「英語の勉強をしているのにネイティブの会話についていけない」このような疑問を抱えて英語の学習方法を模索している方も多いはずです。学校で習ったように単語帳を覚えたり、文法問題を解いたりしても、なぜか「生の英語」が聞こえるようにならない。その原因は、あなたの能力不足ではなく、これまでの学習の順番が少し違っていただけなのかもしれません。
英語学習をする上で特におすすめしたいのが、今回ご紹介する「英語の多聴」です。この記事では、初心者の方でも無理なく始められるやり方やポイント、習慣化しやすいおすすめのアプリ、そして挫折しないための教材の選び方について、私なりの経験と知識を交えながらご紹介します。
- 英語学習で多聴が効果的な理由とおすすめのやり方
- 英語習得におけるリスニングやインプットの重要性
- 楽しみながら英語力を伸ばせる教材やアプリの選び方
- 多聴と多読を組み合わせることで得られる相乗効果
英語の多聴に効果はある?学習の考え方

このセクションでは、なぜこれまでの学習法では英語習得やリスニングに伸び悩んでしまうのか、そして「多聴」がどのような効果をもたらすのかを解説します。また、英語学習に多聴を取り入れる際に押さえておきたいポイントや考え方についても深掘りしていきます。
英語の多聴学習における効果とは
「ただ聞いているだけで本当に英語ができるようになるの?」と半信半疑の方もいるかもしれません。しかし、多聴を継続することで得られる恩恵は、単に「耳が慣れる」というレベルを超えて、英語習得全般に効果をもたらしてくれると言えます。ここでは、多聴がもたらす具体的な4つのメリットについて紹介します。
1. 英語のリスニング力と理解度の向上
多聴の大きなメリットは、リスニング力と英語を日本語に訳さず理解する能力が同時に育つことです。
学校教育での「精読」に慣れていると、私たちは無意識に英文を後ろから訳し上げる「返り読み」をしてしまいがちです。しかし、リスニングにおいて音声は一瞬で流れていくため、返り読みをする物理的な時間がありません。多聴を通じて大量の英語を浴び続けると、脳は「聞こえてくる語順のまま、意味の塊(チャンク)として情報を処理する」よう適応し始めます。
このトレーニングによって英語の理解度が向上し、最初は追いつけなかったネイティブの会話も徐々にクリアに聞こえるようになります。
2. 「使える」語彙とコロケーションの自然習得
単語帳で機械的に覚えた単語は、いざ会話となると出てこないことが多いものです。一方で、多聴によって物語や文脈の中で出会った単語は、記憶の定着率が段違いに高い傾向にあります。これを専門用語で「偶発的語彙学習(Incidental Vocabulary Learning)」と呼びます。
多聴では、単語の意味だけでなく、以下のような「生きた情報」もセットでインプットされます。
- コロケーション(語の相性)
“make a decision”(決定する)のように、自然に結びつく単語の組み合わせ。 - ニュアンスと感情
どんなシチュエーションで、どんなトーンで使われる言葉なのか。
例えば、ドラマの緊迫したシーンで “Watch out!”(気をつけろ!)というセリフを聞けば、それは単なる文字情報ではなく、危険を知らせるアラートとして脳に刻まれます。このように、多聴は「試験勉強のための知識」ではなく、「実践で使える感覚」としての語彙力を養ってくれるのです。
3. 発音とプロソディ(英語特有のリズム)の改善
「聞く」トレーニングは、意外なことに「話す」能力、特に発音の改善にも関連性があります。英語には日本語にはない特有のプロソディ(抑揚、リズム、強弱)や、単語同士が連結するリエゾン(音声変化)が存在します。
多聴によってネイティブの音声を大量にインプットすることは、脳内に正しい「音のパターン」を作ることと同義だと言えます。自分が正しい音をイメージできるようになると、それを模倣(アウトプット)する精度も自然と上がります。これを「運動理論」と関連付けて説明する研究者もいますが、簡単に言えば「耳が良くなれば、口も回るようになる」と捉えることもできるでしょう。
4. リーディングの自然な理解とスピードの向上
「多聴」と「多読」は密接に関係しています。多聴によって音声の理解が進むと、リーディングのスピードも合わせて速くなる傾向にあります。
何かを読むとき、私たちは頭の中で無意識に文字を音声化(音読)しています。多聴で英語のプロソディやチャンクの切れ目が感覚的にわかると、結果として黙読する際にも文章をスムーズに読み進めることに繋がります。「リスニングを鍛えていたら、いつの間にかTOEICのリーディングパートの時間不足が解消された」というのは、多くの学習者が経験する嬉しい副作用の一つでしょう。
リスニング習得に必要な時間の目安

