3ヶ月前に、立地は良いが少し高めのAホテル(キャンセル無料)をひとまず予約。
- 旅行の1ヶ月前に、同じエリアでBホテルがセールを開始(返金不可だが格安)を発見。
- Bホテルを新たに予約し、予定が確定したのでAホテルはペナルティなしでキャンセルする。
このように、「保険」として宿を押さえつつ、より良い条件の宿を探し続けることができます。
予約確定前の最終確認
ただし、Booking.comには「事前決済・返金不可(ノーリファンド)」のプランも数多く混在しています。これらはキャンセル無料プランより安いことが多いですが、文字通り、一度予約すると変更が一切効きません。
予約を確定する最後の画面で、「キャンセルポリシー」(いつまで無料で、いつから料金が発生するか)と「支払い方法」(事前決済か現地払いか)を、必ず目視で、指差し確認するくらいの意識で習慣づけることが非常に重要です。ここを見落とすと、後の返金トラブルの原因になります。
利用者の口コミ・レビュー

ここでは、実際にBooking.comを利用した方の口コミの一部を紹介します。
Trustpilotの口コミ・レビュー
久しぶりの海外旅行でしたが、豊富な情報が母国語でも入手でき、突然の変更にも柔軟に対応していただきました。お陰でとても楽しく有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
Tさん 【出典:Trustpilot レビュー】
予約確定しても他に安くて立地のいい場所があった時、無料期間中なら即座にキャンセルできるのがありがたい。
Nさん 【出典:Trustpilot レビュー】
簡単な操作で予約をとる事が出来ました。
Booking.comでの予約は2度目でした。
今後も利用したいと思います。
有難う御座いました。Lさん 【出典:Trustpilot レビュー】
疑問点への質問に対する回答(by mail)が迅速であり的確であった。具体例として
1)海外の空港からホテルまでの送迎対応
(時間指定が明確でなかったので確認したところ、
短時間の返事があり安心した)
2)ホテル予約の確認表示が解り易いAさん 【出典:Trustpilot レビュー】
初めてこのサイトから予約をしました。海外のホテル予約も非常に分かりやすく、細かな要望まで取り入れて予約が完了しました。また利用したいです。
Jさん 【出典:Trustpilot レビュー】
安宿はここが一番多く掲載されています。並べ替えのチェックは固定して欲しい。毎回手間がかかる。また地図へのブックマークも残して位置情報など比較できる様にして欲しい。予約は今まで何ら問題はない
Sさん 【出典:Trustpilot レビュー】
Google Playの口コミ・レビュー
見やすいし探しやすい。なんと言っても簡単で早い。特典グレードアップも助かっています。
Gさん 【出典:Google Play 口コミ】
旅人には必須のアプリ!毎回使ってます。他のサイトより検索しやすい、料金もわかりやすい、長く使ってると割り引きもあってお得です。 使用者も多いので、口コミを良く見て参考にしています、口コミが良いホテルは国内でも海外でもだいたい良いホテルです。
Tさん 【出典:Google Play 口コミ】
急な宿泊が発生した場合に、目印のスポットや駅の最寄りの宿泊施設を探す際に重宝しています。 料金や、必要な設備の有無で絞り込んで検索できるのはもちろん、候補が少ない場合に、絞り込みから削除する項目も提案されるため、助かっています。 また、検索の際、一覧が表示されるだけではなく、表示形式を地図に変更できるため、目的地以外の候補を探す際に、距離感が分かる点でも助かっています。
Tさん 【出典:Google Play 口コミ】
英語苦手、英検三級レベルのわたしが、海外一人旅行の際に使いました。ぼったくりもなくかなり、いいホテルに泊まれてます。しかし、ホテルからのメッセージはもちろん英語になっております。英語のレベルは私でもわかるレベルです。 ぜひ、一人旅のひとはつかってください。 宿泊先では宿泊料とは別に観光税がかかり、それは、チェックアウト時にはいりません。ほとんどのホテルはビザかマスターカードではらえました。
Gさん 【出典:Google Play 口コミ】
とにかく楽で、レビュー件数も多いため、大きく外すことはない。 価格の比較もしっかりしているし、よっぽどの見落としがない限り失敗しない。 キャンセルもボタン一つで無料でできるところが多いため安心、それも事前に確認できる。 予定が立ちにくいぶらり一人旅には必須のアプリです、これからもお世話になります。
Gさん 【出典:Google Play 口コミ】
