世界で治安が良い国とは?ランキングや安全な地域の特徴を解説

世界で治安の良い国とは?ランキングや安全な地域の特徴を解説

海外へ行く計画を立てる際、現地の安全面は最も気になるポイントの一つですよね。インターネットで治安の良い国について調べている方も多いのではないでしょうか。日本と比べてどうなのか、行き先は安全な国なのか、治安が悪い地域はないのかなど、出発前に不安を感じるお気持ちはよくわかります。この記事では、最新の国際的な指標をもとに、治安の良い国ランキングや安心して渡航できるおすすめの国々を目的や地域別にご紹介します。現地での安全な過ごし方もあわせて解説しますので、充実した海外滞在を実現するための参考にしてみてください。

記事のポイント
  • 最新の国際指標に基づく治安の良い国ランキング
  • 治安が良い安全な国と治安の悪い国の特徴や共通点
  • ヨーロッパやアジアなど地域別に見る治安の傾向
  • 海外旅行、留学など目的別におすすめの安全な国
目次

世界で治安が良い国・都市ランキング

光や透明感などの要素を組み合わせて、「安全」や「信頼」といった抽象的なコンセプトを表現

海外渡航を考える際、まずは世界全体でどの国が安全とされているのかを客観的なデータに基づいて把握しておくことが非常に大切です。ここでは、国際的な評価に基づく最新のランキングの仕組みや、世界で最も平和とされる国がなぜそのような環境を維持できているのかについて、私の視点から詳しく解説していきます。国全体の傾向を知ることで、渡航先の選択肢が大きく広がるはずです。

治安が良い国ランキング

1位アイスランド、2位アイルランド、3位ニュージーランドというトップ3と、日本が12位であることを示すランキングスライド

私たちが海外旅行や留学の行き先を検討する際、客観的なデータとして頼りになるのが「世界平和度指数(GPI)」です。ここでは、国際的なシンクタンクである経済平和研究所(IEP)が発表した2025年の最新データをもとに、世界で最も治安が良い国ランキングのトップ30をご紹介します。

このランキングの基準は単に街中の犯罪件数だけでなく、「社会の安全と治安」「国内外の紛争への関与度」「軍事化の度合い」という3つの大きな柱、合計23の細かな指標を用いて、163の国と地域を総合的に評価しています。また、このスコアは数値が低いほど「より平和で安全」であることを示しています。ご自身の興味のある国が何位に入っているか、ぜひチェックしてみてください。

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順位国名スコア地域
1位アイスランド1.095ヨーロッパ
2位アイルランド1.260ヨーロッパ
3位ニュージーランド1.282オセアニア
4位オーストリア1.294ヨーロッパ
5位スイス1.294ヨーロッパ
6位シンガポール1.357アジア
7位ポルトガル1.371ヨーロッパ
8位デンマーク1.393ヨーロッパ
9位スロベニア1.409ヨーロッパ
10位フィンランド1.420ヨーロッパ
11位チェコ1.435ヨーロッパ
12位日本1.440アジア
13位マレーシア1.469アジア
14位オランダ1.491ヨーロッパ
14位カナダ1.491北米
16位ベルギー1.492ヨーロッパ
17位ハンガリー1.500ヨーロッパ
18位オーストラリア1.505オセアニア
19位クロアチア1.519ヨーロッパ
20位ドイツ1.533ヨーロッパ
21位ブータン1.536アジア
22位ラトビア1.558ヨーロッパ
22位リトアニア1.558ヨーロッパ
24位エストニア1.559ヨーロッパ
25位スペイン1.578ヨーロッパ
26位モーリシャス1.586アフリカ
27位カタール1.593中東
28位スロバキア1.609ヨーロッパ
29位ブルガリア1.610ヨーロッパ
30位イギリス1.634ヨーロッパ
出典:Global Peace Index 2025

トップ30の顔ぶれを眺めてみると、全体の過半数をヨーロッパ諸国が占めていることがわかります。特に北欧や西欧の国々は、社会福祉の充実やインフラの整備が行き届いており、長年にわたって高い評価をキープしています。

