英語のボキャブラリーや語彙力を増やす方法|学習のポイントを解説

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英語のボキャブラリーや語彙力を増やす方法|学習のポイントを解説

「英語のボキャブラリーや語彙力を増やすにはどうすればいいんだろう?」「単語帳を何周しても会話で言葉が出てこない」など、せっかく英語学習を始めたのに疑問を感じている方も多いでしょう。真面目な人ほど、単語帳を買ってきては日本語訳を一対一で暗記しようと努力しがちです。しかし、どれだけ必死に詰め込んでもいざネイティブスピーカーを前にすると頭が真っ白になり、覚えたはずの単語が全く出てこなくて悔しい思いをした経験は英語学習者なら誰しもあるはずです。

実は、私たち大人が無理なく実践的な語彙を定着させるためには、学生時代の試験勉強のような「丸暗記」ではなく、脳の言語習得に合ったアプローチが必要です。辛い暗記作業ではなく、洋書やアプリを使って楽しみながら自然と語彙力が身につく方法があれば、今すぐ試してみたいと思いませんか?この記事では、単語帳への依存をやめて「英語脳」を育てながら、使える言葉を確実に増やしていくための学習のポイントをご紹介します。

記事のポイント
  • 英語のボキャブラリーや語彙力を増やすための基本とアプローチ
  • 日本語を介さずネイティブ感覚を身につける「英語脳」の育て方
  • 初心者でも無理なく実践できるストーリー学習や多読・多聴のコツ
  • 自分に合ったレベルの教材やアプリの選び方と効果的な活用方法
目次

英語のボキャブラリーや語彙力を増やす基本

英語のボキャブラリーや語彙力を増やす基本

「もっとたくさんの単語を知っていればペラペラ英語が話せるのに」と感じることは多いですが、実はただ闇雲に覚える数を増やせば良いというわけではありません。ここでは、実践の場で本当に使えるボキャブラリーとは一体何か、そして日本人が陥りがちな「暗記の罠」から抜け出し、英語を英語のまま理解する回路を作るために知っておくべき基本的な考え方について、詳しく解説していきます。

ボキャブラリーと語彙力の基本

ボキャブラリーと語彙力の基本
画像イメージ:「Run」の3つの意味

多くの学習者が「ボキャブラリー(語彙力)を増やす」と聞くと、単語帳の見出し語とその隣にある日本語訳をセットで記憶し、知っている単語の「数」を増やすことだと考えがちです。しかし、これは大きな誤解です。真の語彙力とは、単に「Apple = リンゴ」のような対訳のリストを頭の中に増やすことではありません。

言語学の世界では、一つの単語を知っている(Knowing a word)状態になるためには、少なくとも以下の3つの側面を理解している必要があるとされています。

単語を知っていると言える3要素
  1. 形態(Form)
    正しい発音で言えるか、正しく聞き取れるか、正しいスペルで書けるか。
  2. 意味(Meaning)
    その単語が持つ核心的なイメージや、文脈によって変わる複数の意味を理解しているか。
  3. 用法(Use)
    どのような文法構造で使われるか、どんな単語と一緒に使われることが多いか(コロケーション)、フォーマルな場とカジュアルな場のどちらで使うべきか。

例えば、「Run」という単語を考えてみましょう。多くの人は「走る」という意味で覚えていると思います。しかし、実際の英会話やビジネスの現場では、「Run a business(会社を経営する)」や「My nose is running(鼻水が出る)」、「Run out of time(時間がなくなる)」といった表現が頻繁に使われます(上記イラスト参照)。もし「Run = 走る」という日本語訳だけを頑なに記憶していると、これらの表現に出会った瞬間に脳がフリーズしてしまい、「会社を走る?」「鼻が走る?」と混乱してしまうでしょう。

また、「強い」と言いたい時に、風なら「Strong wind」ですが、雨なら「Heavy rain」と言います。「Strong rain」とは言いません。このように、特定の単語同士の自然な結びつき(コロケーション)を知らなければ、どれだけ難しい単語を知っていても、自然な英語を話すことはできないのです。

