海外旅行先として人気の高い東南アジアですが、旅先を選ぶうえで欠かせないのが「治安」に関する正確な情報です。「東南アジアの治安ランキング」に関心のある方の多くは、安全な国や都市を見極めて、安心して旅行を楽しみたいと考えているでしょう。実際、世界の治安ランキングを見ても、東南アジアには治安が良い国とされる地域がある一方で、治安の悪い国として注意が必要な場所も存在します。
本記事では、世界的な指標に基づいた東南アジアの治安ランキングをはじめ、治安が良い都市や綺麗な国、さらには治安が悪いランキングに含まれる国の傾向も解説していきます。外務省の危険レベル情報も参考にしながら、旅行を計画するうえで押さえておくべきポイントを紹介します。アジア全体と比較した視点から、どの国が旅行者にとってリスクが少なく、どの地域に注意が必要かを明確にすることで、より安全で快適な旅の計画に役立てていただけるはずです。
- 東南アジア各国の治安の良し悪しの違い
- 世界の治安ランキングにおける東南アジアの位置づけ
- 安全な旅行先として選ぶべき国や都市の特徴
- 安全対策の必要性や現地で注意すべきポイント
東南アジアの治安ランキングを比較

- 世界治安ランキングから見る東南アジア
- アジア全体と比較した東南アジアの治安
- 東南アジアで治安が良い国ランキング
- 東南アジアで治安が良い都市ランキング
- 東南アジアで治安が悪い国や地域とは
世界治安ランキングから見る東南アジア

東南アジア諸国の治安は、世界全体の中で見ると「中間からやや良好」な位置にあります。国によって大きな差があり、評価の高い国もあれば、注意を要する国も存在します。
まず、国際的に権威のある「世界平和度指数(Global Peace Index)」によれば、2024年の世界治安ランキングでシンガポールは世界第5位、マレーシアは10位と、アジア地域の中でも非常に高い安全性を誇っています。これに対して、同じ東南アジアの国々でも治安の評価はまちまちで、例えばベトナムは41位、インドネシアは48位と中程度の位置づけにあります。
このように見ると、東南アジア全体の治安レベルは、ヨーロッパの上位国(例えばアイスランドやスイス)と比べると若干劣るものの、アフリカや南米の一部地域に比べればかなり良好です。特に都市部では観光インフラが整備され、警察による治安維持の体制も機能しているため、旅行者や外国人にとっても比較的安全な地域といえるでしょう。
しかし一方で、スコアが低い国もあります。たとえば、フィリピンやミャンマーなどは、治安ランキングの下位に位置しており、これらの国においては旅行者が巻き込まれる可能性のある犯罪や政治的リスクが残っています。
このように、東南アジアの治安は「良好な国も多いが、油断は禁物」という評価だと言えます。旅行者は国別のデータや外務省の危険情報を確認し、国ごとに対応を変えることが重要です。世界ランキングにおける立ち位置を知ることで、より安心かつ適切な判断ができるようになるでしょう。

アジア全体と比較した東南アジアの治安

アジアという広い地域の中で見ると、東南アジアは「比較的安全な地域」と評価されることが多い一方、全体の中で中位に位置する国が多く、一定の注意も必要です。
アジアには東アジア、南アジア、中央アジア、西アジア(中東)といった地域が含まれ、それぞれに異なる文化や政治体制、治安情勢があります。東南アジアはその中でも経済成長が著しく、観光客にも人気の地域ですが、治安に関しては東アジアほど安定しているとは言いきれません。
例えば、日本や韓国、台湾といった東アジアの国々は、いずれも世界治安ランキングの上位に名を連ねています。日本は特に社会的秩序や公共安全が高く評価されており、外国人旅行者からも「安心して歩ける国」として知られています。
一方で、東南アジアには治安が非常に良好なシンガポールのような国もありますが、ミャンマーのように政治的な不安定さが治安に影響を与えている国もあります。つまり、東南アジアの治安は一律ではなく、国ごとの差が大きいのが特徴です。
南アジアや西アジア(中東)と比べた場合、インドやパキスタンなどはしばしば宗教的・民族的な対立が報じられており、治安面ではやや不安定です。そのため、全体的に見ると東南アジアの方がやや安全といえるでしょう。
このように、アジア全体と比較して東南アジアは「危険すぎず、安心しすぎず」という立ち位置だとも捉えられます。安全性を確保しながら旅行やビジネスを行うには、国ごとの最新情報を収集し、冷静に行動することが大切です。
東南アジアで治安が良い国ランキング

