海外の長期滞在におすすめの方法|目的や国、準備のポイント

海外の長期滞在におすすめの方法|目的や国、準備のポイント

海外での長期滞在に興味があり、短期の旅行とは違う現地での生活を体験してみたいと考えている方も多いでしょう。

しかし、いざ実現しようと思うと、「私の目的ならどのビザが必要?」「観光ビザのままでいいの?」「ワーキングホリデーの年齢は過ぎてるし…」「留学や海外就職、あるいはノマドビザってどうなの?」「結局、費用はいくら準備すればいいの?」と、たくさんの疑問が出てくるかと思います。

海外移住とまではいかなくても、ロングステイを実現するための具体的なステップが分からないと、計画も立てづらいはずです。

この記事では、そのような海外での長期滞在に関する疑問を解消するために、目的別の滞在スタイルから、ビザの基本、必要な費用や準備まで知っておきたいポイントまとめているので、参考となれば幸いです。

記事のポイント
  • 目的別の滞在スタイル(留学、ワーホリ等)
  • 長期滞在に必要なビザの種類と注意点
  • 長期滞在に人気の国と費用の目安
  • 出発前に日本でやるべき準備と手続き
目次

海外の長期滞在におすすめの方法

海外の長期滞在におすすめの方法

「海外に長く滞在したい」と思ったら、まず最初に考えるべきは「何のために行くのか?」という目的です。観光旅行と違い、長期滞在は現地での生活だと言えます。この目的が曖昧だと、どの国のどのビザを選ぶべきか、どれくらいの予算が必要か、全ての計画がぼやけてしまいます。まずはどんなスタイルがあるのか、全体像を見てみましょう。

主な滞在スタイルと目的

海外長期滞在の計画で一番大切なのは、「目的の明確化」です。なぜなら、この目的があなたの滞在の法的な根拠(=ビザ)を決めるからです。「なんとなく海外で暮らしたい」という理由だけでは、ビザの取得が困難になります。

ご自身の目的が以下のどれに近いかを確認してみましょう。

主な長期滞在のスタイル

学習(留学)
語学学校での英語学習、大学・大学院での学位取得、専門学校での技術習得(例:カナダのCo-opプログラム)など。

就労・キャリアアップ
現地企業への直接就職、日本企業からの駐在、または特定のプログラム(例:Co-op)を利用した就労体験。

ワーキングホリデー
協定国において、18歳から30歳(国により異なる)を対象に、観光、就学、就労を一定期間(通常1年)許可する特別な制度。

デジタルノマド
リモートワークの普及を背景に、所属企業の国籍や場所にとらわれず、国外からの収入を得ながら滞在する新しいスタイル。

リタイアメント・長期休暇
退職後の生活拠点として、あるいは長期の休暇を利用して、物価が安価な国や、気候が温暖な国(例:マレーシア、タイ、ポルトガル)で過ごす。

例えばカナダで働きたい場合、30代のエンジニアなら高いスキルを証明して「就労ビザ」を目指すか、リモートワークが可能なら「デジタルノマド」としての滞在(カナダも関連ビザを導入)を模索することになります。一方で、20代なら「ワーキングホリデー」という、より自由度の高い選択肢が取れます。

まずは自分がどのカテゴリーに当てはまるのか、そしてその目的を達成するためにはどのビザが必要なのかを考えるのが、計画のスタートラインです。

観光ビザで滞在する注意点

観光ビザで滞在する注意点

「とりあえず観光ビザで入国して、あとは現地で考えよう」というのは、リスクのある考え方かもしれません。

確かに、日本のパスポートは世界最高クラスで、多くの国に「観光目的」であればビザなし(ビザ免除)で一定期間(例:アメリカや多くの国で90日以内)滞在できます。しかし、これはあくまで「短期の観光」が前提であり、「長期の滞在」や「居住」を意図するものではありません。

シェンゲン協定「90/180日ルール」

特にヨーロッパの長期滞在を考える上で、シェンゲン協定のルールの理解は不可欠です。シェンゲン加盟国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガルなど29カ国)では、「あらゆる180日の期間内で最大90日」という厳格なルールが適用されます。

