「ヨーロッパに親日国は多いの?」「日本との関係はどうなっているの?」そんな疑問をお持ちではありませんか。遠く離れたヨーロッパですが、実は多くの国で日本に強い関心が寄せられています。
この記事では、データに基づいたヨーロッパの親日国ランキングの一覧をご紹介します。日本と仲がいい友好国や、特に日本と関係の深い国がどこなのか、その興味深い歴史背景や、現代の日本文化がどのように受け入れられているかを詳しく解説します。
また、実際に訪日者が多い国や、国民性が日本人に似ている国、さらには日本人が多い国や住みやすい国といった、旅行や移住を考える上での実践的な情報も提供します。加えて、気になる反日国の存在や差別についても、公平な視点から掘り下げていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
- ヨーロッパにおける総合的な親日国ランキングとその評価基準
- 各国の親日感情を育んだ歴史的背景と現代の文化交流
- 旅行や移住の参考になる日本人が多い国や住みやすい国の情報
- 反日感情の有無や注意すべき点に関する客観的な分析
ヨーロッパの親日国をデータから考察

このセクションでは、各種データを基にヨーロッパにおける日本のイメージを客観的に分析します。世論調査や人的交流の活発さから見えてくる、ヨーロッパの親日国の実像に迫ります。
- ヨーロッパの親日国ランキング一覧
- 特に日本と関係の深い国を紹介
- 親日感情を育んだ歴史背景とは
- アニメだけじゃない日本文化の人気
- 実際に日本への訪日者が多い国は?
ヨーロッパの親日国ランキング一覧
ヨーロッパで特に日本への好感度が高い国はどこか、複数の指標を統合した総合的な親日度ランキングをご紹介します。このランキングは、世論調査における対日好感度だけでなく、実際の人的交流や文化の受容度も加味して作成されたものです。
ランキングの上位には、文化的な魅力で日本を評価する国、安定的で実利的な関係を持つ国、そして特異な歴史的背景を持つ国が混在しており、ヨーロッパにおける「親日」の多面的な背景が理解できます。
ヨーロッパ総合親日度ランキング TOP15
順位 | 国名 | 主な特徴・要因 |
1 | ポーランド | 歴史的経緯(シベリア孤児救済)、地政学的共感 |
2 | フランス | 文化への強い憧憬 (Japan Expo)、マンガ市場 |
3 | イギリス | 安定した友好史、島国としての共感、経済関係 |
4 | イタリア | デザイン・食文化への共鳴、長い交流史 |
5 | フィンランド | デザイン哲学の親和性、ロシアとの歴史的関係 |
6 | スペイン | 観光人気、生活の質(QOL)、ポップカルチャー |
7 | ドイツ | 強い経済的結びつき、在留邦人最多、住みやすさ |
8 | オランダ | 出島を通じた特別な歴史的関係 |
9 | スウェーデン | デザイン・価値観の親和性、技術協力 |
10 | アイルランド | 文化的な類似性の発見、IT分野での経済連携 |
11 | チェコ | V4協力、自動車産業での連携、文化交流 |
12 | ハンガリー | V4協力、自動車産業投資、音楽・学術交流 |
13 | デンマーク | 北欧デザインの親和性、集団主義的文化 |
14 | ベルギー | EUの中心地、マンガ文化の人気 |
15 | ポルトガル | 歴史的接点(16世紀)、観光客の増加 |
注:このランキングは公開データを基に算出した独自の指標であり、公式な順位ではありません。
このように、G7などの経済大国だけでなく、ポーランドやフィンランドといった国が上位に位置している点が特徴的です。フランスは文化的な評価が、ポーランドは歴史的背景に基づく世論が、そしてイギリスやドイツは各指標がバランス良く高いことが、それぞれの順位の背景にあると考えられます。
特に日本と関係の深い国を紹介

