留学前にやっておけばよかったことは、多くの人に共通している部分があります。期待に胸を膨らませる一方で、何から手をつければ良いか分からず、漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。充実した留学生活を送るためには、出発前の周到な準備が不可欠です。
具体的には、留学の目的を明確にした上でのやることリストの作成、学校や滞在先に関する念入りなリサーチ、そして信頼できる留学エージェントの選定が挙げられます。また、計画的なスケジュールの下で進める英語学習の勉強や、ビザ申請といった複雑な手続き、さらには海外転出届など日本でするべきことも見逃せません。
持ち物のパッキングでは、何を持っていくべきか、あるいは現地で買えるものは何かを見極める必要があり、後になって「あれも持っていけばよかった」と後悔するケースも少なくありません。もし出発1ヶ月前になって準備が間に合わないと感じても、焦らずに対処する方法はあります。
この記事では、留学のやり残したことをなくし、最高のスタートを切るための具体的な方法を、網羅的に解説していきます。
- 留学準備の全体像と具体的なタスクがわかる
- 後悔しないための情報収集と計画の立て方を学べる
- 手続きや持ち物準備における注意点を理解できる
- 万が一のトラブルへの対処法を知ることができる
留学前にやっておけばよかった事と計画の立て方

- 留学前にやっておけばよかったこと5選
- 留学前やることリストで全体像を把握
- 後悔しないための入念なリサーチ方法
- 逆算して立てる留学の準備スケジュール
- 最優先すべき英語学習と効果的な勉強法
- 信頼できる留学エージェントの選び方
留学前にやっておけばよかったこと5選
留学という貴重な経験を最大限に活かすためには、出発前の準備が非常に重要です。多くの留学経験者が、現地に着いてから「ああ、これを日本でやっておけばよかった」と後悔するポイントがあります。ここでは、特に多い後悔のポイントを5つのリストにまとめ、具体的な対策とともに解説します。
1. 英語の基礎固め
最も多くの人が挙げる後悔が、日本での英語学習が不十分だったという点です。もちろん、英語力を伸ばすために留学するのですが、基礎的な土台が身についていないと、スタートラインで大きくつまずくことになります。現地の語学学校では、基礎の基礎から丁寧に教えてくれるとは限りません。特に下のクラスは、同じようなレベルの日本人やアジアの学生で固まってしまう傾向があり、期待していたほど英語環境に浸れないという事態に陥りがちです。
「英語を学びに行く」という意識も大切ですが、より正確には「英語を使って何かを学び、経験する」のが留学です。日本にいる間に中学・高校レベルの基礎を復習し、日常会話で使われる必須表現や語彙を覚えておくだけで、現地での学習吸収率は飛躍的に向上します。

