「マルタ留学は意味ない」という言葉を目にして、地中海の美しい島国での学習計画に不安を感じていませんか?確かに、ヨーロッパ屈指のリゾート地という華やかなイメージの裏には、知っておくべきデメリットや注意点が存在します。しかし、その一方で他のどの国にもない、多くのユニークなメリットがあることもまた事実です。この記事では、「マルタ留学は意味ない」という一面的な評価を乗り越え、あなたの留学を成功に導くための羅針盤となることを目指します。
マルタの基本情報から、留学がなぜ安いのかという費用面の構造、多くの人が懸念する英語の訛りの実態や日本人の比率といった現実的な問題まで、徹底的に掘り下げていきます。2週間や1ヶ月の短期留学から、腰を据えた長期留学、そしてキャリアアップを目指す社会人留学まで、それぞれのスタイルに合わせた価値と成功の秘訣を具体的に解説。さらに、人気のフィリピン留学との多角的な比較を通じて、マルタならではの魅力を浮き彫りにします。信頼できる留学エージェントの選び方も含め、あなたの疑問と不安を解消し、価値ある留学体験を実現するための情報をお届けします。
- 「マルタ留学は意味ない」と言われる理由とその背景
- 費用や期間、目的に応じたメリット・デメリット
- マルタ留学を成功させるための具体的な戦略とポイント
- 後悔しないための計画と留学エージェントの見極め方
「マルタ留学は意味ない」と言われる背景とは

- 知っておきたいマルタの基本情報
- マルタ留学のメリット・デメリットとは
- マルタの英語訛りはデメリットになる?
- 現地の日本人比率はどのくらいなのか
知っておきたいマルタの基本情報
マルタ留学を具体的に検討する第一歩として、まずはその舞台となるマルタ共和国がどのような国なのか、基本的な情報を深く理解しておくことが大切です。地中海のほぼ中央に浮かぶ美しい島国マルタは、その戦略的な立地から、古くから様々な文明の十字路として独自の文化と歴史を育んできました。
マルタはイタリアのシチリア島から南へ約80kmの海上に位置し、主に3つの島、すなわち政治経済の中心であるマルタ島、のどかな田園風景が広がるゴゾ島、そして透明度の高い「ブルーラグーン」で世界的に有名なコミノ島から構成されています。国土総面積は東京23区の約半分、あるいは淡路島の約半分という非常にコンパクトな国ですが、その小さな土地には、驚くほど豊かで重層的な歴史が刻まれています。
その歴史は紀元前のフェニキア人に始まり、ローマ帝国、アラブ、聖ヨハネ騎士団、フランス、そしてイギリスと、数々の大国によって統治されてきました。これらの多様な文化の影響が、言語、建築、食文化、そして人々の気質に色濃く反映されており、ヨーロッパでありながらどこかエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。特に首都ヴァレッタは、聖ヨハネ騎士団によって築かれた要塞都市であり、街全体が「生きた博物館」としてユネスコ世界遺産に登録されていることからも、その歴史的価値の高さがうかがえます。
このコンパクトな国土は、留学生にとって大きなメリットにもなります。移動が容易なため、週末を利用してマルタ島内の史跡を巡ったり、フェリーで気軽にゴゾ島へ日帰り旅行に出かけたりと、アクティブに動くことが可能ですよ。
正式名称 | マルタ共和国(Republic of Malta) |
---|---|
首都 | バレッタ(Valletta) |
公用語 | マルタ語、英語 |
宗教 | ローマ・カトリック |