ネット予約制のアプリ。 手続きもスゴく簡単です。 前払い不要(現地支払い)の格安ホテルを紹介してくれます。日によっては1000円しないところもあります。 私は未だにクレジットカードを持ってないので、前払い(クレジット決済)しなくて済むこのアプリには助かってます。 文句なしの最良アプリです。
Gさん 【出典:Google Play 口コミ】
予約のキャンセル無料が多いのでスケジュールに合わせて変更がやりやすい。 支払ったあともキャンセルできるホテルが多く、予定変更しやすい。そしてキャンセル分がクレジットカードで支払った後に返金されているかどうかも確認できるので安心感がある。
Kさん 【出典:Google Play 口コミ】
場所、Wi-Fi 、禁煙部屋など条件をつけると格安で便利なホテルを絞ってくれるので、選びやすく、ホテルを予約する際にはいつも利用しています。 今まで選んだホテルは、すべて居心地良かったです! それに予約したホテルの確認がアプリで簡単にできるので 便利だし、安心できます。
Aさん 【出典:Google Play 口コミ】
Xの口コミ・レビュー
Booking.comの安全性は大丈夫?評判・口コミとトラブル対策

これまではBooking.comのメリットを中心に見てきましたが、ここからは他社との比較や知っておくべき注意点についても掘り下げていきます。ネット上で目にする不安な評判や口コミの真相と、万が一のトラブルを避け、私たちが安全に利用するための具体的な対策について詳しく解説します。
Agodaや楽天とどっちがいい?
「結局、どの予約サイトが一番いいの?」という疑問は、多くの方が常々感じているでしょう。ここでは国内の宿泊サービスで代表的な楽天トラベルやAgoda(アゴダ)と比較してみます。
個人的な結論としては、「旅先と目的によって使い分ける」のが一番賢い選択だと言えるでしょう。
| 予約サイト | 強み(エリア) | ポイント・特典 | 決済・ビジネスモデル |
|---|---|---|---|
| Booking.com | 全世界(特に欧米) 掲載数が圧倒的 | Genius特典 (割引・アップグレード) | エージェンシーモデルが主体 (現地決済・キャンセル無料が豊富) |
| Agoda | アジア圏(特に東南アジア) 価格競争力が高い | Agodaキャッシュ、クーポン配布 | マーチャントモデルが主体 (事前決済での格安プランが多い) |
| 楽天トラベル | 日本国内 (旅館・温泉に強い) | 楽天ポイント (貯まる・使える) | 国内宿のセットプラン 独自のクーポンが豊富 |
この表のBooking.comとAgodaのビジネスモデルの違いは以下のようになります。
Booking.com(エージェンシーモデル)
主に「仲介」です。私たちは宿泊施設と直接契約し、Booking.comは仲介手数料を受け取ります。そのため「現地決済」が多くなります。
Agoda(マーチャントモデル)
主に「販売」です。Agodaが宿泊枠を一度買い取り(または管理し)、それを私たちに「販売」します。そのため「事前決済」が多くなり、Agodaが価格をコントロールしやすいため格安プランが出やすい傾向があります。
この違いは、トラブル発生時の責任の所在にも影響します。「仲介」のBooking.comは「ホテルと交渉してください」となりやすく、「販売」のAgodaはAgoda自身が対応(返金など)の窓口になりやすい、という傾向の違いがあります。
以上の点を踏まえて、以下のように使い分けることもできます。
シーン別・予約サイト使い分け
- 日本国内の旅行(特に温泉旅館)で楽天ポイントを貯めたい・使いたい
→ 楽天トラベル - 東南アジア(タイ、ベトナム、台湾など)で、価格重視で格安ホテルを探したい
→ Agoda - ヨーロッパやアメリカへの旅行、または予定変更の可能性がある柔軟な予約がしたい
→ Booking.com
Booking.comの安全性は大丈夫か

次に、根本的な疑問である「Booking.comは安全なサイトなのか」という点についてです。
結論から言うと、Booking.comというプラットフォーム(ウェブサイトやアプリ)自体が、情報を盗むために作られた詐欺サイトだということは決してありません。
サイト全体の通信はSSL(暗号化通信)で保護されていますし、クレジットカード情報の取り扱いも世界的なセキュリティ基準(PCI DSS)に準拠して運用されています。プラットフォームとしての技術的な安全性は確保されています。
では、なぜ「危険」という評判が後を絶たないのでしょうか?
