海外送金や外貨決済のサービスを探す中で、Wise(ワイズ)とRevolut(レボリュート)という二つの有力な選択肢の比較や違いについて気になる方も多いでしょう。具体的にどちらが自分の目的に合っているのかメリットやデメリットも把握したいところですよね。特に、デビットカードの使い勝手、対応通貨や使える国、手数料や両替レート、そして海外送金の速度など、比較すべき点は多岐にわたります。また、海外旅行や留学、長期滞在、さらには仕事やビジネスでの利用など、シーンによってどっちを選ぶべきかは大きく変わってきます。この記事では、それらの疑問について幅広く解説していきます。
- WiseとRevolutの根本的なサービスの違い
- 手数料、両替レート、送金速度の比較
- デビットカードの機能やモバイル決済対応の違い
- 海外旅行や利用シーンごとのおすすめ
WiseとRevolutを比較|特徴と主な違い

- Wise(ワイズ)の特徴
- Revolut(レボリュート)の特徴
- WiseとRevolutの主な違いとは
- デビットカード機能の比較
- 対応通貨と使える国を比較
- 手数料・両替・海外送金を比較
Wise(ワイズ)の特徴

Wise(ワイズ)は、「海外送金をより安く、速く、透明に」というミッションを掲げる、英国ロンドン発のフィンテック企業です。2011年に「TransferWise」という名前でサービスを開始し、当初はその名の通り国際送金サービスに特化していました。
Wiseの最大かつ最も重要な特徴は、徹底した手数料の透明性にあります。従来の銀行では一般的だった、為替レートに手数料を上乗せする「隠れコスト」を完全に排除しました。代わりに、Googleなどで検索した際に表示される「ミッドマーケットレート」(実際の為替レート)をそのまま適用し、手数料は「両替手数料」として明確に分離して提示します。これにより、利用者は送金手続きの前に、相手が受け取る金額を1円単位で正確に把握できるのです。
Wiseの主要サービス
- マルチカレンシー口座
40種類以上の通貨を一つのアカウントで保有・両替・管理できます。円安の時にドルに両替しておく、といった柔軟な使い方が可能です。 - 現地口座情報の取得
これがWiseの非常に強力な機能です。米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、英ポンド(GBP)など、主要9通貨以上で、あたかもその国に住んでいるかのような現地の銀行口座情報を取得できます。これにより、海外の取引先や家族からの送金を「国内送金」として手数料無料で受け取ることが可能になります。 - 海外送金
160カ国以上へ、ミッドマーケットレートと低額な手数料で迅速に送金できます。多くの場合、送金は24時間以内に完了します。 - Wiseデビットカード
マルチカレンシー口座に保有している残高を使って、世界中で決済できるMastercardデビットカードです。
このようにWiseは、単なる送金サービスを超え、国境を越えてお金を「送る」「受け取る」「使う」すべてをシームレスに行うための金融インフラとして機能します。特に、海外とのやり取りが多い個人やビジネスにとって、非常に心強いツールとなっています。
Wiseの特徴や活用方法については以下の記事でも紹介しています。

Revolut(レボリュート)の特徴

Revolut(レボリュート)は、2015年に英国で設立されたサービスで、しばしば「金融スーパーアプリ」と呼ばれます。Wiseが送金の透明性に特化して進化したのに対し、Revolutは一つのアプリ内で日常生活に関わるあらゆる金融機能を完結させることを目指しています。
決済、両替、送金はもちろんのこと、日々の支出を自動でグラフ化する予算管理機能、友人との割り勘機能、さらには(日本では未提供のサービスもありますが)株式や暗号資産の取引、旅行保険まで、まさにオールインワンのプラットフォームです。
日本では現在35種類以上の通貨に対応しており、アプリ内で瞬時に両替・保有が可能です。Revolutの大きな魅力は、利用者のニーズに合わせて選べる「プラン制」と、それに伴う多彩な特典にあります。
Revolutの主要サービス
- 選べる料金プラン
基本機能が使える無料の「スタンダード」、月額980円の「プレミアム」、月額1,980円の「メタル」の3種類があります。 - プラン別特典
有料プランに加入すると、両替手数料の無料枠が無制限になったり、ATMの無料出金枠が拡大したりします。さらに、メタルプランでは1%のキャッシュバック(月間上限5,000円)や空港ラウンジの割引などの特典が受けられます。 - 条件付き無料の為替レート
スタンダードプランでも、平日の為替市場営業時間内であれば、月30万円までの両替手数料が無料です(上限超過後は0.5%の手数料)。 - 高機能デビットカード
物理カードに加え、オンラインショッピングのセキュリティを高める「バーチャルカード」も発行可能です。 - モバイル決済に対応
2025年3月から日本でもApple Payに対応(Revolut公式サイトより)し、Google Payと合わせてスマホでのタッチ決済が国内でも海外でも非常に便利になりました。
Revolutは、特にスマートな支出管理や決済の利便性、旅行時の特典などを重視するユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。
WiseとRevolutの主な違いとは