面積 | 約316平方キロメートル(東京23区の約半分) |
人口 | 約54万人(2023年時点) – 世界トップクラスの人口密度 |
通貨 | ユーロ(EUR) |
気候 | 地中海性気候(年間300日以上が晴天) |
日本との時差 | -8時間(サマータイム期間中は-7時間) |
マルタ留学のメリット・デメリットとは

マルタ留学には、他の伝統的な英語圏の国々にはないユニークな魅力がある一方で、事前に理解しておくべき現実的な注意点も存在します。光と影の両面をバランス良く把握し、自分にとって最適な選択なのかを見極めましょう。
マルタ留学の主なメリット
マルタが世界中、特にヨーロッパからの留学生を惹きつけてやまない理由は多岐にわたります。その中でも特に大きな魅力と言える4つのポイントを深掘りします。
マルタ留学のメリット
- 卓越したコストパフォーマンス
これはマルタ留学最大の強みです。イギリスやアメリカへの留学と比較して、授業料、滞在費、生活費を含めた総費用を3割から5割ほど抑えることが可能です。国策として英語教育を推進しているため学校間の競争が健全に働き、質の高い教育を比較的安価に受けられる環境が整っています。 - ヨーロッパ旅行の拠点としての地理的優位性
マルタはシェンゲン協定加盟国のため、協定域内であればパスポートチェックなしで自由に行き来できます。格安航空会社(LCC)を利用すれば、イタリアのローマまで往復1万円以下、といった航空券が見つかることも珍しくなく、まさに「ヨーロッパへの玄関口」として機能します。 - 国際色豊かな学習環境
地理的な近さからイタリア、ドイツ、フランスといった西欧諸国、近年ではコロンビアやブラジルなど南米からの留学生が非常に多いのが特徴です。多様な文化背景を持つクラスメイトとの交流は、生きた国際感覚を養う上で何物にも代えがたい経験となります。 - 治安の良さと温暖な気候
ヨーロッパの中でもトップクラスに治安が良く、凶悪犯罪の発生率は極めて低いです。年間300日以上が晴天という温暖な地中海性気候と相まって、留学生は心身ともに安心して快適な生活を送ることができます。
知っておくべきデメリットと注意点
一方で、夢や期待だけを膨らませて渡航すると、現実とのギャップに戸惑うこともあります。以下のようなデメリットや注意点も必ず念頭に置いておきましょう。
マルタ留学のデメリット
- 日本からの物理的な距離とアクセス
日本からの直行便はなく、ドバイやイスタンブール、フランクフルトといった主要ハブ空港での乗り継ぎが必須です。移動に18時間以上かかることもあり、特に初めての海外渡航者にとっては時間的・体力的な負担が小さくありません。 - 国土の小ささゆえの「飽き」
国全体がコンパクトにまとまっていることはメリットである一方、半年以上の長期滞在になると、主要な観光地やアクティビティは一通り経験し尽くしてしまい、刺激が少なく感じる可能性があります。刺激的な大都市での生活を求める人には、物足りなく感じるかもしれません。 - 独特の英語アクセント
マルタで日常的に話される英語はイギリス英語がベースですが、マルタ語やイタリア語の影響を受けた独特の訛りがあります。これについては次の項で詳しく解説します。 - 限られた就労機会
残念ながら、日本とマルタの間にはワーキングホリデー制度がありません。学生ビザでの就労も、週20時間以内、かつ就学開始から91日目以降に申請可能と条件が厳しく、現地で生活費を稼ぎながら学ぶというスタイルは期待しにくいのが現状です。
マルタの英語訛りはデメリットになる?