これは「1年に90日」や「1カ国につき90日」ではなく、「過去180日間を遡って、シェンゲン域内の総滞在日数が90日を超えてはならない」という意味です。この計算は複雑で、知らずに滞在を試みるとオーバーステイ(不法滞在)となり、将来的な入国拒否や罰金の対象となります。

「ビザラン」はNG

観光ビザ(またはビザ免除)の期限が切れる直前に、近隣の非加盟国へ陸路や空路で出国し、即座に再入国することで滞在期間をリセットしようとする行為は「ビザラン」と呼ばれます。

一昔前は東南アジアの一部(例:タイ)で慣習的に行われていた時期もあったようですが、近年は世界的に移民・滞在管理が厳格化しており、ビザランは極めてハイリスクな行為です。(台湾のように、ビザランが合法とされ公的に推奨されている稀な例外もありますが、これは全く一般的ではありません。)

ビザランのリスクは明白です。入国は最終的に現場の入国審査官の裁量に委ねられており、短期の出入国を繰り返す不審な渡航履歴は、入国拒否の十分な理由となります。さらに、このようなグレーな滞在履歴は、将来あなたが正規の学生ビザや就労ビザ、永住権などを申請する際に、重大なマイナス要因となり得ます。合法的な長期滞在を目指すなら避けるべきでしょう。

留学・学生ビザで学ぶ

留学・学生ビザで学ぶ

まず、長期滞在としての目的が明確で一般的な方法が「留学」です。現地の教育機関(語学学校、専門学校、大学など)から「入学許可証(I-20やLetter of Acceptanceなど)」を発行してもらい、それを基に「学生ビザ」を申請します。

留学と一口に言っても、目的によってビザの種類が異なります。

アメリカの例
大学や語学学校など学術的な機関での就学には「F-1ビザ」が、ネイルやマッサージ、ダンスなどの専門学校で非学術的・職業的な研修を受ける場合には「M-1ビザ」が発給されます。

ビザ取得には、入学許可証のほかに、学費や生活費を十分に賄えることを証明する「資金証明(銀行の残高証明書など)」や、アメリカの場合はSEVIS費(留学生管理費、F-1ビザで350ドル)の支払いなども必要になります。

注意点としては、学生ビザでの就労は厳しく制限されていることが多い点です。例えばカナダでは、公立カレッジや大学の学生は週20時間までの学外アルバイトが許可されますが、私立の語学学校(ESL)プランの学生ビザでは、原則として就労(アルバイト含む)は許可されません。あくまで「勉強が本分」であり、生活費を現地で稼ぐことを前提にはできないビザだと言えます。

「どの学校やプログラムを選べばいいか分からない」という場合は、留学エージェントに相談するのも一つの手段です。失敗しない留学エージェントの選び方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ワーキングホリデーで働く

ワーキングホリデーで働く

18歳から30歳(国によって上限が異なります。例:イギリス、オーストラリア、カナダは30歳でも申請可)までの人限定ですが、もし対象年齢なら「最強のビザ」かもしれません。

ワーキングホリデー(ワーホリ)制度は、日本と協定を結んでいる国(2025年時点でカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、台湾など多数)で、最長1年間(国によっては延長や2回目の利用も可能)、就学・就労・観光を自由に行える特別な制度です。(出典:外務省「ワーキング・ホリデー制度」

最大の魅力は、その自由度の高さです。「最初の6ヶ月は語学学校に通って英語力を上げ、後半の6ヶ月はカフェやレストランでアルバイトする」といった、自分だけのオリジナルプランを合法的に組むことができます。

ただし、基本的には各国で一生に一度しか使えない(一部例外あり)貴重なビザなので、どの国で、どのタイミングで使うかは慎重に選びたいところです。また、「現地に行けばなんとかなる」と準備不足で行くと、仕事が全く見つからず、貯金だけが減っていく…という事態にもなりかねません。一定の語学力と初期費用(カナダは申請時に$2,500の残高証明が必要)は必須です。

ワーキングホリーの準備や計画については以下でも解説しています。

ノマドビザと海外就職

ノマドビザと海外就職

30歳を超えている場合や、明確なキャリアアップを目指す場合は、主にこの2つが選択肢になると考えられます。

海外就職(就労ビザ)

これは、現地の企業に「あなたが必要だ」と認めてもらい、雇用主(スポンサー)になってもらって取得するビザです。専門的なスキルや職務経験、ビジネスレベルの高い語学力が求められるため、ハードルはかなり高いと言えます。

