中南米で治安の良い国ランキング比較と安全対策や注意点を紹介

中南米で治安の良い国ランキング比較と旅行の安全対策を紹介

中南米は多様な文化と自然が魅力の地域ですが、渡航を検討する際に気になるのが治安です。実際、中南米で治安の良い国に関心のある方の多くは、現地の安全性に対する不安があるといえるでしょう。中南米で治安が良い国ランキングをもとに、旅行や滞在に適した治安の良い安全な国を把握することは、快適で安心な旅を実現する第一歩です。

一方で、中南米には治安の悪い国や地域も存在します。その背景には、貧困、麻薬密輸、政治不安など、複雑な治安が悪い理由があります。南アメリカの中には発展している国もありますが、必ずしも経済の発展と治安の良さが一致するとは限りません。

そこで本記事では、南米の中でも比較的安全とされる国やおすすめの都市を紹介しつつ、治安の悪い国との違いや、旅行前に知っておくべき対策 注意点についても解説していきます。安全な滞在のためには、正しい情報と冷静な判断が欠かせません。これから渡航を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

記事のポイント
  • 中南米で治安の良い国とその特徴
  • 治安の良い都市や滞在先の選び方
  • 治安が悪い理由や危険な国の背景
  • 安全に旅行するための対策や注意点
目次

中南米で治安の良い国ランキング

中南米で治安の良い国ランキング
  • 中南米で治安の良い国ランキング
  • 治安が良い安全な国の特徴
  • 南アメリカで発展している国
  • 中南米で治安が良い都市とは
  • 治安マップで見る安全な国と地域

中南米で治安の良い国ランキング

中南米で治安の良い国ランキング

中南米の中でも、比較的安全に旅行や滞在ができる国は存在します。治安面で安心できる国を選ぶことは、渡航において欠かせない判断材料になります。ここでは、犯罪統計や外務省の安全情報などをもとに作成した「中南米で治安の良い国ランキング」を紹介します。

1位:コスタリカ中米随一の平和国家

コスタリカは軍隊を廃止していることで有名で、政治的安定度が高く、国民の幸福度も高水準です。麻薬密輸ルートからは比較的外れており、他国に比べ暴力犯罪は少なめです。ただし近年は麻薬組織の影響で事件が増加傾向にあり、2023年は史上最悪水準を記録しましたが、それでも地域内ではまだ治安が良い方です。観光業が盛んで、外国人慣れしている治安機関も信頼できます。世界平和度指数では**地域内トップ(2024年は世界58位)**と評価されています。

2位:ウルグアイ南米で最も安全な国の一つ

ウルグアイは安定した民主主義と比較的豊かな社会で知られ、長年にわたり穏健な治安を維持しています。犯罪率はやや上昇し近年は11台/10万人となっていますが、これはブラジルやメキシコの半分以下です。強盗事件が増えているものの、警察への信頼度は地域平均より高めです。市民の教育水準も高く、社会的寛容さも犯罪抑止に寄与しています。政治・経済の安定が治安の良さの土台となっており、外国人にも住みやすい国との評価です。

3位:チリ南米有数の安定国

チリは経済発展と政治の安定により「南米の優等生」とも呼ばれてきました。重大な犯罪率は6.7と低く(日本の約3倍程度)、長らく治安の良さで知られていました。ただし近年、麻薬組織の流入や移民増加に伴う犯罪増加で治安が悪化しつつあります。2023年にはGPIランキングで前年より10ランク低下しました。それでも依然として南米の中では安全な国であり、主要都市部には監視カメラ網が張り巡らされるなど対策が進んでいます。

4位:アルゼンチン治安面で健闘する大国

アルゼンチンは経済危機によるデモや軽犯罪増加はあるものの、南米の中では比較的安全な国です。特に観光都市ブエノスアイレスは大都市としては治安管理が行き届いており、観光客が被害に遭う凶悪犯罪は稀です。ただしスリやひったくりは多発するため注意は必要です。アルゼンチンは2024年GPIで南米トップの平和度と評価されました。これは政治の安定度(2023年の政権交代が平和裏に行われた点)や、社会的不安の抑制が評価されたためです。