つまり、ボキャブラリーを増やすということは、単語帳で日本語訳を1対1で機械的に覚えることではなく、その単語が持つ「意味の広がり」や「使われる文脈」、「相性の良い言葉」までを含めた総合的な知識を深めていくプロセスなのです。まずは「数を追う」ことを一旦やめて、一つの単語を「深く知る」ことへ意識をシフトさせましょう。

レベル別に見る語彙力の目安

レベル別に見る語彙力の目安

「ボキャブラリーを増やすと言っても、具体的に何千語覚えればいいの?」という目標設定は、学習のモチベーションを維持するために非常に重要です。ネイティブスピーカーの大人は一般的に2万語〜3万語以上の語彙を持っていると言われていますが、第二言語として英語を学ぶ私たちが、いきなりそこを目指す必要は全くありません。

国際的な言語能力の評価基準であるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)や言語学の研究データに基づくと、私たちが目指すべき語彙数は以下が一つの目安だと言われています。

スクロールできます
レベル目安語彙数の目安できることのイメージ
初級(中学英語)約500〜2,000語海外旅行での簡単な買い物、自己紹介、道案内などが可能。身の回りの具体的な事柄について話せる。
中級(高校英語)約2,000〜4,000語日常会話の約90%〜95%をカバーできる。自分の意思や感情を伝えられ、一般的なトピックについて議論できる。
中上級約4,000〜8,000語映画やドラマを字幕なしで楽しみ始められる。英字新聞や雑誌の記事を大まかに理解できる。

特筆すべき点として「日常会話の目安としては上位2,000語で約80%前後、3,000語で約85%前後で構成されている」という研究もあり、「Oxford 3000」や「EF Education First」の重要単語リストなどでも言及されています。つまり、私たちが日常的に「英語が話せない」「聞き取れない」と感じる原因の多くは、難しい専門用語を知らないからではなく、この基本となる3,000語(get, take, have, make, doなどの基本動詞や、in, on, atなどの前置詞)を、会話の中で瞬時に使いこなせるレベルまで習得できていないことにあります。

まずは、マニアックな難単語を覚えるよりも、この「ゴールデンゾーン」と呼ばれる基本の3,000語を徹底的に使いこなせるようにすることが、コミュニケーション能力を飛躍的に高める最短ルートだと言えるでしょう。


受動語彙と能動語彙の違いとは

受動語彙と能動語彙の違いとは

語彙学習を進める上で確実に理解しておきたいのが「受動語彙(Passive Vocabulary)」と「能動語彙(Active Vocabulary)」の違いです。この区別がつかないまま学習を進めると、「あんなに勉強したのに話せない」という挫折感を味わうことになりかねません。これらの主な違いは以下のようになります。

  • 受動語彙(Passive/Receptive Vocabulary)
    「見てわかる」「聞いてわかる」語彙のこと。リーディングやリスニングで機能します。通常、私たちの語彙の大部分はこちらに属します。
  • 能動語彙(Active/Productive Vocabulary)
    「話せる」「書ける」語彙のこと。スピーキングやライティングで、自分から瞬時に取り出して使える言葉です。受動語彙の一部がこれに当たります。

多くの学習者が陥る罠は、最初から全ての単語を「能動語彙」にしようとしてしまうことです。例えば、単語帳の全ての単語について、正しいスペルを書けるようにし、即座に口から出るようにしようとします。しかし、これはネイティブスピーカーですら不可能なことです。私たちも日本語で「薔薇」や「憂鬱」という漢字を読めても(受動)、書けない(能動ではない)ことがありますが、それで日常生活に支障はありませんよね。

英語学習における健全なアプローチは、「受動語彙の海を広げ、その中に能動語彙の島を作る」というイメージです。まずは多読や多聴を通じて、「見て・聞いてわかる」受動語彙を大量に増やします。そして、その中から特によく使う重要単語(先ほどの基本3,000語など)を選び出し、オンライン英会話や独り言などのアウトプット練習を通じて、使える「能動語彙」へと押し上げていきましょう。