現地就職への足がかりとして、カナダの「Co-op(コープ)ビザ」を利用する方法もあります。これは専門学校での就学(座学)期間と、その分野に関連した企業での実習(有給のフルタイム就労)期間がセットになったプログラムです。学生ビザでありながら合法的に働けるため、現地での実務経験を積むことができ、その後の本格的な就職(や永住権)に繋がりやすいとして人気があります。

また、カナダでは政府認定の高等教育機関(大学や公立カレッジなど)を卒業すると、最長3年間のオープンな就労許可(ポストグラデュエート就労ビザ)が得られる制度もあり、キャリアパスが描きやすい国の一つかもしれません。

カナダのコープ留学に必要な準備や条件については、こちらの記事も参考にしてみてください。

デジタルノマドビザ(近年のトレンド)

ここ数年で一気に世界中に増えた、新しい滞在スタイルです。リモートワークの爆発的な普及により、「現地で職を探す」のではなく、「国外の仕事(日本の会社の業務など)をリモートで行い、国外からの収入を得ながら滞在する」という選択肢が生まれました。

各国政府も、このリモートワーカー層を新たな税収源や高額消費者として積極的に受け入れる体制にシフトしています。デジタルノマドビザは、経済的に自立した層を選別するため高額な収入要件を課す国がほとんどです。

これらのビザは、あくまで「リモートワーク」が前提で、現地企業での就労は許可されません。エンジニアやデザイナー、ライター、コンサルタントなど、PC一つで完結する仕事をしている人にとっては、非常に魅力的な選択肢だと言えるでしょう。


海外で働ける仕事や職種については以下でも詳しく紹介しています。

海外の長期滞在におすすめの国と準備

海外の長期滞在におすすめの国と準備

滞在の目的とビザの目星がついたら、次は最も現実的で重要な「お金」と「準備」の話です。憧れだけで突っ走ると、現地で「こんなはずじゃなかった」と必ず困ってしまいます。ここはしっかりリサーチして、現実的な計画を立てておきましょう。

ロングステイに人気の国

長期滞在先として人気がある国には明確な理由があります。ビザの取りやすさ、物価、気候、治安、医療レベル、そして日本からの距離や時差などが主なポイントです。

東南アジア(マレーシア、タイ、フィリピン)

マレーシアは、一般財団法人ロングステイ財団の調査で長年「日本人が住みたい国No.1」に選ばれています。物価が比較的安く(日本の50~60%程度)、英語が通じやすく、医療水準も高いのが理由のようです。長期滞在プログラム「MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)」も有名です(ただし条件は随時更新されています)。

タイも、温暖な気候と物価の安さ、医療レベルの高さ(特にバンコク)で人気です。満50歳以上を対象にしたリタイアメントビザ(Non-Immigrant O)や、富裕層向けの長期滞在プログラム「タイランドエリート(タイランド・プリビレッジ)」など、滞在の選択肢が多いのも特徴です。

北米・大洋州(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)

留学やワーキングホリデー先として、教育水準の高さ、治安の良さ、多文化社会で暮らしやすい点から圧倒的な人気を誇ります。雄大な自然環境も魅力です。ただし、最大の難点は物価(特に家賃)が非常に高いことです。バンクーバー、シドニー、オークランドなど、主要都市は軒並み生活費が高騰しています。

ヨーロッパ(ポルトガル、スペイン、マルタ)

気候が温暖で、歴史的な街並みや豊かな食文化も魅力です。最近は特にポルトガルスペインマルタなどが、デジタルノマドビザや、比較的要件が緩やかなリタイアメントビザ(ポルトガルのD7ビザなど)を積極的に発給しており、欧州滞在の入り口として注目されています。

その他(ジョージア、メキシコなど)

少しニッチな選択肢かもしれませんが、ジョージア(グルジア)は、日本のパスポート保持者に対しビザなしで1年間(365日)の滞在を許可していることで知られています。また、メキシコもデジタルノマドビザの収入要件が比較的緩やかで、物価も安いため一部の長期滞在者に人気があります。

長期滞在に必要な費用目安

長期滞在に必要な費用目安

「結局、いくら必要なの?」というのが一番気になるところだと思います。ただ、こればかりは「国」以上に「個人のライフスタイル」によってピンキリで、数倍、数十倍の差が出ることも珍しくありません。