また、アジア地域からはシンガポール(6位)や日本(12位)、マレーシア(13位)が健闘しており、オセアニアからもニュージーランド(3位)やオーストラリア(18位)がしっかりとランクインしています。私たちが比較的アクセスしやすく、留学先としても人気の高い国々が上位に入っているのは心強い結果だと言えるでしょう。


ランキングの注意点
この順位は、テロや紛争のリスク、凶悪犯罪の少なさなどを総合的に評価したものです。上位にランクインしている国であっても、観光客を狙ったスリや置き引きなどの軽犯罪は日常的に発生しています。順位が高いからといって油断せず、渡航先のひとつの目安としてご活用ください。

治安の良い都市ランキング

治安が良く美しいヨーロッパの歴史的な石畳の街並みと、オープンカフェでくつろぐ人々の様子

国全体の平和度を把握したら、次は実際に私たちが足を運ぶ「都市」レベルの安全性に目を向けてみましょう。実は、国としては非常に安全とされていても、都市やエリアによっては注意が必要なケースも少なくありません。逆に、国全体の順位はそれほど高くなくても、特定の都市や地域だけは驚くほど治安が保たれていることもあります。

ここでは、英エコノミスト誌による「Safe Cities Index 2021」、現地の体感治安を測る「Numbeo」、そして旅行保険会社である「Berkshire Hathaway Travel Protection」といった複数の安全関連指標を参考にした、世界で治安の良い都市ランキングをご紹介します。なお、今回は国際情勢の変動が激しい地域を除外し、私たちが安心して旅行や滞在を計画しやすい20都市を厳選しています。以下はあくまでも参考順位のため、正式なランキングではない点にはご注意ください。

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順位都市名国名主な特徴・ポイント
1位レイキャビクアイスランド犯罪発生率が極めて低く、旅行者にとっても最高の安全拠点。
2位コペンハーゲンデンマークインフラと個人の安全性が世界トップクラス。環境への配慮も秀逸。
3位シンガポールシンガポールデジタルセキュリティと厳格な法体制が圧倒的な治安を維持。
4位ウィーンオーストリア医療環境とインフラで完璧に近いスコア。社会基盤が強固で安定。
5位東京日本衛生面などで世界最高水準。巨大都市でありながら極めて安全。
6位チューリッヒスイス凶悪犯罪が皆無に等しく、街の清潔さと経済的豊かさが高評価。
7位アムステルダムオランダ個人・健康・デジタルの各安全指標のバランスが良く、旅行者からの支持も厚い。
8位シドニーオーストラリアインフラ整備が行き届き、留学生やワーホリ滞在者にも安心な環境。
9位大阪日本医療・健康の安全性で世界トップクラス。整備された都市環境が国際的に高評価。
10位ホノルルアメリカ米国内でも犯罪リスクが低く、救急医療や観光客受け入れ態勢が万全。
11位メルボルンオーストラリア文化・環境面での評価が高く、世界有数の住みやすい都市として有名。
12位バルセロナスペイン観光客への安全対策が急速に進み、活気と安全性を両立した都市。
13位ソウル韓国高度なデジタルインフラと街中の監視体制により、夜間でも高い安全性を確保。
14位トロントカナダ多様性を受け入れる寛容な社会。北米随一の安全都市として留学生にも人気。
15位ミュンヘンドイツ欧州の大都市の中でも際立って犯罪率が低く、留学生向けの指標でも上位。
16位リスボンポルトガル穏やかな国民性と安定した政治により、移住者やノマドワーカーから絶賛。
17位ジュネーヴスイス国際機関が集中しており、強固な警備体制と安全管理が敷かれている。
18位ウェリントンニュージーランド自然と都市機能が調和し、コンパクトで落ち着いた生活環境が魅力。
19位台北台湾夜市など遅くまで賑わう場所でも体感治安が良く、親日的で安心して歩ける。
20位ストックホルムスウェーデン水辺と都市が美しく調和し、公共交通や行政サービスが高度に整っている。

