英語と日本語の違いを解説|文法・発音・文化を具体例で比較

英語と日本語の違いを解説|文法・発音・文化を具体例で比較

英語の単語はわかるのに、文章になると意味をつかむのが難しい。日本語なら自然に言えることが、英語ではなかなか口から出てこない。その背景には、語順だけでなく、主語の扱い、音の区切り方、単語が受け持つ意味の違いがあります。私自身も、英語と日本語では特徴が大きく異なるため、学び始めたころはハードルを感じました。だからこそ、両者の主な違いを大まかにでも押さえておくことは、英語を学ぶうえで役に立つと考えています。英語と日本語の違いは、同じ出来事を伝えるときに、何を言葉にして、どの順番で、どの音に乗せるかに表れます。この記事では、身近な例文から文法・発音・表現を比べ、学習に生かす方法まで解説していきます。

記事のポイント
  • 語順・主語・冠詞など文法の主な違い
  • 発音・アクセント・文字の仕組み
  • 単語・敬語・文化に関わる表現の具体例
  • 違いを踏まえて英語に慣れる学習方法

また、日本と海外については以下の記事でも解説しています。

目次

英語と日本語の違いを文法や発音で比較

基礎的な英語を楽しく学習している日本人女性の様子

まずは、文の組み立てと音の仕組みから見ていきます。細かな用語を一度に覚える必要はありません。日本語で自然に行っていることのうち、英語ではどこを変える必要があるのか、具体例と一緒に確かめてください。

主な違いがわかる比較一覧

英語と日本語を簡単に比べるなら、次の項目が出発点です。英語は語順や冠詞などで関係を表す場面が多く、日本語は助詞や文末の形を活用します。どちらにも文脈に任せる部分があり、表現できる内容に優劣があるわけではありません。

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比較する点英語日本語
基本語順主語・動詞・目的語のSVO主語・目的語・動詞のSOV
主語標準的な平叙文では明示が基本文脈からわかれば省くことが多い
名詞の情報冠詞や単数・複数の区別を使う同じ冠詞体系はなく、数は必要に応じて示す
場所などの関係in、onなどを名詞句の前に置く「に」「で」などを名詞の後ろに置く
名詞を説明する節関係節は通常、名詞の後ろ連体修飾節は名詞の前
発音とリズム音節と強勢、音の弱化が重要拍と高低アクセントが重要
文字アルファベットを中心に表記漢字・ひらがな・カタカナを併用
丁寧さ依頼の形、呼称、語調などで調整敬語の語彙や語尾などで調整

これは代表的な傾向を比べたものです。例えば英語にも主語を省く会話表現があり、日本語にも数を明確にする表現があります。基本をつかんだうえで、どの場面に当てはまるのかを見ると理解が深まるでしょう。

文の語順や組み立て方

目的語を取る基本的な文では、英語は動詞が目的語の前に、日本語は後ろに来ます。「私は音楽を聴く」なら、日本語では「私は/音楽を/聴く」。英語の「I listen to music.」では、動作を先に示してから、聴く対象を続けます。

SVOとSOVをより直接的に比べる例は、「ユキが本を読む」と「Yuki reads books.」です。主語をS、動詞をV、目的語をOと呼ぶため、日本語はSOV、英語はSVOと表されます。この分類は、言語の構造を比較する研究資料でも用いられています。
(出典:WALS Online「Order of Subject, Object and Verb」

語順の役割は、「The dog chased the cat.」と「The cat chased the dog.」を比べると明確です。前者は犬が猫を追い、後者は猫が犬を追っています。名詞の位置が入れ替わると、追う側も変わるわけです。

日本語なら「犬が猫を追った」「猫を犬が追った」のどちらでも、追うのは犬。「が」「を」が役割を示すためです。ただし、並べ替えると何を目立たせるかや文章の自然さが変わります。語順を自由に入れ替えてよい、という意味ではありません。

