南太平洋の楽園フィジーへの渡航を考えた際に、「フィジーの食べ物や料理ってどんなものがあるの?」「日本人の口に合うのかな?」といった疑問や期待が膨らむ方もいるのではないでしょうか。フィジーのユニークな食文化や人々の生活を支える主食、そして絶対に味わいたいフィジーの有名な食べ物について事前に知ることは、あなたの旅を豊かで味わい深いものにしてくれます。
この記事では、代表的なフィジー料理の基本から、結婚式などの特別な日にのみ振る舞われる伝統のロボ料理、多文化が融合したカレーや心温まるスイーツ、さらには儀式に欠かせない伝統のカヴァといった飲み物やお酒まで、フィジーの食の世界を隅々まで網羅的にご紹介します。
また、多くの日本人旅行者が気になる「ご飯はまずい?」という率直な疑問にも、食文化の違いという視点からお答えします。観光中に訪れたいおすすめのグルメ・レストラン情報から、旅の思い出になる特産品のお土産選び、そして現地の人々と心温まる交流をするために知っておきたい食事マナーに至るまで、知りたい情報を余すところなくお届けします。
- フィジーの食文化の基本と代表的な伝統料理
- 多文化が融合したユニークな食の世界と魅力
- 旅行者がフィジーの食を楽しむためのヒント
- お土産選びや食事マナーなど旅に役立つ実践情報
フィジーの食べ物・料理と食文化

- フィジーの食文化と主食のイモ類
- フィジーの有名な食べ物を紹介
- ココナッツ香る代表的なフィジー料理
- 伝統的な調理法ロボ料理とは?
- 多文化が融合したカレーとスイーツ
- 儀式に欠かせない伝統のカヴァ
フィジーの食文化と主食のイモ類

フィジーの食文化を深く理解する上で最も重要なのは、食事が単なる栄養摂取の手段ではなく、共同体の絆を強め、温かいホスピタリティを表現するための社会的行為であるという点です。フィジーでは、食事、特に客人と食卓を囲むことは基本的な文化的慣習であり、人々が親睦を深めるための日常的な儀式とも言えます。家族や親しい人々は、床に敷かれた大きな布の上でピクニックのように食事を共にし、一体感を育みます。
この文化的背景から、心のこもった料理を提供することは最大の敬意とされており、提供された食事を断ることは、もてなしてくれた相手の心遣いを拒絶する行為と見なされ、深刻な無礼にあたる可能性があります。このホスピタリティの精神は、近隣住民や親族間での「お裾分け」という形で日常的に食料を分かち合う習慣にも表れており、伝統的な共同体の強い絆を今なお維持しているのです。
そして、そんなフィジーの温かい食卓を支える主食は、私たち日本人が慣れ親しんだお米ではなく、タロイモやキャッサバといった根菜類が中心です。これらは熱帯の厳しい気候でもたくましく育ち、食料安全保障の観点からも、フィジーの人々の生活に深く根付いています。
フィジーの食卓を支える二大主食
フィジーで日常的に食べられる主食の中でも、文化的重要性や消費量の観点から特に重要なのが「ダロ」と「タビオカ」です。
ダロ(Dalo) – タロイモ
ダロは、儀式やお祝いの席で最も重要視される、いわば「ハレの日」の特別なイモです。フィジーには70以上の品種が存在するとも言われ、その文化的価値の高さから、毎年5月の最初の満月の日に「タロ・デー」として収穫を祝うお祭りも開催されるほどです。
芋の部分が主食となるのはもちろんのこと、その葉(ロウロウ)も「パルサミ」などの重要な料理に活用され、文字通り余すところなく食されます。
タビオカ(Tavioka) – キャッサバ
日本でもタピオカドリンクの原料として知られるキャッサバは、現在フィジーで最も広く栽培・消費されている日常の主食です。栽培が比較的容易で収穫量も多く、安価であるため、フィジー全土の家庭や食堂で食べられています。
クセのない味わいで、主な調理法はシンプルに茹でるか揚げるか。様々な料理の付け合わせとして、その素朴な味わいが食卓を支えています。かつて主食であったヤムイモに代わって普及した背景には、自給自足経済から貨幣経済へと移行する中で、より効率的な作物が求められたという社会の変化があったと考えられています。
項目 | ダロ(タロイモ) | タビオカ(キャッサバ) |
---|---|---|
文化的価値 | 儀式や祝祭に用いる神聖な存在。文化的象徴。 | 国民の食生活を支える最もポピュラーな主食。 |
主な食感 | 品種によるが、一般的にはねっとり系やほくほく系がある。 | 繊維質が多く、じゃがいものようなほくほくとした食感。 |
調理法 | 茹でる、蒸す(ロボ料理)、煮込み料理など。 | 茹でる、揚げる(フライドキャッサバ)など。 |