ランキングを見ると、ヨーロッパの伝統的な都市だけでなく、アジアやオセアニアの主要都市が多数ランクインしていることがわかります。都市の安全性は、「犯罪の少なさ」という物理的な側面に加え、「質の高い医療にアクセスできるか」「デジタル空間での安全性は守られているか」「災害時のインフラは大丈夫か」といった多面的な要素で評価されます。東京や大阪が上位に入っているのも、医療体制の充実や交通インフラの確実性が国際的に高く評価された結果だと言えるでしょう。

渡航先を選ぶ際は、国名だけでなく滞在する都市のインフラやデジタル環境まで深掘りして調べることが、充実した滞在への第一歩となります。


世界一治安の良い国の背景

世界一治安の良い国アイスランドを象徴する、平和で雄大な滝と自然を安全に楽しむハイカーの風景

海外旅行や留学に興味を持つ方なら、一度は「今の地球上で、世界で一番安全な国は一体どこだろう?」と考えたことがあるかもしれません。前述した「世界平和度指数(Global Peace Index:GPI)」において、2008年から現在に至るまで、実に18年連続で世界一治安の良い国の座を守り続けているのが、北欧の島国アイスランドです。

人口約38万人という規模のこの国は、凶悪犯罪の発生率が世界で最も低い水準にあります。驚くべきことに、一般的なアイスランドの警察官は日常的な市街地のパトロールにおいて銃を携帯していません。これは、社会全体で暴力に対する警戒レベルが極めて低く、警察と市民の間に強固な信頼関係が築かれていることの証拠でもあります。

では、なぜこれほどまでに平和なのでしょうか。その背景には、徹底された社会的平等と福祉の充実があります。アイスランドは世界で最も男女平等が進んでいる国の一つであり、教育や医療へのアクセスがすべての人に開かれています。貧富の差が小さいため、「経済的な困窮から犯罪に手を染める」という動機そのものが社会システムとして改善されていることも大きな理由として考えられます。

さらに、大気汚染や公害が少ないクリーンな自然環境、国内のエネルギーを地熱や水力といった再生可能エネルギーでまかなう自立した経済も、人々の幸福度と生活の安定に大きく寄与しています。ただし、犯罪が少ないとはいえ、オーロラや氷河を求める観光客に対するスリや、変わりやすい過酷な天候といった自然の脅威は存在します。「治安が良い=何も気をつけなくてよい」というわけではない点には注意が必要ですが、世界トップの安全な国であることは間違いありません。


アイスランドの平和を支える要素
圧倒的な教育水準の高さ、分厚い社会福祉のセーフティネット、そして階級や性別による差別のない平等な社会基盤が、犯罪を未然に防ぐ最大の防壁となっています。また、他国と陸続きでない島国という地理的条件も、国際紛争に巻き込まれにくい要因だと言えます。

安全な国や地域の共通点

充実した福祉と教育、政治と警察への信頼、格差の少なさという安全な国を支える3つの共通点

これらランキング上位に名前が挙がる安全な国や地域の歴史や社会構造を見てみると、いくつかの共通点が浮かび上がってきます。それを知ることで、ランキングの数字だけでは見えてこない「治安が守られる理由」を理解することにつながるはずです。

手厚い社会福祉と教育へのアクセス

一つ目の大きな共通点は、手厚い社会保障制度と高い教育水準です。治安トップを占める北欧諸国や西欧の国々では、大学までの教育が無償、あるいは安価に提供されており、医療費の負担も少なく設定されています。これにより、極端な貧困層や、未来への希望を持てない若年層の失業が抑制されています。社会のセーフティネットが機能しているため、全体的な治安向上につながっています。

政治の透明性と司法への高い信頼

二つ目は、政治の透明性と、公的機関(警察、裁判所、行政)に対する市民の厚い信頼です。安全な国では警察への賄賂などが通用せず、法律が誰に対しても公平に適用されます。市民が「何かあれば警察が正しく対処してくれる」と信用しているため、負の連鎖が起きにくい社会システムが構築されています。