場所や手段にも違いがあります。「学校に」はto school、「電車で」はby trainのように、英語の前置詞は名詞句の前、日本語の助詞は名詞の後ろに置くのが基本。ただし、「に」を常にtoに置き換えることはできません。時刻を示すat、場所を示すinなど、表したい関係に応じて選びます。

SVOだけで英語の全文章を説明することはできません。「Birds fly.」は主語と動詞のSV、「She is kind.」は状態を説明するSVCです。日本語にも「寒い」「学生です」のような文があり、すべてに目的語があるわけではありません。

主語の省略と話題の示し方

「It is raining.」という例文を用い、英語では文法上「It」で埋める必要があるが、日本語では共有されている状況は言わない(省略する)ことを示す図

日本語では「もう食べた?」「うん、食べた」と話しても、誰が何を食べたかを文脈から理解できます。主語だけでなく目的語も、相手に伝わると見込める場合は言わずに済ませることが多い言語です。

標準的な英語の平叙文では、主語を明示するのが基本。「雨が降っている」も「It is raining.」と表します。このitは特定の人や物を指しているのではなく、文法上の主語の位置を埋めています。英語の主語をいつでも「行動した人」と考えると、このような文がわかりにくくなるでしょう。

とはいえ、英語の会話でも「Sounds good.」「Want some tea?」のような省略はあります。命令文の「Come in.」でも通常はyouを言いません。違うのは省略の有無ではなく、省略できる条件や使われる場面です。
(出典:British Council「Ellipsis」

もう一つ押さえたいのが、日本語の「は」です。「この本は、昨日読んだ」の「この本」は、読む人ではなく読む対象を話題にしています。英語にするなら「I read this book yesterday.」などと、誰が読んだのかを補って表現します。「は」の付いた言葉をそのまま英語の主語にする、という変換はできないのです。

冠詞・複数形と数え方

英語では名詞(camera)に対して「a」「the」「-s」といった「数」と「特定」のタグ付けをする必要があるが、日本語では「カメラ」という一つの単語で柔軟に対応することを示す図

英語の名詞を使うときには、数えられるものとして扱うか、一つか複数か、相手が対象を特定できるかを考える必要があります。日本語の「本を買った」だけでは表に出ない情報が、英語ではa book、books、the bookなどの選択に関わります。

例えば「I bought a camera.」でカメラを買った話を始め、続けて「The camera is small.」と、そのカメラについて説明できます。a/anは単数の可算名詞に使い、theは聞き手が対象を特定できる場合などに使う冠詞です。

ただし、「最初に出たらa、二度目ならthe」とだけ覚えると行き詰まります。同じ部屋で窓を指しながら「Could you close the window?」と言えば、初めて話題に出す窓でも、どれを指すか共有できるためtheが使えます。反対に、名詞にいつでも冠詞が付くわけではなく、「I like music.」のmusicのように冠詞を使わない場合もあります。

単数・複数も、日本語にはない発想というより、示し方が違うと考えるとわかりやすいでしょう。日本語の「鳥」は一羽でも複数でも使えますが、必要なら「二羽の鳥」「鳥の群れ」と数やまとまりを伝えられます。「人々」「私たち」のような表現もあるため、「日本語では複数を表せない」は誤解です。

また、英語のadviceやinformationは通常、数えられない名詞として扱います。助言を一つと言いたければ「a piece of advice」という表現に。物理的に個数を数えられそうかどうかだけでは、英語の可算・不可算は決まりません。

日本語の「二本のペン」は英語ではtwo pensと表せますが、英語にも「two sheets of paper」「a pair of socks」のような単位表現があります。日本語の助数詞とまったく同じ体系ではないものの、数量を伝える工夫は両方にあるのです。

時制と動詞の形の違い

日本語の「〜ている」が、英語では「知っている(状態)」「走っている(進行中)」「住んでいる(継続)」のように、状況に応じて3つの形に分割されることを示す図

動詞の形では、英語は「I work.」「She works.」のように主語の人称や数に応じて変化する場合があります。日本語では「私は働く」「彼女は働く」と、主語が変わっても同じ「働く」です。その代わり、「働かない」「働きました」など、否定・丁寧さ・時間に関わる形を使い分けます。