活用部位 | 芋の部分だけでなく、葉(ロウロウ)も食用として重要。 | 主に芋の部分を食用にする。 |
フィジーの有名な食べ物を紹介

フィジーを訪れたら絶対に味わっていただきたい、代表的な郷土料理がいくつか存在します。これらはフィジーの豊かな自然の恵みと、先人たちの知恵が詰まった、まさに「フィジーの魂の味」と言えるものばかりです。ここでは、数ある料理の中でも特に有名で、観光客でもリゾートホテルや現地のレストランで気軽に楽しめる、フィジー料理の入門編とも言える代表格を3つご紹介します。
フィジーを代表する三大料理
ココンダ (Kokoda)
新鮮な魚介を柑橘とココナッツでマリネした、爽やかでクリーミーな国民的前菜。
ロボ (Lovo)
地面そのものをオーブンとして利用する、ダイナミックで神聖な伝統の蒸し焼き料理。
パルサミ (Palusami)
栄養豊富なタロイモの葉で具材を優しく包み込んだ、濃厚でクリーミーな一品。
これらの料理は、それぞれ調理法や歴史的背景、味わいが全く異なりますが、いずれもフィジーの食文化を深く理解する上で欠かせない存在です。例えば、「ココンダ」は、海に囲まれた島国ならではの新鮮な海の幸を活かした、シンプルながらも洗練された一品です。一方で「ロボ料理」は、調理そのものが一大イベントであり、多くの人々の協力と思いを込めて作られる、共同体の結束を象徴する料理です。
続く見出しで、それぞれの料理の魅力や背景について、より一層詳しく、そして深く掘り下げて解説していきますので、ぜひご覧ください。これらの料理を知ることで、あなたのフィジーでの食事が、単なる空腹を満たす行為から、文化を体験する豊かな時間へと変わるはずです。
ココナッツ香る代表的なフィジー料理

フィジー料理の味わいの核となり、そのアイデンティティを決定づけているのが、「ロロ」と呼ばれるココナッツミルクです。熟したココナッツの果肉を削って絞ることで得られるこのクリーミーで豊かな風味を持つ万能食材は、煮込み料理からスープ、前菜に至るまで、あらゆる場面で活躍します。
フィジー料理に独特の個性と南国らしい深みを与えているのは、まさにこのロロの存在と言っても過言ではありません。ここでは、ロロを巧みに使った象徴的なフィジー料理をいくつかご紹介します。
ココンダ:フィジー版セビーチェ
フィジーの国民食として広く愛されている「ココンダ」は、生の白身魚(マヒマヒやサワラなど)をレモンやライムのフレッシュな果汁で締め、たっぷりのココナッツミルクで和えた前菜です。この料理を決定的にフィジーたらしめているのが、ココナッツミルクの存在です。
柑橘の鋭い酸味が魚の身を引き締めます。そこへココナッツミルクのまろやかな甘みとコクが加わることで、酸味が見事に中和され、絶妙なバランスが生まれます。刻んだ玉ねぎ、トマト、唐辛子などの野菜がシャキシャキとした食感のアクセントを加え、見た目も華やか。刺身文化に馴染みのある日本人にとっては、最も抵抗なく受け入れられ、かつ感動できるフィジー料理の一つと言えるでしょう。
パルサミ:タロイモの葉のクリーミーな包み料理
「パルサミ」は、主食であるダロ(タロイモ)の葉(ロウロウ)で具材を丁寧に包み、じっくりと蒸し焼きにした、栄養満点の一品です。包みの中には、濃厚なココナッツクリーム、刻み玉ねぎ、そして伝統的には缶詰のコンビーフや羊肉(マトン)がたっぷりと入っています。
歴史的に新鮮な肉が貴重であった島国において、安価で保存性の高いコンビーフが重要なタンパク源として定着したという、フィジーの経済史を物語る興味深い背景も持っています。ロボ(地中オーブン)で調理されることが多いこの料理は、タロイモの葉の滋味とココナッツクリームのコク、そしてコンビーフの塩気が一体となり、濃厚でクリーミーなほうれん草のグラタンのような味わいを生み出します。
イカ・ヴァカロロ:魚のココナッツミルク煮込み
「ヴァカロロ」とは、ロロ(ココナッツミルク)で調理された料理全般を指すフィジー語の言葉です。その中でも「イカ・ヴァカロロ」は、一度素揚げした魚を、玉ねぎやトマト、香味野菜と共にココナッツミルクで煮込んだ、フィジーを代表する温かい家庭料理です。魚の旨味が溶け出したクリーミーで優しい味わいのソースは、主食のキャッサバやご飯との相性が抜群。心も体も温まる、まさにフィジーのおふくろの味と言える一品です。
ココナッツミルクと聞くと、どうしても甘いデザートやドリンクを連想するかもしれませんが、フィジー料理では塩味の料理に見事に調和し、スパイスや酸味をまろやかにまとめ上げ、味に奥行きとコクを与えてくれる魔法の食材だと言えるでしょう。
伝統的な調理法ロボ料理とは?