低予算での滞在の例(東南アジア)

例えば、東南アジアをバックパッカースタイルで滞在する場合。1泊数百円のゲストハウスに泊まり、食事もすべてローカルな屋台で済ませ、移動はローカルバスのみ、と徹底すれば月5万円程度で生活することも可能になります。海外旅行保険をはじめとしたリスク管理さえ徹底すれば、経済面でのハードルを下げて海外での長期滞在を実現することもできるでしょう。

高額な滞在の例(カナダ・バンクーバー)

対照的に、先進国の都市部での長期滞在は、高額なコストを伴います。特にカナダ・バンクーバーは、カナダで最も家賃が高い都市とされています(2025年時点)。

  • 住居費
    家賃だけで、郊外のシェアハウスの一室で月額平均 約14万円、ダウンタウンの1LDKなら月額平均 約28万円にも達します。
  • 食費
    外食は非常に高く、自炊中心でも月4万~7万円は必要でしょう。

この2つの対比から分かるように、「どこに住むか」と「どう住むか」—どのレベルの快適性、安全性、そしてリスク受容度を選択するか—が、総費用を決定づけることを示しています。

目的別・費用の目安(あくまで一例です)

ご自身の計画を立てる際の、大まかな目安として参考にしてみてください。

長期留学(1年間、学費+生活費)

  • カナダ:約180万~300万円
  • オーストラリア:約180万~400万円
  • ニュージーランド:約250万~350万円
  • イギリス:約250万~500万円
  • フィジー:欧米諸国の1/2~1/3程度
  • マルタ(半年):約174万~365万円

ワーキングホリデー(初期貯金額)
ビザ申請要件(例:カナダ$2,500)とは別に、渡航費、海外旅行保険料、当面の生活費(仕事が見つかるまでの3ヶ月分など)が必要です。最低でも80万~100万円は準備しておきたいと言えます。

物価の安い都市(例:マレーシア・クアラルンプール)
日本の50~60%程度の生活費で快適に暮らせるとされており、生活のみなら月10万円程度、語学留学を含めても月20万円程度が目安とされます。

スクロールできます
都市スタイル家賃(月)食費(月)その他合計(月目安)
バンクーバー節約(シェア)約140,000円約50,000円約20,000円約210,000円
バンクーバー快適(1LK)約280,000円約80,000円約25,000円約385,000円
クアラルンプール快適(生活のみ)約50,000円約30,000円約20,000円約100,000円
バンコクローカル節約約15,000円約25,000円約10,000円約50,000円
バンコク快適(単身)約150,000円約84,000円約10,500円約244,500円

※上記はあくまで一例の目安です。為替レートや現地の経済状況により大きく変動します。

「平均費用」を鵜呑みにせず、ご自身の「譲れない生活水準」(例:個室は必須、シャワー・トイレは共用でも良い、自炊はしない、保険は必須)を定義し、そこから予算を逆算することが、現実的な資金計画の鍵となります。

海外生活準備と必須手続き

海外生活準備と必須手続き

出発前の準備は、荷造りよりも「行政手続き」が重要です。これを忘れると、日本に帰国した際や将来的に、税金や年金で非常に面倒なことになります。

最大のポイントは「海外転出届」を出すかどうか。

住民基本台帳法に基づき、原則として1年以上の海外滞在が予定される場合、出国前に住民票のある役所に「海外転出届」を提出しなければなりません。これを行うと、あなたの住民票は「除票」となり、法的に「日本国内に住所がない人(非居住者)」となります。

メリット
住民票がなくなるため、住民税国民健康保険料の支払い義務が(法的に)免除されます。特に住民税は前年の所得に対して課税されるため、高所得者ほどこのメリットは大きくなります。

デメリット
国民健康保険も失効します。これはつまり、一時帰国中に病気や怪我で病院にかかると、医療費が全額(10割)自己負担になることを意味します。このリスクをカバーするため、一時帰国中も補償対象となる海外旅行保険への加入が必須となります。

国民年金の「任意加入」

海外転出届を出すと、国民年金の支払い義務も自動的になくなります(強制加入被保険者ではなくなる)。しかし、これは同時に、その期間は将来の年金受給資格期間(カラ期間)としてもカウントされず、「将来もらえる年金額が減る」ことを意味します。