マルタ留学を検討する上で、おそらく最も多くの人が気にするのが「英語の訛り」の問題でしょう。「訛りのある英語環境で学んでも意味がないのでは?」という不安を抱くのも無理はありません。しかし、マルタの言語環境を正しく理解すれば、それが一概にデメリットとは言えないことがわかります。
マルタの英語は、150年以上にわたるイギリス統治時代に根付いたイギリス英語が基盤です。しかし、もう一つの公用語であるマルタ語(アラビア語から派生したセム語)や、地理的に近いイタリア語の影響を色濃く受けており、結果として独特のアクセント、いわゆる「マルタ訛り」が形成されました。
マルタ訛りの具体的な特徴と学習への影響
このマルタ訛りは、学習者にとって「一長一短」です。特徴と、それが学習にどう影響するかを具体的に見てみましょう。
- 特徴①:ゆっくりとした話すスピード
ネイティブのイギリス人やアメリカ人と比較して、話すスピードが比較的ゆっくりで、一語一語をはっきりと発音する傾向があります。
→ 【学習者への影響】
これは英語初心者やリスニングに苦手意識を持つ人にとって、最大のメリットになります。ネイティブの速い会話よりも格段に聞き取りやすく、英語の音に慣れるための第一歩として理想的な環境です。 - 特徴②:メロディックなイントネーション
マルタ語に似た、抑揚の大きいメロディのような話し方をします。
→ 【学習者への影響】
慣れるまでは少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、感情が伝わりやすいという側面もあります。 - 特徴③:一部の音声変化
マルタ語に存在しない音、特に「th」の音(/θ/, /ð/)が、「t」や「d」の音に置き換わることがあります。(例:「Thank you」が「テンキュー」に近く聞こえる)
→ 【学習者への影響】
これが「訛り」として最も認識されやすい部分です。標準的な発音の習得を目指す上級者にとっては、この点がデメリットと感じられる可能性があります。
重要な区別:教室の英語 vs 街の英語
ここで絶対に押さえておくべきなのは、語学学校の教室で使われる英語と、街中で耳にする英語には明確な違いがあるという点です。多くの語学学校では、CELTAなどの国際的な資格を持つプロの講師が、標準的なイギリス英語に近い、訛りの少ないクリアな英語で指導を行います。そのため、正式な英語教育を受ける上で、マルタ訛りが直接的な学習の障害になることはほとんどありません。マルタ独自のアクセントは、カフェや店舗、公共交通機関など、日常生活の中で異文化体験の一環として触れるものだと理解しておくと良いでしょう。
むしろ、完璧なクイーンズ・イングリッシュだけでなく、多様なアクセントに触れることは、これからのグローバル社会で実際に英語を使う上で、実践的な訓練になります。様々な国の人の英語を聞き取れるようになることは、大きな強みとなるはずです。
現地の日本人比率はどのくらいなのか

「英語環境にどっぷり浸かりたいから、日本人が少ない留学先が良い」という理由でマルタを候補に挙げる人は少なくありません。その期待は、ある意味では正しく、ある意味では注意が必要です。実際のデータと、データだけでは見えない現実について詳しく解説します。
年間の統計データを見ると、マルタの語学学校における日本人学生の比率は全体の約4~5%と、他の主要な英語圏の留学先(例:カナダ、オーストラリア)と比較して非常に低い水準です。この数字だけを見れば、理想的な環境に思えるでしょう。
しかし、この「年間平均」という数字の裏に隠された、留学生が直面する現実を理解することが極めて重要です。日本人比率は静的な数値ではなく、いくつかの要因によって大きく変動する「動的な変数」なのです。
注意すべき「日本人比率」
留学の成否を分ける可能性のある、注意すべき2つのポイントがあります。
- 季節による大幅な変動