フィジーで最も象徴的で神聖な食文化が、地面そのものを巨大なオーブンとして利用する伝統調理法「ロボ(Lovo)」です。これは、結婚式、葬儀、祭り、そして重要な賓客を心から歓迎する際など、特別な機会にのみ行われる、共同体の絆を深めるための大切な社会的儀式でもあります。
ロボの準備は、まず男性たちが地面に大きな穴を掘ることから始まります。その穴の中に、川で集めてきた丸い石を敷き詰め、その上で大きな焚き火を起こし、数時間かけて石を真っ赤になるまで熱します。この石が熱源となり十分に熱されている間に、女性たちが中心となって食材の準備を進めます。
ロボ料理の調理プロセス
- 穴と石の準備:地面に穴を掘り、川石を敷き詰めて大きな火で熱する。
- 食材の包装:丸ごとの豚や鶏肉、魚、ダロやキャッサバといったイモ類、パルサミなどの食材を、風味付けと保護のためにバナナやヤシの葉で丁寧に、そして頑丈に包む。
- 層状の配置:熱した石の上に、まず最も火の通りにくい根菜類を置く。その上に葉で包まれた肉や魚、そして最上部にパルサミのようなデリケートな野菜料理を、熱の伝わり方を計算しながら重ねていく。
- 密封と蒸し焼き:全体をさらにバナナの葉で厚く覆い、その上から土や濡らした麻袋を被せて、熱と蒸気を完全に内部に閉じ込める。
- 調理:この状態で数時間、じっくりと時間をかけて食材を蒸し焼きにする。
こうして何時間もかけて調理された料理は、柔らかく、ジューシーに仕上がります。特筆すべきは、その独特の風味です。バナナの葉の甘い香り、熱い石の香ばしさ、そして大地そのものの土の香りが食材に染み込み、他に類を見ないスモーキーで豊かな香りを生み出します。調理に油をほとんど使わないため、素材本来の旨味を最大限に引き出す、非常にヘルシーな調理法でもあります。
ロボ料理は日常食ではない
前述の通り、ロボはその準備に多大な労力と多くの人々の協力を必要とするため、日常的に家庭で作られる料理ではありません。それは、集団としてのアイデンティティを再確認し、共同体を結束させるための特別な儀式だと言えます。
もし旅行中にロボ料理を体験する機会があれば、それは単に食事をするだけでなく、フィジーの文化の神髄に触れる貴重な体験と言えるでしょう。一部のリゾートホテルでは、週に一度の「フィジアン・ナイト」などで観光客向けにロボの饗宴を提供している場合がありますが、村で体験するロボはまた格別の趣があります。
多文化が融合したカレーとスイーツ

フィジーの食文化の魅力は、その多層性にあります。先住民の伝統料理だけでなく、19世紀後半にサトウキビプランテーションの労働力として移住してきたインド系住民によってもたらされた食文化が色濃く反映され、独自の融合を遂げているのです。特にカレーは、今や民族の垣根を越えてフィジーの食卓に欠かせない国民食となっています。また、人々の暮らしに彩りを添える甘いお菓子にも、多様な文化的背景を見ることができます。
フィジーカレーの特徴と魅力
フィジーのカレーは、インド亜大陸で食べられているカレーとは一線を画す、独自の進化を遂げた「クレオール料理」の一例です。最大の特徴は、現地の特産品であるココナッツ、ココナッツミルクをふんだんに使うことです。これにより、スパイスの刺激的な辛さが和らぎ、フィジー・インド料理特有のクリーミーでマイルドな独特の風味が生まれます。
スパイスのブレンド(マサラ)も比較的シンプルで、鶏肉やヤギ肉、新鮮な魚介類、そしてタロイモやパンノキといったフィジーならではの野菜を具材として取り入れている点も特徴です。インド・フィジーの家庭の食卓に欠かせない、発酵させずに作る薄いパンの「ロティ」や、レンズ豆を煮込んだ栄養満点のスープ「ダール」と共に食べるのが最もポピュラーなスタイルです。