日本語の「食べる」は、現在の習慣にも未来の予定にも使えます。「毎朝食べる」「明日食べる」の違いは、時間を表す言葉から読み取れるでしょう。英語では現在形・過去形に加え、will、be going to、現在進行形などを使って、予測や予定も表します。

特に注意したいのは、日本語の「〜ている」をすべて英語の進行形にしないことです。同じ語尾でも、動作の途中なのか、状態なのか、結果が続いているのかが異なります。

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日本語自然な英語の例表していること
今、走っているI am running now.進行中の動作
彼を知っているI know him.知識としての状態
窓が開いているThe window is open.開いた状態
ここに三年間住んでいるI have lived here for three years.過去から現在までの継続

「英語には12時制、日本語には2時制」と紹介されることもありますが、時間の区別と、進行・完了などの区別を異なる基準で数えている場合があります。数の多さを比べるより、「この場面で何を伝える形なのか」を例文でつかむほうが実用的です。

疑問文と否定疑問文の答え方

「Don't you drink coffee?」という否定疑問文に対し、英語では「絶対的な事実(Coffee = 0)」に直結させて「No, I don't.」と答えることを示す図

日本語は「音楽が好きです」に「か」を加えると質問になります。会話では「音楽が好き?」と語調で質問にすることもありますね。英語では「Do you like music?」のように助動詞を置いたり、「Are you busy?」のようにbe動詞を主語の前に出したりするのが基本です。

疑問詞も、日本語の「どこに住んでいますか」に対して、英語は「Where do you live?」と文の前に置きます。ただし、「Who called?」のようにwho自体が主語なら、doを加える必要はありません。決まりを一つ覚えたら、代表的な別の形も見ておくと混乱が減ります。

日英の違いが会話に表れやすいのが、否定疑問文への返答です。「Don’t you drink coffee?」と尋ねられた場面を考えてみてください。英語の基本的な答え方は次のとおりです。

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伝えたい事実英語の返答
コーヒーを飲むYes, I do.
コーヒーを飲まないNo, I don’t.

日本語なら「はい、飲みません」と、相手の「飲まない」という内容を認める答え方が可能です。しかし、その「はい」を機械的にYesにすると、意図と反対に伝わることがあります。YesかNoだけで止めず、I doやI don’tまで続けると、自分の意味を明確にできます。

なお、日本語の返答も、質問の意図や口調によって変わります。「日本語と英語では必ず逆になる」と丸暗記するより、返答する文が肯定なのか否定なのかに注目しましょう。

修飾語と説明を加える位置

英語は「a small cafe」というコアを先に出し、「near the station」と後ろから説明を加えるのに対し、日本語は「駅の近くにある」と前から修飾することを示す図

「昨日買った本」は、まず「昨日買った」と説明し、その後に中心となる名詞「本」を置いています。英語の「the book that I bought yesterday」は、先にthe bookを示し、その後からどの本なのか説明する形です。

この違いは、長い文章を読むときほど効いてきます。英語を見ながら日本語の順番に並べ直そうとすると、後ろまで読んでから先頭に戻る作業が増えます。そこで、英語では「本が出てきた」「その本は昨日買ったものだ」と、出てきた順に意味を受け取る練習が役立つでしょう。

  • 日本語:駅の近くにある/小さなカフェ
  • 英語:a small cafe/near the station

英語では「小さなカフェ」を思い浮かべてから、「駅の近く」という情報を加えられます。ここでの区切りは、意味をつかむ練習用です。

ただし、「英語は何でも後ろから説明する」というわけではありません。「赤い車」と「a red car」のように、短い形容詞が名詞の前に来る形は共通しています。日本語を丸ごと逆順にするのではなく、名詞や動詞を中心とするまとまりで考えることが大切です。

母音・子音とカタカナ発音

英語の「strike」は1つの音の塊(1音節)であるのに対し、日本語の「ストライク」は5つの拍(5モーラ)となり、見えない母音「ウ」「オ」が追加されることを示す図