WiseとRevolutの最も根本的な違いは、そのサービスの「哲学」、つまり何をもってユーザーに価値を提供しようとしているかの違いにあります。
Wiseは「送金と外貨受取のスペシャリスト」です。サービスの核は、いかに手数料を透明化し、実際の為替レート(ミッドマーケットレート)で安く・速く国境を越えたお金を動かすか、という点に徹底的に注力しています。特に、海外からの報酬を受け取るための「現地口座情報」機能は、他のサービスにはない決定的なアドバンテージです。
一方、Revolutは「オールインワンの金融プラットフォーム」です。送金や両替も重要な機能の一つですが、それ以上に日常の決済、高度なセキュリティ(使い捨てカード)、予算管理、投資(海外)までを一つのアプリでシームレスに連携させ、ユーザーの金融生活全体をより便利でスマートにサポートすることを目指しています。
言ってしまえば、Wiseは「国際的なお金の送受信(インフラ)」に最強のツールであり、Revolutは「日常的なお金の管理と決済(ライフスタイル)」に便利な多機能アプリ、と考えると分かりやすいでしょう。
両社の主な違いを以下の比較表にまとめます。
| 比較項目 | Wise (ワイズ) | Revolut (レボリュート) |
|---|---|---|
| 主な強み | 海外送金、外貨の受取(現地口座)、手数料の透明性 | 多機能性(決済、予算管理)、スマホ決済対応、条件付き両替無料 |
| 基本料金 | 無料 | 無料 (スタンダードプラン) ※有料プランあり |
| 為替レート | 常にミッドマーケットレート + 明確な手数料 (0.43%〜) | 平日・無料枠内は手数料無料 (※週末1%、枠超過0.5%) |
| 現地口座情報 | あり (9通貨以上) | なし |
| デビットカード | 発行手数料1,200円 (Mastercard) | 発行無料 (配送料別途) (Visa) |
| モバイル決済(日本) | Apple Pay・Google Pay 非対応 | Apple Pay・Google Pay 対応 |
| 付帯サービス | ほぼ無し(送金・決済に特化) | キャッシュバック、その他特典 (※有料プラン) |
| 法人アカウント(日本) | あり (Wise Business) | なし |
デビットカード機能の比較

海外での決済やATM利用に便利なデビットカードも、両社で機能や手数料が異なります。特にモバイル決済(スマホタッチ決済)の対応可否は、日常の利便性に大きく影響します。
どちらのカードも、マルチカレンシー口座に保有している現地通貨の残高があれば、その通貨で手数料なく決済できます。残高がない場合や不足している場合は、保有している他の通貨(通常は日本円など)から最も有利なレートで自動両替して決済する「スマート両替機能」を備えています。
| 比較項目 | Wiseデビットカード | Revolutデビットカード (スタンダード) |
|---|---|---|
| 発行手数料 | 1,200円 (1回限り) | 無料 (ただし配送料が別途必要) |
| 年会費 | 無料 | 無料 |
| 国際ブランド | Mastercard | Visa |
| Apple Pay (日本) | 非対応 | 対応 |
| Google Pay (日本) | 非対応 | 対応 |
| ATM無料出金枠 | 月2回まで、合計30,000円相当まで | 月の合計25,000円相当まで (回数制限なし) |
| ATM無料枠超過 | 70円/回 + 超過額の1.75% | 超過額の2% |
| バーチャルカード | あり (最大3枚まで保有可能) | あり (使い捨てカード機能あり) |
カードの使い勝手で選ぶなら、Revolutが有利かもしれません。
RevolutはApple PayとGoogle Payの両方に対応しているため、カード本体を持ち歩かなくてもスマホだけでタッチ決済が可能です。これは海外旅行中だけでなく、日本国内での日常使いにおいても大きなメリットです。また、オンライン決済のセキュリティを飛躍的に高める「使い捨てバーチャルカード」機能も魅力的です。
一方、WiseのATM無料出金枠は月3万円までとRevolutよりわずかに大きいですが、月2回までという回数制限があります。Revolutは回数制限がないため、少額をこまめに引き出す使い方にも適しています。(ただし、ATM設置機関側の手数料が別途かかる場合があります)。
対応通貨と使える国を比較