ポイント
「知っているのに話せない」状態は、学習不足ではなく、語彙習得のプロセスにおける正常な段階です。焦らず、まずは受動語彙を豊かにすることに集中しましょう。

英語脳を作る語彙力の増やし方

英語脳を作る語彙力の増やし方

「英語脳」とは、英語を聞いたり読んだりした時に、いちいち日本語に訳すことなく英語を英語のまま理解しイメージとして処理できる脳の回路のことです。従来の学校教育のような「英単語を見て、日本語訳を思い出す」という学習法を繰り返していると、脳内では常に【英語 → 日本語変換 → 理解】という余計なプロセスが発生してしまいます。これでは、ネイティブスピーカーの速い会話スピードについていくことは物理的に不可能だと言えます。

これからの学習で目指すべきは、【英語 → イメージ・概念】と直結させる回路を作ることです。例えば、「Delicious」という単語を聞いた瞬間に、「美味しい」という日本語の文字ではなく、大好物を食べて笑顔になっている人の顔や感情が瞬時に頭に浮かぶ状態です。

この英語脳を作るための具体的な語彙力の増やし方として、まずは以下の3つのルールを実践してみてください。

英語脳を作る3つのルール

  • 画像検索を活用する:
    知らない単語に出会ったら、和英辞書で日本語訳を調べる前に、Google画像検索でその単語を検索しましょう。視覚的なイメージと英単語を直接リンクさせることで、日本語を介さない記憶が形成されます。
  • 英英辞典を使う(慣れてきたら):
    日本語訳ではなく、簡単な英語による説明(Definition)を読む癖をつけましょう。最初は「Learner’s Dictionary」のような学習者向けの英英辞典がおすすめです。
  • 実物とリンクさせる:
    日常生活の中で目にするものを見て、心の中でその英単語をつぶやきます。例えば、冷蔵庫を開けて牛乳を見たら「Milk」、卵を見たら「Egg」と、実物と言葉を直接結びつけます。

初心者におすすめの学習方法

初心者におすすめの学習方法

英語学習の初心者の方や、学生時代以来久しぶりに英語をやり直す大人がボキャブラリーを増やす際、いきなり文字ばかりの単語帳や、難解なニュース記事を使うのはおすすめしません。文字情報だけの学習は脳への負荷が高く、記憶の定着が悪いうえに、退屈で挫折しやすいからです。

初心者の方に最もおすすめしたい効果的な学習方法は、「ピクチャーディクショナリー(絵辞典)」を活用することです。ピクチャーディクショナリーは、家の中、キッチン、空港、病院、スーパーマーケットなど、場面ごとに見開きでイラストが描かれ、そこに描かれている物の名称が英語で記載されています。

この教材の素晴らしい点は、文脈と視覚情報がセットになっていることです。「キッチン」のページを見れば、冷蔵庫(Fridge)、コンロ(Stove)、流し台(Sink)などが同じ空間にあるものとして関連づけて覚えられます。これにより、単語をバラバラの知識としてではなく、ネットワークとして脳に保存できるのです。

また、日常生活での「ラベリング(実況中継)」もおすすめです。自分の身の回りのものを英語で何と言うか指差し確認したり、自分の行動を「I’m opening the door.(ドアを開けている)」「I’m washing my hands.(手を洗っている)」と英語で実況したりします。この時、「あ、これ英語で何て言うんだろう?」という疑問を持つことが大切です。この「知りたい!」という好奇心が湧いた瞬間に調べた単語は感情と結びついているため、単調な暗記作業よりも効果的に記憶に残ります。


英語の語彙力やボキャブラリーを増やす学習方法

英語の語彙力やボキャブラリーを増やす学習方法

基礎知識をしっかりと理解したところで、ここからは具体的な実践方法に入りましょう。机に向かって単語練習帳に書き込むような勉強法ではなく、楽しみながら物語の世界に没頭したり、スキマ時間に音声を聴いたりすることで自然と「使える語彙」が増えていくためのアプローチを紹介していきます。