日本語共通語は、基本的に「あ・い・う・え・お」の5母音体系です。これは意味を区別する音の分類で、実際の発音が五通りしかないという意味ではありません。また、地域の言葉まで含めると母音の体系は異なります。
(出典:国立国語研究所「日本語の母音は本当に五つしかないのですか」

英語には、日本語では同じ音にまとめて聞こえやすい母音の区別があります。例えばshipとsheep、capとcup。カタカナで似た読み方になる単語でも、英語では別の語として聞き分ける必要があります。母音の違いには長さだけでなく、舌の位置や口の開き方も関わります。

英語の母音数を「必ず20個」などと一つに固定できないのは、アメリカ英語・イギリス英語などの発音差や、二重母音の数え方があるためです。学習では総数を暗記するより、使う教材の音声を基準に、区別しにくい組み合わせを確かめていきましょう。

子音ではlightとrightの/l/と/r/が代表例。日本語のラ行子音は、そのままどちらか一方に当てはまる音ではありません。また、thinkとthisのthも同じ音ではなく、仮名だけで区別を表すには限界があります。

さらに英語では、子音の連続や子音で終わる音節がよく現れます。英語のstrikeは通常1音節ですが、日本語の「ストライク」は「ス・ト・ラ・イ・ク」の5拍です。カタカナ語の感覚で読むと、元の英語にない母音が入り、音のまとまりが変わってしまいます。

カタカナは意味を覚える手掛かりにはなりますが、発音の完成形にはできません。音声と口の動きを確認し、語末の子音の後に余分な「ウ」「オ」などを足していないか聞いてみてください。

アクセントとリズムの違い

英語は伝えたい情報だけが目立つ強弱のリズムを持つのに対し、日本語は1拍ずつ同じ長さの均等なリズムを持つことを示す図

日本語と英語では、音のどこに注意を向けるかも変わります。日本語共通語のアクセントでは音の高低や下がり目が重要で、英語では単語の中の特定の音節を目立たせる「強勢」が重要です。強勢は音量だけでなく、長さ、音の高さ、母音の響きにも関わります。

日本語のリズムを考える基本単位は「拍」、別名モーラです。「きゃ」は1拍、「がっこう」は「が・っ・こ・う」の4拍。「っ」「ん」や長音の後半も一つの拍として数えます。音節とは異なる単位なので、「日本語は一音節ずつ同じ長さで読む」と説明すると混同が起こります。
(出典:東京外国語大学言語モジュール「拍感覚基礎」

英語の文章では、伝えたい内容や対比する語が目立ち、冠詞や前置詞などが短く軽く発音されることがあります。すべての語を辞書の見出しどおりにはっきり読み上げた音声と、自然な会話が違って聞こえる理由の一つです。

例えば「I wanted a blue bag.」でも、blueを目立たせれば「欲しかったのは青いものだ」という対比を伝えられます。語の並びだけでなく、どこを目立たせるかも意味に関係するわけです。単語同士が続くことで、音の連結・同化・脱落が起きる場合もあります。

英語は強勢拍、日本語はモーラ拍のリズムと説明されますが、実際の発話が機械のように等間隔になるわけではありません。日本語にも感情を伝える抑揚があり、アクセントには地域差もあります。学習では「英語らしく大げさに読む」ことより、見本の音声の長短や区切りを丁寧に聞くことを意識しましょう。

文字・表記とスペルの違い

英語は26文字のアルファベットを使い綴りと音が1対1ではないのに対し、日本語はひらがな・カタカナ・漢字の3つのツールを使い分け、見たまま発音できることを示す図

英語は26文字のアルファベットを中心に書き、日本語は漢字・ひらがな・カタカナを組み合わせます。英語の26文字には大文字と小文字の形がありますが、文字が26種類だから音も26種類ということではありません。

日本語の仮名は音との対応が比較的規則的です。ただし、助詞の「は」「へ」の読み方などに注意が必要で、漢字には複数の読みがあります。「生」を含む「学生」「生きる」「生もの」を見ても、日本語全体を一文字一音では説明できないことがわかるでしょう。