WiseとRevolutはどちらも多くの通貨に対応していますが、保有できる通貨数や送金できる国、そして何より「外貨を受け取る機能」において決定的な違いがあります。
Wise (ワイズ)
Wiseは40種類以上の通貨をアカウント内で保有・両替できます。海外送金は160カ国以上に対応しており、非常に広範なネットワークを持っています。マイナー通貨や新興国への送金にも強いのが特徴です。
最大の強みは、繰り返しになりますが「現地口座情報の取得」機能です。米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、英ポンド(GBP)、オーストラリアドル(AUD)、シンガポールドル(SGD)など、主要9通貨以上について、自分名義の現地口座情報を取得できます。これにより、これらの国からの送金を、まるで現地に銀行口座を持っているかのように手数料無料で受け取ることが可能です。
Revolut (レボリュート)
Revolutは公式情報によると35種類以上の通貨をアプリ内で保有・両替できます。海外送金は200以上の国や地域に対応しているとされていますが、一部の通貨(例:インドネシア・ルピアやフィリピン・ペソなど)は、その国の中からしか送金できないといった制限が存在する場合があります。
最も重要な違いとして、RevolutにはWiseのような現地口座情報を取得する機能はありません。あくまで自分のお金をアプリ内で両替・保有・決済することがメインとなり、海外から「外貨を受け取る」ことには適していません。
ポイント
- 単純な保有通貨数は、Wise (40+) と Revolut (35+) でほぼ同等です。
- 送金対応エリアはどちらも広いですが、Wiseの方がマイナー通貨への送金や仕組みの安定性で強い傾向があります。
- 外貨を「受け取る」必要がある場合(特にビジネスや仕送り)は、Wiseが唯一無二の選択肢と言えます。
手数料・両替・海外送金を比較

お金を動かす上で最も重要な「コスト」について、両社を比較します。ここが最も大きな違いが出るポイントであり、どちらを選ぶかの決め手になります。
為替レートと両替手数料
Wiseは、非常にシンプルです。常に「ミッドマーケットレート(実際の為替レート)」を採用し、そこに0.43%〜(通貨ペアにより変動)の明確な両替手数料を加算します。この手数料は常に事前に提示され、週末でも夜間でも変動しません。透明性が非常に高いのが特徴です。
Revolutは、条件によって手数料が大きく変動します。 スタンダードプランの場合、「平日の為替市場営業時間内」かつ「月30万円まで」という2つの条件を満たせば、為替手数料が無料になります。これはWiseに対する大きなメリットです。
上記の無料条件から外れると、以下の手数料が発生します。
Revolutの注意点(手数料発生パターン):
- 週末手数料
為替市場が閉まる週末(ニューヨーク時間金曜17時〜日曜18時、日本時間ではおおよそ土曜の早朝〜月曜の早朝)は、為替変動リスクをカバーするため、1%の手数料がレートに上乗せされます。 - 無料枠超過手数料
月の累計両替額が30万円を超えると、その超過分に対して0.5%の手数料が加算されます。
例えば、スタンダード会員が週末に旅行先で決済し、その時点で月の両替枠も超過していた場合、1% + 0.5% = 合計1.5% の手数料がかかる計算になります。この点は十分に理解しておく必要があります。
海外送金手数料
Wiseの海外送金は、前述の両替手数料に加えて、通貨ごとに設定された少額の固定手数料(例:日本円から米ドルへは数十円程度)がかかります。全てのコストを含んだ総額が送金前に提示され、相手の受取額が確定します。独自の送金ネットワークを使うため、中継銀行手数料も原則かかりません。
Revolutは、Revolutユーザー間の送金は無料です。銀行口座への海外送金も、Revolut側が課す送金手数料は無料とされています。
しかし、Revolutの海外送金は従来のSWIFT(スイフト)と呼ばれる銀行間ネットワークを経由することがあります。その場合、中継銀行手数料や受取銀行手数料(数千円程度)が送金額から差し引かれる可能性があります。これにより、送金前に提示された金額よりも少ない額が相手に着金するリスクがあり、この「受取額が不確定」な点がWiseの仕組みとの大きな違いだと言えます。
RevolutとWiseを比較|海外旅行にはどっち?