言うまでもなく、日本の大学の長期休暇である春休み(2月~3月)と夏休み(8月~9月)には、日本の大学生が短期留学でマルタに急増します。このハイシーズンには、学校全体の日本人比率が一時的に上がることもあります。「日本人が少ない」というイメージとはかけ離れた環境になる可能性があることは、必ず覚悟しておくべきです。 - クラスレベルによる偏り
こちらの方が、より深刻な問題かもしれません。日本の英語教育は読み書き中心だった影響で、多くの日本人留学生はスピーキングやリスニングに苦手意識を持っており、英語学習を初級(Beginner)または初中級(Elementary)レベルからスタートします。その結果、学校全体の日本人比率は低くても、特定の初級レベルのクラスに日本人が集中し、クラスに日本人が多いという状況も決して珍しくないです。
こうなると、授業以外の休み時間や放課後は、どうしても安心できる日本語で話してしまいがちになり、「英語を話しに来たのに、気づけば日本人とばかり一緒にいる」という、留学失敗の典型的なパターンに陥りかねません。
これらを回避するための戦略
では、どうすればこの状況を回避し、理想的な英語環境を手に入れることができるのでしょうか。最も効果的な対策は二つです。
- 渡航時期を戦略的に選ぶ:可能であれば、日本の長期休暇と重ならない4月~7月や、10月~12月といったオフシーズンに渡航するのが最も確実です。
- 渡航前に英語力を最大限に高める:そして、こちらがより重要です。渡航前にできる限り英語の基礎学習を進め、少なくとも中級(Intermediate)以上のクラスからスタートできる英語力を身につけておくことです。中級以上のクラスになれば、ヨーロッパや南米からの学生の割合が増え、国籍の多様性が格段に増えます。留学前の学習が、現地での学習環境の質を直接左右するとも言えます。
「マルタ留学は意味ない」で終わらせないポイント

- マルタ留学がなぜ安いのか費用を分析
- 2週間・1ヶ月の短期留学のメリット
- 長期留学を成功させるためのポイント
- 社会人留学でキャリアアップを目指す
- フィリピン留学との比較でわかる特徴
- 留学エージェントの上手な活用方法
マルタ留学がなぜ安いのか費用を分析
マルタ留学の最大の魅力として繰り返し挙げられるのが、その卓越したコストパフォーマンスです。「留学費用を抑えられる」という事実は、多くの学生にとって強力な動機となりますが、なぜ他の欧米諸国より安価に留学が可能なのか、その構造を具体的に理解することが、現実的な予算計画を立てる上で非常に重要です。その理由は、主に以下の3つの複合的な要素に集約されます。
- 総合的な物価水準の低さ
ロンドン、ニューヨーク、シドニーといった主要な英語圏の大都市と比較して、マルタの全体的な物価水準は明らかに低いです。特に留学生の支出で大きな割合を占める食費と交通費が安価であることが、日々の生活費を圧縮する大きな要因となります。例えば、自炊中心の生活であれば、食費は月3~4万円程度に抑えることも可能です。また、公共交通機関であるバスは、居住者向けの交通カードを利用すれば無料で利用できる制度もあり、交通費を大幅に節約できます。 - 競争原理が働く授業料設定
英語教育は、観光業と並ぶマルタの主要な基幹産業の一つです。そのため、島内には大小合わせて40校近くの語学学校が存在し、健全な競争原理が働いています。これにより、各校は留学生を惹きつけるために、質の高い教育を比較的リーズナブルな授業料で提供しています。また、多くの学校がオフシーズン(秋~冬)の割引キャンペーンや、長期申込者向けの割引制度を設けており、これらを活用することで学費をさらに抑えることが可能です。 - 手頃で多様な滞在オプション
留学費用の中で授業料と並んで大きな割合を占めるのが滞在費です。マルタでは、多くの学校が比較的安価な学生寮(レジデンス)や、複数の学生でアパートを共有するシェアアパートメントを所有・提携しており、留学生に手頃な価格で提供しています。特に複数人部屋の学生寮は、ホームステイよりも費用を抑えたい学生にとって最も一般的な選択肢となっています。
「安い」という言葉だけに惹かれるのではなく、なぜ安いのかという背景を理解することで、「安かろう悪かろう」ではない、質の高い留学を計画的に実現できるのです。
