「英語の多読は効果なし」は本当か?おすすめのやり方や教材の選び方

本ページにはプロモーションが含まれています
「英語の多読は効果なし」は本当か?おすすめのやり方や教材の選び方

「英語の多読は効果なし」という話を聞いて、試すのをためらってはいませんか。あるいは、実際に挑戦してみたものの、期待したような成果が得られずに悩んでいる方もいるかもしれません。

実は、多読とは何かを正しく理解し、ご自身のレベルに合った正しいやり方で実践すれば、英語力を飛躍的に向上させられる学習法です。効果を実感するまでの期間や、何万語読めば良いのかという目安はありますが、ポイントは「途中で意味を調べない」という一見不思議に思えるルールを守ることです。

この記事では、英語学習の初心者や子供でも無理なく始められる多読のコツから、学習効果を高める多聴との組み合わせ、おすすめの本や絵本といった教材、さらには無料で使えるサイトや便利なアプリ、そしてKindle Unlimitedの活用まで、多読の効果を最大限に引き出すための情報を網羅的に解説します。

記事のポイント
  • 多読が「効果なし」と言われる本当の理由
  • 英語脳を育てるための正しい多読の実践方法
  • レベル別におすすめの教材やツールの選び方
  • 多読の効果を最大化する多聴との組み合わせ
目次

英語の多読は効果なし?おすすめのやり方とは

英語の多読は効果なし?おすすめのやり方とは
  • そもそも英語多読とは?基本原則
  • ストーリーで学ぶのが効果的な理由
  • 効果が出る期間は?何万語が目安か
  • 意味を調べないというやり方の真意
  • 初心者や子供におすすめの簡単な始め方

そもそも英語多読とは?基本原則

英語多読が効果的かどうかを判断する前に、まずは「多読とは何か」を正確に理解することが不可欠です。多読(Extensive Reading)とは、辞書を使わずに理解できるレベルの易しい英文を、楽しみながら大量に読む学習法を指します。学校の授業で行われるような、一文一文を和訳しながら細かく分析する「精読(Intensive Reading)」とは対極にあるアプローチです。

多読の最大の目的は、英文を日本語に訳さず、英語の語順のまま直接理解する能力、いわゆる「英語脳」を育成することにあります。大量の英語に触れることで、脳が英語特有のリズムや構造に慣れ、自然な言語処理能力が養われるのです。

多読の基本原則

広く認知されている多読の原則は、この学習法の本質を示しています。特に日本の学習者向けに分かりやすくされた「多読三原則」は、実践する上で役に立ちます。

  • 辞書は引かない:辞書が必要な本はレベルが高すぎます。
  • 分からないところは飛ばす:完璧な理解より、全体の流れを掴むことを優先します。
  • つまらなくなったらやめる:楽しむことが継続の鍵であり、学習の主導権は自分自身が握ります。

これらの原則は、学習のハードルを下げ、英語に触れること自体を楽しい体験に変えるために設計されています。

このように、多読は単なる読書ではなく、言語習得の科学的根拠に基づいた体系的なトレーニングです。もし「効果がない」と感じているのであれば、それは多読という手法そのものではなく、この基本原則から外れたやり方をしている可能性も考慮する価値があるはずです。

ストーリーで学ぶのが効果的な理由

ストーリーで学ぶのが効果的な理由

単語帳の丸暗記や文法問題の繰り返しに挫折した経験はありませんか。実は、英語学習においてストーリーや物語を通して学ぶ方法は、科学的にも非常に効果的であることが分かっています。その理由は、言語を無味乾燥な「情報」としてではなく、文脈と感情を伴った「体験」として脳に刻み込むことができるからです。

人間の脳は、孤立した情報よりも、互いに関連付けられたエピソード記憶を保持する方が得意です。物語は、登場人物、設定、起承転結といった要素が複雑に絡み合い、一つ一つの単語や表現に意味と命を吹き込みます。このアプローチにより、学習はより深く、そして持続可能なものになるのです。

文脈と感情が記憶を強化する

ストーリー学習が優れている最大の理由の一つは、すべての言葉が「生きた文脈(コンテクスト)」の中で提示される点にあります。例えば、「run」という単語を「走る」とだけ覚えても、”run a company”(会社を経営する)や”run out of milk”(牛乳がなくなる)といった表現には対応できません。しかし、物語の中であれば、これらの表現がどのような状況で使われるかを自然に、そして直感的に理解できます。