- メリットとデメリットを整理
- 海外旅行ではどっちが良い?
- 海外留学や長期滞在での比較
- 仕事やビジネス向けはどっち?
- 結局どっちがおすすめなのか
メリットとデメリットを整理
ここまで見てきたように、WiseとRevolutそれぞれに明確なメリットと利用時に注意すべきデメリットも存在します。どちらを選ぶか、あるいはどう使い分けるかを判断するために両社の長所と短所を一旦ここで整理します。
Wiseのメリット
- 圧倒的な手数料の透明性
為替レートに手数料を上乗せせず、支払う手数料総額が送金前に確定します。隠れたコストの心配が一切ありません。 - 常に公正な為替レート
週末や夜間など、市場の状況に関わらず、常に実際の為替レート(ミッドマーケットレート)を適用します。 - 強力な「受取」機能
主要9通貨以上の現地口座情報を無料で取得でき、海外からの送金を国内送金扱いで手数料無料で受け取れます。これはフリーランサーや輸出業者にとって最大のメリットです。 - 高額送金に対応 (信頼性)
日本では「第一種資金移動業者」として財務局に登録されています(出典:金融庁「資金決済法に基づく資金移動業者登録一覧」)。これにより、1回100万円を超える高額な送金(最大1億5,000万円)にも対応しており、信頼性が高いです。 - 法人利用が可能
Wise Businessアカウントを開設でき、請求書の発行や一括支払いなど、ビジネスでの利用にも最適です。
Wiseのデメリット・注意点
- 付帯サービスがない
サービスが送金・決済に特化しているため、旅行保険やキャッシュバック、空港ラウンジといった特典はありません。 - 両替に必ず手数料がかかる
Revolutのように「手数料無料」になるタイミングはなく、両替時には常時0.43%〜の低率な手数料が発生します。 - モバイル決済に非対応(日本)
2025年現在、日本で発行されたWiseデビットカードはApple PayやGoogle Payに対応しておらず、スマホでのタッチ決済ができません。
Revolutのメリット
- 条件付きで両替手数料が無料
スタンダードプランでも、平日の市場時間内かつ月30万円までなら、為替手数料無料で両替が可能です。計画的に使えばコストを最小限に抑えられます。 - 多機能な金融スーパーアプリ
決済、送金、詳細な予算管理、友人との割り勘機能など、お金に関する多くをアプリ一つで完結できます。 - 高度なセキュリティ
1回使い切りの「使い捨てバーチャルカード」機能があり、初めて利用する海外のECサイトなどでも安全にオンラインショッピングが楽しめます。 - モバイル決済に対応(日本)
Apple Pay、Google Payの両方に対応しており、国内外でスマホをかざすだけのスマートな決済が可能です。 - 有料プランの豊富な特典
プレミアムやメタルプランに加入すれば、空港ラウンジ利用割引、1%キャッシュバック(メタル)などの恩恵を受けられます。
Revolutのデメリット・注意点
- 法人アカウント非対応(日本)
2025年現在、日本では法人向けサービス(Revolut Business)は提供されていません。 - 週末手数料の存在
為替市場が閉まる週末(日本時間土曜朝〜月曜朝)は、為替レートの変動リスクをカバーするため、1%の週末手数料が両替レートに上乗せされます。旅行中の利用には注意が必要です。 - 手数料体系の複雑さ
無料枠の上限、週末手数料、プランごとの違いなど、Wiseに比べて手数料の条件がやや複雑で、意識せずに使うと割高になる可能性があります。 - 海外送金時の隠れコスト
Revolutからの送金手数料は無料でも、従来のSWIFTネットワークを利用する場合、中継銀行手数料が別途発生し、受取額が目減りする可能性があります。 - 高額送金に非対応
日本では「第二種資金移動業者」として登録されており、法律上の規定により1回の送金上限は100万円までです。
海外旅行ではどっちが良い?