問題は、Booking.com本体ではなく、「Booking.comに登録している一部の宿泊施設」や「その宿泊施設を狙う外部からのサイバー攻撃」に起因するケースがほとんどです。
Booking.comは数百万もの施設や利用者が関わる巨大なシステムであるため、どうしてもその隙を突いた悪意のある第三者によるトラブルが発生してしまう、というのが実情のようです。
アカウント保護(2段階認証)の重要性
私たち利用者がまず行うべき最も簡単で強力な自衛策が、「2段階認証」を有効にすることです。
これは、ログイン時にパスワードに加えて、スマートフォンに送られてくる確認コードの入力を必須にする機能です。万が一、他のサービスから流出したパスワードで不正ログインを試みられても、2段階認証さえ設定していれば、アカウントの乗っ取りをほぼ確実に防ぐことができます。Booking.comのアカウント設定から簡単に有効化できるので、必ず設定しておきましょう。
「ひどい」などの評判・口コミ

「ひどい」「詐欺」といった強い言葉で語られる評判や口コミには、主に以下のような具体的な背景があります。
ネガティブな評判・口コミの主な原因
- フィッシング詐欺の多発
これが現在でも深刻かつ現実的な問題です。2023年以降、被害が世界的に拡大し、日本でも観光庁が公式に注意喚起を行うという事例にも発展しました。(出典:観光庁「Booking.com利用者へのフィッシング被害に関する注意喚起」) 手口は後述しますが、非常に巧妙です。 - カスタマーサポートの問題
「緊急時に電話が全く繋がらない」「返金トラブルでホテル側とサポート側でたらい回しにされた」といった、サポート体制への根強い不満の声です。 - 予約・掲載トラブル(稀なケース)
ごく稀なケースですが、「予約したのに現地に行ったらオーバーブッキング(二重予約)だった」「(過去に)実在しない架空のホテルが掲載されていた」といった報告もゼロではありません。
これらの評判は、残念ながら「全くのデマではない」と言えます。特にフィッシング詐欺とサポートの問題は、多くの利用者が直面する可能性のある現実的なリスクです。重要なのは、こうしたリスクが存在することを正確に認識し、事前に対策を知っておくことです。
フィッシング詐欺の手口と対策

前述したBooking.comで注意すべき「フィッシング詐欺」は、従来の「怪しいメールアドレスから届く」といった分かりやすいものではありません。近年では巧妙な手口(サプライチェーン攻撃)などが使われています。
現在多発しているフィッシング詐欺の主な手口
- 攻撃者が、まずターゲットとする宿泊施設(ホテル)のスタッフに偽のメール(例:「宿泊客からの特別なリクエスト」など)を送り、PCを情報窃取型マルウェアに感染させます。
- マルウェアが、ホテルスタッフのPCに保存されている「Booking.comの管理システム用IDとパスワード」を盗み出し、攻撃者に送信します。
- 攻撃者は、盗んだ正規のIDとパスワードを使い、ホテルになりすまして「Booking.comの正規の管理システム」に不正ログインします。
- 正規の管理システムから、そのホテルを予約している本物の利用者(私たち)に対し、「Booking.comの公式アプリ内のチャット」を使ってフィッシングメッセージを送信します。
- メッセージ内容は「予約の確認のため」「登録したクレジットカードに問題があった」などの巧妙な口実で、「24時間以内にこのリンクから情報を再入力しないと予約は自動的にキャンセルされます」と不安を煽り、偽の決済サイトへ誘導します。
この手口の本当に恐ろしい点は、「公式アプリ」の「予約したホテル名」から「正規のチャット機能」を使って詐欺メッセージが届くことです。これは利用者にとって最も信頼している経路であり、疑うことが非常に困難です。
この攻撃に対する、私たち利用者の対処法は以下の通りです。
【具体的な対処法】