さらに、物語は私たちの感情を揺さぶります。主人公に共感したり、ハラハラする展開に手に汗を握ったり、感動的な結末に涙したり。このように感情が動かされると、脳内の扁桃体が刺激され、記憶の定着が格段に促進されることが知られています。これは、言語習得における心理的な壁「情意フィルター」を下げる効果もあり、不安や退屈を感じることなく、リラックスしてインプットを受け入れられる状態を作り出します。

「学習」から「没入」へ:夢中にさせるインプットの力

言語学者のスティーブン・クラッシェンは、言語習得に最適なインプットは、単に「面白い」だけでなく「夢中にさせる(Compelling)」レベルに達している必要があると提唱しました。これは、学習者が「自分は今、外国語を勉強している」という意識すら忘れ、物語の世界に完全に没頭している状態を指します。

この「フロー状態」に入ると、学習意欲すら必要なくなります。ただ物語を楽しんでいるだけで、脳は自動的に言語のルールやパターンを吸収していくのです。これは、無味乾燥な教材の暗記作業では決して得られない、ストーリー学習ならではの大きなメリットと言えるでしょう。

「勉強しなければ」という義務感から解放され、純粋なエンターテイメントとして英語に触れることで、学習は苦行から喜びに変わります。この意識の転換こそが、長期的な継続を可能にし、結果的にインプットの絶対量を確保することにつながるのです。

考えてみてください。退屈な教科書を1時間読むのと、大好きな映画の原作を1時間読むのとでは、どちらが楽に続けられそうでしょうか。答えは明白ですよね。楽しさは、何より強力な学習のエンジンになります。

推測力や文化理解といった総合的な力が身につく

前述の通り、多読では辞書を使いません。物語を読み進めていると、当然ながら知らない単語や表現に出会います。しかし、そこで思考を停止するのではなく、前後の文脈や物語全体の流れから「おそらくこういう意味だろう」と意味を推測する訓練が自然にできます。この推測力は、実際のコミュニケーションにおいて非常に重要なスキルです。

また、物語はその言語が話されている国の文化や価値観、社会的な背景を色濃く反映しているものです。ストーリーを通じて、言葉の背後にある文化的なニュアンスを学ぶことは、単語の意味を知っているだけでは到達できない、より深いレベルでのコミュニケーションを可能にします。

このように、ストーリー学習は単語や文法だけでなく、思考力、推測力、異文化理解力といった、コミュニケーションに不可欠な総合的な力を、楽しみながらバランス良く育ててくれる理想的な学習法だと言えるでしょう。

効果が出る期間は?何万語が目安か

効果が出る期間は?何万語が目安か

多読を始めた学習者が最も気になる点の一つが、「一体いつになったら効果が現れるのか」という期間の問題です。結論から言うと、多読の効果は短期間で劇的に現れるものではなく、ある程度の量を継続してこなすことで、徐々に、しかし確実に現れてきます。

その大きな目安として、多くの多読実践者や研究機関が提唱しているのが「累計100万語」というマイルストーンです。これは、平均的なペーパーバック約10冊から15冊分に相当する語数で、決して低いハードルではありません。しかし、この量を達成する頃には、英語力に質的な変化が訪れると言われています。

100万語と聞くと圧倒されるかもしれませんが、これは脳が英語の処理プロセスを「自動化」するために必要な練習量と考えると分かりやすいです。ピアノの練習で指が自然に動くようになるのと同じで、大量のインプットを通じて、脳が文法や語彙を無意識レベルで扱えるようになります。

読書量に応じた効果の推移(目安)

もちろん効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には以下のような段階を経て英語力が向上していきます。

  • 累計30万語:返り読み(英文を後ろから日本語に訳す癖)が減り始め、簡単な英文なら英語のまま理解できる感覚が芽生えます。読書が少し楽に感じられるようになる段階です。
  • 累計50万語:読解スピードの向上を明確に実感できるようになります。語彙も増え、一度に集中して読める量が増加します。
  • 累計100万語:「英語脳」の基礎が確立される段階です。1時間程度の読書を大きな負担なく楽しめるようになり、ヤングアダルト小説など、平易な一般書であれば辞書なしで快適に読み進められるレベルに到達します。