5位:パナマ中米の安定拠点

金融センターであり国際色豊かなパナマは、周辺の中米諸国(ホンジュラスやグアテマラ等)に比べると治安は良好です。Numbeo犯罪指数も42.7と低めで、治安は比較的安心できるレベルです。首都パナマシティの高級住宅地やビジネス街は警備が行き届き安全です。ただしコロンビア国境付近は麻薬組織の活動もあり危険度が増すため、その地域への立ち入りは避けるべきです。

このように、南米には確かに「比較的安全」とされる国が複数存在しますが、それでも日本と比べれば全体的に犯罪リスクは高いです。安全とされる国でも、都市ごとに治安状況が異なるため、事前の情報収集が重要です。特に夜間の行動や人通りの少ないエリアへの立ち入りは避け、必要最低限の防犯対策を心がけましょう。以下では主要な中南米諸国の治安指数を表としてまとめています。

スクロールできます
国名GPI世界ランク (2024)Numbeo犯罪指数 (2025)備考・特徴
ウルグアイ50位前後52.0南米で最も平和な国の一つ。政治・経済の安定、銃規制厳格。強盗の増加には注意。
コスタリカ58位54.1中米で最も平和。軍隊を持たない伝統もあるが、近年麻薬絡み犯罪が増加傾向。
チリ64位60.5南米有数の安定国だが、近年組織犯罪と銃器犯罪の増加で治安悪化。
アルゼンチン50位以内63.4南米で最も平和度が高い。犯罪率は低下傾向だが、経済不安から窃盗などは悪化。
パナマ100位前後 (推定)42.7中米では比較的安定。都市部の治安は良好だが、一部地域では麻薬関連犯罪あり。
パラグアイ74位59.8暴力犯罪は少ないが、密輸や麻薬取引の中継地と指摘される。警察腐敗への不信感も。
メキシコ和平度下位 (140位台)53.4凶悪犯罪件数が年間32,000件超と世界最悪レベル。麻薬カルテルの抗争激化。観光地では高い警備水準。
ブラジル平和度下位 (130位台)64.5年間凶悪犯罪4万件近くも人口比では改善傾向。都市の貧困地域で暴力多発。
コロンビア平和度最低クラス60.9長年内戦と麻薬戦争に苦しむ。近年は和平合意で改善も、一部で武装勢力抗争が残存。
ベネズエラ平和度測定対象外※80.7政治・経済の崩壊で治安崩壊。誘拐や強盗が横行し、信頼できる統計も不足。
主要な中南米諸国の治安ランキング指数

治安が良い安全な国の特徴

治安が良い安全な国の特徴

南米で治安が良いとされる国には、いくつか共通する特徴があります。これらの特徴を理解することで、治安が良好な理由や、安全に暮らせる環境がどう成り立っているのかが見えてきます。ここでは代表的な4つの要素について紹介します。

  • 政治的な安定
  • 警察の信頼性
  • 経済的・教育的基盤の安定
  • 麻薬ルートから外れている地理的特性

まず第一に挙げられるのが「政治的な安定」です。政治の混乱が少ないことで、社会全体に安心感が広がり、暴動や反政府活動などが治安悪化の要因になることを防いでいます。

また、「警察の信頼性」も重要なポイントです。治安の良い国では、警察に対する国民の信頼度が比較的高く、犯罪が起きた際の対応も迅速です。市民が安心して警察に通報できる環境は、結果的に犯罪の抑制につながっているといえます。

さらに「経済的・教育的基盤の安定」も見逃せません。一般に、貧困率が低く、教育水準が高い社会では、犯罪に走る動機が少なくなります。こうした環境は、犯罪の温床となる要因を抑え、治安維持に寄与しているのです。

このほか、「麻薬ルートから外れている地理的特性」も治安の良さに影響しています。南米の多くの国では、麻薬の密輸ルート上に位置していることから、麻薬組織による抗争が治安悪化の主因となっています。しかし、ウルグアイやユカタン州(メキシコ南東部)はこうしたルートから外れており、結果として暴力的な犯罪の発生率が低い傾向にあります。

とはいえ、観光客や外国人が軽犯罪に巻き込まれるケースはゼロではなく、たとえ治安ランキング上位国であっても「夜間の単独行動を避ける」「荷物から目を離さない」といった基本的な対策は必須です。