文脈で覚えるストーリー学習

人間の脳は、電話帳のような無意味な数字や記号の羅列を覚えるのは苦手ですが、「ストーリー(物語)」を記憶することに関しては驚異的な能力を持っています。古来より、人類は神話や伝説を物語として語り継いできました。この脳の特性を利用し、単語を孤立させて覚えるのではなく、物語の文脈(コンテキスト)の中で覚える「ストーリー学習」を行うことが、ボキャブラリーを定着させる最も簡単な方法の一つです。

単語帳で覚えた単語をすぐに忘れてしまうのは、それが「意味記憶(知識としての記憶)」だからです。一方、物語の中で出会った単語は、「主人公がピンチの時に叫んだ言葉」や「悲しい別れのシーンで使われた言葉」として、感情や状況とセットになった「エピソード記憶(体験としての記憶)」として脳に刻まれます。エピソード記憶は意味記憶に比べて忘れにくく、思い出すときもその場面の情景と一緒に出てくる特徴があります。

例えば、映画『ターミネーター』の有名なセリフ「I’ll be back.」を知っている方も多いでしょう。文法的に解説すれば未来形ですが、多くの人はシュワルツェネッガーの表情や声のトーン、その場の緊迫感と共にこのフレーズを記憶しています。これが文脈で覚えるということです。好きな映画のスクリプト、海外ドラマ、あるいは簡単な洋書の物語を読み進める中で、「この単語はあの場面で出てきたな」と体験として覚えることで、単語は無機質な記号から生きた言葉へと変わります。

多読と多聴での大量インプット

多読と多聴での大量インプット

私たちが日本語の語彙をこれほどまでに豊かに持っているのは、なぜでしょうか?それは、子供の頃から絵本の読み聞かせを聞き、学校で教科書を読み、漫画や小説を読み、テレビやYouTubeを見ることで、膨大な量の日本語をインプットしてきたからです。英語も全く同じです。圧倒的な量のインプット(多読・多聴)なしに、語彙力が勝手に増えることはあり得ません。

ここでの重要なポイントは、言語学者スティーブン・クラッシェンが提唱した「インプット仮説」に基づき、「辞書を引かずに大意が取れるレベル(理解可能なインプット)」の英語を大量に浴びることです。多くの人が挫折するのは、自分のレベルに合わない難しい英文を読もうとするからです。1ページに知らない単語が10個も20個もあるような本は、解読作業になってしまい、学習効果が薄れます。

理想は、全体の95%〜98%の単語がすでに知っている単語であるような、易しいテキストを選ぶことです。残りの数%の知らない単語について、前後の文脈から「たぶんこういう意味だろう」と推測しながら読み進めます。そして、別の本や別の章で再びその単語に出会い、「あ、また出た。ここでも似たような意味で使われているな」と確認する。この「推測して、再会して、意味の輪郭をはっきりさせ、定着させる」というサイクルこそが、語彙を増やす最も自然で強力なメカニズムです。一つの単語を完全に習得するには、異なる文脈で少なくとも約5回〜10回以上以上出会う必要があるとも言われています。だからこそ、多読による「量」が必要なのです。


語彙力を増やす学習ステップ例

語彙力を増やす学習ステップ例

ここまで、英語のボキャブラリーや語彙力を増やすための仕組みやアプローチについて解説してきましたが、「じゃあ、具体的に今日からどの順番で進めればいいの?」と思っている方も多いでしょう。ボキャブラリーを効率よく定着させるためには、闇雲に手を出すのではなく脳の学習プロセスに沿ったステップを踏むことが近道です。ここでは、ここまでの復習も兼ねて、初心者でも無理なく語彙力を積み上げていくための学習ステップの例をご紹介します。

