英語は何語覚えれば使えるようになるのか。3,000語、1万語、ネイティブなら数万語と、さまざまな数字を見かけます。ただ、同じ「語彙数」でも、単語の数え方や、読んで分かるのか自分で使えるのかによって意味は変わります。
私がこれまで出会った外国の方には、映画や本、ゲームなど、好きなものを通して英語を覚えたという人が多くいました。もちろん個人的な経験の範囲ですが、語彙を増やすうえでは、覚えた数と同じくらいその言葉にどんな場面で出会ったかが大切だと感じています。
この記事では、英語の語彙数の目安を目的別に紹介し、ネイティブとの比較や無料の語彙力診断の使い方を解説します。そのうえで、数字を学習の道しるべにしながら、実際のコンテンツから理解できる言葉を増やす方法を考えていきましょう。
- 英語の日常会話や洋書に必要な語彙数目安
- ネイティブや日本人学習者の語彙数の違い
- 無料の語彙力診断の選び方と結果の読み方
- 映画・本・音声で使える語彙を伸ばす方法
英語の語彙力やボキャブラリーの増やし方については以下でも解説しています。

英語の語彙・単語数の目安と数え方

まずは、学習目的に応じた語彙数の目安を見てみましょう。数字をそのまま暗記目標にする前に、「何を数えた数字か」「どのような理解を想定しているか」を押さえると、自分に合う目標を選びやすくなります。
目的別に必要な単語数の目安
英語の語彙数は、身近な内容を理解するための土台と、幅広い内容を理解するための蓄積に分けて考えると分かりやすいです。注文や自己紹介と、小説や専門的な議論では、必要な言葉の範囲が違います。
下表の「ワードファミリー」は、基本語と一定範囲の派生語をまとめた単位です。詳しくは次の見出しで説明しますが、単語帳の見出し語数とは同じではありません。
| 目的・対象 | 目安 | 数字の意味 |
|---|---|---|
| 旅行の定型的なやり取り | 全員共通の最低語数はない | 注文・宿泊・移動など、必要な場面の表現から始める |
| 基礎学習 | 高頻度の1,000〜3,000語程度を優先して点検 | 学ぶ順番を考える目安。使う語彙リストの単位を確認する |
| 身近な内容の聞き取り | 2,000〜3,000ワードファミリー | 比較的身近な話を対象に、95%の語彙カバー率から示された研究上の目安 |
| 幅広い話し言葉 | 6,000〜7,000ワードファミリー | 98%の語彙カバー率を想定した代表的研究の推計 |
| 一般向けの書き言葉 | 8,000〜9,000ワードファミリー | 同じく98%を想定した、小説や新聞などの読解に関する推計 |
| 専門的な仕事・大学での学修 | 一般語彙に分野固有の語彙を加える | 職種・専門分野・担当業務によって必要な範囲が変わる |
身近な聞き取りの数値はvan Zeeland・Schmittの研究、幅広い聞き取りと読解の数値はNationの研究に基づきます。後者は、一定の語彙カバー率を得るために必要な量を分析したもので、会話能力の合格ラインではありません。(出典:Nation(2006)読解・聞き取りに必要な語彙量の研究)
数値はあくまで一般的な目安です。研究で使う資料や頻度リスト、固有名詞の扱いによって変わるため、「3,000語でどんな会話もできる」「9,000語になるまで洋書を読めない」とは考えないでください。
たとえば、旅行なら少ない語彙でも決まったやり取りを始められます。一方、相手が予定外の説明をしたときには、さらに聞いて分かる言葉が必要になるでしょう。自分が伝えるための語彙と、相手の話を受け取るための語彙の両方を見ることが大切です。
語彙数が変わる単語の数え方