東南アジアの中には、世界的にも安全性の高い国が複数存在します。その中でも特に上位の国は、シンガポール、マレーシア、ベトナムの3カ国が挙げられます。ここではそれぞれの国について、治安が良いと評価される背景や現地の状況を具体的に解説します。指標によってランキングは上下しますが、ここでは「世界平和度指数(Global Peace Index)」を参考に作成しています。
1位:シンガポール:世界トップクラスの安全性を誇る都市国家
シンガポールは、東南アジアだけでなく、世界全体を見渡してもトップレベルの治安を誇る国です。2024年の「世界平和度指数(Global Peace Index)」では、アジアで1位、世界でも5位にランクインしており、その安全性の高さは国際的にも証明されています。
この国の治安が安定している理由の一つは、法律の厳格さとその徹底した運用にあります。公共の場でのマナー違反やポイ捨て、無断喫煙など、比較的軽い違反であっても高額な罰金が科されるため、市民の間にも高い遵法意識が根付いています。
街中には多数の監視カメラが設置され、警察によるパトロールも日常的に行われているため、観光客にとっても安心して滞在できる環境が整っています。地下鉄やタクシーといった公共交通機関の安全性も高く、女性の一人旅や子連れの旅行者にも非常におすすめできる国です。
2位:マレーシア:多民族国家ながら安定した社会構造
マレーシアは多民族国家でありながら、社会の安定性が高く評価されている国です。2024年の治安ランキングでも東南アジアの中で上位に位置しており、特に都市部では観光客にとって安心できる環境が整備されています。
クアラルンプールやペナンといった主要都市では、監視カメラの設置や警察のパトロール体制が強化されており、比較的安心して行動できます。さらに、観光地では英語が広く通じるため、トラブル時にも現地の人と円滑にコミュニケーションを取れるのが大きな強みです。
また、観光庁主導のプロジェクトによって、安全な旅行環境を構築するための取り組みが進められており、外国人観光客向けの案内やサポートも拡充されています。文化的な寛容さと治安のバランスが取れている点は、マレーシアの大きな魅力のひとつといえるでしょう。
3位:ベトナム:穏やかな国民性と安定した観光地
ベトナムもまた、東南アジアの中で治安が比較的良いとされる国のひとつです。特にハノイやダナン、ホイアンなどの観光都市では犯罪が少なく、落ち着いた雰囲気の中で観光を楽しむことができます。
国民性としても一般市民の多くが穏やかな性格をしており、外国人に対しても親切に接する傾向があります。そのため、街中でトラブルに巻き込まれるリスクは他国に比べて低めです。ただし、スリや置き引きなどの軽犯罪は観光地周辺で発生することがあるため、貴重品の管理には十分注意が必要です。
ベトナム政府も観光業の振興に力を入れており、治安維持のための施策も年々強化されています。交通機関や観光施設の整備が進みつつあるため、今後さらに安全性が高まることが期待されています。
このように、東南アジアの中でもシンガポール、マレーシア、ベトナムは、それぞれの特徴を活かしながら高い治安レベルを維持しています。旅行や移住先を検討する際は、こうした国の状況を参考にしつつ、地域ごとの最新情報を調べることで、より安心で快適な滞在が実現できるでしょう。
東南アジアで治安が良い都市ランキング