- Booking.comの公式チャット経由であっても、支払い情報(クレジットカード番号など)を要求するリンクや、ログインを要求するリンクは100%詐欺だと断定し、絶対にクリックしないこと。
- Booking.comが、チャット経由でカード情報の確認や更新を要求することは絶対にありません。
- 支払いやカード情報の更新は、必ずBooking.comの公式サイトやアプリの「予約管理ページ」から自分で行うこと。
- 万が一、このような脅迫的なメッセージが届いたら、アプリ内で応答したりリンクを踏んだりするのではなく、まずはBooking.comの公式カスタマーサポートに(アプリのヘルプ経由で)連絡してください。または、Google検索などで見つけたホテルの「公式電話番号」に直接電話し、そのようなメッセージを送った事実があるか確認してください。
- アカウントの「2段階認証」は必ず設定しておきましょう。これが、万が一自分のパスワードが漏れた際の最後の砦となります。
万が一被害に遭ってしまったら
もし、うっかりリンク先のサイトでクレジットカード情報を入力してしまった場合は、被害に気づいた時点(またはカード会社から不正利用の通知が来た時点)で、直ちにクレジットカード会社に連絡してください。カードの利用を緊急停止してもらい、不正利用された分の支払いについて「チャージバック(支払い異議申し立て)」が可能か相談しましょう。
キャンセルや返金トラブルの対策
次に多いトラブルが「キャンセルしたのに返金されない」「返金処理でたらい回しにされた」という問題です。これは非常にストレスがかかる事態です。
この原因の多くは、利用者側の「キャンセルポリシーの見落とし」と、前述したBooking.comの「決済システムの複雑さ(エージェンシーモデル)」にあります。
「返金不可」プランのリスク
最も多い原因がこれです。「キャンセル無料」プランより数千円安いから、という理由で「返金不可(ノーリファンド)」のプランを安易に選んでしまうケースです。このプランは、文字通り、予約が確定した瞬間から、いかなる理由(病気、フライトキャンセル、等)があっても、原則として一切返金されません。このルールを理解せずに後からキャンセルを試みても、返金は絶望的です。予約確定前に、このリスクを許容できるか真剣に考える必要があります。
「現地決済」と「事前決済」の違い
「現地決済」プランを選んでおけば、Booking.com側での金銭のやり取りが(予約保証のための与信枠確保を除き)最小限になるため、プラットフォームとの返金トラブルのリスクは低減します。ただし、「現地決済」であっても、予約保証のためにクレジットカード情報の入力を求められることが多く、この情報がフィッシング詐欺の標的になるリスクは依然として存在します。
「事前決済」の場合は、いつ、誰(Booking.comか、宿泊施設か、あるいは提携決済代行会社か)によって引き落とされるのかを、予約内容の確認メールでしっかり把握しておくことが重要です。
交渉時の証拠保全
万が一、ホテル側やBooking.com側と返金や予約内容の変更について交渉が必要になった場合は、絶対に電話だけで済ませてはいけません。「言った・言わない」の水掛け論になるのを防ぐため、必ず記録が残る方法(Booking.comのチャット機能や、公式サポート経由のメール)でやり取りしてください。全ての交渉履歴をスクリーンショットやPDFで保存しておくことが、自分を守る最大の武器となります。
返金トラブルを避けるための予約
- 【最重要】予約確定前に「キャンセルポリシー」を確認する。「返金不可」のリスクを理解する。
- 「支払い方法」(現地決済か事前決済か)を明確に認識する。
- トラブル時は、必ずチャットやメールなど「証拠が残る」手段で交渉する。
もし、ホテル側もBooking.com側も合理的理由なく対応してくれない悪質なケースに陥ってしまった場合は、最終手段としてクレジットカード会社に相談し、「チャージバック(支払い異議申し立て)」を申請することも検討してください。