「英単語を5,000語知っている」という数字は、数える単位が分からなければ比較できません。たとえば、help、helps、helped、helpingを別々に数える方法もあれば、まとめて一つと扱う方法もあります。
| 単位 | 数え方 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 延べ語数 | 同じ単語も出現するたびに数える | 何語読んだか、文章全体の長さ |
| 異なり語数 | 異なる表記を数える。helpとhelpedは別 | 文章に登場する語形の種類 |
| レンマ | helpの活用形を基本形にまとめる | 基本形を単位とした語彙の推計 |
| ワードファミリー | 活用形に加え、helpfulなど一定範囲の派生語もまとめる | 語彙量やカバー率に関する研究 |
ワードファミリーは「語族」と呼ばれることもあります。ただし、どこまでの派生語を同じ仲間にするかは研究によって異なるため、同じ単位名でも完全に同条件とは限りません。helpを知っている人が、helplessの意味まで必ず分かるわけでもないですね。
単語帳の見出し語数にも統一基準はなく、熟語を含むか、派生語を別に載せるかで変わります。診断サイトやアプリを比較するときは、語数の単位・対象の語彙リスト・知っていると判断する基準を確認してください。語族数を一律に2倍、3倍して別の単位へ換算することもできません。
受動語彙と能動語彙の違い

受動語彙は読んだり聞いたりして分かる言葉、能動語彙は話したり書いたりするときに自分で使える言葉です。前者は受容語彙、後者は産出語彙とも呼ばれ、英語ではReceptive/Passive Vocabulary、Productive/Active Vocabularyという表現が使われます。
映画で聞けば分かるのに、自分の会話では出てこない言葉は、受動語彙として持っている可能性があります。日本語でも、読める言葉をすべて普段の会話で使うわけではありません。一般に理解できる語彙のほうが広くなりますが、能動語彙は必ず半分、といった固定比率はないのです。
さらに、文字なら分かる語と音だけで分かる語も一致しません。綴りを見れば理解できるのに会話で聞き逃す場合は、新しい単語を増やすだけでなく、すでに知っている単語の音に慣れる必要があります。
decisionの意味を知ることと、make a decisionというまとまりを自然に使うことも別の段階。語彙力には、語数という「広さ」に加え、意味の使い分けや自然な組み合わせを知る「深さ」があります。単語が増えない時期でも、理解や使い方が深まっている場合はあるでしょう。
カバー率と内容理解は別もの
語彙カバー率とは、文章や音声に登場する延べ語数のうち、知っている語が占める割合です。カバー率98%は、内容を98%理解できるという意味ではありません。
300語の文章なら、95%のカバー率では未知語が延べ15回、98%では延べ6回出る計算になります。差は3ポイントですが、途中で意味が分からなくなる機会はかなり減ります。逆に、残りの未知語が話の中心となる言葉なら、数が少なくても内容をつかみにくいはずです。
内容理解には、文のつながりや背景知識も関わります。聞き取りでは、音の連結、速さ、話者の発音なども影響するため、文字の語彙テストだけで判断しきれません。
実際の教材選びでは、数値に加えて「誰が何をしたか説明できるか」「次の展開を追えるか」を見てください。知らない単語があっても物語を楽しめる素材と、ほぼ毎文立ち止まる素材では、続けやすさが変わります。
学校や試験における語彙数の目安

中学や高校で習う語数、大学生の調査結果、英検やTOEICの目安は、同じ種類の数字ではありません。教育で扱う範囲と、個人の実力を測った結果を分けて見ていきます。
中学生と高校生が学ぶ単語数
現行の学習指導要領に関する文部科学省の資料では、小学校から高校までで扱う語数は合計4,000〜5,000語程度です。2026年1月の「語彙の取扱い等の在り方」でも、次の数値が現状として示されています。
| 学校段階 | 新たに扱う語数 | 小学校からの累計 |
|---|---|---|
| 小学校 | 600〜700語程度 | 600〜700語程度 |
| 中学校 | 1,600〜1,800語程度 | 2,200〜2,500語程度 |
| 高校 | 1,800〜2,500語程度 | 4,000〜5,000語程度 |
高校の数値は、英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲを通した範囲に関わるもので、履修状況も考慮する必要があります。また、小学校で音声に親しんだ語を、中学校で読み書きにも使えるようにしていくなど、同じ語を学び直す段階もあります。
ここで注意したいのは、これは授業で扱う語数であり、卒業生全員が使いこなせる語数ではないという点です。派生語を広くまとめるワードファミリー数とも一致しません。ネットで見かける「高校卒業までに約3,000語」という説明には旧課程の数字が含まれるため、学習時期による違いも確認しましょう。
日本人の平均語彙数は何語か
日本人全体について、誰にでも当てはめられる平均語彙数を示すことはできません。年齢や学習歴、英語を使う機会が違うためです。参考になるのは、対象を限定した研究での推計になります。
McLean・Hogg・Kramerが2014年に発表した研究では、日本の大学生3,449人を調査し、外れ値を除いた分析で平均約3,715ワードファミリー相当の結果を報告しています。8,000ワードファミリーまでを対象とした80項目のVocabulary Size Testを用いた調査です。
ただし、この数字は現在の日本人全員や大学生全員の平均ではなく、その時期・対象・検査条件での結果です。また、約3,715という得点でも、高頻度の3,715語を順番にすべて知っているとは限りません。趣味の難しい単語は知っていても、日常的な動詞に知らない意味があることは十分に考えられます。
他人の平均より、自分が読みたい文章や聞きたい話にどこまで対応できるか。その確認に語彙診断を使うほうが、次の学習へつながりやすいでしょう。
英検やTOEICに必要な語彙