フィジーの伝統スイーツとインド由来の甘味
フィジーのデザートは、島の自然の恵みを活かした素朴で心温まるものが中心です。
フィジーの伝統デザート
- キャッサバケーキ (Vakalavalava):ヴァカロロの焼き菓子版。バターを加えて焼き上げることで、より香ばしい風味が楽しめます。
インド・フィジーの甘いお菓子(ミターイー)
- ガルグラ (Gulgula):熟したバナナとカルダモンなどのスパイスを混ぜた生地を、小さなボール状にして揚げた、素朴な味わいのミニドーナツ。
- バルフィ (Barfi):ミルクパウダーやコンデンスミルクを砂糖や澄ましバター(ギー)と共に煮詰めて作る、ファッジに似た濃厚なミルク菓子。ココナッツやナッツで風味付けされることもあります。
インド系のお菓子は「ミターイー」と総称され、非常に甘く濃厚なのが特徴です。特にヒンドゥー教最大の祭りである光の祭り「ディワリ」の際には、各家庭で多種多様なミターイーが大量に作られ、親戚や友人と交換する美しい習慣があります。
儀式に欠かせない伝統のカヴァ

フィジーの文化、社会、そして人々の精神性を語る上で絶対に欠かすことのできない存在が、国民的飲料である「カヴァ(Kava)」です。現地では「ヤンゴーナ(Yaqona)」、あるいは親しみを込めて「グロッグ(Grog)」とも呼ばれます。これは単なる飲み物を遥かに超え、人々を結びつけ、敬意を表し、重要な物事を決定するための、最も神聖な社会的儀式の中心に位置づけられています。
カヴァは、コショウ科の植物「Piper methysticum」の根を乾燥させ、それを細かく粉末にしたものを水で濾して作られます。その液体は茶色く濁っており、味は独特の土臭さや、人によっては泥水のようだと表現される苦味があるのが特徴です。アルコールは一切含まれていませんが、飲むと舌や唇がピリピリと少し痺れるような感覚があり、穏やかな鎮静作用や抗不安作用、リラックス効果があることで知られています。
セブセブ:敬意と友好の儀式
カヴァは「セブセブ(Sevusevu)」と呼ばれる儀式の中心的な要素です。これは、フィジーの村を訪問する客人が、まず村長に対してカヴァの根を贈り物として捧げ、敬意を表し、村への立ち入りの許可を正式に求めるという、非常に重要な儀式です。この儀式を通じて、訪問者は共同体の一員として温かく、そして正式に迎え入れられるのです。カヴァを受け入れ、共に飲むという行為は、その共同体のルールと平和を受け入れるという社会的な契約を意味します。
カヴァの儀式での作法
カヴァを飲む儀式には、敬意と秩序を重んじる作法が存在します。もし儀式に参加する機会があれば、以下も参考として覚えておくと、現地の人々との交流がより意義深いものになるはずです。作法や儀式の方法は地域によって異なるケースもあるため、訪れた場所の文化に合わせるようにしましょう。
- 参加者は床に車座になって座ります。儀式の進行役が「ビロ」と呼ばれるココナッツの殻で作られた杯にカヴァを注ぎ、あなたに差し出します。
- 杯を受け取る前に、まず敬意を込めて手を叩き、「ブラ!(Bula!)」と挨拶します。
- 杯を受け取ったら、中身を少しずつすするのではなく、一気に飲み干すのが礼儀とされています。
- 飲み終えて空になった杯を返した後、今度は感謝の意を込めて三度手を叩き、「ヴィナカ!(Vinaka!)」と伝えます。
カヴァは、社会的儀式として歓迎の意を示したり、人々の間の争いを解決したりと、あらゆる重要な場面で飲まれています。儀礼的な側面だけでなく、友人や家族とリラックスした雰囲気でカジュアルに楽しむことも多い、フィジーの人々の生活に深く、そして温かく浸透している飲み物です。
フィジー料理と食べ物を楽しむポイント

- 日本人の口に合う?ご飯はまずい?