学習ステップ例
  1. イメージ化: 絵や写真を使って、日本語を介さず単語をインプットする。
  2. 大量インプット: 易しい物語を多読・多聴し、文脈での使い方を体得する。
  3. 独り言アウトプット: 日常生活の動作や感情を英語でつぶやき、使える言葉にする。
  4. 分散学習: アプリなどを活用して復習し、長期記憶として定着させる。

ステップ1:日本語を排除し「イメージ」で基礎を固める

最初の段階では、新しい単語を覚える際に「日本語訳」を介さない癖をつけることから始めます。文字だけの単語帳で「Apple = リンゴ」と覚えるのではなく、写真やイラストを見て、その物体のイメージと「Apple」という音を直接結びつけます。

この段階で役立つのが、前述したピクチャーディクショナリーや、Google画像検索です。まずは身の回りの家具、文房具、食べ物、動作などの基礎的な単語(約1,000〜2,000語レベル)を、視覚情報とセットでインプットするようにしましょう。これにより、脳内に「英語だけの回路」の土台が出来上がります。

ステップ2:「理解可能なレベル」での大量インプット

基礎的な単語のイメージができたら、次はそれらが実際に文章の中でどう使われているかを知るフェーズです。ここで重要なのは、自分のレベルに合った(9割以上理解できる)動画や音声、テキストなどの教材を使って、大量の英文を読み、聴くことです。

このステップの目的は、新しい単語を暗記することではなく、既知の単語の「処理速度」を上げることと、未知の単語の意味を文脈から「推測する力」を養うことにあります。辞書を引かずにストーリーを楽しみながら読み進めることで、単語が持つニュアンスやコロケーション(語の結びつき)が自然と感覚的に身につきます。

ステップ3:語彙を「独り言」や「AI英会話」でアウトプットする

インプットによって「見てわかる(受動語彙)」が増えてきたら、それを「使える(能動語彙)」に変えていくトレーニングを挟みます。いきなり英会話レッスンで使おうとするとハードルが高いので、まずは誰にも聞かれない「独り言」や「AI英会話」から始めるのもおすすめです。

例えば、朝起きたら “It’s chilly today. I should wear a coat.(今日は肌寒いな、コートを着よう)” とつぶやいてみます。この時、「肌寒いって英語でなんて言うんだっけ?」と詰まった単語こそが、あなたが日常で必要としている単語です。その場でAIに聞いてみたり実際に口に出して使うことで、それらの語彙は徐々に知識から「自分の言葉」へと変わります。

ステップ4:学習ツールなどで「記憶のメンテナンス」を行う

最後に、語彙の定着率を上げるためのアプローチです。人間の脳は忘れるようにできているため、適切なタイミングで復習する必要があります。ここで活用したいのが、LingQなどの学習アプリです。

読書や独り言の中で出会った「覚えておきたい単語」や「気に入ったフレーズ」をアプリに登録し、スキマ時間に復習します。これにより、機械的な暗記に戻ることなく、エピソード記憶として長期的に保持し続けることが可能になります。


本や教材を選ぶ際のポイント

本や教材を選ぶ際のポイント

多読や多聴を成功させるために、最も重要なのが教材選びです。ここで見栄を張って、いきなり『TIME』誌や『CNNニュース』、あるいは大人向けのペーパーバック(洋書)に手を出してしまうことが、英語学習における多くの失敗パターンです。これらはネイティブの教養ある大人向けに書かれており、語彙レベルや背景知識の要求水準が高すぎるため、初心者〜中級者が読むと「解読」作業になってしまい、挫折の原因になります。

ボキャブラリーを効率よく増やすための教材選びの正解は、「自分のレベルに合わせて語彙が制限されているもの(Graded Materials)」を選ぶことです。ここでは、書籍だけでなく、YouTubeやWebサイトも含めた具体的なおすすめ教材とその選び方をご紹介します。