2. 資金計画と節約術の習得
次に多いのが、お金に関する後悔です。「想像以上にお金がかかり、やりたいことを我慢する場面が多かった」という声は少なくありません。特に近年は、世界的な物価高や円安の影響で、海外での生活費は上昇傾向にあります。資金計画に余裕がないと、友人からの誘いを断らざるを得なかったり、興味のある小旅行を諦めたりと、せっかくの機会を逃すことにつながります。
出発前に、留学先の都市のリアルな物価(家賃、食費、交通費など)を詳しくリサーチしておくことが重要です。また、日本にいる間に自炊のレパートリーを増やしておく、現地のスーパーで安く手に入る食材を調べておくなど、具体的な節約術を身につけておくと、現地での生活に余裕が生まれます。
3. 留学先の文化や歴史のリサーチ
渡航先の文化や歴史についての知識不足も、後悔につながりやすいポイントです。語学学校の授業では、その国の歴史的な出来事や政治が大統領選挙などがディベートのテーマになることがよくあります。そうした際に、基本的な知識がないと、議論の内容が理解できず、発言することもできません。
事前に歴史や文化を学んでおけば、街中にある歴史的な建造物や美術館を訪れた際の感動や理解度が全く異なります。単なる観光で終わらせず、学びをより深みのあるものにするためにも、渡航先の歴史がわかる簡単な本を1冊読んでおくだけでも大きな違いが生まれるでしょう。
4. 日本についての知識のインプット
意外に思われるかもしれませんが、「自国である日本のことをもっと勉強しておけばよかった」という後悔も非常に多いです。海外に出ると、あなたは一人の日本人として、現地の友人やホストファミリーから日本の文化、歴史、政治、社会問題について様々な質問を受けます。これは、相手が日本に興味を持ってくれている証拠であり、絶好のコミュニケーションの機会です。
「日本の首相は誰?」「どうして日本人はそんなに働くの?」「天皇ってどういう存在?」といった質問に、あなたは英語で答えられますか?アニメや漫画だけでなく、自国のことを自分の言葉で説明できると、相手からの尊敬を得られ、より深い人間関係を築くきっかけになります。
5. 留学目的の明確化と言語化
最後に、最も根本的な後悔として「なぜ留学するのか、目的を突き詰めて考えておけばよかった」という点が挙げられます。「海外で暮らしてみたい」「英語が話せるようになりたい」といった漠然とした憧れだけでは、壁にぶつかった時に乗り越えるための原動力が不足しがちです。
「留学を通じて具体的に何を得たいのか」「その経験を帰国後のキャリアや人生にどう活かすのか」を、出発前に自分の言葉でノートに書き出してみましょう。この「目的の言語化」という作業を行うことで、留学への覚悟が決まり、困難な状況でも「自分は何のためにここにいるのか」という確固たる軸を持って乗り越えることができます。
以下の記事は留学する際の目的や目標についての考え方を紹介しています。

留学前やることリストで全体像を把握

海外留学の準備は、長期間にわたる複雑なプロジェクトです。そのため、まず初めに「やることリスト」を作成し、全体の流れを可視化することが、後悔を避けるための第一歩となります。リストを作成することで、漠然とした不安が具体的なタスクに変わり、計画的に準備を進めることが可能になります。
リストに含めるべき項目は、大きく分けて「情報収集」「各種手続き」「学力・語学力向上」「渡航準備」の4つです。例えば、情報収集の段階では「留学目的の明確化」「国・都市・学校のリサーチ」「奨学金情報の収集」などが挙げられます。手続きの項目には「パスポート申請・更新」「ビザ申請」「学校への出願」といったタスクが含まれます。このようにタスクを洗い出すことで、自分が今どの段階にいて、次に何をすべきかが明確になります。
やることリスト作成のポイント
タスクを洗い出す際は、「ビザ申請」のような大きな項目だけでなく、「必要書類の確認」「申請料金の支払い」「面接予約」のように、できるだけ具体的な行動レベルまで細分化するのがコツです。これにより、一つ一つのタスクが管理しやすくなり、達成感も得られやすくなります。
Appleのカレンダーアプリや、Google Calendar、Notionといったデジタルツールを活用すれば、各タスクに期限を設定したり、進捗状況を管理したりするのに非常に便利です。家族や留学エージェントと共有することもでき、抜け漏れを防ぐ効果も期待できます。
後悔しないための入念なリサーチ方法