英語も綴りと発音が一対一に対応するわけではありません。例えばreadは、現在形では/riːd/、過去形では/red/と発音します。同じ綴りを見ても、文脈によって読み方を選ぶ必要があるのです。

文章の見た目にも違いがあります。英語は通常、単語の間に空白を入れ、文頭や固有名詞に大文字を使います。日本語は一般に分かち書きをせず、漢字と仮名の使い分けなどが、語のまとまりを読み取る助けになります。

ローマ字についても区別しておきましょう。ローマ字は日本語をアルファベットで表す方法であり、英語の読み方を示すものではありません。日本語のローマ字読みをそのまま英単語に当てはめず、綴りと音を一緒に覚えることが大切です。

英語と日本語での文化の違いを深堀り

ビジネスシーンにおける、日本と欧米のマナーの違いを示す文化的なコミュニケーションの様子

文法や発音の違いは、実際の会話にもつながっています。ここからは、単語の意味、敬語、文化との関係を身近な例で比べていきます。そのうえで、違いを知っただけで終わらせず、英語を聞く・読む・使う練習へつなげる方法を見ていきましょう。

単語の意味がずれる面白い具体例

英語と日本語の単語は、辞書で対応していても、意味の範囲がぴったり重なるとは限りません。一つの日本語を複数の英語で使い分ける場合もあれば、日本語で分けているものを一つの英語で表せる場合もあります。

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日本語英語の例違いを見るポイント
見るsee / look at / watch見える、視線を向ける、見続けるなどで選ぶ
聞くhear / listen to / ask音が聞こえる、耳を傾ける、質問するを区別
着る・履く・かぶるwear / put on着用した状態か、身に着ける動作かが重要
兄・弟brother必要ならolder / youngerを加える
青信号green light慣用的な色の呼び方が異なる

例えば「帽子をかぶっている」は「She is wearing a hat.」、「帽子をかぶって」と促すなら「Put on your hat.」です。日本語では体のどこに着けるかによって「着る」「履く」「かぶる」を選びますが、英語では同じ動詞で表せる場面があります。

一方、「駅への行き方を聞く」の「聞く」はaskを使う内容です。日本語の単語だけを見てhearに置き換えても、質問するという意図にはなりません。単語を選ぶときは、日本語の見出し語より、目の前で起きている行動や状態を考えると使い分けやすくなります。

「青信号」がgreen lightになることも面白い違いでしょう。ただし、日本語話者が青と緑を見分けていないという意味ではありません。色の呼び方の慣習と、目で色を見分ける能力は別の話です。

英語のbrotherも、兄か弟かわからない言葉だから不便だと決めつける必要はありません。年齢関係が重要ならolder brotherなどと補えます。どの情報を一語の中に含め、どの情報を必要なときに加えるかが違うのです。

オノマトペと和製英語の注意点

日本語のオノマトペ「どきどきする」は英語では動詞や文全体で表現すること、カタカナ語の「マンション」は英語の豪邸とは意味が異なることを示す図

日本語には「雨がざあざあ降る」「星がきらきら光る」「胸がどきどきする」のように、音や状態を生き生きと伝える表現があります。実際の音を表す擬音語に加え、音を伴わない様子や感覚を表す擬態語も、日常的に使われています。

英語にもbang、buzz、clickなど、音を連想させる語があります。ただし、日本語の擬態語を英語にする際は、動詞や形容詞、短い句に置き換えることがあります。「どきどきする」を「My heart is pounding.」と表すように、同じ意味を別の仕組みで伝えるわけです。

そのため、「英語にはオノマトペがない」「日本語のほうが何倍も豊か」とは言い切れません。何をオノマトペに含めるか、辞書にどこまで載せるかで語数が変わります。数を競うより、英語ではその音や感覚をどのように伝えるのかに目を向けたいところです。