ランキング上位国の中でも、特に経済的・歴史的に日本との結びつきが強く、多岐にわたる分野で協力関係を築いている国々があります。ここでは、その代表例としてドイツ、イギリス、オランダを紹介します。
ドイツ:経済と人の交流が支える堅実な関係
ドイツは、ヨーロッパにおける日本の最も重要なパートナーの一つです。在留邦人数、日系企業の進出拠点数ともに欧州で最多を誇り、特にデュッセルドルフには欧州最大の日本人コミュニティが形成されています。この強固な経済的・人的な結びつきが、両国の安定した関係の土台となっています。自動車や機械といった製造業において、両国は競合しつつもサプライチェーンを通じて深く結びついており、ビジネスを中心とした活発な人的交流が、相互理解を促進しているのです。
イギリス:歴史と同盟意識が育む戦略的パートナー
イギリスと日本の関係は、1902年に締結された日英同盟に象徴されるように、1世紀以上にわたる友好の歴史に基づいています。「大陸から一歩引いた島国」という地政学的な類似性も、両国民の間に特別な共感を育んできました。近年、イギリスがEU離脱後に「グローバル・ブリテン」構想を推進し、インド太平洋地域への関与を深める中で、価値観を共有するパートナーとしての日本の重要性は飛躍的に高まっています。
オランダ:鎖国時代からの唯一無二の絆
オランダと日本の関係は、他のどのヨーロッパ諸国とも異なります。江戸時代の約220年間にわたり、長崎の出島にあったオランダ商館は、日本が西洋世界とつながる唯一の窓口でした。この期間を通じて、蘭学として知られる西洋の科学や医学、技術が日本にもたらされ、日本の近代化の礎を築いたのです。この貿易関係を超えた特別な歴史的結びつきは、両国間に他に類を見ない深い関係性を生んでいます。
親日感情を育んだ歴史背景とは

ヨーロッパにおける親日感情は、現代のポップカルチャーだけで形成されたものではありません。その根底には、1世紀以上にわたる多様な歴史的交流が存在します。
西欧:ジャポニスムが植え付けた文化への尊敬
19世紀後半、日本の開国をきっかけにヨーロッパの芸術界を席巻した「ジャポニスム」は、現代に至るまで西ヨーロッパの対日観に大きな影響を与えています。浮世絵に代表される日本の美術は、その大胆な構図や非対称的なデザインで、モネやゴッホといった印象派の画家たちに強烈なインスピレーションを与えました。この芸術運動は、日本の美意識やデザイン哲学に対する根強い尊敬と憧憬をヨーロッパの文化層に植え付け、現代の日本文化がスムーズに受け入れられる土壌を育んだのです。
東欧:シベリア孤児と地政学的共感
西ヨーロッパとは対照的に、東欧、特にポーランドでは、20世紀初頭の地政学的な出来事が極めて強固な親日感情の基盤を形成しました。 一つは、日露戦争(1904-1905)です。当時ロシアの支配下にあったポーランド人にとって、アジアの小国と見なされていた日本が強大なロシアに勝利したことは、独立への大きな希望となりました。
そして、より決定的なのが、第一次世界大戦後のシベリア孤児救済です。ロシア革命後の混乱の中、シベリアに取り残されたポーランド人孤児たちを救うため、日本政府と日本赤十字社は人道支援に乗り出し、合計約760名の孤児を日本で手厚く保護しました。この出来事はポーランドで国家的な恩義として語り継がれており、100年を経た今もなお、両国関係の揺るぎない礎となっています。
アニメだけじゃない日本文化の人気

現代のヨーロッパにおける親日感情を語る上で、アニメ、マンガ、ゲーム、食といった日本のソフトパワーの存在は欠かせません。その影響力は、もはや一部のマニア層にとどまらず、社会全体に深く浸透しています。
その象徴が、各国で開催される大規模な日本文化イベントです。これらのイベントは、ファンが単なる消費者としてコンテンツを受け取るだけでなく、コスプレや創作活動を通じて積極的に文化の再生産に参加し、交流するコミュニティのハブとして機能しています。
欧州主要国における日本文化イベント規模比較
イベント名 | 開催国 | 近年の来場者数(目安) |
Japan Expo Paris | フランス | 約20万~25万人 |
DoKomi | ドイツ | 約18万人 |
HYPER JAPAN | イギリス | 約3.2万人 |
また、イベント会場だけでなく、日本文化はヨーロッパの人々の日常生活にも溶け込んでいます。かつて高級料理と見なされていた和食は、今や日常的な食の選択肢として定着しました。特にイタリアでは、新規レストラン開店数でアジア料理店が国民食であるピッツェリアを上回るほどの勢いを見せています。
加えて、日本のミニマリズムや自然との調和を重んじるデザイン哲学は、特に北欧諸国の美意識と強い親和性を持ち、ライフスタイルの分野で双方向の尊敬と影響関係が構築されているのです。
実際に日本への訪日者が多い国は?