留学先選びは、留学生活の満足度を大きく左右する重要な要素です。多くの留学生が後悔する点として、「人気の国だからという理由だけで安易に決めてしまった」というケースが挙げられます。これを避けるためには、自分の留学目的に立ち返り、多角的な視点からリサーチを行う必要があります。
リサーチすべき主な項目は、「教育の質」「費用」「治安」「卒業後のキャリアパス」の4点です。例えば、最先端のITを学びたいのであればアメリカが有力候補ですが、費用は高額になる傾向があります。一方、費用を抑えつつ治安の良い環境で学びたいのであれば、カナダやニュージーランドが選択肢に入ります。近年では、円安の影響もあり、欧米圏の数分の一の費用で質の高い英語教育が受けられるフィリピンやマレーシアといったアジア諸国も人気です。
ランキングサイトの注意点
大学ランキングは学校選びの参考になりますが、順位だけを鵜呑みにするのは危険です。ランキングの評価基準(学術評価、論文引用数、雇用主からの評価など)を理解し、自分の目的に合っているかを見極めることが重要です。また、ランキングには表れないキャンパスの雰囲気やサポート体制も、快適な留学生活を送る上では見逃せないポイントです。
リサーチは、インターネットだけでなく、留学フェアや各国大使館が主催する説明会に参加し、学校の担当者や卒業生から直接話を聞くことも非常に有益です。これにより、パンフレットだけでは得られないリアルな情報を得ることができます。
リサーチする際には、以下の留学情報サイトも参考になります。
逆算して立てる留学の準備スケジュール

留学準備は、出発日から逆算してスケジュールを立てることが成功の鍵です。大学留学の場合、準備期間は少なくとも1年~1年半を見込んでおくと、余裕を持って各ステップを進めることができます。語学留学の場合でも、最低半年前には準備を始めるのが理想的です。
一般的な準備スケジュールの目安は以下のようになります。
時期 | 主なタスク |
---|---|
1年半~1年前 | 留学目的の明確化、情報収集、保護者への相談、語学学習の開始 |
1年~6ヶ月前 | 志望校の絞り込み、出願書類の準備、奨学金のリサーチと申請 |
8~5ヶ月前 | 出願、合格通知の受領、進学先の決定、学費の支払い、滞在先の手配 |
4~2ヶ月前 | 学生ビザの申請、航空券の手配、海外旅行保険の加入 |
1ヶ月前~直前 | パッキング、公的手続き(海外転出届など)、最終確認 |
特に注意が必要なのは、奨学金の申請とビザの申請です。奨学金は、大学の出願よりも早く締め切られるものが多いため、準備の初期段階からリサーチを始める必要があります。また、学生ビザの申請は、国によっては面接が必要であったり、審査に数ヶ月かかったりする場合があります。夏休み前などの繁忙期は申請が混み合うため、入学許可証が届き次第、速やかに手続きを開始することが重要です。
「まだ先のことだから」と油断していると、あっという間に時間は過ぎてしまいます。特に、締切が明確に決まっているタスクは、カレンダーに登録してリマインダーを設定するなど、うっかり忘れてしまうことがないように管理しましょう。
最優先すべき英語学習と効果的な勉強法

留学経験者が最も後悔すること、それは「もっと日本で英語を勉強しておけばよかった」という点に尽きます。留学は「英語を学びに行く」場であると同時に、「英語で何かを学びに行く」場でもあります。現地の授業についていき、友人を作り、生活を最大限に楽しむためには、日本にいる間に基礎的な英語力を固めておくことが絶対条件です。
効果的な学習のためには、まずTOEFLやIELTSなどの公式テストを受験し、自分の現在の実力と目標とのギャップを正確に把握することから始めましょう。その上で、英語の4技能(リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング)をバランス良く伸ばす計画を立てます。
技能別アプローチ
語彙と表現
全ての技能の土台です。中学・高校レベルの基礎をマスターすることが重要です。英語力に不安がある人は、焦らずに簡単な単語や表現から学習していきましょう。
リーディング
留学先では大量の文献を読む必要があります。簡単な英文を大量に読む「多読」で速読力を、学術的な文章をじっくり読む「精読」で読解力を鍛えます。
リスニング
授業の講義を想定し、TED Talksなどのアカデミックな音源を聞いて要点をメモする練習が効果的です。これは実際の授業でのノートテイキングの訓練にもなります。
スピーキング・ライティング
日本人が最も苦手とする技能ですが、論理構成の型(テンプレート)をに沿って話したり書いたりする練習を繰り返すことで、アウトプットの質を高めることができます。
英語学習のモチベーションを維持するためには、「今日は新しい表現を10個学ぶ」といった達成可能な小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねることが大切です。留学後の理想の自分を具体的にイメージすることも、学習を続ける原動力になります。
以下では基礎に役立つおすすめの学習方法について解説しています。