身近なカタカナ語にも、意味のずれがあります。日本語の「マンション」は、住戸を指すならapartmentやflatなどが候補ですが、英語のmansionは大きな邸宅です。「クレーム」も、苦情ならcomplaintが一般的で、claimは主張や請求など別の意味で使います。

また、カタカナ語がすべて和製英語というわけではありません。英語を借りた語、日本で意味や組み合わせが変わった語、英語以外の言語に由来する語が混在しています。見た目が英語らしくても、英語で同じ意味になるかは用例で確認してください。

私は、違いを知ることを「覚える決まりが増えた」と受け止める必要はないと考えています。同じものを別の角度から説明しているとわかれば、日本語に合う英単語を探し続ける負担を減らせるはずです。

敬語・呼び方・あいさつの違い

英語でも依頼の形を変えることで丁寧さを調整できること、また一律の直訳はなく、目的に応じて表現を使い分けることを示す図

英語にも、相手への敬意や配慮を伝える仕組みがあります。日本語の「いらっしゃる」「伺う」のような敬語と同じ形ではありませんが、依頼文、呼び方、語彙、口調によって丁寧さを調整できます。

例えば「Send me the file.」は直接的な指示です。「Could you send me the file?」なら、相手に依頼する形で伝えられます。ただし、pleaseを付けたり、couldを使ったりすれば、どんな要求でも丁寧になるわけではありません。相手が断れる状況か、負担が大きすぎないかも関わります。

日本語では「私」「僕」「俺」などの選択が、場面や話し手の印象に関係します。英語の一人称単数の主語は通常Iですが、その一語だけで丁寧さが決まるわけではありません。丁寧さを伝える場所が、代名詞の選択以外にも広がっていると考えるとよいでしょう。

呼び方も一律ではありません。英語ではファーストネームで呼び合う場面が多くありますが、初対面でも誰にでもそうしてよいとは限りません。Dr.やProfessorなどの呼称を使う場面もあり、相手の名乗り方や希望を確認するのが確実です。

あいさつの違いでは、「よろしくお願いします」がわかりやすい例です。初対面ならNice to meet you.、これから一緒に働くならI look forward to working with you.、助けてもらうことへの感謝ならThanks for your help.など、目的によって表現が変わります。

「お疲れさまです」も同様です。仕事へのねぎらいならThanks for your hard work.が使える場面がありますが、すれ違いのあいさつまで毎回同じ英語にする必要はありません。言葉の表面だけでなく、何のために声を掛けているかを考えることが大切です。

実際の依頼や会話で気を付けたい言い方については、英語のマナーやタブーと失礼を避ける基本でも紹介しています。

言語だけで文化は決まらない

言語は水面上の氷山の一角に過ぎず、水面下には「ハイコンテクスト vs ローコンテクスト」などの文化の土台があることを示す図

英語と日本語を比較すると、「英語は論理的、日本語は感情的」「日本語は察する言語」といった説明を見かけます。しかし、言語の特徴から話者の性格や考え方を一律に決めることはできません。

例えば英語で「I」を明示するのは、文法上の必要とも関係しています。それだけで自己主張を好む人だとは判断できません。日本語で主語を省いたからといって、責任を曖昧にしようとしているとも限らないでしょう。

「高コンテクスト」「低コンテクスト」という言葉は、どの程度の情報を共有背景に頼るかを考える枠組みです。ただし、日本語の会話をすべて前者、英語の会話をすべて後者と分けることはできません。親しい友人同士か、初めて会う相手か、専門知識を共有しているかでも説明の量は変わります。

英語にも「I’m not sure that would work.」のような遠回しな表現がありますし、日本語でも期限や条件を明確に伝えられます。伝わりやすさを左右するのは、相手が知っていることを見極め、必要な情報を補えているかという点です。

また、英語では動詞が比較的早く現れることと、文章全体の結論を最初に述べることは別です。日本語の報告書でも結論を先に書けますし、英語の物語では最後まで答えを明かさない構成もできます。文法上の語順と、文章の組み立て方を分けて考えましょう。