東南アジアでは国ごとの治安差が大きい中で、都市単位で見ると特に安全性の高い場所がいくつか存在します。ここでは、旅行者や移住希望者にとって治安が良いとされる都市を評価が高い順に紹介します。このランキングは「Numbeo:Safety Index by City 2024」の治安指数を参考に作成しています。
1位:チェンマイ(タイ)
タイ北部に位置するチェンマイは、バンコクに比べて静かで治安が安定している都市として知られています。地元住民の穏やかな気質と、観光産業に支えられた成熟した地域環境により、観光客との間で大きなトラブルが起こりにくいのが特徴です。
街中には警察のパトロールも多く、女性の一人旅でも不安なく行動できる場所として評価されています。また、飲食店やマーケットなど人が集まる場所でも、比較的に犯罪が少なく、安心してショッピングや食事を楽しめます。
2位:シンガポール市(シンガポール)
シンガポールは、先ほど述べたように東南アジアの中でも別格の治安を誇る都市国家です。公共のマナー違反に対する厳しい罰則、整備された交通網、至るところに設置された監視カメラにより、犯罪の発生を抑制する体制が徹底されています。
夜間の治安も優れており、「女性が一人で夜道を歩ける安全な都市」としても挙げられます。旅行者向けの案内や緊急対応体制も整っており、初めて海外旅行に行く人にも安心して訪れることができる都市のひとつです。
3位:ダバオ(フィリピン)
フィリピンというと治安面に不安を感じる人も多いかもしれませんが、ダバオは例外的に「フィリピンで最も安全な都市」として知られています。過去には厳しい治安対策を推進した元市長による統治が影響し、犯罪率が大幅に低下しました。
現在も市内では警察との連携体制が機能しており、市民による防犯意識も高い水準を保っています。外国人観光客や留学生も比較的安心できる環境だと言えるでしょう。ただし、一部地域では軽犯罪が報告されているため、観光客としては基本的な防犯対策を忘れないことが大切です。
4位:ペナン(マレーシア)
マレーシアのペナンは、観光地としての魅力と生活のしやすさが両立している都市です。治安も安定しており、地元の警察や監視システムによって、外国人が巻き込まれるような事件は少ないとされています。
観光エリアではショッピングモールや屋台街でも安心して過ごすことができます。また、英語が比較的通じやすく、トラブルが発生した際も現地スタッフとスムーズにやり取りが可能です。
5位:ハノイ(ベトナム)
ベトナムの首都ハノイも、安全性が高まってきている都市のひとつです。Numbeoの治安指数でも高評価を得ており、外国人観光客に対する軽犯罪のリスクはあるものの、犯罪の発生率は比較的低めです。
市内の主要な観光地や飲食店では警備体制が整っており、落ち着いた雰囲気の中で観光を楽しむことができます。ただし、観光地周辺ではスリや詐欺といった小さなトラブルが発生する可能性もあるため、荷物の管理や現地に合わせた行動が求められます。
このように、東南アジアの中でも都市によって治安の治安の状況には大きな差があります。都市の治安は国単位の評価とは異なり、地域ごとの警備体制や住民の意識、観光への影響などが直接関係します。そのため、同じ国であっても都市ごとに安全性に差がある点には留意することが必要です。旅行やビジネス滞在を計画している方は、ランキングだけでなく実際に滞在予定の地域について最新の治安情報をチェックしすることが大切です。
東南アジアで治安が悪い国や地域とは