数日から数週間程度の短期的な海外旅行では、「決済の利便性」を重視するか、「手数料の安定性」を重視するかで、最適なサービスが異なります。利用する曜日や時間帯、支払い方法によって両者の強みが入れ替わるため、それぞれの特徴を理解して使い分けることが大切です。
Revolutの利便性
まず、Revolut(レボリュート)は、「決済の利便性」において非常に優れています。最大の理由は、Apple PayおよびGoogle Payに(2025年3月より)対応している点です。これにより、カード本体を財布から取り出すことなく、スマートフォン一つでスマートにタッチ決済が完了します。海外で物理カードを紛失したり、スキミング(不正読み取り)されたりするリスクを大幅に軽減できるのは、大きな安心材料と言えるでしょう。
ただし、Revolutを利用する上で最大の注意点が「週末手数料」です。為替市場が閉まっている週末(ニューヨーク時間金曜17時〜日曜18時)、これはおおよそ日本時間の土曜早朝から月曜早朝までに該当しますが、この期間に行う両替や外貨決済には、プランに関わらず1%の手数料がレートに上乗せされます。
この週末手数料を回避するためには、「平日のうちにRevolutアプリ内で両替しておく」という活用法が有効です。旅行が始まる前の平日のうちに、手数料が無料になる範囲(スタンダードプランは月30万円まで)で旅行先の通貨をあらかじめ両替しておけば、週末はその両替済み残高から手数料なしで決済できます。
Wiseの利便性
一方で、Wise(ワイズ)の強みは「コストの安定性」にあります。
Wiseのデビットカード決済は、Revolutのような週末手数料が一切ありません。土日祝日であっても、常にミッドマーケットレート(実際の為替レート)と、透明性の高い明確な少額手数料(0.43%〜)で決済されます。したがって、旅行の日程が週末メインになる場合や、平日に両替するのを忘れていた場合、決済コストはWiseの方がRevolutより安く済む可能性が非常に高いです。
ただし、Wiseの現時点でのデメリットとしては、2025年現在日本で発行されたWiseカードはApple PayやGoogle Payに非対応です。そのため、決済時は必ず物理カードを提示する必要があり、この点ではRevolutの利便性に劣ります。
ATMでの現金引き出しの違い
現地で現金が必要になった場合のATM引き出しにも違いがあります。
- Wise
月2回まで、かつ合計3万円相当まで無料。それを超えると70円/回の固定手数料と超過額の1.75%がかかります。「月2回まで」という回数制限があるため、「まとめて引き出す」使い方に向いています。 - Revolut (スタンダード)
合計2.5万円相当まで無料。回数制限はありません。それを超えると超過額の2%がかかります。回数制限がないため、「こまめに引き出す」使い方に適しています。
(※いずれもATM設置機関側が独自に徴収する手数料は別途かかる場合があります。)
短期旅行での使い分けの例
ここまで見てきたように、短期旅行においてはどちらも一長一短です。もし「両方持ち」が可能であれば、それが最も賢明な選択となります。
- 平日の決済
Apple Payが使えて便利なRevolutで、手数料無料(月30万円の枠内)の恩恵を受けつつ、スマートに決済する。 - 週末の決済
週末手数料のないWiseの物理カードで決済し、コストを最小限に抑える。 - 事前の準備
Revolutの週末手数料を回避するために、旅行が始まる前の平日のうちに、Revolutアプリ内で旅行先の通貨を両替しておく。
このように使い分けることで、両サービスのメリットを最大限に活用できるでしょう。
海外留学や長期滞在での比較