英検やTOEICについては、語彙数だけで級や得点を決めることはできません。「英検2級は約5,000語」「TOEIC900点は約1万語」といった民間の目安はありますが、数え方や対象がそろった公式の換算表として扱わないでください。
英検公式の各級の目安では、3級は中学卒業程度、準2級は高校中級程度、準2級プラスは高校上級程度、2級は高校卒業程度と説明されています。準1級は大学中級程度、1級は大学上級程度です。これは能力や内容の目安であり、合格に必要な単語数を規定した表ではありません。
TOEIC L&Rでも、単語を見て分かることに加え、音声を追う速さ、文を読み進める力、情報を結び付ける力が関わります。IELTSやTOEFLを目指す場合も、語彙診断だけで目標スコアへの到達を判断せず、公式サンプル問題で各技能を確認しましょう。
対策本に載っている「1,500語」は、その試験の総必要語彙数とは限りません。基本語をすでに知っている前提で、追加して学ぶ言葉だけを収録している場合もあります。試験内容の正確な情報は公式サイトをご確認ください。
CEFRにおける語彙数の関係
CEFRは、言語を使って何ができるかをA1からC2までの段階で示す枠組みです。英語の必須単語数だけで各レベルを定義しているわけではないため、語彙数からCEFRを一対一で換算することはできません。
学習範囲を考える参考には、Oxford 3000・Oxford 5000があります。Oxford 3000はA1〜B2の学習者に重要な3,000語を示し、Oxford 5000はそこにB2〜C1向けの2,000語を加えたリストです。
これらは優先して学ぶ語を見つけるための資料であり、3,000語知っていればB2、5,000語ならC1という認定基準ではありません。使うときは、意味を確認するだけでなく、音声や例文も見て、実際の読書や会話で出会ったときに理解できるかを確かめるようにしましょう。
英語ネイティブの一般的な語彙数目安

ネイティブの語彙数は、自分との違いが気になる数字の一つです。ただ、年齢や生活環境に加え、測定方法によって推計が変わります。英語を第二言語として使う国の人についても、国籍だけで語彙数を決めることはできません。
成人ネイティブの語彙数目安
英語ネイティブの語彙数には、数万語という推計があります。代表的なBrysbaertらの2016年の研究では、20歳の米国英語母語話者について約42,000レンマという代表値が示されました。同研究の語のまとめ方では、約11,100ワードファミリーに対応します。
| 年齢 | レンマ数の中央値 | 同研究の語族分類での中央値 |
|---|---|---|
| 20歳 | 約42,000 | 約11,100 |
| 60歳 | 約48,200 | 約13,400 |
同じ研究内でも個人差があり、20歳層の下位5%付近と上位5%付近では、約27,000〜52,000レンマの幅が示されています。また、この「知っている」には、語が存在すると認識する程度の知識も含まれます。表の語をすべて自在に使える、という意味ではありません。(出典:Brysbaertほか(2016)母語話者の語彙数に関する研究)
よく見かける「ネイティブは2万語」と「4万語」は、測定条件が違えば単純な矛盾ではありません。語族のまとめ方自体にも違いがあるため、研究間の数字をそのまま比べて、英語力の差と判断しないことが大切です。
ネイティブの子供から学べること