東南アジアの中でも、いくつかの国は安全性に課題を抱えており、旅行や長期滞在には注意が必要です。2024年の世界平和度指数(Global Peace Index)やNumbeoなどのデータをもとに見ると、治安が悪いとされる国や地域は概ね決まっています。
一般的にはフィリピンやカンボジア、ミャンマーなどの国では注意が必要です。これらの国では一部地域においてスリや置き引き、詐欺といった軽犯罪が発生しやすく、また政治的な不安定さも懸念されています。ただし、すべての地域が危険というわけではなく、観光地として人気の高いセブ島などは比較的安全なエリアとして知られています。
ミャンマーは政治的な不安定さと軍事衝突が続いており、観光地としての機能がほとんど停止している地域もあります。都市部は比較的落ち着いている場合もありますが、地方では武装勢力の活動が確認されており、安全に移動することが困難な場合があります。
また、フィリピンの一部地域、特にミンダナオ島南部ではテロ組織による誘拐事件や爆発事件が過去に起きており、外務省も渡航を控えるよう注意喚起をしています。マニラやセブなどの主要都市は観光地として機能していますが、夜間の外出や人通りの少ない場所ではスリや強盗のリスクがあるため、警戒が必要です。
タイは一般的には観光に適した国とされていますが、国境付近や一部の南部地域では事件が報告されています。バンコクやチェンマイなどの都市部は比較的安全ですが、地域によっては注意が必要です。
これらの国々は、全体的に経済格差や政情不安が背景にあり、それが治安の悪化につながっていることが多いです。観光客として訪れる場合、訪問する地域が安全かどうかを事前に確認し、外務省の危険レベルや現地の最新ニュースを常にチェックしておくことが大切です。
安全に旅を楽しむためには、リスクのある地域を避け、信頼できる交通手段を利用し、現地の法律や習慣を尊重する行動が必要です。危険が伴う地域では「安い」「珍しい」という理由だけで足を踏み入れることは避けましょう。
東南アジア治安ランキングの傾向と対策

- 治安が良く綺麗な国に共通する特徴
- 治安の悪い国に共通する特徴と傾向
- 旅行前に確認したい治安と安全対策
- 現地で避けるべき行動と注意点
- 外務省の危険レベル情報の活用法
治安が良く綺麗な国に共通する特徴

治安の良い国には、いくつかの共通する特徴や社会的な傾向があります。これらは単なる偶然ではなく、制度や文化、国民の意識といった要素が重なり合って生まれています。ここでは、その共通点について詳しく見ていきましょう。
まず大きな要素として挙げられるのが、法整備です。治安が安定している国では、犯罪に対する法律が明確で、違反時には速やかに対応が取られます。これは単に法律があるというだけでなく、それが機能しているという点が重要です。例えば軽犯罪でも取り締まりが厳格で、法を犯すことに対する抑止力が働いている社会では、犯罪全体の発生率が低くなりやすい傾向があります。
次に注目すべきなのが、市民のモラルや公共意識の高さです。たとえば、公共の場を清潔に保とうとする意識や、互いに配慮する文化が根づいている国では、日常のトラブルも起こりにくくなります。こうした意識が治安の安定を支える土台になっており、秩序が保たれる社会が形成されています。
さらに、経済状況の安定も無視できません。失業率が高く、生活が苦しい国ほど、盗難や強盗といった犯罪が起こりやすくなる傾向があります。一方で、経済的に安定している国では、犯罪に頼らなくても生活を維持できるため、違法行為に走る動機が減ります。加えて、行政サービスが行き届いており、治安維持に関わる予算や人材も充実しているのが一般的です。
また、公的機関の信頼性と対応力も重要な指標です。治安の良い国では、警察や関連機関が市民から信頼されており、トラブル時には迅速かつ公平な対応が期待できます。このような環境では、犯罪が未然に防がれることも多く、観光客にとっても安心して滞在できる土壌が整っています。
こうして見ていくと、治安の良さは単一の要素だけでは成り立ちません。法律、文化、経済、行政など、さまざまな要素が連携してこそ実現されるものです。そしてそれらの根底には、「人を大切にする社会の仕組み」があると言えるでしょう。どの国を訪れる際にも、こうしたポイントを参考にすることで、安全な旅行先を選ぶための手がかりになるはずです。
治安の悪い国に共通する特徴と傾向