【書籍】レベル別読み物「Graded Readers」を活用する

まず、読書教材として絶対におすすめなのが、「Graded Readers(語彙制限本)」と呼ばれる学習者向けのシリーズです。これらは、使用される単語数や文法構文がレベル別に厳密にコントロールされており、自分の現在の実力に合わせて最適な難易度の本を選ぶことができます。

代表的なGraded Readersシリーズ

  • Oxford Bookworms Library (OBW):
    世界中で最も信頼されているシリーズの一つ。古典文学、ミステリー、ノンフィクションなどジャンルが豊富で、ストーリーの質が高いのが特徴。Starter(超初級)からStage 6(上級)まで7段階に分かれています。
    Oxford Bookworms Library公式
  • Penguin Readers (Pearson English Readers):
    有名映画のノベライズ(小説化)や、現代のベストセラー作品が多くラインナップされています。「アベンジャーズ」や「ミッション:インポッシブル」など、既に知っている映画のストーリーなら、英語でも背景が理解しやすく、楽しみながら読めます。
    Penguin Readers公式
  • Ladder Series(ラダーシリーズ):
    日本の出版社(IBCパブリッシング)が出しているシリーズで、巻末にワードリストがついているなど日本人学習者に優しい作りになっています。スティーブ・ジョブズの伝記や日本文化の紹介など、教養としても楽しめるテーマが多いです。
    Ladder Series公式

【動画・ウェブサイト】YouTubeやニュースサイトも教材になる

現代の学習においては、本だけでなく無料のデジタルコンテンツも立派な教材になります。特にYouTubeなどの動画は、映像(ビジュアル)情報が音声情報を補完してくれるため、知らない単語が出てきても推測しやすく、語彙の定着に非常に効果的です。

  • YouTube(Comprehensible Input系):
    「英語を英語のまま理解させる」ことに特化したチャンネルを選びましょう。例えば、「Easy English」のような街頭インタビュー形式の動画や、子供向けの教育番組(「Peppa Pig」など)は、日常語彙の宝庫です。また、料理やガジェット紹介など、自分の趣味に関する海外YouTuberの動画も、興味があるため継続しやすい教材となります。
  • レベル別ニュースサイト:
    News in Levels」や「VOA Learning English」といったサイトは、一つのニュース記事を「Level 1(易しい)」「Level 2(普通)」「Level 3(原文に近い)」のように難易度別に書き分けてくれています。時事英語を学びたいけれど、普通のニュースは難しすぎるという方に最適です。

媒体が本であれ動画であれ、選ぶ基準は一つです。「簡単すぎるかな?」と思うくらいのレベルからスタートしてください。目安としては、「辞書なしで9割以上理解できる」ものです。この「i-1(自分の実力より少し下のレベル)」のコンテンツを大量に浴びることで、英語を英語のまま処理するスピードが上がり、楽しみながら自然と語彙を増やしていくことができます。


以下の記事でも無料で活用できる英語学習サイトを多く紹介しています。

学習に役立つアプリと活用方法

英語学習に役立つアプリの活用方法

現代の英語学習において、テクノロジーを活用しない手はありません。かつては高価なペーパーバックを買い込んだり、重い辞書を持ち歩いたりする必要がありましたが、今はスマホ一つで図書館並みの英語環境を手に入れることができます。ここでは、ボキャブラリー学習を劇的に効率化し、継続を強力にサポートしてくれる3つの神器「Kindle」「Audible」「LingQ」と、それぞれの活用術をご紹介します。

多読のコストを劇的に下げる「Amazon Kindle」

多読学習の最大の壁は「本の購入費用」です。洋書は1冊あたりの単価が高く、多読のために何十冊も購入すると大きな出費になります。そこで活用したいのが、Amazonの電子書籍サービス「Kindle」、特に月額定額制の読み放題サービス「Kindle Unlimited」です。

Kindle Unlimitedには、前述した「Graded Readers」の一部や、子供向けの絵本、易しい洋書が数多く対象に含まれています。読み放題であれば、「少し読んでみて難しかったらすぐ別の本に変える」という多読の鉄則を、お財布を気にせず実践できます。