ネイティブの子供は、家族との会話、遊び、読み聞かせ、学校での学習などを通して、言葉と場面を結び付けていきます。文字を読む前にも音声で理解する語彙があるため、成人向けの文字テストと同じ条件で比べることはできません。
「4歳で何千語、8歳で何万語」という年齢別の数字を目標にするときも、何を測った検査なのかを確認する必要があります。知っている言葉の範囲は家庭や読書経験などによって異なり、一つの数字がすべての子供の発達基準になるわけではありません。
私たちが参考にしたいのは、同じ言葉に意味のある場面で何度も出会うことです。たとえば、おもちゃを探す場面でlook forを聞き、物語でまた出会い、自分でも使ってみる。そうした経験の積み重ねを、大人なら動画や本、会話で作れます。
ただし、大人の外国語学習と子供の母語習得では条件が違います。子供と全く同じ方法に限定する必要はなく、辞書や分かりやすい説明も使いながら、実際に英語を理解する時間を増やしていきましょう。
英語を第二言語とする国の傾向
シンガポールやフィリピンなど、英語を教育や仕事で使う国についても、「その国の人は平均何語」と一律に言えるわけではありません。家庭で使う言語、学校での経験、職業、日々の読書量によって、同じ国内でも差があります。
また、公用語は制度上の位置付け、第二言語はその人にとっての習得・使用の位置付けです。英語が公用語でも、幼いころから第一言語として使う人と、学校で学んだ第二言語として使う人がいます。「第二公用語の国」という表現だけでは、この違いが見えません。
学校や大学の一集団を調べた研究を、国民全体の平均として使うことにも注意が必要です。オンライン英会話の講師など、英語を日常的に使う人の印象を、その国の全員に当てはめることもできないでしょう。
日本での学習に取り入れたいのは、英語を情報や娯楽を得る手段にする発想です。興味のある分野の記事を読む、動画で調べる、感想を伝える。国別の語数を追うより、自分の生活で英語が必要になる場面を少しずつ増やすことが役立ちます。
英語の語彙力・単語数を診断する方法

英語の語彙力診断は、現状や学習の変化を見るのに便利です。無料のボキャブラリーテストにも複数の形式があるので、何を測りたいかに合わせて選びましょう。
無料語彙力診断の種類と選び方
主な診断は、知っている語の総量を推計するもの、頻度帯ごとの知識を調べるもの、単語を認識できるかを見るものに分かれます。結果が語数で出るテストと、得点で出るテストを区別するのが最初のポイントです。
| テスト | 主に確認すること | 結果を読む際の注意 |
|---|---|---|
| Vocabulary Size Test(VST) | 文字で提示された語の意味を選び、受容語彙の総量を推計 | 版によって対象範囲・問題数・計算方法が違う |
| PreplyのTest your vocabulary | 意味を知っている語にチェックし、辞書の主見出しを基に推計 | 自己申告の基準に左右され、VSTと同じ単位ではない |
| Updated Vocabulary Levels Test | 1,000〜5,000の各頻度帯の語彙知識 | 総語数より、どの頻度帯に抜けがあるかを見る用途に向く |
| LexTALE | 実在する英単語と、実在しない文字列の判別 | 主に中級〜上級者向け。得点をそのまま語数へ換算できない |
総量の目安を知りたい場合はVST系、手軽な自己点検にはチェック式が選択肢になります。LexTALEは英語版で採点対象の実在語40項目と非単語20項目を使いますが、80点だから8,000語、という読み方はできません。
どの方法でも、会話で必要な言葉が出てくるか、音だけで理解できるかまでは十分に分かりません。語彙診断は、英語力全体を判定する試験の代わりではなく、一つの側面を確かめる道具として使ってください。
VSTとチェック式テストの使い方

VSTをオンラインで試すには、VocabularySize.comの公開テストが選択肢になります。トップページから公開テストへ進み、言語や画面の説明を確認して回答します。大学のPaul Nation資料ページにも、英語版や日本語を選択肢に使う二言語版などが公開されています。
VSTの14,000版の原型は140問で、各1,000語族の頻度帯から10問ずつ出題します。この版では正答数に100を掛け、60問正解なら約6,000ワードファミリー相当と推計します。ただし、100問の20,000版などもあるため、どのVSTでも一律に100倍するわけではありません。オンライン版はその画面の採点方法に従いましょう。
PreplyのTest your vocabularyは、少なくとも一つの意味が分かる単語にチェックする方式です。最初の40語で大まかな範囲を見て、次の約120語で推計を絞ります。見覚えがあるだけの語にはチェックせず、意味が分かるという基準を保つことが大切です。
こちらは同じ語が再び出やすく、公式案内では成長記録のための再受検を多くても年1回としています。短期間で何度も解いて点数を上げる用途には向きません。無料診断の提供方法や利用条件は変わる場合があるため、受検時の公式案内も確認してください。
診断を受ける手順と記録の残し方