格差の少なさと幅広い中間層

三つ目は、極端な貧富の差が少ないことです。多数の国民が「自分は中間層である」と認識できる社会では、格差による対立が少なく、コミュニティ全体に穏やかな空気が流れやすくなります。これらの様々な要素が機能することで、安全で持続可能な社会が築き上げられていると考えられます。


治安が悪い国や地域の特徴

治安を悪化させる主な3つの要因の具体例を表したスライド

一方で、渡航の際には避けるべき、あるいは極めて慎重な対応が求められる治安が悪い国や地域にも共通の特徴があります。渡航先を選ぶ際には、こうしたリスク要因を避ける視点を持つことが、ご自身を守る上で最も大切です。

治安悪化の最大の要因は、現在進行中の武力紛争や内戦、そして深刻な政治的不安定です。政府の機能が混乱、または著しく低下している国では、警察や軍隊が国民を守る役割を果たさず、武装勢力やテロ組織が活動しやすい空白地帯が生まれます。このような地域では、外国人旅行者が誘拐や身代金目的の犯罪に巻き込まれるリスクが極めて高くなります。

また、国同士の対立が起きていなくても、極端な経済格差と貧困、そして若年層の失業率の高さが治安を劇的に悪化させます。中南米の一部地域に顕著ですが、巨大な資金力を持つ麻薬カルテルやギャング組織が司法や警察を腐敗させ、犯罪が日常化している都市が存在します。公的機関への信頼が失墜しているため、被害に遭っても誰も助けてくれないという絶望的な状況が生み出されやすくなります。

さらに近年では、比較的安全とされていたヨーロッパの有名観光都市(スペインのバルセロナやイタリアのベネチアなど)でも、オーバーツーリズムを背景に、観光客数の抑制や住環境保護を求める抗議や規制が続いています。物理的な犯罪だけでなく、「歓迎されていない」という空気も、体感的な治安を悪化させる要因となり得ます。

渡航前の公式情報確認は必須
世界の治安情勢は、政治的イベントや経済状況により、たった数日で劇的に変化することがあります。渡航先を検討・決定する際は、必ず日本国政府が発信している一次情報源(出典:外務省『海外安全ホームページ』)にアクセスし、最新の安全情報を確認してください。


治安が良い国の傾向を地域別に深掘り

安全な国や地域をイメージした近未来的な世界地図を表現

治安の傾向は、国全体のランキングだけでなく世界をいくつかのエリアに分けたりすることで、より具体的な情報が見えてきやすくなります。ここでは、各地域で治安が良い国の特色や傾向、知っておきたい注意点についてお話しします。

ヨーロッパにおける治安

ヨーロッパにおける治安の傾向

ヨーロッパは、世界で最も平和な国が密集している地域であり、旅行先としても不動の人気を誇ります。特に北欧(アイスランド、デンマーク、フィンランドなど)や西欧・中欧(スイス、オーストリア、ドイツなど)は、成熟した民主主義と手厚い福祉国家モデルにより、世界的にもトップクラスの安全性を維持しています。最近では、気候が温暖で物価も比較的安い南欧のポルトガルや、東欧のスロベニアが、安全で魅力的な渡航先として急浮上しています。

しかし、ヨーロッパを訪れる日本人旅行者が肝に銘じておかなければならないのは、「凶悪犯罪が少ないからといって、日本と同じように振る舞ってよいわけではない」ということです。ヨーロッパの大都市や有名観光地では、スリ、置き引き、ひったくりといった軽犯罪の発生率が日本の何十倍にも達します。

パリのルーブル美術館周辺、ローマの地下鉄、バルセロナのサグラダファミリア付近などでは、プロの窃盗集団が常に観光客の隙を狙っています。「カフェのテーブルにスマートフォンを置いたまま話す」「リュックサックを背負ったまま満員電車に乗る」「ズボンの後ろポケットに財布を入れる」といった日本での日常的な行動は、ヨーロッパでは「私から盗んでください」とアピールしているのと同じです。貴重品は衣服の内側に身に着け、常に周囲に気を配る姿勢さえ身につければ、ヨーロッパの旅は最高に素晴らしいものになるはずです。