これを防ぐため、「任意加入」の制度が用意されています。日本国籍者であれば、海外在住中も国民年金に任意で加入し、保険料を納付し続けることが可能です。手続きは、日本における最後の住所地を管轄する年金事務所や市区町村窓口で行うことができます。

税務・年金の判断は必ず専門家へ

海外転出届を出すと、所得税法上も「非居住者」として扱われます。原則として、日本国内に「住所」や「1年以上の居所」を持たない人は、その期間の国外での所得(例:現地での給与)に対して日本の所得税は課税されません。

ただし、日本国内に不動産があり家賃収入がある場合や、日本国内の法人から業務委託費を受け取る場合など、「国内源泉所得」がある場合は、非居住者であっても日本で所得税を納める(確定申告または源泉徴収)義務が残ります。

これらの手続きは個人の状況(滞在期間、収入源、滞在国の税法など)によって非常に複雑です。必ず出国前に、お住まいの市区町村の役所(住民票・国保)、年金事務所、税務署、または税理士などの専門家に詳細をご確認ください。

必須の持ち物と現地インフラ

必須の持ち物と現地インフラ

行政手続きと並行して、持ち物や現地インフラの準備も進めましょう。服や日用品は現地調達できるものも多いですが、日本から持っていくべきもの、日本で準備すべきこともたくさんあります。

必須の持ち物(日本から)

「現地で買える」と思っても、日本とは品質が違ったり、高価だったりするものも多いです。

  • パスポート、ビザ関連書類
    原本はもちろん、コピーやPDFデータをクラウド上(Google Driveなど)に保管。
  • クレジットカード(複数ブランド)
    VISAとMastercardなど、複数の国際ブランドを最低2枚は準備。ICチップ付き、タッチ決済対応が望ましいです。
  • 海外旅行保険の証券
    保険会社の緊急連絡先、証券番号はスマホにメモしておきましょう。
  • 常備薬、持病の薬
    持病がある方は、滞在期間分+予備の薬と、医師に発行してもらった「英文の処方箋(薬剤証明書)」を必ず持参してください。
  • SIMフリースマートフォン
    現地SIMやeSIMを利用するために必須です。
  • ノートパソコン
    ビザ手続き、情報収集、仕事や勉強に必須です。
  • あると便利な日本製品
    品質の良い爪切り、耳かき、衣類圧縮袋、携帯用の洗濯洗剤、初期の食生活を支える日本のインスタント食品や調味料(だし、醤油、ふりかけ等)など。

通信手段

日本のキャリアが提供する「国際ローミング」は、データ通信料が非常に高額になるため、長期滞在には絶対に向いていません。 現地空港や街中で「現地SIMカード」を購入するのが一般的ですが、最近は、SIMカードの物理的な入れ替えが不要な「eSIM」が急速に普及しています。日本にいるうちに対応プランをオンラインで購入・設定できるため、現地到着後すぐにインターネットに接続でき、利便性が非常に高いです。

お金の管理

留学やワーホリで現地で働く場合は、家賃の支払いや給与受け取りのために、現地銀行口座の開設がほぼ必須となります。カナダのRBCやCIBCなど、一部の銀行は渡航前にオンラインで口座開設手続きを開始できるプランを用意しています。

また、現地口座を開設するまでの繋ぎや、日本円との両替・送金をスマートに行うために、Wise(ワイズ)のような海外送金・決済サービスのデビットカードを持っておくと非常に便利です。低い手数料で両替・送金ができ、現地通貨のまま決済できるため、無駄な手数料を大幅に節約できます。Wise(ワイズ)のデビットカードは、私も海外渡航時には手放せない一枚です。

Wiseの特徴や使い方については以下の記事でも紹介しています。


現地での節約

どの国でも共通する最大の節約術は「自炊」です。外食費は日本より高い国がほとんどです。ただし、カナダやバンコクでも、輸入品の日本食材(納豆、麦茶パックなど)は現地食材に比べ高価です。現地のスーパーで売られているブランドや食材に積極的に適応することが、食費節約の鍵になりますね。