診断では高い数字を出すことより、次に何を学ぶか分かることを目指します。次の手順なら、結果を学習に生かしやすくなるはずです。
- 目的を決める
総量、基本語の抜け、音声理解など、知りたいことを選びます。 - 検査条件を確認する
語の単位、対象範囲、言語、回答形式を記録してください。 - 外部の助けなしで答える
辞書・検索・翻訳・AIを使わず、テストの指示どおり回答します。 - 結果と日付を残す
サービス名、版、得点、推計語数、所要時間もメモします。 - 実際の理解を確かめる
短い読書・聞き取り・発話を行い、数字との違いを見ます。
分からない問題で推測して答えるか、空欄にするかは、テストごとの指示に従ってください。選択式だからと自己判断で得点から25%を差し引くなど、独自の補正を加えることも避けます。
継続して測る場合は、同じ単位・同じ種類のテストで比べるのが基本です。ただし、問題を覚えた効果を減らすため、同等の別形式があれば利用し、再受検の間隔も提供元の説明に合わせましょう。数百語の上下だけで、上達や後退を決めつける必要はありません。
診断結果を読解や会話に生かす

「5,000語」と表示されたら、次は使う場面とのつながりを確かめます。文字・音声・自分の発話のどこで困るかを見ると、取り組む内容を選びやすいです。
まず短い音声を聞き、何について話していたかを書き出してから英文を読みます。文字なら分かる場合は、語彙の追加だけでなく、音と綴りの結び付きや、続けて発音された言葉に慣れる練習が役立つでしょう。
読む場合は、200〜500語程度の文章をいくつか試し、文脈で理解できない単語の出現回数を数える方法もあります。300語中に延べ9回なら、その部分の既知語率は97%です。同じ未知語が3回出たら3回と数えます。ただし、これは素材との相性をみる自己点検で、総語彙数の検査ではありません。
最後に、その内容を1分程度で話すか、短い感想を書いてみてください。言いたかったのに出てこなかった表現を確認すると、能動語彙として練習する候補になります。診断の数字と、実際に理解・表現できたことを一緒に記録しておくと、変化が見えやすくなります。
英語の語彙数を無理なく伸ばす方法

語彙数の目安と現在地が分かったら、実際の英語に触れる時間を作りましょう。私がおすすめしたいのは、興味のある内容を読み、聞き、意味を味わうイマージョン学習を中心にする方法です。
好きなコンテンツで語彙を学ぶ
イマージョン学習では、英語を使って物語や情報を理解する時間を増やします。映画、本、動画、ゲームなど、続きが気になる内容なら、言葉の意味を知ることにも目的が生まれます。
単語と日本語訳を一対一で覚えるだけでは、場面による意味の違いや自然な使い方を見落とすことがあります。たとえば、chargeは料金、充電、請求など、場面に応じて意味が変わる語です。ホテルの案内とスマートフォンの説明で出会えば、それぞれの使われ方を具体的に理解できます。
ただし、日本語訳や単語帳を使ったら必ず不自然な英語になる、というわけではありません。意味を確認する補助として使い、その後に実際の英文や音声へ戻ることが大切。目指すのは、訳語を毎回取り出さなくても、英語から場面や意味が浮かぶ状態です。
言葉の意味と場面を結び付ける考え方は、英語のボキャブラリーを増やす方法でも詳しく紹介しています。
多読と多聴は難易度を合わせる