アジアとオセアニアの治安

アジアとオセアニアの治安の傾向

アジアとオセアニアも、地域による差は大きいものの、渡航先として非常に安全で魅力的な国々が数多く存在します。アジア圏で圧倒的な治安の良さを誇るのは、先述したシンガポールと日本、そして台湾です。台湾(特に台北)は、親日的な国民性に加えて街頭犯罪も少なく、比較的夜間も歩きやすい都市として知られています。マレーシアも、多民族国家でありながら多様性を尊重する文化が根付いており、東南アジアの中ではインフラも整っていて比較的安全に過ごせる国です。

一方、南半球のオセアニアに位置するオーストラリアとニュージーランドは、世界平和度指数でも常に上位にランクインする安全な国です。豊かな大自然と、シドニーやオークランドなどの高度に発達した都市機能がシームレスに融合しており、多文化主義を国策としているため、アジア人に対する差別も比較的少ないのが特徴です。

ただし、オセアニア特有の注意点もあります。一つは、広大な自然環境が生み出すリスクです。強烈な紫外線、変わりやすい天候、そして海や山での水難・遭難事故には十分な備えが必要です。また、都市部においては、週末の夜の繁華街などで、アルコールに起因する若者同士の喧嘩やトラブルが発生しやすいエリア(シドニーのキングスクロス周辺など)があります。昼間は平和な場所でも、深夜には雰囲気が一変することがあるため、時間帯による行動範囲の制限を意識することが大切です。


北米と中南米における治安

北米と中南米における治安の傾向

北米と中南米は、国や都市、さらには通り一本隔てただけで治安の状況が変わる、非常にコントラストの強い地域です。

北米地域における治安の傾向

北米に関して言えば、カナダはアメリカと比較して厳格な銃規制が敷かれており、トロント、バンクーバー、モントリオールといった主要都市は、北米随一の安全で住みやすい都市として世界中から高く評価されています。

対してアメリカは、経済大国であり魅力的な観光地が無限にある一方で、極端な貧富の差や銃社会という構造的な問題を抱えています。ニューヨークやロサンゼルスなどでは、観光客が賑わう華やかな大通りのすぐ裏手に、地元民でも絶対に近づかない危険なエリアが隣接しています。アメリカ滞在においては、「この道から先へは行ってはいけない」という現地の見えない境界線を、事前に徹底的に把握しておく情報収集能力が求められます。

中南米地域における治安の傾向

中南米は、麻薬カルテルやギャングの抗争、深刻なインフレなどにより、全体としては治安に重大な懸念を抱える国が多いのが現実です。しかし、その中にも「奇跡」と呼ばれる例外的に安全な国も存在します。治安の良い国の代表格が南米のウルグアイです。「南米のスイス」とも称されるこの国は、強固な民主主義とクリーンな政治を有しており、南米の中で突出して安定した平和を享受しています。

また、中米のコスタリカも、1948年に常備軍を廃止し、軍事予算を教育と環境保護に全額投資するという独自の政策により、驚くほど平和で幸福度の高い社会を構築しています。地域のイメージだけで一括りにせず、個別の国の状況を正しく知ることが重要だと言えるでしょう。


中東とアフリカでの治安

中東とアフリカでの治安の傾向

中東とアフリカと聞くと、ニュースで報じられる対立のイメージが先行し、「危険な場所」と感じてしまう方が多いかもしれません。しかし、この地域には比較的安全で魅力に溢れた場所も存在します。

中東地域における治安の傾向

中東エリアにおいては、UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビやドバイ、カタールのドーハ、オマーンといった湾岸協力会議(GCC)諸国がインフラや治安維持に惜しみなく投資しています。街の至る所に高度なAI監視カメラが設置されており、厳格なイスラム法に基づく倫理観と相まって、犯罪が比較的発生しにくい環境が作られています。女性が一人で散歩できるほど体感治安が良く、世界中から富裕層や駐在員が集まる安全な国際都市となっています。ただし、直近の中東情勢は非常に不安定となっている点には注意が必要です。