このように、治安良好な国には共通する社会的・地理的要因がありますが、訪問者の行動次第で安全性は大きく変わります。安全な国を選ぶだけでなく、各国の特徴を理解した上で、適切な行動を心がけることが求められます。

南アメリカで発展している国

南アメリカで発展している国

南アメリカで経済的・社会的に発展している国の中には、治安面でも比較的安定している国があります。しかし、発展と治安は必ずしも比例しないため、状況を丁寧に見ていく必要があります。

例えば、チリやウルグアイは南米の中でも経済発展が進んでいる国とされ、教育や医療制度も整備されています。これらの国では政治も安定しており、社会インフラも比較的信頼できる水準にあります。そのため、大規模な暴動や犯罪組織は見られにくく、治安は全体として良好とされています。特にウルグアイは南米でも最も民主主義が定着している国の一つで、公共サービスへの信頼も高い傾向にあります。

一方で、経済規模の大きいブラジルやアルゼンチンは発展した国である一方、治安面では注意が必要です。例えば、ブラジルは都市によって治安の差が大きく、リオデジャネイロやサンパウロなど一部の都市ではファベーラ(貧困地区)における犯罪が日常化しています。ただし、サンパウロ州全体では警察による治安強化が功を奏し、殺人率が10年前と比較して半減したという統計もあります。

アルゼンチンも経済面では一定の発展を見せていますが、インフレや政治不安により国民の生活が不安定になりやすく、それが軽犯罪の増加につながることがあります。とはいえ、凶悪犯罪は南米全体の中では低水準であり、旅行者にとって極端な危険は少ないとされています。

このように、南アメリカで発展している国は一見治安も良さそうに見えますが、実際には都市部と地方、または特定のエリアによって治安状況が大きく異なります。発展している国だから安全だと過信せず、現地の詳細な治安情報を確認しながら行動することが大切です。

中南米で治安が良い都市とは

中南米で治安が良い都市とは

中南米の中には、比較的治安が良く旅行や長期滞在にも適している都市がいくつかあります。こうした都市は、単に犯罪率が低いだけでなく、観光インフラや交通の利便性、現地住民の親しみやすさといった点でも優れています。ここでは中南米で治安が良いとされる代表的な3つの都市を紹介します。

メリダ(メキシコ)

まずおすすめできる都市のひとつは、メキシコのメリダです。メキシコは中米の国ではありますが、メリダは「ラテンアメリカで最も安全な都市」とも称されており、犯罪指数が極めて低く、地元政府による治安管理も徹底されています。女性が一人で歩いても比較的安心できるとされているほどで、観光や移住を検討している人にとって非常に魅力的な場所です。

モンテビデオ(ウルグアイ)

南米に目を移すと、モンテビデオはウルグアイの首都で良好な治安を維持しています。ここは南米の中ではめずらしく落ち着いた雰囲気を持つ都市で、治安の良さに加え、生活コストや公共サービスの質もバランスが取れています。主要な観光スポットや高級住宅地では警察のプレゼンスが高く、外国人が武装強盗に遭うような事件は少ないと言われています。市内の旧市街は夜間に治安が悪化するエリアもありますが、十分な警戒をすれば安全に過ごせるでしょう。

ブエノスアイレス(アルゼンチン)

アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスは人口約1500万の大都市でありながら、犯罪率は低く抑えられています 。警察の存在感も強く、市内中心部では銃犯罪は少ないです。ただし、ひったくりやスリは非常に多いので油断は禁物です 。また、夜遅く人通りが少ないエリアでは強盗リスクもあるため、移動手段にタクシーを使うなどの対策が必要です。全般的には南米の大都市としては治安が良い部類で、芸術やグルメも楽しめる魅力的な都市です。

都市によっては、経済や移民によって治安が急に変化することもあります。そのため、安心して滞在するためには、都市の規模や経済状況だけでなく、現地の社会情勢や警備体制も含めて総合的に判断する必要があります。治安の良い都市でも、油断せず基本的な安全対策を講じることが何よりも大切です。

治安マップで見る安全な国と地域

治安マップで見る安全な国と地域
出典:外務省海外安全ホームページ(2025年5月31日時点)