期間別・費用の目安
留学費用は選択する学校、コース、滞在先のグレード、そして個人のライフスタイルによって大きく変動しますが、以下に一般的な費用の目安(授業料・滞在費・航空券・海外留学保険・現地生活費を含む)をまとめました。予算計画の参考にしてください。
期間 | 費用目安(低予算プラン) | 費用目安(標準プラン) | プランの概要 |
---|---|---|---|
2週間 | 約19万円~ | 約50万円~ | オフシーズン渡航、学生寮相部屋、自炊中心の場合。 |
1ヶ月 | 約30万円~ | 約75万円~ | 標準プランはホームステイや外食も考慮。 |
3ヶ月 | 約80万円~ | 約167万円~ | 長期割引が適用され始める期間。 |
6ヶ月 | 約155万円~ | 約329万円~ | 生活に慣れ、交際費や旅行費も考慮が必要。 |
注:上記の金額はあくまで一般的な目安です。為替レートの変動、航空券を予約する時期(ハイシーズン/オフシーズン)、選択する学校の設備やコース内容によって費用は大きく変動しますので、必ず複数の留学エージェントから最新の見積もりを取得してください。
2週間・1ヶ月の短期留学のメリット

マルタは、社会人や大学生が限られた休暇を利用して訪れる短期留学先としても、絶大な人気を誇ります。特に2週間や1ヶ月といった期間は、現実的な選択肢であり、それぞれの期間で明確に異なる価値と成果を見出すことができます。
2週間の留学:「英語への扉を開く」体験
2週間という超短期の留学は、英語力を飛躍的に向上させるというよりも、異文化体験と英語学習へのモチベーションを劇的に高めることに最大の意味があります。「英語を学ぶ」というよりは「英語に触れる」という感覚に近いかもしれません。この期間の留学は、しばしば「スタディ・ホリデー」と呼ばれ、以下のような過ごし方が一般的です。
- 午前:語学学校で世界中から集まったクラスメイトと集中的に学ぶ。
- 午後:学校のアクティビティに参加したり、美しいビーチでのんびりしたり、世界遺産の街ヴァレッタを散策したりする。
この経験を通じて、英語をツールとして使うことへの抵抗感をなくし、「もっと話せるようになりたい!」という意欲を持ち帰ることが、この期間の最大の成果と言えるでしょう。忙しい社会人がリフレッシュを兼ねて、英語学習のきっかけを掴むのに最適なプランです。
1ヶ月の留学:「成長を実感する」第一歩
1ヶ月間マルタに滞在すると、単なる旅行者ではなく「生活者」としての視点が芽生え始め、英語力にも少しずつですが着実な変化を感じられるようになります。
特に多くの留学生が実感するのが、リスニング能力の向上です。毎日、授業だけでなく、買い物や食事など、あらゆる場面で英語に触れることで、耳が自然と英語のスピードやリズムに慣れてきます。最初は聞き取れなかったカフェの店員さんの言葉が、帰国する頃には理解できるようになっている、といった具体的な成長を体験できるでしょう。
また、学校のクラスメイトともより深い関係を築きやすく、週末を利用して近隣のゴゾ島へ小旅行に出かけたり、一緒に行きつけのカフェを見つけたりと、行動範囲も大きく広がります。英語学習の基礎固めと、ヨーロッパの文化体験をバランス良く行えるのが1ヶ月留学の最大の魅力です。
短期留学を成功させる鍵
短期留学を「楽しかった」だけで終わらせないためには、渡航前に具体的で小さな目標を設定することが不可欠です。「外国人の友達を最低一人作る」「毎日必ず英語で日記をつける」「レストランで自分で注文し、店員さんと雑談してみる」など、達成可能な目標を持つことで、限られた時間を最大限に有効活用し、充実感を高めることができます。
長期留学を成功させるためのポイント

6ヶ月や1年といった長期にわたるマルタ留学は、英語力をビジネスレベルへと引き上げ、現地の文化や人々の生活に深く溶け込むための絶好の機会です。他の欧米諸国と比較した場合の費用的なメリットは、滞在期間が長くなるほど雪だるま式に大きくなり、そのコストパフォーマンスは計り知れません。