- 現地で味わいたい有名なお酒を紹介
- 観光におすすめの特産品やお土産
- 知っておきたいフィジーの食事マナー
日本人の口に合う?ご飯はまずい?
「フィジーの食べ物は口に合わない」「まずいと聞いたことがある」という声を時々耳にすることがありますが、これは料理そのものの優劣ではなく、日本とフィジーの間に存在する、根本的な食文化の違いに起因することがほとんどです。その背景を理解すれば、先入観なくフィジーの食をより深く楽しむことができるはずです。
最大の要因は、味覚のベースとなる「風味プロファイル」の違いにあります。日本の料理が、うま味インフォメーションセンターが解説するように、醤油や味噌、そして昆布や鰹節から取る出汁に由来する、繊細で深みのある「うま味」を重視するのに対し、フィジーの伝統料理はココナッツミルクの豊かな脂肪分、ライムの爽やかな酸味、塩、そして唐辛子の直接的な辛味といった、よりシンプルで力強い要素で構成されています。このため、うま味を基準とする日本の味覚にとっては、フィジー料理がどこか物足りなく、味が単調で深みや「コク」に欠けると感じてしまう可能性もあるでしょう。
これは、どちらの文化が優れているかという話では決してありません。例えるなら、繊細な出汁の効いた和食に慣れ親しんだ人が、バターとハーブ、クリームが中心の伝統的なフランス料理を初めて食べた時に感じる戸惑いや、その逆のパターンに似ているかもしれません。
日本人におすすめのフィジー料理
ココンダ
新鮮な魚介と柑橘の組み合わせは、日本の刺身や魚介のマリネに近く、ココナッツミルクの斬新な風味を楽しめる、非常に親しみやすい一品です。
シーフードのグリル
海に囲まれたフィジーでは、新鮮な魚やエビが豊富に獲れます。これらをシンプルにグリルした料理は素材本来の味を活かす点で日本料理と共通しており、間違いのない選択と言えます。
インド・フィジーのカレー
カレーは今や日本でも国民食。フィジーのカレーは風味が異なりますが、その豊かなスパイスと親しみやすい形式は、多くの日本人にとって満足度の高い食事となるはずです。
主食であるイモ類の食感にどうしても慣れない場合は、多くのレストランでお米(ライス)を注文することも可能です。フィジーの多文化性を体験したい方は、中華料理やインド料理など、様々な選択肢の中からその日の気分で自分に合うものを見つけるのも、この国ならではの旅の醍醐味と言えるでしょう。
リゾートホテルが集中するデナラウ地区には観光客向けの質の高いレストランが集まっていますが、少し足を延ばしてナンディやラウトカの街に出ると、よりローカルでリーズナブルなお店に出会うこともできるはずです。
観光にもおすすめの「公設市場」
地元の食を五感で感じるなら、スバやナンディ、ラウトカといった街にある公設市場を訪れるのもおすすめです。市場に一歩足を踏み入れると、山のように積まれたタロイモやキャッサバ、色鮮やかなトロピカルフルーツ、その日に水揚げされたばかりの新鮮な魚介類、束で売られるスパイス、そして独特の香りを放つカヴァの根など、フィジーの食を支えるあらゆる食材が一堂に会します。人々の熱気と食材の香りに満ちたエネルギッシュな空間は、ただ歩いているだけでもワクワクするはずです。
現地で味わいたい有名なお酒を紹介

儀式的で文化的な意味合いの強いカヴァだけでなく、フィジーでは南国の太陽の下で楽しむのに最適な、爽やかなビールや、国の主要産業であるサトウキビを活かした質の高いラム酒など、現代的な飲み物も広く親しまれています。リゾートのバーや街のレストラン、スーパーマーケットで気軽に楽しむことができるので、ぜひフィジーならではの味を試してみてください。
フィジーを代表する2大国民的ビール
フィジーで最も人気があり、どこでも手に入るのが地元の醸造所で作られている「フィジー・ビター」と「フィジー・ゴールド」です。どちらも常夏の気候にぴったりの、すっきりと喉越しの良いラガービールで、地元民から観光客まで幅広く愛飲されています。
フィジー・ビター (Fiji Bitter)