治安の良し悪しを直感的に把握するうえで、治安マップは有効なツールです。ビジュアルで示される情報は一目で危険な地域と安全な地域の違いを把握でき、旅行や滞在計画を立てる際の参考になります。

例えば、国際機関や治安データサイトでは、世界の治安状況を色分けしたマップを公開しており、犯罪率や犯罪指数などに基づいて各国が評価されています。ラテンアメリカを対象としたマップを見ると、避けるべき地域であることが明らかでしょう。

これらのマップは、治安ランキングや統計データを補完する情報源として非常に役立ちます。地域によってはは比較的安全とされている一方で、国境付近は治安が悪化していることもあります。国全体ではなく地域ごとの治安を見極めることが、適切な行動判断につながります。

ただし、治安マップもあくまで過去の統計に基づいて作られているため、急激な情勢変化を反映しきれない場合があります。例えば政変や自然災害、ギャングの抗争激化などによって、数週間で治安が悪化することもあり得ます。このため、常に現地の最新情報とあわせて確認することが推奨されます。

治安マップを有効に活用することで、安全な旅先選びが可能になります。ただし、最終的には「自分の身は自分で守る」という意識を持ち、過信せず慎重に行動することが、安全確保の第一歩です。

中南米で治安の良い国・悪い国ランキングを比較

中南米で治安の良い国・悪い国ランキングを比較
  • 南米で治安が悪い国ランキング
  • 中米で特に治安の悪い危険な国
  • 中南米の治安が悪い理由や背景
  • 中南米と北米の比較で見える違い
  • 安全のために必要な対策と注意点

南米で治安が悪い国ランキング

南米で治安が悪い国ランキング

南米において治安が特に悪いとされる国々は、いずれも特有の社会問題や地政学的な要因を抱えています。単に犯罪発生件数が多いだけでなく、その根底には暴力を助長する環境があることを理解する必要があります。ここでは南米で特に治安が悪いとされている国をランキング形式でご紹介します。

1位:ベネズエラ – 経済崩壊が招いた治安悪化

治安悪化の常連として挙げられるのがベネズエラです。かつては豊かな石油国家として栄えましたが、近年は政治の混乱と経済崩壊により国民生活が破綻状態となり、治安が極度に悪化しました。インフレが深刻で食料や医薬品すら手に入らない状況では、市民が生き延びるために犯罪に手を染めるケースも少なくありません。また、政府による統計操作や情報統制により、正確な犯罪データが得られないという問題もあります。

2位:コロンビア – 慢性的な事件に悩まされる国

コロンビアは長年の内戦と麻薬戦争により、暴力の文化が根強く残る国です。2016年に最大反政府武装組織FARCと和平合意を結んだことで一時的に治安は改善しましたが、和平に反対する武装勢力や麻薬組織の活動が依然続いています。特に国境地帯やジャングル地帯では、政府の統治が及ばない地域も多く、武装集団の支配下にある地域では住民が日常的に暴力に晒されています。

3位:ブラジル(一部地域) – 広大な国の中の無法地帯

ブラジルも人口規模と犯罪件数が比例して非常に高い国です。凶悪犯罪の年間件数は4万件近くにのぼり、都市部の貧困地区(ファベーラ)では麻薬組織が事実上の支配権を握っていることもあります。ブラジル政府はかつて平和維持部隊(UPP)を導入するなどの対策を講じましたが、現在は再び治安が不安定な地域が増加しています。

これらの国に共通する背景は、経済的不安定さ、社会格差、麻薬経済の浸透、そして警察・司法機関の機能不全です。これに加えて、政治の腐敗や信頼性の低さが人々の不満を助長し、社会全体の治安意識を低下させる悪循環を生んでいます。

旅行者がこれらの国を訪れる場合、事前に地域ごとの安全情報をしっかり調べ、不要なリスクを避ける行動が求められます。治安が悪い国であっても、すべてのエリアが危険というわけではありません。都市の中でも安全なエリアとそうでない場所がはっきり分かれていることが多いため、行動範囲を正しく選ぶことが何よりも重要です。