しかし、この長期留学には、短期留学とは質の異なる特有の課題が存在します。それは、国のコンパクトさからくる「飽き」や「中だるみ」という心理的な壁です。渡航後3ヶ月もすれば主要な観光地は一通り訪れてしまい、生活の目新しさが薄れ、学習モチベーションの維持が難しくなる時期が訪れる可能性があります。
この避けがたい課題を克服し、長期留学を実り多いものにするための一つの考え方は、マルタを単なる留学先としてではなく、「ヨーロッパ大陸を自由に探索するためのベースキャンプ(拠点)」と発想を転換することです。「自分は小さな島に閉じ込められている」と考えるのではなく、「自分はヨーロッパ中を旅する自由な拠点を持っている」と考えるのです。このマインドセットが、マンネリ化しがちな留学生活を楽しむことに繋がるはずです。
これを具体的に実行するためには、以下の2つのアプローチも有効です。
- 留学計画に「ヨーロッパ旅行」を組み込む
留学の予算計画やスケジュールを立てる段階から、予め数回のヨーロッパ旅行を組み込んでおきましょう。LCCを利用すれば驚くほど安価に移動できるため、「3ヶ月に1回は海外旅行に行く」といったルールを決めておくのも良い方法です。友人たちと次の旅行先について話し合い、英語でフライトや宿を予約するプロセス自体が、非常に実践的な英語学習の機会となります。 - 現地コミュニティへの参加
語学学校という留学生だけのコミュニティに留まらず、地元の活動に積極的に参加することも重要です。例えば、地域のボランティア活動、サッカーやダンスなどのスポーツクラブ、教会が主催するイベントなどに参加することで、マルタ人との交流の輪が広がります。観光客としてではなく、地域の一員として彼らと関わることで、より深く文化を理解し、実践的な英語を使う機会を格段に増やすことができるでしょう。
マルタでの日常生活で英語の基礎を固め、ヨーロッパ旅行という非日常の場で実践力を試し、現地コミュニティで文化理解を深める。このサイクルを意識的に回していくことが、長期留学を有意義なものにしてくれるでしょう。
社会人留学でキャリアアップを目指す

近年、キャリアブレイク、サバティカル休暇、あるいは自己投資の一環として、社会人になってから留学を選択する人が着実に増えています。その中でもマルタは、リフレッシュと学習を両立させたい、あるいはキャリアアップのための新たなスキルを習得したいと考える、落ち着いた学習環境を求める大人にとって非常に魅力的な選択肢となっています。
マルタの特筆すべき治安の良さ、そしてリゾート地ならではの穏やかでリラックスした雰囲気は、日々の仕事のプレッシャーから解放され、心身ともにリフレッシュしながら学習に集中したい社会人にとって最適な環境です。学生が大半を占める賑やかな環境が苦手な方でも、マルタには社会人のニーズに応えるための特別なプログラムが充実しています。
社会人に最適な学習環境:「30+プログラム」の存在
例えば、世界的に展開する大手語学学校「EC Malta」では、30歳以上の学生のみを対象とした「30+」という特別なコースを開講しています。このコースの最大のメリットは、同世代の落ち着いた学習環境が保証されている点です。一般的なコースとは校舎やラウンジも分けられており、様々な国から集まった、多様な職務経歴を持つ人たちと交流しながら学ぶことができます。授業もディスカッションやディベートが中心となることが多く、単なる語学習得に留まらない、国際的な人間関係や情報交換の場としても非常に有益です。
もちろん、より具体的なキャリアアップに直結するコースも豊富です。以下のような専門コースを選択することで、帰国後のキャリアに直接活かせる実践的なスキルを習得できます。
- ビジネス英語コース
ミーティングの進行、プレゼンテーション、ビジネス交渉、効果的なEメールやレポートのライティングなど、グローバルなビジネスシーンで必須となるスキルを体系的に学びます。 - 各種試験対策コース
IELTSやTOEFL、ケンブリッジ英検といった、海外での就職や大学院進学に有利となる資格の取得を目指すコースも充実しています。