多読中は「辞書を引かない」のが原則ですが、どうしても気になる単語だけをワンタップで確認できるKindleは利便性も高いと言えます。まずはKindle Unlimitedなどで、自分のレベルに合ったストーリーや実用書を読んでみることから始めると良いでしょう。


英語耳と語彙を同時に鍛える「Audible」

「読書をする時間が取れない」という方に最適なのが、Amazonのオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」です。こちらも現在は定額聴き放題制(会員特典対象作品)となっており、多くの洋書タイトルを追加料金なしで楽しむことができます。

プロのナレーターや俳優が感情を込めて朗読してくれるため、単語の文字情報だけでなく、正しい発音、イントネーション、感情の乗り方までセットで脳にインプットできるのが最大の特徴です。通勤・通学中、家事の最中、ジムでの運動中など、手と目が塞がっている時間をすべて「英語のインプット時間」に変えることができます。

もう一つおすすめの方法としては、Kindle(文字)とAudible(音声)を組み合わせた「聞き読み(Immersion Reading)」です。音声を聞きながら文字を目で追うことで、リスニング力とリーディング力が同時に鍛えられ、単語の認知スピードが格段に上がります。再生速度も調整できるので、自分のレベルに合わせて負荷をコントロールしましょう。前述した「Kindle Unlimited」や「Audibleプレミアムプラン」は頻繁にお試しキャンペーンも行われています。


“文脈”で語彙を学習できる次世代アプリ「LingQ」

「LingQ(リンク)」は、20ヶ国語以上を操る著名なポリグロット(多言語話者)、スティーブ・カウフマン氏が開発に関わった言語学習プラットフォームです。「単語帳での暗記は不要、文脈の中で学ぶべき」という思想に基づいて設計されており、ボキャブラリー学習に相性の良いツールとなっています。

【LingQの主な特徴】

  • 既知・未知の可視化
    画面上の英文の中で「知っている単語」「学習中の単語」「初めて見る単語」が色分けされて表示されます。読み進めるにつれて色が変わり、自分の語彙が増えていく様子が視覚的にわかります。
  • 自分だけの教材を作れる(インポート機能)
    これが最大の特徴です。YouTubeの動画(字幕付き)、Netflixのスクリプト、ウェブ上のニュース記事など、自分が興味のあるコンテンツをアプリに取り込み、即席の教材として使うことができます。

興味のない教科書的な勉強ではなく、自分が「本当に読みたい・知りたい」内容を教材にできるため、モチベーションが続きやすいのがメリットです。YouTubeで好きな海外YouTuberの動画を見つけたらLingQに取り込み、分からない単語をタップして意味を確認しながら読み進める、という使い方もおすすめです。


総括:英語のボキャブラリーと語彙力を増やす方法

ここまで、単語帳を使わずに英語脳を作りながらボキャブラリーを増やす方法について解説してきました。最後に、最も大切なことをお伝えします。それは、「継続すること」です。

語彙力は、一朝一夕には身につきません。どんなに優れた学習法でも、3日でやめてしまっては効果が出ないのです。逆に言えば、正しい方法であれば、毎日15分でも、30分でも続けることで、必ず成果は現れます。単語帳を1週間で詰め込んで翌週には忘れてしまうような学習ではなく、毎日少しずつでも英語の物語を読み、好きなPodcastを聴き、英語の世界に触れ続ける生活を1年続けてみてください。

「勉強しなきゃ」と気負うのではなく、自分の趣味や興味のある分野(料理、スポーツ、旅行、ガジェットなど)の英語コンテンツを楽しむ時間を、生活の中に組み込んでみましょう。最初は分からない単語だらけで戸惑うかもしれませんが、推測しながら文脈の中で言葉に触れ続けることで、ある日突然「あ、この英語の意味が日本語に訳さなくてもイメージできる!」というブレイクスルーの瞬間が訪れるはずです。焦らずに、楽しみながらご自身のペースで英語脳を育てていきましょう。

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