中米で特に治安の悪い危険な国

中米で特に治安の悪い危険な国

中米の中で特に治安が悪いとされる国は、統計的なデータや国際機関の報告からも明確に浮かび上がっています。事件件数、犯罪指数、政治の不安定さなど複数の指標をもとに見ると、危険度の高い国には明確な傾向が見られます。

特に深刻な治安状況にあるのがハイチです。2021年に大統領が襲撃されて以降、国家機能が麻痺し、首都ポルトープランスは事実上ギャングに支配されているとまで言われています。凶悪犯罪は40人以上/10万人という極めて高い数値を記録し、外務省や米国務省も渡航中止を勧告しています。街中での誘拐や略奪も頻発し、もはや無法地帯と呼ばれる状況です。

また、ホンジュラスやエルサルバドルといった中米の国々も治安面でのリスクが非常に高いとされています。ホンジュラスではギャング抗争や麻薬関連の暴力が日常的に発生しています。エルサルバドルでは強権的な治安対策によって状況は改善しつつありますが、依然として注意が必要な国です。

メキシコも見過ごせません。国全体で見れば観光地は安全な場所もありますが、カルテル同士の抗争が絶えない地域が多く、年間の凶悪犯罪は3万人以上にのぼります。特に北部や西部の州では、旅行者が巻き込まれるリスクもあるため注意が必要です。

このように、中米で治安の悪い国は複数存在しますが、いずれも共通して「麻薬組織の活動が活発である」「国家統治が弱い」「経済状況が厳しい」といった特徴を持っています。旅行や滞在を検討する際は、こうした国々には特に警戒が必要です。

中南米の治安が悪い理由や背景

中南米の治安が悪い理由や背景

南米の多くの国では、他の地域と比べて治安が悪いとされる背景に、いくつもの複雑な要因が重なっています。これは単なる一時的な社会問題ではなく、長年にわたる構造的な課題が根底にあります。

まず、最も大きな要因の一つは経済格差と貧困の深刻さです。南米は富裕層と貧困層の差が非常に大きく、都市部には高級住宅地とスラム街が隣り合って存在しているケースも珍しくありません。このような社会では、貧しい若者が犯罪に走りやすくなり、スラム地域が犯罪の温床となってしまう傾向があります。また、十分な教育を受けられない若者がギャングにリクルートされることもあり、治安の悪化に拍車をかけています。

次に挙げられるのが、麻薬取引とそれに伴う組織犯罪の広がりです。麻薬の原産地であるコロンビアやペルーから、北米へと輸送されるルートの途中に位置する中南米各国では、麻薬密輸をめぐってカルテルやギャングの抗争が激化しています。こうした犯罪組織は非常に暴力的で、一般市民や警察官すら巻き込む事件が多発しています。

さらに、警察や司法制度の不安定さも挙げられます。一部の国では、警察が汚職にまみれ、犯罪者と癒着しているケースも存在します。このような状況では、犯罪が起きても摘発されず、犯人が野放しになることが多くなります。市民が警察を信用できない環境では、当然ながら犯罪の抑止効果も弱まります。

こうしてみると、南米の治安が悪化している背景には、社会経済的な問題、麻薬経済の影響、統治の脆弱さといった、複数の要素が複雑に絡み合っていることが分かります。治安を改善するためには、警察力の強化だけでなく、教育や雇用の拡充、麻薬問題への国際的な連携といった包括的な対策が不可欠です。

中南米と北米の比較で見える違い

中南米と北米の比較で見える違い

中南米と北米は同じアメリカ大陸に位置しながらも、社会構造や治安、経済、文化の面で大きな違いがあります。とくに旅行や移住を検討する際には、こうした違いを理解しておくことで、現地でのトラブルを避けやすくなります。

まず大きく異なるのが治安の安定性と犯罪の質です。北米、特にカナダやアメリカの都市部では、犯罪件数はゼロではないものの、警察や司法の制度が機能しており、一般市民が危険を感じる場面は比較的少ないといえます。都市によっては銃犯罪や麻薬取引などの問題も抱えていますが、それでも法律の執行力が高く、犯罪が発生した後の対応が迅速です。一方、中南米では警察力が弱く、汚職がまん延している地域もあるため、同じレベルの犯罪でも市民の不安はより大きくなりがちです。