アフリカ地域における治安の傾向

アフリカ大陸も非常に広大で多様です。サヘル地域や一部の紛争地帯は確かに渡航が困難ですが、インド洋の楽園と呼ばれる島国モーリシャスは、多民族が平和に共存し、アフリカで最も治安が良い国として知られています。また、ボツワナはダイヤモンドの収益を国民の教育やインフラに還元することで腐敗を防ぎ、極めて安全にサファリを楽しめる国として欧米の旅行者から人気を集めています。

ルワンダも、過去の悲劇を乗り越え、現在では首都キガリが「アフリカで最も清潔で安全な都市」と呼ばれるまでに復興を遂げています。アフリカを訪れる際は、国ごとの最新の政情と医療アクセスをしっかりと確認することが必須です。


治安が良い国のおすすめを目的別に紹介

明るく安全な国際空港のターミナルを笑顔で歩く多様な旅行者たちの風景

ランキングで上位に入っている治安の良い国であっても、滞在の目的によって選択肢は変わってきます。ここでは、目的別におすすめしたい安全な国についてご紹介していきます。ご自身の渡航プランやライフスタイルと照らし合わせながら、最適な国を見つけるための参考にしてみてください。

海外旅行におすすめの行き先

短期旅行、長期留学、将来の移住といった目的別におすすめの治安の良い国を整理したスライド

数日から数週間という比較的短い期間の海外旅行では、限られた時間の中でいかにストレスを感じることなく、安全にリフレッシュできるかが旅の満足度を左右します。特に海外旅行初心者の方や、女性の一人旅、あるいはお子様連れの家族旅行においては、犯罪率の低さに加えて「移動の分かりやすさ」や「英語の通じやすさ」「衛生面の良さ」が重要な選定基準となります。

フライト時間が短く時差ボケの心配がない近場であれば、台湾やシンガポールが圧倒的におすすめです。交通インフラが日本並みに整っており、食事も美味しく、夜の街歩きも比較的安心です。少し足を延ばして大自然を満喫したいのであれば、オーストラリア(ケアンズやゴールドコースト)やニュージーランドが最適です。英語圏であるためトラブル時のコミュニケーションも取りやすく、観光客に対するサポート体制も万全です。

ヨーロッパ方面で安全性を最優先するなら、北欧のアイスランドやフィンランド、あるいは近年「穴場の安全国」として人気沸騰中のスロベニアやポルトガルが素晴らしい選択肢となります。スロベニアはアルプスの美しい自然と中世の街並みを持ちながら、西欧諸国と比べて観光客が多すぎず、非常に落ち着いた静かな旅を楽しめます。近年は有名観光地をあえて避け、似たような魅力を持つ別の安全な都市を訪れる「デュープ旅行(Dupes)」もトレンドとなっています。


留学やワーホリに適した環境

カナダやオーストラリアなどの安全で緑豊かな大学キャンパスで、笑顔で交流する多様な留学生たち

半年から数年という中長期の滞在となる留学やワーホリ(ワーキングホリデー)では、旅行者のような表面的な安全確認だけでは不十分です。語学学校や大学のキャンパス内の安全性はもちろんのこと、実際に生活するシェアハウスやアパートの周辺環境、アルバイト先から深夜に帰宅する際の夜道の明るさや交通機関の有無など、生活者の視点で治安を見極める必要があります。

この分野で長年トップの人気と安全性を誇るのが、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国です。これらの国々は国を挙げて留学生や移民を積極的に受け入れており、多文化主義が社会の根底に根付いています。そのため、アジア人に対する偏見や差別的なトラブルが比較的少なく、万が一の際にも留学生を保護する法的なサポート体制(オンブズマン制度など)がしっかりと機能しています。カナダのトロントやオーストラリアのメルボルンなどは、世界で最も住みやすい学生都市として常に上位にランクインしています。