「学生時代に留学しておけばよかった」と後悔する必要は全くありません。社会人になった今だからこそ、明確な目的意識を持って臨む留学は、学生時代とは比較にならないほど密度の濃い、価値ある経験になるはずです。
フィリピン留学との比較でわかる特徴

「費用を抑えて、集中的に英語を学びたい」と考えたとき、マルタとしばしば比較検討のテーブルに上るのが、近年急速に人気を高めているフィリピン(特にセブ島)です。どちらも「格安留学」の代表格として知られていますが、その教育アプローチ、学習環境、そして文化は根本的に異なります。自分にとって最適な留学先を選ぶためには、その違いを正確に理解し、何を優先するのかを明確にすることが不可欠です。
両者の最大の違いは、その授業形式にあります。フィリピン留学は講師と1対1で行う「マンツーマンレッスン」がカリキュラムの中心であり、マルタ留学は多国籍の生徒が一緒に学ぶ「グループレッスン」が基本です。この違いが、得られるスキルや留学体験の質に大きく影響します。それぞれの特徴を以下の表で多角的に比較してみましょう。
比較項目 | マルタ留学 | フィリピン留学 |
---|---|---|
授業形式 | グループレッスンが中心 | マンツーマンレッスンが中心(1日6~8時間など) |
主な学習効果 | 多様な国籍の学生とのコミュニケーション能力、ディスカッション能力、異文化理解力 | スピーキングとリスニングの基礎力を短期間で集中的に強化 |
向いている人 | 中級以上の英語力があり、実践的な会話力を養いたい人。自律的に学べる人。 | 英語初心者で、会話への恐怖心を克服したい人。手厚いサポートを求める人。 |
学生の国籍 | ヨーロッパ、南米が中心で国際色豊か | 日本、韓国、台湾などアジアからの学生が大多数 |
環境・文化 | ヨーロッパの歴史的な街並み。治安が良い。リラックスした雰囲気。 | 東南アジアの活気あるリゾート地。発展途上国の文化。衛生面では注意が必要。 |
1ヶ月の費用 | 約30万円~75万円(食事は自炊か外食) | 約25万円~40万円(授業料・寮・食事が込みのパッケージが多い) |
「2カ国留学」という選択肢
これらの明確な違いから、両国のメリットを最大限に活用する「2カ国留学戦略」も効果的な学習パスとして注目されています。
Step1:フィリピン留学(1~3ヶ月)
まず、英語初心者の段階でフィリピンへ。マンツーマンレッスンで集中的にスピーキングとリスニングの基礎を徹底的に叩き込み、英語を話すことへの自信をつけます。
Step2:マルタ留学(3ヶ月~)
フィリピンで得た基礎力を武器に、マルタへ。多国籍なグループレッスンの中で、そのスキルを実践的なコミュニケーション能力やディスカッション能力へと上げていきます。
この戦略は、それぞれの国の長所を最大限に活かし、費用を抑えながら学習効果を最大化するための合理的なアプローチと言えるでしょう。
留学エージェントの上手な活用方法

マルタ留学を決意し、期待に胸を膨らませる一方で、学校選び、煩雑な入学手続き、滞在先の手配、そして近年特に複雑化しているビザ申請など、膨大なタスクを前に途方に暮れてしまう方も少なくないでしょう。そこで、心強いパートナーとなるのが留学エージェントの存在です。専門知識を持つプロのサポートを上手に活用することで、時間と手間、そして精神的な負担を大幅に削減し、よりスムーズかつ確実に準備を進めることができます。
「エージェントを通すと高くなるのでは?」と心配する方もいますが、多くのエージェントは語学学校からの紹介料で運営されているため、留学生側は相談や手続き代行を無料で利用できるケースがほとんどです。むしろ、エージェントが持つ独自の割引プランなどを利用することで、個人で手配するよりも安くなることさえあります。
特に、2024年5月から変更されたマルタの学生ビザ申請は、日本国内での事前申請が義務付けられ、非常に厳格かつ複雑になりました。膨大な量の書類準備やオンラインでの予約など、個人で行うにはハードルが高いため、この点だけでも専門家のサポートを受ける価値は十分にあると言えます。