言語と思考の関係は研究されていますが、「英語を使えば必ず積極的になる」といった効果を約束できるものではありません。文化の違いを知ることは役立ちます。そのうえで、目の前の相手の言葉や反応を確かめる姿勢を持っておきたいですね。

違いすぎる理由と言語学の視点

英語はインド・ヨーロッパ語族、日本語は日本語族でありルーツが全く違うため、直訳が通じないのは言語の距離が遠いからであることを示す図

英語と日本語が「違いすぎる」と感じられるのは、語順、名詞の扱い、音の区別など、母語の感覚をそのまま使いにくい部分がいくつも重なるためです。単語を覚えても、その並べ方や聞こえ方まで一度に慣れるわけではありません。

言語の系統にも違いがあります。英語はインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に属します。日本語は琉球諸語とともに日本語族、または日琉語族として扱われ、この語族と他の語族との遠い系統関係は確定していません。

ただし、系統と文法の特徴は別の分類です。日本語が中国語から漢字や多くの漢語を取り入れていても、それだけで同じ語族にはなりません。英語と日本語の間に外来語のやり取りがあることも、共通の祖先を持つ証拠とは区別する必要があります。

単語の作り方にも傾向があります。日本語は「読ませられました」のように、動詞の後ろへ文法上の意味を持つ要素をつなげます。英語は語順や助動詞を多く使う一方、works、walked、goとwentのような語形変化も持っています。

「言語距離が大きい」という説明は、こうした隔たりを理解する手掛かりです。ただし、距離の測り方を示さずに「世界で最も遠い二言語」と断定することはできません。違いの大きさは、学習者の才能や習得できる限界を示すものではないと言えます。

習得の難易度と学習時間の考え方

英語は言語の距離がある分時間がかかるため、小さな達成のステップを踏むことを示した図

英語と日本語のどちらが難しいかは、学ぶ人の母語、既に知っている言語、目指す能力によって変わります。日本語話者には英語の冠詞や音の聞き分けが課題になりやすく、英語話者には日本語の漢字、助詞、敬語などが新たな学習対象になります。

読む・書く・聞く・話すのどれを比べるかも重要です。短い旅行会話を交わすことと、専門的な文章を読み、会議で細かなニュアンスまで伝えることでは、必要な語彙や練習量が異なります。「ペラペラ」という一言では到達点を決められません。

学習時間は、数字の対象と条件を確認しましょう。ある母語の人が特定の言語を学ぶ研修時間を、逆方向の学習にそのまま当てはめることはできません。授業だけの時間か、自習を含む総時間かでも意味が変わります。研修や試験の到達基準など、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

私自身、最初に感じた学習のハードルがあるからこそ、英語の習得には学習時間と継続が大切だと考えています。とはいえ、ただ長く机に向かえばよいという話でもありません。聞き取れない音を確かめる、短い文を声に出す、覚えた表現を使うなど、目的に合う練習が必要です。

「何年で終わるか」だけを目安にせず、「短い音声の内容を説明できる」「自分の予定を伝えられる」など、確かめられる目標を置いてみてください。できることの変化が見えると、次に必要な練習も選びやすくなります。

英語の語順や音に慣れるポイント

第二言語として英語を学習している女性の様子

言語の違いを乗り越えて学習に生かすなら、意味のわかる英語を、英語の順番と音のまま受け取る経験を重ねることを意識してみましょう。基本的な仕組みが理解できたら、あとは英語に慣れるため練習を積み重ねることが大切になります。

短い文を前から理解する

「I found a small cafe near the station.」なら、I foundで「私が見つけた」、a small cafeで「小さなカフェ」、near the stationで「駅の近く」と、順に場面を思い浮かべます。同じ文を読み直すときに、日本語へ組み直す作業を少しずつ減らしていきます。

長文を急いで読むより、無理なく意味が取れる文章から始めるのが取り組みやすい方法です。知らない単語ばかりでは内容を追えないため、自分に合う難しさのものを選びましょう。