ヨーロッパ圏で英語を学びたい場合は、イギリスのEU離脱以降、アイルランドやマルタの人気が急上昇しています。特にアイルランドは、ヨーロッパの中でも経済が好調で国民性が非常にフレンドリーであり、留学生が現地コミュニティに溶け込みやすいという大きなメリットがあります。いずれの国を選ぶにしても、「家賃が異常に安い物件は、治安の悪いエリアにある可能性が高い」という鉄則を忘れず、現地の不動産事情に詳しいエージェントや先輩留学生のリアルな体験談も参考にしながら居住地を選ぶようにしましょう。


移住にも検討したい国や地域

マレーシアなどの移住先をイメージした、安全で近代的なコンドミニアムのバルコニーから眺める夕景

老後のリタイアメントライフ、デジタルノマドとしての長期滞在、あるいは子育て環境の改善やキャリアアップを目的とした海外への移住。この重大なライフイベントにおいて国を選ぶ際は、現在の表面的な治安状況だけでなく、今後数十年にわたる政治経済の安定性、医療制度の充実度、そして税制やビザ取得のハードルなど、極めて複雑な要素を天秤にかける必要があります。

最高の生活の質(QOL)と完璧な安全性を求める富裕層にとって、スイスやノルウェーといった国々は理想の移住先と言えます。インフラは完璧に整備され、世界最高峰の医療にアクセスでき、何事にも代えがたい「安心」が手に入ります。しかし、生活費や税金は世界最高水準であり、誰もが容易に移住できる環境ではありません。

一方で、安全性と生活費のバランスが素晴らしく、現実的な移住先として世界中から移住者が殺到しているのが、マレーシアとポルトガルです。マレーシアは、長期滞在ビザ(MM2Hなど)の制度が整備されており、首都クアラルンプールなどでは日本の生活費の半分から3分の2程度で、プール・ジム付きの高級コンドミニアムに住むことができます。東南アジア最高水準の私立病院も多く、医療の不安も少ないのが魅力です。ポルトガルは、温暖な地中海性気候と美味しい食事、そしてヨーロッパ随一の治安の良さを誇りながら、西欧諸国の中では物価が安く、デジタルノマド向けのビザ制度も充実しているため、世界中のリモートワーカーから熱い視線を集めています。

移住計画における注意事項

各国が定める長期滞在ビザや永住権の取得条件、および不動産購入に関する法律や外国人の税制優遇措置などは、その国の政権交代や経済状況の変動により、予告なく頻繁かつ大幅に変更されるのが常です。重要な判断を下す際は、必ず各国の政府機関・大使館の公式サイトをご確認ください。また、最終的な移住の判断や手続きは、現地の法律に精通した移民弁護士や税務の専門家にご相談ください。


総括:世界で治安が良い国ランキング

貴重品管理や危険区画の把握といった物理的な防衛と、サイバーセキュリティに備える防衛策を示したスライド

ここまで、世界中の様々な国の治安状況やランキング、目的別のおすすめ滞在先について幅広くお伝えしてきました。治安の良い国に滞在することは、心からリラックスして現地の文化や体験を楽しむための大切な土台となります。

しかし、「ランキングで上位だから絶対に何も起きない」というわけではありません。日本のように、カフェで荷物を置いたまま席を離れたり、ズボンの後ろポケットにスマートフォンを入れたまま歩いたりして安全な国は、世界中にほとんど存在しません。自分の身は自分で守るという基本的な意識を持ち、現地のルールやマナーを尊重することがトラブルを未然に防ぐためにも大切です。

また、現代の安全対策は、物理的なスリや強盗だけにとどまりません。空港やカフェで提供されている無料の公衆Wi-Fiに接続してクレジットカード情報を抜き取られたり、生成AIを悪用した偽のホテル予約サイト誘導されたりといった、サイバー空間を通じた新たな犯罪リスクも増加しています。旅行先でVPNを利用するなどのデジタル防衛策も、これからの時代には必須のスキルだと言えます。この記事が、安全で実りある海外滞在を実現するための一助となれば幸いです。


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