重要なのは、100万語はゴールではなく、本格的な多読の世界へのスタートラインだということです。この段階をクリアして初めて、ネイティブ向けの多様な本を楽しみながら、さらに語彙や表現の幅を広げていくことが可能になります。焦らず、自分のペースで読書量を記録し、積み重ねていくことが成功への鍵です。

意味を調べないというやり方の真意

意味を調べないというやり方の真意

多読を成功させる上で、最も重要かつ、多くの学習者がつまずきやすいルールが「意味を調べない(辞書を引かない)」ことです。「分からない単語を放置して、本当に英語力がつくのか」と疑問に思うかもしれませんが、これには言語習得の観点から見て極めて合理的な理由があります。

第一に、辞書を引く行為は読書の「フロー(集中状態)」を完全に中断させてしまいます。わからない単語に出会うたびに読書を止め、辞書で意味を調べる作業は、楽しいはずの読書を苦痛な「解読作業」に変えてしまい、挫折の大きな原因となります。

第二に、特に英和辞典を使うことは、思考回路を強制的に「日本語モード」に戻してしまいます。これでは、英語を英語のまま理解する「英語脳」の回路を構築するという多読の根本的な目的が達成できません。できるだけ長く英語の世界に浸り続けることが、英語脳を育てる上で不可欠なのです。

推測する力を育てることが大切

辞書に頼らず、文脈や前後の話の流れ、挿絵などから未知の単語の意味を類推するトレーニングは、流暢な読解力を身につけるために欠かせないスキルです。最初は曖昧な理解に不安を感じるかもしれませんが、この「曖昧さ耐性」を養うことで、辞書がなくても大意を掴む力が育ち、自律した読者へと成長できます。

中級者以上の例外的なアプローチ

初心者の段階では「辞書禁止」を徹底すべきですが、中級以上のレベルになれば、より戦略的なアプローチも可能です。それは、読んでいる最中は調べず、気になる単語にハイライトだけしておき、読了後や章の区切りでまとめて確認する方法です。この際、できれば英英辞書(Kindleの内蔵辞書など)を使うと、英語脳の維持に役立ちます。この方法なら、読書のフローを維持しつつ、計画的に語彙を増やすことが可能です。

初心者や子供におすすめの簡単な始め方

初心者や子供におすすめの簡単な始め方

これから多読を始める初心者の方や、お子さんに英語に親しんでほしいと考えている保護者の方にとって、最初のステップは非常に重要です。この段階での目標は、難しい本を読むことではなく、「英語を読むことは楽しい」という体験を積み重ね、読書を習慣化することにあります。

英語学習初心者の始め方

大人の初心者が多読を始める際は、前述のGraded Readers (GRs) の最も易しいレベル(Starterレベルなど、使用語彙が300語程度に制限されたもの)から手にとってみてください。「簡単すぎる」と感じるくらいが丁度良いレベルです。辞書を引かずにスラスラ読めるという成功体験が、英語への抵抗感をなくし、自信へとつながります。まずは「週に1冊」を目標に、短い物語を読み終える達成感を大切にしましょう。

大切なのは「学習」するという意識を捨てることです。「努力なくして成果なし」ではなく、「楽しめなければ成果はない」というのが多読の哲学です。義務感で読むのではなく、純粋に物語の世界に浸ることを目指しましょう。

子供のための多読入門

子供の多読で最も優先されるべきは「楽しさ」です。読書を強制しないことが大切です。

  • 絵本(Picture Books)から始める:『はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpillar)』のような、イラストが豊かで文章がリズミカルな絵本は最適です。親が感情豊かに読み聞かせをすることで、英語と楽しい経験が結びつきます。
  • 音声と一緒に楽しむ:CDや音声データが付属している教材を活用し、音を聞きながら絵本を眺めるのも効果的です。これにより、文字と正しい音のつながりが自然に形成されます。
  • レベル分けされたシリーズを活用する:オックスフォード・リーディング・ツリー(Oxford Reading Tree, ORT)のような、細かくレベル分けされたシリーズは、子供の成長に合わせてステップアップできるため非常に優れています。