数ヶ月から数年にわたる留学や海外駐在など、現地での「生活」が始まる長期滞在のシナリオでは、短期旅行とは比較にならないほど「お金の管理」が重要になります。この場合、「現地でどうお金を使うか」だけでなく、「日本からどう安全かつ安価にお金を受け取るか」という問題が大きなウェイトを占めます。
この「お金を受け取る」機能において、WiseとRevolutの間には決定的な違いが存在します。
結論から言うと、留学や長期滞在のメインの金融インフラとしては、Wise(ワイズ)が圧倒的に有利です。その最大の理由は、Wiseだけが提供している「マルチカレンシー口座(現地口座情報の取得)」機能にあります。
Wise: 「受け取る」インフラとしての利便性
従来の銀行システムを利用して、日本の家族から海外の銀行口座へ生活費(仕送り)を送金する場合を想像してみてください。通常は「送金手数料」「高額な為替手数料」「中継銀行手数料」、さらに着金時にも「被仕向送金手数料(着金手数料)」といった、合計で数千円から一万円近くにもなる複雑なコストが発生していました。
しかし、Wiseを使えばこの問題の多くが解決します。例えば、あなたがアメリカに留学する場合、Wiseのアカウント内で米ドル(USD)の現地口座情報(口座番号やルーティングナンバー)を無料で取得できます。これは、あたかもあなたがアメリカに銀行口座を持っているかのように機能するものと理解してよいでしょう。
日本の家族は、このあなたの米ドル口座(または日本のWise口座)に対して送金手続きを行うだけで、あなたは米ドルを受取手数料無料で受け取ることが可能です。これにより、従来の銀行経由で発生していた高額な中継・着金手数料をゼロにできるのです。このコスト削減効果は、仕送りが毎月発生することを考えると計り知れません。
留学・長期滞在でのWise活用例
- 学費の支払い
Wiseは日本では「第一種資金移動業者」として登録されており、1回100万円を超える高額な送金(最大1億5,000万円)にも対応しています。高額になりがちな学費の支払いにも安心して利用できます。 - 現地での給与受取
多くの国では、留学生が現地で銀行口座を開設するのに、パスポート以外の住所証明の取得などで手間と時間がかかります。Wiseで取得した現地口座情報は、多くの場合、アルバイト先の給与振込先として指定できます。現地の銀行口座がスムーズに開設できるまでの「つなぎ」として、あるいはメインの受取口座として非常に強力に機能します。
Revolut: 「使う・管理する」ツールとしての利便性
一方、Revolut(レボリュート)には、前述の通り、Wiseのような現地口座情報を取得する機能はありません。そのため、仕送りや給与を「受け取る」ためのメインインフラとして利用するのは困難です。
しかし、Revolutは「日常のお金を使う・管理する」ツールとしては非常に優秀です。留学生活においても、その利便性は大いに役立ちます。
例えば、Apple PayやGoogle Payに対応しているため、カードを持ち歩かずにスマートフォン一つで日々の買い物や交通機関の支払いができます。また、アプリの「予算管理」機能を使えば、慣れない外貨での支出をカテゴリー別に自動でグラフ化し、使いすぎを防ぐのに役立ちます。友人との外食などで発生する支払いを簡単に割り勘できる機能も、現地での交友関係において重宝するでしょう。
海外留学や長期滞在における選択肢の一つとして、両方のサービスを目的別に使い分ける「ハイブリッド利用」もおすすめです。これらを使い分けることで、Wiseの「受取機能」とRevolutの「決済利便性」という両方のメリットを最大限に活用することが可能となります。
留学・長期滞在での最適な使い分け
- メインの金融インフラ(受取用)
Wise 学費の支払いや、日本からの仕送り、現地での給与などを「受け取る」ための口座として利用します。 - 日常使いのサブ財布(支払・管理用)
Revolut Wiseで受け取った外貨のうち、当面必要な生活費だけをRevolutのアカウントに移します(※送金手数料に注意)。そして、日々の支払いはRevolutのApple Payや予算管理機能を活用しながら行う、という流れです。
仕事やビジネス向けはどっち?