ヨーロッパからの訪日観光客数の増加と、その関心の質の高さは、対日感情の良好さを裏付ける重要な指標です。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、コロナ禍からの回復期において、ヨーロッパ主要国からの訪日客数は力強い伸びを見せています。
特にイギリス、フランス、ドイツからの回復は著しく、2024年のデータではコロナ禍以前の2019年同月比を上回る月も見られます。これは、航空便の回復といった要因に加え、ヨーロッパの人々の日本への旅行意欲が、依然として非常に高い水準にあることを示しています。
注目すべきは、単なる量的な拡大だけではありません。ヨーロッパからの旅行者の関心は、京都の寺社を巡るといった典型的な観光に留まらない傾向があります。ある調査では、彼らが最も望む旅行スタイルは「日本のトレンドと同じことをする」という結果も出ています。
このことは、より現代的で日常的な日本のライフスタイルそのものに深く没入したいという欲求の現れと考えられます。この傾向は、ヨーロッパにおける日本への関心が表層的ではなく、より深い文化理解へと達していることを表しています。
ヨーロッパの親日国との多様な関係性

このセクションでは、より多角的な視点からヨーロッパと日本の関係性を掘り下げます。世論調査の結果から、生活の拠点としての魅力、そして文化的な類似性まで、様々な角度から日本とのつながりを解き明かします。
- 日本と仲がいい友好国はどこか
- 文化や国民性が日本人に似ている国
- 現地で活躍する日本人が多い国
- 日本人にとって住みやすい国とは
- 反日国や日本人への差別はあるのか
日本と仲がいい友好国はどこか
国際的な世論調査は、ヨーロッパにおける日本のイメージが総じて極めて良好であることを一貫して示しています。例えば、BBCワールドサービスが実施した調査では、日本を「世界に良い影響を与えている」と見る人の割合は、調査対象となった欧州主要国で軒並み高い数値を記録しました。
特にフランスでは74%、イギリスでは65%、ドイツでは50%が日本に好意的な見方を示しており、いずれも非好意的な見方を大きく上回っています。この評価は、他のアジア諸国や、時には欧米の主要国と比較しても高い水準にあることが多いです。
では、日本のどのような点が評価されているのでしょうか。日本外務省が欧州5カ国で実施した調査は、その内実を明確に示しています。日本に対するイメージとして最も強く認識されていたのは、「素晴らしい伝統と文化を持つ国」と「高い経済力と技術を持つ国」の2点でした。
この「文化」と「技術」が、欧州における日本のブランドイメージの揺るぎない二大支柱となっていることがうかがえます。さらに注目すべきは、「戦後の平和国家としての歩み」も非常に高く評価されている点です。これは、ヨーロッパでは日本の戦後の国際貢献や平和主義的な姿勢が、広く肯定的に受け入れられていることを示しています。
文化や国民性が日本人に似ている国

「日本と似ているヨーロッパの国はどこか」という問いは、日本の自己認識と他者からの視線を浮き彫りにする興味深いテーマです。ヨーロッパの中で日本との類似性を指摘される国々は、主に3つの類型に分類できます。
産業・社会規範が似ているドイツ
最も頻繁に名前が挙がるのがドイツです。「勤勉で几帳面」「時間に厳格」「製品の品質にこだわる」といった、近代以降の産業社会における労働倫理や社会規範の面で、強い類似性が指摘されます。これは、両国が世界的な製造業大国として発展してきた歴史と深く関わっていると考えられます。
島国としての共通点を持つイギリス
イギリスもまた、日本との類似性を語る上で頻繁に登場します。「大陸から一歩距離を置いた島国」という地理的条件が、独自の文化や政治制度、そして国民性を育んできた点で共通しているとされます。大陸の国々とは違うという意識や、立憲君主制といった制度的類似性も指摘されることがあります。
集団主義や美意識が似ている北欧
近年、特に注目されているのが北欧諸国との類似性です。特にデンマークやスウェーデン、フィンランドとは、「出る杭は打たれる」にも通じる集団主義的な傾向や、社会全体の調和を重んじる文化で共通点が見られます。また、自然への深い敬意や、ミニマリズムを基調とするデザイン哲学、静けさを大切にする美意識も、両地域の強い親和性の源泉となっています。
現地で活躍する日本人が多い国

ヨーロッパにおける日本人の生活拠点として、どの国が選ばれているのでしょうか。外務省の海外在留邦人数調査統計によれば、ヨーロッパにおける在留邦人数は、長年にわたりドイツ、イギリス、フランスがトップ3を占めています。
欧州在留邦人数 上位3カ国(2023年時点)
順位 | 国名 | 在留邦人数(概数) |
1 | イギリス | 約65,000人 |
2 | ドイツ | 約42,000人 |
3 | フランス | 約36,000人 |
これらの国々に在留邦人が集中している背景には、経済大国であり、日系企業の進出拠点が多く、ビジネスや研究の機会が豊富であることが挙げられます。
特にドイツは欧州最大の日本人コミュニティを擁し、その中心都市であるデュッセルドルフは「リトル・トーキョー」とも呼ばれるほど日本食レストランや日系スーパーが充実しており、日本人にとって生活しやすい環境が整っています。イギリスのロンドンやフランスのパリも、金融や芸術の中心地として多くの日本人を惹きつけています。
このように、キャリア形成の機会を求めて、多くの日本人がこれらの国々で活躍しているのが現状です。
日本人にとって住みやすい国とは