1958年から続く歴史あるビール。フィジー産のサトウキビを原料の一部に使用しており、しっかりとした麦の風味と心地よい苦味が特徴のスタンダードなビールです。そのレトロなロゴデザインも人気で、Tシャツなどのお土産の定番ともなっています。
フィジー・ゴールド (Fiji Gold)
フィジー・ビターよりも軽やかで、カロリーが低めに作られたライトな味わいのビールです。クセがなく飲みやすいため、近年急速に人気を拡大しており、特に女性やビールが苦手な方にもおすすめです。
世界が認める受賞歴多数のフィジー産ラム
フィジーの経済を古くから支えてきたサトウキビ栽培は、今や国際的な品評会で数々の賞を受賞する、高品質なラム酒産業の基盤となっています。ラウトカにある蒸留所「ラム・カンパニー・オブ・フィジー(Rum Co. of Fiji)」が製造するラムは、その品質の高さから世界中のラム愛好家を魅了しており、お土産としても最適です。
代表的なラム酒ブランド
バティ (Bati)
2年熟成の比較的若いラムで、カクテルのベースとして楽しむのに適しています。ココナッツやコーヒーなど、様々なフレーバーが加えられた商品もあり、バリエーションが豊富です。
ラトゥ (Ratu)
5年から8年かけてじっくりとオーク樽で熟成されたプレミアムラム。ダークチョコレートやオレンジ、バニラを思わせる複雑で芳醇な風味を持ち、ストレートやオンザロックでその深い味わいをじっくりと堪能するのがおすすめです。
かつて大英帝国の利益のために生産されていたサトウキビという一次産品が、今やフィジーの誇りと経済的自立を象徴する、世界に認められた高付加価値製品へと昇華されている点は、この国のポストコロニアルの物語を象徴する上でも非常に興味深いと言えるでしょう。
観光におすすめの特産品やお土産

フィジー旅行の素晴らしい思い出に、また大切な友人や家族への心のこもった贈り物として、現地の味を持ち帰ってみてはいかがでしょうか。フィジーには、南太平洋の豊かな自然の恵みを活かした、ユニークで質の高い食の特産品が驚くほどたくさんあります。スーパーマーケットで手軽に買えるものから、専門店こだわりの逸品まで、おすすめのお土産をご紹介します。
おすすめの食のお土産リスト
フィジー産クラフトチョコレート
近年世界的に注目されているのが、カカオの栽培からチョコレートの製造までを一貫してフィジー国内で行う「Bean to Bar」のクラフトチョコレートです。国際的な賞を多数受賞している「Vanua Chocolate」や「Fijiana Cacao」といったブランドが有名で、カカオ本来の力強い風味を楽しめます。
ブラ・コーヒー (Bula Coffee)
フィジーの山間部で自生するコーヒーの木から、村人たちの手によって一粒一粒収穫された、100%オーガニックで高品質なコーヒー豆。軽くて持ち運びやすく、ストーリー性もあるため、コーヒー好きにはたまらないお土産です。
受賞歴のあるラム酒
前述の通り、サトウキビから作られるフィジー産のラム酒は国際的評価も非常に高く、プレミアムな「Ratu」やカクテル向けの「Bati」が定番です。空港の免税店でも購入可能です。
フィジーのマサラ(カレー粉)
スーパーマーケットで手軽に手に入るフィジーブランドのマサラ(カレー粉)は、現地の味を家庭で手軽に再現するのに最適です。安価で軽いのも魅力です。
キャッサバチップス&その他スナック
フィジーの主食であるキャッサバを揚げたスナック菓子は、素朴な味わいで人気です。「Bongo」というチリ味のコーンスナックも、地元で長年愛されている定番です。
ピュア・フィジー(Pure Fiji)のココナッツ製品
フィジーを代表するスパブランド「ピュア・フィジー」のココナッツオイルをふんだんに使った石鹸やローションは、質の高い定番土産です。スーパーで売られている食用のバージンココナッツオイルも、手頃で質の高い選択肢です。