海外での決済や返金プロセスは、国内での常識と異なることもあります。Wiseのような海外決済に特化したデビットカードを併用するなど、メインのクレジットカードが使えなくなるリスクを分散しておくことも、賢明な海外旅行の準備と言えるでしょう。
Wiseについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

電話が繋らない時にできる対策

「緊急時にカスタマーサポートの電話が繋がらない」という評判も、残念ながらよく耳にします。特に繁忙期(夏休みや年末年始)や、世界的なトラブル(例:コロナ禍のようなパンデミック)が発生した際は、世界中からの問い合わせが殺到し、サポート窓口がパンク状態になりやすいようです。
これに対する根本的な解決策は難しいですが、以下の対策を知っておくだけで、慌てずに対処できる可能性が高まります。
チャットやメールサポートの活用
電話が繋がらない場合は、他の手段を試しましょう。Booking.comのヘルプセンターには、電話だけでなく、アプリ内のチャットサポートやメールでの問い合わせフォームもあります。AIチャットボットで解決しない場合も、根気よくオペレーターに繋がるよう試みてください。緊急度は高いが今すぐの解決を要しない(例:数日後の予約の返金交渉など)場合は、電話に固執せず、記録が残るメールやチャットでの連絡に切り替えるのが賢明です。
Geniusレベル3の優先サポート
前述の通り、Geniusレベル3になると「優先サポート」の特典が付きます。これがどれほどの効果があるかは、正直なところ私自身がレベル3ではないため未知数ですが、一般の窓口よりは繋がりやすい専用回線が用意されている可能性が高いです。頻繁に利用するヘビーユーザーにとっては、この特典こそが最大のメリットになるかもしれません。
ホテルへの直接連絡(推奨)
最も現実的かつ迅速な解決策となることが多いのがこれです。
「今からチェックインが2時間遅れそう」「空港からホテルまでの行き方を確認したい」「部屋の設備について(ベビーベッドなど)最終確認したい」といった、予約の根幹に関わらない緊急の連絡や確認事項であれば、Booking.comのサポートを介さず、ホテルに直接電話やメールをした方が圧倒的に早いです。
予約確認書やアプリの予約詳細画面には、必ず宿泊施設の電話番号や連絡先が記載されています。その連絡先を事前に控えておくか、すぐにアクセスできるようにしておきましょう。
総括:Booking.comの評判・口コミと安全性
最後に、Booking.comの評判全体について結論をまとめます。
Booking.comは、「圧倒的な掲載数(選択肢の多さ)」「Geniusプログラムによる割引特典」「キャンセル無料プランの柔軟性」という、他の追随を許さない強力なメリットを持つ、非常に優れたプラットフォームです。
一方で、その巨大さとビジネスモデル(仲介)ゆえに、「悪質な第三者によるフィッシング詐欺のリスク」や「万が一の際のサポート体制への不安」といった、利用者として絶対に無視できないデメリットも抱えています。
こうした良い評判も悪い評判もすべて踏まえた上で、Booking.comは「リスクを正しく理解し賢く使えば、海外旅行の最強のパートナーになるツール」だと言えます。
Booking.comを安全に、そして最大限に活用するための予約術は、この記事で何度も繰り返してきた以下の3点に尽きます。
Booking.comで安全な予約をするためのポイント
- アカウントの「2段階認証」を必ず設定する。
(不正ログインに対する最強の防御です) - 公式チャット経由でも、決済やログインを促す「リンク」は絶対に踏まない。
(100%詐欺と断定する意識を持つこと) - 予約確定ボタンを押す直前に、「キャンセルポリシー」と「支払い方法」を確認する。
(特に「返金不可」の文字を見落とさないこと)
これらの基本的な防御策さえ怠らなければ、Booking.comが提供してくれる「世界中の膨大な宿から自由に選べる」という、旅の素晴らしい恩恵を安全に享受できるはずです。