信頼できる留学エージェントの選び方

複雑な留学準備を一人で進めることに不安を感じる場合、留学エージェントの活用は有効な選択肢の一つです。専門家からのサポートは、時間節約や安心感に繋がりますが、その一方でエージェント選びを間違えると、かえって後悔する結果になりかねません。
信頼できるエージェントを選ぶ基準は、主に「専門性」「サポートの範囲」「透明性」「カウンセラーとの相性」の4点です。自分の留学目的(大学進学、語学留学など)や希望する国に強みを持つエージェントを選びましょう。また、どこまでが無料でどこからが有料なのか、料金体系が明確であることも重要なチェックポイントです。
また、「手数料無料」を謳うエージェントは、提携先の学校から紹介料を得ることで運営されています。そのため、利益を優先し、提携校ばかりを強く勧めてくる可能性があります。無料だから悪い、有料だから良いと一概には言えませんが、複数の選択肢を中立的な立場で提案してくれるかどうかを見極める必要があります。
最終的に最も重要なのは、カウンセラーとの相性です。カウンセリングの際には、こちらの希望や不安を親身に聞いてくれるか、質問に対して的確な答えが返ってくるかなどを確認しましょう。複数のエージェントの無料カウンセリングを受け、比較検討することをお勧めします。
カウンセリングでは、「御社の強みは何ですか?」「私の希望を踏まえて、おすすめの学校を3つ提案してください」といった具体的な質問を投げかけることで、そのエージェントの専門性や姿勢を判断する材料とすることができるはずです。
以下でも目的に合うサポートの選び方についてより詳しく解説しています。

留学前にやっておけばよかったと後悔しない準備

- 留学前に日本でするべきことの最終確認
- 煩雑なビザや保険などの公的な手続き
- 効率的なパッキングのポイントとは
- 持っていけばよかったと思う持ち物
- 留学準備が間に合わない時の対処法
- 出発1ヶ月前から始めるタスクリスト
留学前に日本でするべきことの最終確認
留学準備では、渡航先のことばかりに目が行きがちですが、日本国内で済ませておくべき重要な手続きも数多く存在します。これらを怠ると、留学中や帰国後に思わぬトラブルに見舞われる可能性があるため、出発前に必ず確認しておきましょう。
1年以上の長期留学の場合、住民票のある市区町村役場で「海外転出届」を提出する必要があります。これは出発の14日前から手続きが可能です。この届出により、住民票が除籍され、日本非居住者となるため、住民税や国民健康保険の支払い義務がなくなります。国民年金については、加入義務はなくなりますが、将来の受給額が減ることを避けるために「任意加入」を選択することも可能です。
その他の国内手続き
他にも、現在契約している携帯電話のプランを見直し、解約または番号保管サービスの手続きを行う必要があります。また、運転免許証の有効期限が留学中に切れる場合は、出国前に期間前更新を済ませておくと安心です。かかりつけの歯科医や眼科での検診も、海外での高額な医療費を避けるために重要です。
これらの手続きは、それぞれ管轄が異なり、必要書類も様々です。自分のやるべきことをリストアップし、計画的に進めることが大切です。特に役所での手続きは平日にしか行えないことが多いため、時間に余裕を持って行動しましょう。
以下で紹介されているチェックリストも確認として参考になります。
煩雑なビザや保険などの公的な手続き