また、Airbnbのホストや現地の店員など、地元の人々に「観光客向けではない、安くて良い店」を聞いてみることも、観光価格を避ける上でも役に立つでしょう。

海外生活での現実と心構え

海外生活での現実と心構え

SNSで見かける海外生活はキラキラした華やかな部分が多いですが、現実は「非日常」の連続ではなく、慣れない環境下で日常をゼロから再構築するプロセスの連続です。

ビザの更新、銀行での煩雑な手続き、アパートの給湯器の故障、現地の役所との非効率なやり取り…。日本では「当たり前」であったインフラやサービス(治安、時間通りに来る公共交通機関、清潔な公衆トイレ、迅速な医療アクセス)が、国によっては存在しないか、信頼できない場合があります。

ここでは、誰もが直面する3つの現実と対策について紹介します。

1. 言語の壁とカルチャーショック

意思疎通がうまくいかないストレスや、自国の文化と異なる習慣(例:ヨーロッパのレストランで水が有料、ビジネスや約束の時間感覚の違い、見慣れない食材)に直面する戸惑いやカルチャーショックを感じることが考えられます。

対策:
渡航前にその国の歴史やタブーを最低限学び、現地の人の振る舞いを「観察」し、模倣してみる。適度に日本食を食べるなど「安全地帯」を確保しつつ、現地の文化に飛び込むバランス感覚が重要です。

2. 孤独とコミュニティの構築

家族、友人、職場といった既存のコミュニティから切り離され、人間関係をゼロから構築し直さなければならない状況です。特に留学や駐在と異なり、デジタルノマドには所属する「組織」(学校や支社)がないため、自然に形成される人間関係が皆無であり、より深い孤独を感じやすい傾向があります。

対策:
孤独は自ら行動することによって解決できると認識することが大切です。受け身でいては誰も助けてくれません。コワーキングスペースの利用、Meetupなどのアプリでの交流会や趣味・スポーツのローカルコミュニティに参加し、自ら行動することが役立ちます。

3. 手続きによるストレス

ビザの申請・更新、居住許可証の取得、銀行口座の開設など、滞在国の「お役所仕事」や複雑な書類手続きに直面するストレスです。担当者によって言うことが違う、理由なく申請が遅延するなどは日常茶飯事です。

対策:
これは万国共通のハードルであると割り切り、忍耐強くなることが大切です。必要な書類は常に整理して多めに準備し、必要であれば専門の弁護士や代行業者に依頼することも時間的・精神的コストの削減に繋がります。


海外生活やコミュニケーションに役立つ異文化理解については以下の記事も参考になるはずです。

総括:海外長期滞在におすすめの方法

ここまで、海外での長期滞在の多様なスタイルから、ビザ、費用、準備、現実までを見てきました。

この挑戦を成功させる鍵は、結局のところ「徹底した準備」と「変化を受け入れるマインドセット」の2つに尽きるかと思います。

  1. 目的の明確化と「一次情報」の確認
    「何となく」ではなく、「いつまでに、何を得るために滞在するのか」という目的と、「その後どうするか(帰国してキャリアに活かすか、永住を目指すか)」という「出口戦略」を明確にしましょう。そして、ビザの要件は世界的に年々厳格化する傾向にあります。ブログやSNSの情報は古くなっている可能性があるので、必ず大使館、領事館、または各国政府の公式サイトといった「一次情報」を自分で精査してください。
  2. 法的・経済的リスクヘッジの徹底
    海外転出届や税務の手続きは、専門家にも相談して法的にクリーンな状態を維持しましょう。そして、海外旅行保険(長期滞在用の医療・賠償責任保険)は絶対に妥協してはいけないコストです。数万円の節約と引き換えに、数百万円、数千万円の負債を負うリスクを抱えることを意味します。
  3. 積極的な行動と適応力
    ストレスや孤独は「必ず発生するもの」として受容しましょう。その上で、自国の習慣に固執せず、現地のやり方を受け入れ、適応する柔軟性を持つこと。そして、孤独は「訓練」によって克服すべき課題です。所属するコミュニティがないのであれば、自ら積極的にコミュニティ(コワーキング、ミートアップ、趣味のサークル)に参加し、築き上げる努力が不可欠です。

海外での長期滞在を実現させるプロセスによって多くの学びも同時に得られるはずです。ぜひ、ご自身に合った滞在プランを立ててみてください。


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