音声と文字を照らし合わせる

短い音声を聞き、何の話かつかめたら、英文を見て聞き取れなかった部分を確認します。知らない単語だったのか、知っている単語がつながって聞こえたのかで、次にすることは変わります。音の区切りや目立つ部分を確認し、最後に文字を見ずにもう一度聞いてみてください。

声に出すときは、一文ごとに止めてまねる方法でも十分です。内容を理解してから、語末の子音、母音の違い、音の長短など、毎回一つに注意を向けると取り組みやすくなります。

名詞と表現を場面ごと覚える

cameraだけでなく、a camera、the camera、two camerasと、名詞に必要な情報も含めて練習します。「よろしくお願いします」も一つの訳語で固定せず、初対面、共同作業、依頼といった場面ごとに覚えましょう。

覚えた例文は、自分の予定や身の回りの物に置き換えて使ってみます。伝わらなかった部分があれば、どの単語や文の形を変えればよいか確かめる。この繰り返しによって、知っている知識を実際に使う機会を作れます。

当サイトで使う「英語脳」は、英語を毎回日本語に訳さず、意味と結び付けて理解しやすくなった状態を表すアプローチ方法です。考え方の詳細は、英語脳の感覚と大人から取り組む作り方を参考にしてみてください。

聞く・読む・話す・書く練習の組み合わせについては、以下の英語学習の方法と進め方でも解説しています。

英語と日本語の違いに関するFAQ

英語と日本語の違いを簡単に言うと何ですか?

文の組み立て、名詞に加える情報、音の区切り方が大きく異なります。英語は基本的な他動詞文で主語・動詞・目的語の順、日本語は主語・目的語・動詞の順です。さらに英語の冠詞や単複、日本語の助詞や敬語など、何をどの形で示すかにも違いがあります。

英語と日本語にはどのような共通点がありますか?

どちらも疑問、否定、比較、敬意、比喩などを表せます。「赤い車」とa red carのように形容詞が名詞の前に来る形も共通します。また、英語にはsushiやkaraokeなど日本語由来の語があり、日本語も英語から多くの言葉を取り入れています。

日本語では自然なのに英語で伝わりにくいのはなぜですか?

主語などの情報が足りなかったり、単語の意味の範囲がずれたり、カタカナの音が影響したりする場合があります。ただし、原因は人によって異なります。書いた英文なら意味が伝わるか、音声でも伝わるかを分けて確かめると、文法・語彙・発音のどこを見直すか判断しやすくなります。

英語と日本語はどちらの単語数が多いですか?

辞書の見出し語数だけでは単純に比較できません。専門語、古い言葉、複合語、活用形などをどこまで数えるかが異なるためです。翻訳後の文字数も一定の倍率にはならず、一語で表すか説明を補うかによって変わります。

英語のまま理解するには日本語を使わないほうが良いですか?

日本語と英語では構造が大きく異なるため、できれば英語のみで理解することを推奨しています。多くの方は義務教育で基本的な英語表現を既に知っている方も多いので、子供向けのコンテンツなどを通して徐々に慣れていくアプローチもおすすめです。

英語と日本語の違いについて総括

言語の違いを理解することで、新しい視点として英語の世界を楽しむことを伝える総括スライド

英語と日本語では、語順、主語、冠詞、音の区切り方、単語の意味、丁寧さを表す方法などが異なります。一方で、どちらも細かな気持ちや複雑な内容を伝ることができます。違いを知ることは、それぞれの伝え方を理解し、状況に合う表現を選ぶ助けになります。

  • 語順だけでなく、助詞や主語が担う役割を見る
  • 冠詞・単複・動詞の形を具体的な場面と結び付ける
  • カタカナだけに頼らず、音声で発音とリズムを確かめる
  • 単語やあいさつを直訳せず、伝えたい意味から選ぶ
  • 理解できる英語に継続して触れ、使う機会を作る

私自身が最初に感じたハードルも、両者の特徴の違いと無関係ではありません。すべてを一度に身に付けようとせず、まずは短い表現からでも学んでみてください。その理解を、聞く・読む・話す練習の中で少しずつ使えるものにしていきましょう。

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