留学準備における最大の関門の一つが、学生ビザの申請です。国によって制度や必要書類、手順が大きく異なるため、滞在国の在日大使館のウェブサイトで最新かつ正確な情報を確認することが不可欠です。
例えばアメリカのF-1ビザでは、大学から発行されるI-20(入学許可証)を受領後、オンラインでの申請書作成、SEVIS費用の支払い、そして大使館での面接が必要となります。この面接では、留学終了後に必ず日本へ帰国する意思があること(非移民の意思)を明確に伝えることが、ビザ発給の鍵となります。
海外旅行保険加入の重要性
海外では医療費が非常に高額になるため、海外旅行保険への加入は必須です。クレジットカードに付帯している保険は、補償期間が90日に限られていたり、治療費の上限が低かったりすることが多く、長期留学には不十分です。必ず、留学期間全体をカバーし、治療・救援費用が無制限のプランを含む専用の海外留学保険に加入しましょう。
これらの手続きは、一つでも不備があると留学計画そのものが頓挫しかねません。特にビザ申請は、却下された場合のリスクが非常に大きいため、申請書類は何度も見直し、完璧な状態で提出することが求められます。不安な場合は、ビザ申請サポートを行っている留学エージェントに相談するのも一つの手です。
効率的なパッキングのポイントとは

留学の荷造りは、限られたスペースに未知の生活必需品を詰め込む難しい作業です。ここで重要なのは、「日本から絶対に持っていくべき物」と「現地で調達できる物」を冷静に見極めることです。この判断基準は、単に「現地で売っているか」だけでなく、「品質」「価格」「入手しやすさ」を総合的に考慮する必要があります。
【日本からの持参を強く推奨する物】
常備薬
飲み慣れた鎮痛剤や胃腸薬など。海外の市販薬は成分が強すぎることがあります。
基礎化粧品・生理用品
肌に直接触れるものは、品質が合わないと大きなストレスになります。
高品質な文房具
消せるボールペンなど、日本の文房具の品質は世界トップクラスです。
変換プラグと電源タップ
日本の電源タップは海外では入手困難なため、複数の電子機器を同時に充電するのに必須です。
一方で、シャンプーやボディソープ、タオル、ドライヤーといった日用品や、基本的な調理器具は、ほとんどの場合現地で安価に購入できます。これらはかさばるため、最初の数日分だけをトラベルサイズで持参し、残りは現地調達するのが賢い方法です。衣類も、1週間着回せる程度の基本アイテムに絞り、必要に応じて現地で購入するのが良いでしょう。
持っていけばよかったと思う持ち物
基本的な持ち物に加え、実際に渡航した人たちが「これを持っていけばよかった」と後悔する意外な持ち物があります。これらは必須ではありませんが、あると留学生活の質に向上させてくれるはずです。
あると意外と便利なアイテムリスト
洗濯ネット
海外の洗濯機は強力で衣類が傷みやすいため、デリケートな服を守るのに重宝します。
折りたたみ傘
日本のものは軽量で丈夫ですが、海外のものは高価で壊れやすいことが多いです。
S字フック
公共のトイレなどで荷物をかけるフックがない場合に非常に役立ちます。
日本のインスタント食品
味噌汁やお茶漬けの素、だしの素など。日本食が恋しくなった時や体調を崩した時の心の支えになります。
菜箸
自炊する場合の炒め物や盛り付けに便利ですが、海外ではほとんど売られていません。
これらのアイテムは、一見些細なものに思えるかもしれません。しかし、慣れない環境での小さなストレスを軽減してくれるという点で、非常に価値があります。例えば、質の悪いラップがうまく切れずにイライラしたり、お気に入りの服が洗濯で傷んでしまったりといった経験は、多くの留学生が共感するところです。スーツケースの隅に少し余裕があれば、これらのアイテムを加えることを検討してみてください。
留学準備が間に合わない時の対処法