一方で治安が悪いとされる国々にも、いくつかの共通した特徴や傾向があります。これらも同じように理解しておくことで、渡航先のリスクを見極める材料となります。
まず第一に挙げられるのが、政治の不安定さです。政権交代が頻繁に起きたり、軍事政権や独裁体制が続いている国では、国内に混乱が生じやすく、これが治安の悪化に直結します。例えば、ミャンマーではクーデターにより反政府運動と軍の衝突が各地で起き、治安が著しく悪化しています。
次に、貧困と経済格差も大きな要因です。失業率が高く、日々の生活に困っている人が多い地域では、窃盗や詐欺、強盗といった犯罪が発生しやすくなります。特に日本人観光客は「お金を持っている」と見なされやすく、犯罪のターゲットになりやすいのが実情です。
また、法の執行力が弱いことも、治安が悪い国に共通する問題点です。警察の腐敗や人員不足により、犯罪が起きても十分な対応がなされないケースが多く見られます。被害に遭ったとしても加害者が捕まらないまま終わることも少なくありません。
さらに、武装勢力やテロ組織の活動がある地域も特に注意が必要です。こうしたグループは都市部から離れた地方や国境付近を拠点とすることが多く、政府の統治が行き届いていないエリアでは、外国人の誘拐や襲撃のリスクが高まります。
これらの特徴を持つ国では、観光や短期滞在でも十分な対策が必要です。渡航前には外務省の危険レベルや現地大使館の情報を確認し、緊急時にどう動くかをあらかじめ考えておくことが重要です。治安の良し悪しは一見するとその国の問題のように思えますが、実際には個人の行動も安全を大きく左右します。危険な国を避けるだけでなく、滞在中の行動一つ一つがリスクを減らすことにつながります。
旅行前に確認したい治安と安全対策

海外旅行を安全に楽しむためには、事前の情報収集と基本的な安全対策が不可欠です。特に東南アジアなど文化や社会背景が異なる地域では、日本とは異なるリスクが存在します。そうした環境に備えておくことが、トラブルを避ける第一歩になります。
最初に行うべきは、外務省が提供する「海外安全ホームページ」のチェックです。ここでは国ごとの最新の治安情報や、危険レベル(レベル1~4)の目安が掲載されています。たとえばレベル1であれば「十分注意」、レベル3以上になると「渡航中止勧告」とされており、旅行の可否を判断する材料になります。日々更新されているため、出発直前にも再確認することが大切です。
次に、旅先での持ち物と管理にも気を配りましょう。パスポートはコピーも用意しておき、原本はホテルのセーフティボックスに保管するのもおすすめです。財布やスマートフォンなどの貴重品は、バッグの奥にしまい、混雑した場所では前に抱えるようにすることでスリ被害を防げます。また、現金の持ち歩きは最小限にとどめ、複数の支払い手段(クレジットカード、電子マネーなど)を準備することも重要です。
さらに、現地の交通ルールや文化的な習慣に関する知識も必要です。例えばシンガポールでは公共の場での飲食やごみのポイ捨てに罰金が科されるなど、日本と違った法律があるため、事前にルールを把握しておくことで思わぬトラブルを防げます。
加えて、海外旅行保険も万一の事故や病気に対応できるだけでなく、盗難などのトラブルにもカバーできるケースも多いため入っておくと安心です。心配な方は、旅行中に起こり得る緊急事態に備えて日本大使館や領事館の場所、緊急連絡先(警察・救急)を把握しておくことも役に立ちます。
安全に旅行を楽しむためには、「自分の身は自分で守る」という意識が必要です。事前に準備を整え、現地の治安に応じた行動を取ることで、リスクを最小限に抑えられます。
現地で避けるべき行動と注意点