子供に対して、内容を理解しているか試すような質問(クイズ)は避けるべきです。プレッシャーは「情意フィルター」を高め、言語習得を妨げます。子供が自然に言語を吸収する力を信じ、温かく見守る姿勢が大切です。目に見える進歩がなくても、水面下では着実に英語力が育っていくでしょう。

以下でも初心者向けの考え方や学習を始めるポイントを紹介しています。

「英語の多読は効果なし」を覆すおすすめ教材

「英語の多読は効果なし」を覆すおすすめ教材
  • 多読と多聴を組み合わせる効果とは
  • レベルに合った本・教材を選ぶ必要性
  • 本・絵本・教材のおすすめの選び方
  • 無料の初心者向け多読サイト・アプリ
  • おすすめ多読アプリはKindle Unlimited

多読と多聴を組み合わせる効果とは

多読の効果を飛躍的に高めるための手段の一つが、「多聴(Extensive Listening)」との組み合わせです。多聴とは、多読のリスニング版であり、易しく理解できる英語の音声を、楽しみながら大量に聞く学習法を指します。この二つを組み合わせることで、それぞれを単独で行うよりも遥かに大きな相乗効果が生まれます。

多読によって、英文を前から後ろへとスムーズに処理する「英語脳」が鍛えられますが、この能力はリスニングにおいても極めて重要です。ネイティブの速い会話についていくには、耳から入ってくる情報をリアルタイムで処理する必要があり、この処理能力の土台を多読が作ってくれるのです。

学習法の例「リーディング&リスニング」

最も効果的な実践方法は、本のテキストを目で追いながら、同時にその音声(オーディオブックなど)を聞くことです。この「リーディング&リスニング」には、多くのメリットがあります。

  • 発音の矯正:自己流のカタカナ発音などが、正しい英語の音に強制的に上書き修正されます。文字と音の正確な結びつきが脳内に構築されます。
  • 記憶の強化:同じ内容を「目」と「耳」という2つのチャンネルからインプットすることで、語彙やフレーズの記憶への定着が格段に向上します。
  • リズムとイントネーションの習得:文字だけでは学べない、英語特有の自然なリズムや抑揚(プロソディ)を、シャワーを浴びるように吸収できます。

多読だけを行う場合、誤った自己流の発音が頭の中で定着してしまう(化石化)というデメリットが指摘されることがあります。しかし、多聴を組み合わせることで、この問題を効果的に回避できます。音声付きの教材を積極的に活用したり、映画を英語音声・英語字幕で視聴したりすることも、この学習法の一つの例とも言えるでしょう。

以下ではリスニング学習のポイントについても紹介しています。

レベルに合った本・教材を選ぶ必要性

レベルに合った本・教材を選ぶ必要性

「多読を試したけれど効果がなかった」という声の原因として、最も多く見られるのが「教材選びの誤り」です。具体的には、自分の現在の英語力に対して難しすぎる本を選んでしまうケースです。これは、多読の成功を左右する最も重要な要素と言っても過言ではありません。

多読の原則は「辞書なしで楽に読める」ことですが、多くの学習者は背伸びをしてしまいがちです。しかし、知らない単語ばかりの本を無理に読み進めても、それは多読ではなく、苦しい「精読」になってしまいます。結果として読書スピードは上がらず、楽しさも感じられず、モチベーションが低下して挫折につながるという悪循環に陥ってしまうのです。

大切なのは、少し謙虚になることです。最初は「こんなに簡単でいいの?」と感じるくらいのレベルから始めるのが成功の秘訣です。スラスラ読める快感を味わうことが、次のステップへの強力な動機付けになります。

レベル判断の簡単な目安「5フィンガー・ルール」

どの本を選べば良いか分からないときに役立つ簡単な方法が「5フィンガー・ルール」です。

  1. 本の任意の1ページを開きます。
  2. そのページを読みながら、知らない単語が出てくるたびに指を1本ずつ立てていきます。
  3. 1ページを読み終える前に5本の指が全て立ってしまったら、その本は今のあなたには難しすぎます。

このルールは、一目で本の難易度を直感的に判断できるため、特に書店で本を選ぶ際に非常に便利です。

Graded Readers(GRs)の活用

初心者のうちは、無理に一般の洋書に手を出すのではなく、Graded Readers(グレイデッド・リーダーズ)と呼ばれる、言語学習者向けに語彙や文法を制限して書かれた本から始めることもおすすめです。これらの教材はレベルが細かく分かれているため、自分に合う一冊を簡単に見つけることができます。GRsで基礎固めをすることが、将来的にネイティブ向けの本を自由に楽しむための近道となるでしょう。