計画的に進めていても、予期せぬトラブルで「準備が間に合わない!」と焦る状況は起こり得ます。そんな時こそパニックにならず、冷静に現状を整理し、優先順位をつけて対処することが重要です。
まず、「今からでも間に合うこと」と「もはや間に合わないこと」をリストアップします。絶対に間に合わせなければならないのは、パスポート、ビザ、入学許可証、航空券といった、渡航の根幹に関わる手続きです。完璧なパッキングや細かい持ち物の準備は二の次と考え、最優先事項に集中しましょう。
一人で抱え込まないことが重要
追い詰められた状況では、一人で解決しようとせず、すぐに専門家に相談するのが賢明です。契約している留学エージェントがいれば、緊急時の対応ノウハウを持っている可能性があります。また、ビザ申請で時間がない場合は、追加料金を支払って優先サービスを利用することで、審査期間を大幅に短縮できる国もあります(例:イギリス)。
最終手段として、大学に合格を維持したまま入学を1学期または1年延期してもらう「Deferral(デファーラル)」という制度もあります。深刻な病気や家庭の事情など、やむを得ない理由がある場合に認められる可能性があります。希望する場合は、できるだけ早く大学の入学事務局に連絡し、延期を希望する理由を丁寧に説明する必要があります。
出発1ヶ月前から始めるタスクリスト

留学出発まで1ヶ月を切ると、いよいよ準備も大詰めです。この時期は、手続きの最終確認と、身の回りの整理が中心となります。焦らず、一つ一つ着実にこなしていきましょう。
この時期にやるべき主なタスクは以下の通りです。
- パッキングの開始: 持ち物リストに基づき、荷造りを始めます。航空会社の重量制限を超えないよう、こまめに重さを確認しましょう。船便や別送品で送る荷物があれば、この時期に手配を済ませます。
- 公的手続き: 1年以上の留学の場合、出発の14日前から市区町村役場で海外転出届を提出します。国民年金の手続きも併せて行います。
- お金の準備: 当面の生活費として、少額の現地通貨への両替を済ませておきます。メインで利用するクレジットカードの海外利用限度額の確認や、引き上げ申請も忘れずに行いましょう。
- 重要書類の整理: パスポート、ビザ、航空券、入学許可証などの重要書類のコピーを複数用意し、原本とは別の場所に保管します。また、データ化してクラウド上に保存しておくとさらに安心です。
- 挨拶回り: お世話になった友人や恩師、親戚への挨拶を済ませます。送別会などを開いてもらう場合は、この時期に調整しましょう。
出発直前は、期待と不安で気持ちが落ち着かないものです。しかし、この最後の1ヶ月の過ごし方が、現地でのスムーズなスタートを切れるかどうかを左右します。チェックリストを作成し、完了したタスクを一つずつ消していくことで、冷静さを保ちながら準備を進めることができます。
総括:留学前やっておけばよかった事と準備
この記事では、留学経験者が後悔しがちなポイントとその対策を、計画段階から実践的な準備まで網羅的に解説してきました。留学という大きな挑戦を成功させるためには、出発前の周到な準備が何よりも重要です。最後に、後悔しない留学を実現するための要点をリスト形式でまとめます。
- 留学の目的を明確にし全ての判断基準とする
- やることリストを作成し準備全体を可視化する
- 出発日から逆算して長期的なスケジュールを立てる
- 国や学校のリサーチは費用や治安など多角的に行う
- 基礎的な英語力は日本にいる間に必ず固めておく
- 留学エージェントは複数比較し慎重に選ぶ
- ビザや奨学金の申請は締切が早いため特に注意する
- 1年以上の留学では海外転出届などの公的手続きを忘れない
- 海外旅行保険は補償内容を吟味し必ず加入する
- 持ち物は日本から持参すべき物と現地で買える物を見極める
- 常備薬や肌に触れるものは日本からの持参を推奨する
- 準備が間に合わない時は専門家に相談し優先順位をつける
- 出発1ヶ月前には最終チェックリストで抜け漏れを防ぐ
- 留学の記録をつける習慣は自己成長の可視化に繋がる
- 日本人コミュニティだけに留まらず積極的に行動する