これらの商品は、ナンディ国際空港の免税店や主要な街のお土産店、大きなスーパーマーケット(New World, RB Patelなど)で購入することができます。特にスーパーマーケットは、地元の人々の日常生活を垣間見ながら、リーズナブルにお土産を探せるため、ぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。
知っておきたいフィジーの食事マナー

フィジーでの食事体験をより深く、そして敬意あるものにするためには、現地の文化に基づいたいくつかの大切なマナーを知っておくことが不可欠です。フィジーの人々は非常にフレンドリーで寛容ですが、彼らの文化を尊重する姿勢を示すことで、より心温まる交流が生まれるはずです。特に、フィジー人の家庭に招かれたり、伝統的な村を訪問したりする際には、以下の点に注意しましょう。
フィジーの家庭に招かれた際のマナー
フィジーの家庭に招待されることは、旅行者にとって非常に名誉なことであり、最高の文化体験の一つです。温かいもてなしに心からの感謝の気持ちを持って応えましょう。
靴を脱ぐ
家(現地では「ブレ」と呼びます)に入る際は、日本の習慣と同様に、必ず玄関で靴を脱ぎます。
手土産(セブセブ)
伝統的には、前述の通りカヴァの根を持参するのが最も丁重な作法(セブセブ)ですが、お菓子やジュースなどの食料品も大変喜ばれます。
座る位置と姿勢
椅子があっても、床に敷かれたマットの上にあぐらをかいて座るのが一般的です。その際、敬意の印として、自分たちの頭が家主や村の長老の頭よりも高い位置にならないよう、常に低く保つことを心がけましょう。
食事の順番
客人は、その家で最も大切な存在として、最初に食事を提供されます。これは最大限の歓迎の印なので、遠慮せずに感謝して受け入れましょう。
食前の祈り
食事の前に、家族の代表者が短い祈り(マス)を捧げることが一般的です。その間は静かに待ちましょう。
レストランや一般的な場面での習慣
チップの習慣
フィジーでは、欧米諸国とは異なり、伝統的にチップを渡す習慣はありません。ホテルやレストランではサービス料が料金に含まれていることが多いです。もちろん、素晴らしいサービスに対して感謝の気持ちとして渡せば常に喜ばれますが、義務ではありません。
穏やかな声で話す
フィジーの文化では、大声で話すことは怒りや攻撃性の表現と受け取られることがあります。公共の場では、穏やかなトーンで会話することを心がけましょう。
写真撮影の許可
人々、特に儀式の最中や村の中などで写真を撮る場合は、トラブルを避けるためにも、必ず事前に相手の許可を得ることが重要です。
これらのマナーは、決して難しいものではありません。相手の文化を尊重し、謙虚な姿勢で接するという基本的な心構えです。少し意識するだけで、現地での交流がより良いものになるでしょう。
フィジーの食べ物と料理について総括
この記事では、南太平洋の楽園フィジーの、知られざる食文化の世界を様々な角度からご紹介しました。最後に、本記事で解説した重要なポイントをリスト形式で振り返ります。
- フィジーの食文化は単なる食事ではなく共同体の絆とホスピタリティが中心
- 伝統的な主食はお米ではなくキャッサバやタロイモといったイモ類
- ココンダは生の魚を柑橘とココナッツで和えた爽やかな国民的料理
- ロボは地面そのものをオーブンにするダイナミックな伝統の蒸し焼き料理
- フィジー料理の独特な風味の決め手は万能食材ココナッツミルク(ロロ)
- 人口の約4割を占めるインド系住民の影響でカレーも国民食として定着
- フィジーのカレーはココナッツミルクをふんだんに使いマイルドなのが特徴
- 儀式に欠かせないカヴァは穏やかな鎮静作用がある国民的飲料
- ビールはすっきりした味わいのフィジー・ビターとフィジー・ゴールドが定番
- サトウキビから作られる高品質なラム酒は国際的にも高評価を得ている
- 日本人の口に合わないと感じるのは「うま味」を重視する食文化との違いが主な原因
- 観光ではまずココンダや新鮮なシーフードグリルから試すのがおすすめ
- 本格的なレストランはリゾート地のデナラウ地区や首都スバ、ナンディの街に集まっている
- 村を訪問する際は肩と膝を隠す控えめな服装や帽子を脱ぐといったマナーを必ず守る