後悔しないための留学エージェントの選び方
数多く存在するエージェントの中から、自分に合った信頼できるパートナーを見つけるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。以下のチェックリストを参考に、複数のエージェントを比較検討してみてください。
留学エージェント選びのチェックポイント
- マルタへの専門性と情報量
マルタ留学を専門に扱っているか、または豊富な送客実績があるか。特にビザ制度のような頻繁に変更される最新情報に精通しているエージェントは信頼できます。 - カウンセラーの質と相性
あなたの目的や予算、性格を丁寧にヒアリングし、マニュアル通りの提案ではなく、あなた個人に合った最適なプランを提案してくれるか。レスポンスの速さや、話しやすさといった相性も非常に重要です。 - 客観性と選択肢の多さ
特定の学校だけを強く勧めるのではなく、複数の学校のメリット・デメリットを客観的に比較し、幅広い選択肢を提示してくれるか。 - サポート体制の範囲
出発前の手続き代行だけでなく、現地オフィスや提携先を通じて、留学中に発生したトラブル(学校との相性、滞在先の変更など)にも親身に対応してくれるかを確認しておくと、いざという時に安心です。
最初から1社に絞らず、最低でも2~3社の無料カウンセリングを受けてみることをお勧めします。それぞれのカウンセラーと話す中で、情報の正確さや対応の質、そして何より「この人なら信頼できる」と思えるかどうかを、ご自身の目で見極めることが大切です。
マルタ留学のエージェント選びに迷った際は、実績と良心的な費用から「スマ留」と「StudyIn」が特におすすめです。その他の留学サービスやサポートについては以下の記事でも詳しく紹介しています。

総括:「マルタ留学は意味ない」は準備次第
マルタ留学が「意味がない」ものになるか、それとも「人生を変える」ほどの価値ある経験になるかは、留学先の国の資質以上に、留学するあなた自身の目的意識、周到な準備、そして現地での主体的な行動に大きく左右されます。本記事で解説してきたポイントを踏まえ、計画的に準備を進めることで、マルタでの経験は間違いなくあなたの大きな財産になります。最後に、マルタ留学を成功させるための要点を改めてまとめました。
- マルタ留学の核心的価値は「手頃な価格で、安全なヨーロッパの国際環境で学べる」こと
- 「意味ない」と感じる主な原因は、目的意識の欠如や事前の情報収集不足にある
- 費用対効果は欧米圏でトップクラス、特に長期留学でメリットが大きくなる
- 公用語は英語だが、マルタ語やイタリア語の影響を受けた独特の訛りが存在する
- この訛りは英語初心者にとっては、スピードが遅く聞き取りやすいという利点にもなる
- 語学学校の講師は標準的な英語を話すため、学習上の直接的な障害にはなりにくい
- 日本人比率は年間平均では低いが、時期(夏休み等)やクラスレベル(初級)によって偏在する
- 短期留学(2週間~1ヶ月)は、英語学習へのモチベーション向上と異文化体験に最適
- 長期留学(半年~)を成功させる鍵は、マルタを「ヨーロッパ旅行の拠点」と捉える戦略的思考
- キャリアアップを目指す社会人には、30歳以上限定の「30+」コースなどがおすすめ
- スピーキング基礎力強化が目的なら、マンツーマン中心のフィリピン留学との比較も有効
- 複雑化するビザ申請などを考慮すると、専門知識を持つ留学エージェントの活用が賢明
- 最終的に、留学の価値を決めるのは自分自身の行動力と積極性
- 明確な目標設定が、誘惑の多いリゾート環境で自分を見失わないための羅針盤となる
マルタは、ただ行くだけで英語が話せるようになる魔法の場所ではありません。しかし、自ら学び、行動する意欲のある留学生にとって、これほど自由で、刺激的で、コストパフォーマンスに優れた学習環境は他にないでしょう。この記事が、あなたの素晴らしいマル-タ留学への第一歩となることを心から願っています。