「日本人が多い国」が、必ずしも全ての人にとって「最も住みやすい国」とは限りません。住みやすさは、キャリアの機会だけでなく、生活費、言語環境、ワークライフバランスといった多様な要素によって決まります。
各種の「日本人が住みやすい国」ランキングで常に上位に挙げられるのがドイツです。その理由としては、経済が安定している一方で、家賃などの生活費はロンドンやパリに比べて抑制されていること、ビジネスシーンでは英語が広く通用すること、そして前述の通り、時間を守る文化などが日本人に馴染みやすいことが指摘されています。
ドイツに次いで、オランダも高い評価を受けています。国民の英語力が非常に高く、ワークライフバランスを重視する文化が根付いているため、生活の質を求める人にとっては魅力的な選択肢です。
一方で、異なる魅力を持つのがスペインです。国際的な駐在員向けコミュニティの調査で、スペインの都市が「世界で最も住みやすい街」の上位に選ばれるなど、温暖な気候、豊かな食文化、そして比較的安い生活費といった生活の質(QOL)の高さが注目されています。
このように、「住みやすい」という概念は個人の価値観によって異なります。キャリアを重視するのか、生活コストを抑えたいのか、あるいはワークライフバランスを求めるのかによって、最適な国は変わってくると考えられます。
反日国や日本人への差別はあるのか

ヨーロッパと日本の良好な関係を考える上で、ネガティブな側面についても公平に見ておく必要があります。まず明確にすべきは、ヨーロッパには国家レベルでの体系的な「反日感情」や、歴史教育を通じた反日的な国民感情の醸成といった現象は、基本的に存在しないという点です。
しかし、これは日本に対する批判が全くないという意味ではありません。日本の特定の政策や社会問題に対しては、厳しい目が向けられることがあります。その主な要因は、以下の二点に集約される傾向があります。
一つは捕鯨問題です。日本の商業捕鯨に対し、EUおよびその加盟国は長年にわたり、一貫して反対の立場を表明してきました。ヨーロッパにおいて、捕鯨は単なる「食文化の違い」ではなく、動物福祉や海洋環境の保全といった、現代社会が重視する価値観に反する行為と見なされることが多いのです。
もう一つは、歴史認識をめぐる問題です。欧米の主要メディアでも一部の出来事が批判的に報じられることがあります。これは、ヨーロッパで評価されている「戦後の平和国家としての歩み」というポジティブなイメージと矛盾するものとして捉えられ、日本との認識の違いが見られることもあります。
ただし、これらは「反日」というよりも、価値観を共有するパートナーに対する「期待の裏返し」と解釈すべき側面があります。日本を重要なパートナーと見なしているからこそ、その行動に失望した際に厳しい批判が向けられる、という複雑な構造を理解することが大切です。

ヨーロッパの親日国について総括
この記事では、データや歴史、文化など多角的な視点から、ヨーロッパにおける親日国の実像を解説してきました。最後に、本記事の要点をまとめます。
- ヨーロッパには日本に好意的な感情を持つ国が多数存在する
- 総合親日度ランキングではポーランドやフランスが上位を占める
- ランキングは世論、交流、文化受容の複合的な指標で評価される
- ドイツやイギリスは経済や歴史で日本と特に深い関係を持つ
- オランダは鎖国時代の出島を通じて日本と唯一無二の絆がある
- 西欧の親日感情の根底には19世紀のジャポニスムの影響がある
- 東欧、特にポーランドではシベリア孤児救済への感謝が根強い
- 現代ではアニメやマンガなど日本のソフトパワーが絶大な人気を誇る
- Japan Expoなど大規模な日本文化イベントが各地で成功している
- 日本食やミニマリスト的なデザインも生活に深く浸透している
- 訪日観光客はイギリス、フランス、ドイツからが特に多い
- ドイツ、イギリス、北欧諸国は文化や国民性で日本との類似点が指摘される
- 在留邦人数はイギリス、ドイツ、フランスの順に多い
- 住みやすさではドイツやオランダ、スペインなどが人気を集めている
- ヨーロッパに明確な「反日国」は基本的に存在しない
- ただし捕鯨問題や歴史認識については厳しい批判的な視線がある
- これらの批判は「期待の裏返し」という側面も持つ
- 良好な関係を維持・発展させるには対話と相互理解が鍵となる