Amazonでも紙の書籍とKindleの両方で多く見つけることができるはずです。

本・絵本・教材のおすすめの選び方

本・絵本・教材のおすすめの選び方

多読を成功させるには、自分のレベルと興味に合った教材を選ぶことが何よりも重要です。ここでは、初心者から上級者まで、具体的な教材の選び方を紹介します。

初心者〜中級者:Graded Readers (GRs) から選ぶ

前述の通り、初心者から中級者にかけての段階では、Graded Readers (GRs) は信頼できる教材です。主要な出版社から多くのシリーズが出版されており、それぞれレベル分けの基準が少しずつ異なります。以下の表を参考に、色々なシリーズを試してみるのがおすすめです。

スクロールできます
CEFRレベルOxford BookwormsPenguin (Pearson) Readers語彙数目安TOEIC L&R 目安
Pre-A1StarterEasystarts200-300語〜220点
A1Stage 1Level 1300-600語225点〜
A2Stage 2Level 2600-1100語400点〜
B1Stage 3-4Level 3-41100-2200語550点〜
B2Stage 5-6Level 5-62200語〜785点〜

この表はあくまで目安です。同じレベルでも、本のテーマや作家によって読みやすさは変わります。「面白い」と感じるかどうかが一番の基準です。

中級者〜上級者:ネイティブ向けの一般書に挑戦

GRsを卒業したら、いよいよネイティブ向けに書かれた一般書(Authentic Materials)に挑戦します。特に、中高生を対象としたヤングアダルト(YA)小説は、大人の学習者にとっても読みやすく、物語として非常に面白い作品が多いため、最初のステップとして最適です。

どの本から読めばいいか分からない、という「選択の麻痺」に陥らないよう、世界中の学習者から支持されている定番の作品から始めてみるのがおすすめです。

  • 『Holes』(邦題:穴) by Louis Sachar:巧みなストーリーで引き込まれる、YA小説の傑作です。
  • 『Wonder』(邦題:ワンダー) by R.J. Palacio:心温まる感動的な物語で、平易な英語で書かれています。映画化もされています。
  • 『Harry Potter』シリーズ by J.K. Rowling:言わずと知れた世界的ベストセラー。1巻は比較的読みやすく、巻が進むにつれて徐々に難易度が上がっていくため、自分の成長を実感しやすいです。

一度日本語で読んだことのある好きな小説の原書を読んでみるのも、内容が分かっているため心理的なハードルが下がり、非常におすすめの方法です。

無料の初心者向け多読サイト・アプリ

無料の初心者向け多読サイト・アプリ

多読は、必ずしもお金をかける必要はありません。インターネット上には、質の高い英文を無料で提供している優れたウェブサイトが数多く存在します。これらを活用すれば、コストを気にすることなく豊富なインプットを確保できます。

以下のサイトやアプリはイラストも多く、大人の初心者にとっても最適な出発点となります。

  • Book Dash:アフリカの子供たちのために作られた、美しいイラストが満載の無料絵本サイトです。非常に簡単な英語で書かれており、楽しく読み始められます。
  • Storynory:子供向けのストーリーを文字と音声の両方で楽しむことができます。アプリにも対応しており、利便性も高いためおすすめです。
  • Voice of America:こちらはアメリカのニュースを分かりやすく提供しており、音声も付いています。短い記事で構成されているため、隙間時間の学習にもおすすめです。

まずはこれらの無料サイトをいくつか試してみて、自分が「楽しい」と感じるものを見つけることから始めてみましょう。重要なのは、興味を持って続けられることです。

おすすめ多読アプリはKindle Unlimited

Kindle Unlimitedはおすすめ多読アプリ

電子書籍リーダー、特にAmazonが提供するKindleは、英語多読を実践する上で最強のツールとなり得ます。そして、そのポテンシャルを最大限に引き出すのが、月額定額制の読み放題サービス「Kindle Unlimited」です。この二つを組み合わせることで、多読学習はより効率的で、経済的、そして楽しいものへと進化します。