海外旅行においては、国そのものの治安よりも、旅行者自身の行動が危険を高める要因となることがあります。安全な国でも、注意を怠るとトラブルに巻き込まれるリスクは十分に存在します。ここでは、危険レベルを上げてしまう典型的な行動と避けるべきエリアについて紹介します。
まず避けるべき行動の一つが、「人気のない路地や裏通りを夜間に一人で歩くこと」です。多くの都市で、昼は観光客で賑わっていても、夜になると犯罪が増加する地域があります。とくに、照明の少ないエリアや観光地から離れた住宅街などでは、スリや強盗といった事件が起きるリスクが高まります。
次に警戒したいのが、「現地のルールや習慣を無視した言動」です。例えば、宗教的に厳格なエリアで露出の多い服装をする、寺院でのマナーを守らないといった行為は、現地の人々とのトラブルを招きやすくなります。無意識のうちに相手を挑発してしまい、予期せぬ争いに巻き込まれる可能性もあります。
また、観光客を狙った詐欺が多い地域もあり、格安ツアーを装った詐欺や、親しげに話しかけてくる現地人に誘われて盗難に遭うケースも報告されています。見知らぬ人についていかない、値段を確認せずにサービスを受けないといった基本を守ることが、被害防止につながります。
避けるべきエリアとしては、スラム街や麻薬の売買が行われているような地域、政治的抗議やデモの現場が挙げられます。外務省の危険情報や現地報道をチェックすることで、こうした場所に近づかないように事前対策が可能です。
このように、自身の行動や訪問する場所によって、安全な国でも危険な目に遭う可能性は十分にあります。安全を確保するためには、情報収集と慎重な判断を重ねることが不可欠です。危険を未然に防ぐ意識を持ち、行動に反映させることが、安心して旅行を楽しむ鍵となります。
外務省の危険レベル情報の活用法

海外に渡航する際、安全を確保するために必ず確認すべき情報のひとつが、外務省が提供する「海外安全情報」です。この情報には「危険レベル」という分類があり、国や地域ごとの治安や安全に関する注意喚起がわかりやすくまとめられています。
危険レベルは4段階で示されており、「レベル1:十分注意してください」から始まり、「レベル4:退避してください。渡航は止めてください」が最も危険度が高い段階です。例えばレベル1であれば、通常の観光が可能なもののスリや詐欺などの軽犯罪には注意が必要であることを示しています。一方、レベル3やレベル4の地域では武装勢力による襲撃やテロのリスクがあり、一般の旅行者には避けるべき危険な地域といえます。
この情報は外務省の「海外安全ホームページ」から誰でも無料で確認でき、目的地の国や都市名を入力することで、最新の安全状況をすぐに把握できます。また、地域単位での詳細な解説もあり、都市部は安全でも周辺地域に危険が及んでいる場合など、細かく分かれた警告も掲載されています。
さらに、渡航前に「たびレジ」というサービスに登録することで、現地での緊急情報をメールで受け取ることができます。これにより、突発的な事件や自然災害が発生した際にも、日本政府から通知を受け取ることができます。
なお、危険レベルが高い国だからといって全地域が同じリスクを抱えているとは限りません。地域ごとにも事情が異なるため、訪れる場所ごとに情報をチェックしリスクを判断することが必要です。海外旅行は自己責任の要素が大きいからこそ、事前に信頼性の高い情報源から正確な治安状況を把握することが、安全かつ安心した旅を実現する上でも重要な要素になります。
東南アジアの治安ランキングを総括
記事のポイントをまとめます。
- 東南アジアの治安は国によって大きな差がある
- シンガポールは世界的にも治安が非常に良い傾向にある
- マレーシアやベトナムも比較的治安が安定している
- フィリピンやミャンマーは治安に注意が必要な国に分類される
- 世界平和度指数などの国際的指標が治安評価に活用されている
- 都市単位ではシンガポール市やチェンマイが安全性で評価されている
- 同じ国でも都市や地域によって治安レベルに差がある
- アジア全体と比べると東南アジアは中間からやや安全な地域とされる
- 治安が良い国は法整備や市民のモラルが高い傾向にある
- 治安の悪い国は政治不安や経済格差、法の執行力不足が共通点となる
- 外務省の危険レベル情報は旅行前に確認すべき情報源である
- 「たびレジ」に登録すれば現地の緊急情報を受け取れる
- 人気のない場所や夜間の外出はトラブルのリスクを高める
- 現地の文化やルールを理解して行動することが大切である
- 安全な旅行のためには事前準備と情報収集が不可欠である