仕事やビジネスシーン、特に海外との取引があるフリーランサーや法人にとって、両社のサービスには決定的な違いがあります。
フリーランス・海外からの報酬受取
この用途では、Wise Business(ワイズ・ビジネス)が最適解だと言えます。
前述の通り、Wiseなら米ドル、ユーロ、英ポンドなどで現地の口座情報を取得できます。海外のクライアントに請求書を送る際、このWiseの現地口座情報を記載しておけば、クライアントは自国の国内送金と同じ手軽さとコストであなたに報酬を支払えます。クライアント側の送金手数料負担も減り、受け取る側も中継銀行手数料などを引かれることなく、売上を最大化できます。
2025年現在、Revolutは日本では法人向けアカウント(Revolut Business)を提供していません。そのため、海外クライアントからの報酬受け取りなど、ビジネス目的での利用はWiseが唯一の現実的な選択肢となります。
法人の経費管理・一括支払い
Wise Businessは、複数ユーザーでのアカウント管理や、API連携、会計ソフトとの連携機能も提供しています。さらに、最大1,000件の支払いを一度に処理できる「一括支払い」機能もあり、海外の従業員への給与支払いや、多数のサプライヤーへの支払業務を大幅に効率化できます。
Revolut Business(海外で提供)は、従業員向けの経費管理カード発行や社内ワークフローの管理に強みがありますが、日本ではサービスが開始されていないため現時点では現実的な選択肢ではないでしょう。
結局どっちがおすすめなのか

これまで比較してきた通り、WiseとRevolutは似ているようで全く異なる特徴を持つサービスです。どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、目的によって選ぶべきサービスが変わります。あなたのニーズがどちらに近いか、以下のリストも参考にしてみてください。
Wiseがおすすめの人
- 海外送金や、海外からの送金受け取りがメインの人
- フリーランサーや個人事業主で、海外から外貨で報酬を受け取る人
- 留学や長期駐在で、日本の家族から仕送りを受ける必要がある人
- 1回100万円を超える高額な送金(学費、不動産購入資金など)が必要な人
- 週末や時間を問わず、常に透明で公正な手数料で両替・決済したい人
- 法人(ビジネス)で国際的なお金のやり取りをしたい人
Revolutがおすすめの人
- 海外旅行や日常の決済(支払い)がメインの人
- Apple PayやGoogle Payを使ってスマホだけでスマートに決済したい人
- 平日に計画的に両替することで、手数料を徹底的に節約したい人
- 予算管理や友人との割り勘など、日常のお金の管理も一つのアプリで完結させたい人
- オンラインショッピングで安全な「使い捨てバーチャルカード」を使いたい人
- 有料プランに加入してでも、キャッシュバックなどの特典を受けたい人
両方持ちで使い分ける場合では、海外からの報酬受取や高額送金、週末の海外決済はWiseを使い、平日の両替や日常のスマホ決済はRevolutを使うというように両者のいいとこ取りをすることで、手数料や利便性のメリットを最大限に享受できます。どちらもスタンダードプラン(基本プラン)は無料で維持できるため、両方のアカウントを状況に応じて使い分けることが可能となります。
片方の利用で十分な場合に迷った際は、まずはプランや使い方がシンプルで機能面も安定しているWiseがおすすめです。ご自身の目的に合わせて気になる方から利用してみると良いでしょう。
総括:WiseとRevolutの比較
最後に、WiseとRevolutの比較に関するポイントをリスト形式でまとめます。
- Wiseは「海外送金」と「外貨受取」に特化した金融インフラサービス
- Revolutは「日常決済」や「金融管理」に強い多機能な金融スーパーアプリ
- Wiseは常に実際の為替レート(ミッドマーケットレート)と透明な手数料を適用
- Revolutは平日かつ無料枠内(月30万円)なら両替手数料が無料になる点が強み
- Revolutは週末(土日)の両替や決済に1%の追加手数料がかかる点に注意が必要
- 外貨を「受け取る」ための現地口座情報はWiseのみが提供する独自機能
- デビットカードの利便性はRevolutがApple Pay・Google Payに対応し優勢
- Wiseのカードは日本でのモバイル決済に非対応(2025年現在)
- ATM無料枠はWiseが月3万円(月2回まで)、Revolutが月2.5万円(回数無制限)
- セキュリティ面ではRevolutの「使い捨てバーチャルカード」が優秀
- パートナー特典などの付帯サービスはRevolutの有料プランでのみ提供
- 100万円を超える高額送金は「第一種資金移動業者」のWiseのみ対応
- 法人・ビジネス利用は日本ではWise Businessのみが選択可能
- 海外旅行では「平日Revolut、週末Wise」の使い分けが最も賢明
- 留学・長期滞在での仕送りや給与受取はWiseが圧倒的に有利
- それぞれの目的が異なるため「両方持って使い分ける」ことも選択肢