Kindle Unlimitedの最大の魅力は、なんといってもその圧倒的なコストパフォーマンスにあります。対象となっている120万冊以上の洋書を追加料金なしで好きなだけ読めるため、多読の経済的な負担を劇的に軽減してくれます。これは、「つまらなければやめる」という多読の重要な原則を、購入費用を気にすることなく実践できることを意味します。面白そうな本を次々と試し、合わなければすぐに別の本へ移る。この試行錯誤の自由さが、自分にとって本当に夢中になれる一冊と出会う確率を高め、学習の継続を力強く後押ししてくれるでしょう。

Kindleアプリが多読学習の質を高める理由

Kindle端末やスマートフォンアプリには、ただ本を読むだけにとどまらない、多読学習をサポートする優れた機能が標準で搭載されています。

内蔵辞書機能
多読の原則は「辞書を引かない」ことですが、中級以上の学習者が戦略的に語彙を増やす際には辞書が役立ちます。Kindleなら、わからない単語を長押しするだけで、瞬時に辞書の定義を表示可能です。物理的な辞書を引く手間や思考の中断を最小限に抑えられ、さらに英英辞書に設定すれば、思考を英語モードに保ったまま意味を確認でき、英語脳の維持にも貢献します。

Word Wise機能
これは、難しい単語の上に自動で簡単な同義語やヒントを表示してくれる画期的な機能です。わざわざ辞書を引くまでもないけれど意味が少し曖昧な単語も、この機能があれば読書のフローを一切止めることなく、スムーズに理解を進めることができます。

単語帳(Vocabulary Builder)機能
Kindleで調べた単語は、自動的に単語帳リストに保存されます。このリストは後からフラッシュカード形式で復習できるため、多読という「偶発的な学習」で出会った語彙を、単語学習という「意図的な学習」へとつなげる非常に強力な橋渡し役となります。出会った文脈と共に単語を記憶できるため、定着率が格段に向上します。

Audibleとの連携で「多読多聴」も可能

多読の効果をさらに高める方法として「多聴」との組み合わせが挙げられますが、KindleはAmazonのオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」との連携による学習もおすすめです。

興味のある書籍を状況や場面によって使い分けることもできるため、より広いアプローチでインプットすることが可能です。また、同じ本のKindle版とAudible版を両方所有している場合、前述した「リーディング&リスニング」のような効果も期待できます。

ただ、Kindle Unlimitedにも注意点はあります。読みたい本が常に対象作品に含まれているとは限らず、ラインナップは随時変更される可能性があります。また、全ての書籍にWord Wise機能やAudible版が用意されているわけではありません。とはいえ、それを補って余りあるほどのメリットがあることは間違いありません。

このように、Kindleと関連サービスを戦略的に使いこなせば、多読は単なる読書から、語彙、文法力、発音、リスニングを同時に鍛えながら英語学習することができるはずです。端末では以下のPaper Whiteが価格と機能面でのバランスも良いのでおすすめです。

総括:「英語多読は効果なし」はやり方次第

この記事では、「英語の多読は効果なし」という疑問に答えるため、その原因から正しい実践法、そして具体的な教材までを詳しく解説しました。最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 多読とは易しい英文を大量に読むことで英語脳を育てる学習法
  • 効果なしの原因はレベルの合わない本選びや間違ったやり方が大半
  • 「辞書は引かない」「わからない所は飛ばす」「つまらなければやめる」の三原則が重要
  • 意味を調べないことで文脈から推測する力が養われる
  • 効果の目安は100万語だが、これはスタートラインである
  • 自分のレベルより「簡単すぎる」と感じる本から始めるのが成功の鍵
  • 初心者や子供はGraded Readersや絵本から始めるのがおすすめ
  • 多読と多聴の組み合わせは学習効果を飛躍的に高める
  • 文字と音を一致させるリーディング&リスニングは最強の学習法
  • 無料のウェブサイトやアプリでも質の高い多読は可能
  • Kindleの内蔵辞書や単語帳機能は多読と非常に相性が良い
  • Kindle Unlimitedを活用すればコストを抑えて大量に読める
  • 多読の成功は「楽しむこと」と「継続すること」にかかっている
  • 正しい方法で実践すれば多読は英語力向上に絶大な効果を発揮する
  • この記事を参考に今日から多読を始めてみよう
目次