インプットを増やすには、大筋が分かり、また触れたくなる素材を選ぶことが出発点です。理解できない音声を長時間流したり、ほぼすべての語を調べる本に取り組んだりしても、内容と結び付けるのが難しくなります。
初級なら、語彙を調整した読み物、短い物語、映像で状況が分かる動画などが候補になります。子供向けの作品でも、動植物や遊びの言葉、独特の表現が多い場合があるので、「児童向けだから簡単」とは決めつけないでください。
読む時間を作りたいなら、Kindleの洋書も選択肢です。対応する本や端末・アプリでは辞書やハイライトを利用できます。気になった語を調べたら元の文章へ戻り、その場面での意味を確認すると、読書の流れと語彙学習をつなげられます。
音から学びたい場合は、Audibleの英語オーディオブックで関心のある作品のサンプルを聞いてみましょう。本文も読むなら、同じ版の書籍を別途用意できるか、朗読が省略版でないかを確かめます。全文の英文がすべての音声作品に付くわけではありません。
教材選びの例は、英語多読のやり方と教材の選び方、音声の使い方はオーディブルの英語学習ガイドを参考にしてみてください。有料サービスを選ぶ際は、料金や対象作品の正確な情報を公式サイトで確認しましょう。
英単語を音とフレーズで覚える
単語を覚えるときは、意味だけでなく、音とよく使う組み合わせまで一緒に確かめます。getを一語追加したという記録だけでは、get home、get better、get readyなどを理解できるかまでは分かりません。
動画や本で気になった表現を見つけたら、単語だけを抜き出すより、短い一文や前後の場面を残すのがおすすめです。音声があれば聞き直し、どこがはっきり発音され、どこが短くつながっているかにも耳を向けてください。
映像では、英語字幕で文字を確認し、その後に同じ場面を音声中心で聞く方法も使えます。映像、音、意味が結び付くと、文字でしか知らなかった語を聞き取る練習にもなるでしょう。
すべてを毎回止めて調べる必要はありません。内容を楽しむ時間と、短い場面を丁寧に確認する時間を分けると続けやすくなります。作品を使う手順は、ディズニープラスを使った英語学習でも紹介しています。
語彙に繰り返し出会う機会を作る

語彙は、一度見たら完成するものではありません。同じ作品を読み返すことに加えて、似た話題の別の作品に触れると、同じ語の異なる使い方にも出会えます。料理が好きなら複数のレシピ動画を見るなど、しばらく関心のある分野を続けるのもよい方法です。
また、分かる言葉を使える言葉へ近づけるには、思い出して使う機会も作りましょう。本の感想を数文書く、動画の内容を独り言で説明する、会話で最近覚えた表現を使ってみる、といった小さな実践で十分です。
使い方が分からなくなったら、元の例文や辞書で確かめます。必要に応じて講師などに自然さを確認してもらうと、自分では気付きにくい組み合わせも学べます。理解できる語彙を育てながら、使いたい表現を少しずつ取り出すという流れです。
何回出会えば定着するかには個人差や語による違いがあるため、「7回で必ず覚える」といった回数に縛られる必要はありません。忘れたら場面ごと確認し直す。その積み重ねも学習の一部になります。
英語学習を数字と理解で振り返る

継続のためには、語彙数だけでなく、英語に触れた内容も記録するのがおすすめです。たとえば30分取れる日なら、15分読む、10分聞く、5分だけ印象に残った表現を確認する、といった配分から試せます。これは一例なので、集中できる時間や目的に合わせて変えてください。
一日に必ず何十語も覚えようとすると、見た数だけが増えて、後日理解できるかの確認が抜けることがあります。「昨日の場面を今日は聞き取れた」「以前より辞書を引かずに読めた」といった変化も、大切な手応えです。
アプリの既知語カウントも、活用形を別々に数えるかなどによって増え方が違います。診断テストと同じものとして比較せず、そのアプリ内での活動記録として見ましょう。数字と実際の理解が両方伸びるように調整することが、無理のない学習につながります。
英語の語彙数でよくある質問
総括:英語の語彙数・単語数目安

英語の語彙数は、現在地と学習の方向を考えるための目安です。日常的な内容から始め、理解したい世界が広がるにつれて語彙も増やしていけばよいので、最初からネイティブの総語数に追い付く必要はありません。以下に今回のポイントを簡単にまとめます。
- 語数を比べるときは、単位と測定方法を確かめる
- 読んで分かる語彙、聞いて分かる語彙、使える語彙を分けて見る
- 診断結果を、教材選びや基本語の見直しに生かす
- 興味のある英語に繰り返し触れ、場面や音と一緒に学ぶ
私が大切にしたいのは、覚えた数の先に、理解できる内容が増えていることです。今日読んだ一場面、聞き取れた一言、自分で伝えられた短い感想。そうした経験を重ねながら、英語を英語のまま理解し、使える語彙を育てていきましょう。