経済的な側面では、北米の方が全体的に所得水準や雇用の安定度が高く、それに比例してインフラも整っています。例えば、交通機関の正確さや医療施設の充実度など、生活に必要なサービスの信頼性は北米の方が高い傾向があります。中南米では、国によっては交通や医療のシステムが未発達な場合があり、都市部と地方での格差も大きく、旅行者にとっては移動や体調不良時の対応に注意が必要です。

さらに、旅行者の立場から見ると、北米では安全上の注意点や情報が手に入りやすいのに対し、中南米では現地事情が頻繁に変化するため、タイムリーな情報収集が欠かせません。また、北米では英語が主流ですが、中南米ではスペイン語やポルトガル語が中心となるため、言葉の壁もハードルとなるでしょう。

このように、中南米と北米を比較すると、治安、制度、文化、生活スタイルに至るまで幅広い違いが見えてきます。それぞれの地域の背景や特性を理解し、適切な行動を心がけることで、より安全かつ充実した滞在につながるでしょう。

安全のために必要な対策と注意点

安全のために必要な対策と注意点

南米や中米の一部地域では、安全に対する対策が旅行者・滞在者にとって非常に重要です。安心して過ごすためには、あらかじめできる準備と現地での行動の両面から対策を講じておく必要があります。

まず確認しておきたいのは、「外務省海外安全ホームページ」に掲載されている渡航情報です。ここでは各国・各地域ごとに、危険レベルが4段階で示されており、暴動・誘拐・強盗・政情不安などの要因に応じてリアルタイムで更新されています。また、出発前に外務省の「たびレジ」に登録しておけば、現地で何か事件や災害が起きた場合に、大使館から直接安全情報が届きます。

現地に着いてからの行動では、「夜間の外出を控える」「人通りの少ない道を避ける」「流しのタクシーを使わない」といった行動が基本になります。空港やバスターミナルなど人が集まる場所では、スリや置き引きが頻発しており、荷物から目を離さないことも重要です。スマートフォンを見ながら歩くと周囲への警戒が薄れるため、操作は安全な場所で行いましょう。

さらに、持ち物の管理にも工夫が必要です。現金は分散して持ち歩き、パスポートのコピーを別に保管しておくと、万が一の盗難時に対処しやすくなります。また、小型南京錠やウエストポーチなどの防犯グッズを活用することで、被害のリスクを下げることができます。

注意点としては、「安全そうに見える場所でも油断しないこと」があります。治安が比較的良いとされる都市でも、観光客は常に狙われやすい存在です。現地の人に親切に話しかけられた場合も、まずは警戒心を持つことが大切です。特に「服が汚れている」「道を教えてほしい」などの声かけは、詐欺やスリのきっかけになる場合があります。

このように、現地の治安情報に敏感であること、そして自分の行動に常に注意を払うことが、安全に過ごすうえで不可欠です。どれだけ楽しい旅先でも、まずは安全があってこそです。しっかりとした準備と冷静な判断をもって、リスクを最小限に抑えましょう。

中南米で治安の良い国ランキングを総括

記事のポイントをまとめます。

  • 南米ではウルグアイやチリが比較的治安が良いとされている
  • 治安の良い国は政治が安定しており暴動などが少ない
  • 警察制度への信頼が高い国ほど犯罪抑止効果がある
  • 教育水準と所得水準が高い国は治安が安定しやすい
  • 麻薬ルートから外れている地理は治安の安定に寄与している
  • 治安が良い国でも夜間外出などには注意が必要
  • 経済発展と治安の良さは必ずしも一致しない
  • 都市によって治安の差が大きいため地域ごとの情報が重要
  • ウルグアイのモンテビデオなどは生活の質も高く人気
  • チリの一部都市では麻薬の影響により治安悪化の傾向がある
  • 治安マップを使えば視覚的に危険地域を把握できる
  • 南米の治安悪化には経済格差と麻薬問題が深く関係している
  • 中米ではハイチやホンジュラスなどが治安悪化の代表例
  • 北米と比べると中南米は警察機能や社会インフラが不安定
  • 情報収集と基本的な防犯意識が安全な滞在の鍵となる
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