「どれくらい聞けば英語が聞こえるようになりますか?」というのは、学習者が最も知りたい質問の一つでしょう。結論から言うと、魔法のような短期間の近道はありませんが、目安となる時間は存在します。
一般的に、英語の基礎ができている人が日常会話レベルの英語を不自由なく聞き取れるようになるには、約1,000時間〜2,000時間のインプットが必要だと言われています。日本の中学・高校を合わせた学校教育で受ける英語授業の総数が約1,000時間程度とされていますが、その多くは日本語での文法解説や読解に使われているため、純粋な「リスニング時間」は圧倒的に不足しています。
多聴による成長のステップ目安
- 最初の100時間(初期の壁):
まだ雑音のように聞こえることが多いですが、耳が英語の周波数に慣れ始め、知っている単語がポツポツと飛び込んでくるようになります。 - 300〜500時間:
簡単な日常会話のやり取りや、子供向けのコンテンツであれば、大まかな内容が理解できるようになります。英語のリズムが心地よく感じられる時期です。 - 1000〜2000時間以上:
ナチュラルスピードの英語でも、文脈があればついていけるようになります。映画やドラマを見ていて、字幕なしでも「あ、今笑うところだ」と反応できるようになっていきます。
「1000時間」と聞くと途方に暮れるかもしれませんが、これは机に向かって勉強する時間ではありません。通勤時間の往復1時間、家事をしながらの30分、寝る前の30分を合わせれば、1日2時間は確保できます。これを1年続ければ700時間です。重要なのは「短期間で詰め込む」ことではなく、「生活の一部として続ける」ことです。焦らず、水が満ちるように徐々にリスニングの器が満たされていく感覚を楽しんでください。
英語力におけるインプットの重要性

多聴学習が効果的な理由として挙げられるのが、言語習得の世界的権威であるスティーブン・クラッシェン博士が提唱した「インプット仮説」というものがあります。彼は、外国語を習得するために必要な要素は「理解可能なインプット(Comprehensible Input)」であると言及しています。これは、自分の現在のレベル(i)よりもごくわずかに高いレベル(i+1)の英語を、文脈や状況の助けを借りて「理解する」体験を積み重ねることこそが、言語能力を向上させる鍵であるという理論です。
(出典:Second Language Acquisition | Stephen Krashen )
ここで誤解してはいけないのが、「インプット=ただ聞けばいい」ではないという点です。例えば、全く知らないアラビア語のニュースを毎日10時間聞き流したとしても、1年後に話せるようにはなりません。なぜなら、それは脳にとって意味不明な「雑音(ノイズ)」でしかないからです。多聴において重要なのは、「聞いていて意味がわかる(理解できる)」という状態を維持することです。辞書なしでも7〜8割程度の内容が理解できる易しい素材を選ぶことで、脳はリラックスした状態で言語パターンを吸収することができます。
また、十分なインプットがない状態で無理にアウトプット(スピーキング)をしようとすることは、空っぽのバケツから水を汲み出そうとするようなものです。多くの日本人が「英語が出てこない」と悩むのは、単純に脳内の英語の貯蔵量(インプット量)が不足しているからです。赤ちゃんが言葉を話す前に「沈黙期間」を経て大量の言葉を聞き続けるように、私たちもまずは徹底的にインプットを行い、脳内のタンクを英語で満たす必要があります。理解力を伴った大量のインプットこそが、将来的に流暢なアウトプットをするための材料となるのです。
ストーリーやリアルな英語で学ぶ

英語のインプット学習においては、単語帳の例文や文法書の解説文ではなく、物語(ストーリー)や映画、ドラマなどの「リアルな英語」で学ぶのがおすすめです。その理由は、人間の脳の「記憶の仕組み」に関係しています。脳科学の観点からも、人間は無味乾燥な事実の羅列よりも、文脈(コンテキスト)や感情(エモーション)が伴う情報の方が海馬に深く刻まれやすいことが分かっています。これを「エピソード記憶」と呼びます。
ストーリー性のある教材を使った多聴では、登場人物の喜びや悲しみ、ハラハラする展開と共に英語が入ってきます。「次はどうなるんだろう?」という知的好奇心が脳を活性化させることで、記憶の定着率が格段に上がります。例えば、好きな海外ドラマの感動的なシーンで使われたフレーズは、単語帳で100回書いた単語よりも、鮮烈に記憶に残るはずです。これが「学習」ではなく「体験」として英語を取り込むことの強みです。
| 教材の種類 | メリット | 得られるスキル |
|---|---|---|
| 教科書・教材 | 文法的に正しく、発音が明瞭 | 基礎的な構文力、フォーマルな表現 |
| 映画・ドラマ (リアルな英語) | 感情、背景、文脈が豊富 生きた会話が学べる | 感情表現、スラング、文化背景 会話の「間」や表現 |
また、リアルな英語には、教科書や参考書などでは捉えられない「表現」が含まれています。言い淀み(”Well…”, “You know…”)、言い直し、早口、曖昧な発音などは実際の会話では避けて通れない要素です。多聴を通じてネイティブの意味を拾い上げる感覚を身につけることは、実践的なコミュニケーション能力において役立つ要素だと言えます。
多聴と多読を組み合わせるメリット

多聴(Extensive Listening)とよく比べられる学習法に、多読(Extensive Reading)があります。実は、この二つは別々に行うよりも、組み合わせて行うことで相乗効果(シナジー)を生み出し、学習効率を飛躍的に高めることができます。
日本人の英語学習者の多くは、「文字を見れば意味がわかるが、音だけだと理解できない」という特性を持っています。これは、脳内の「文字情報」と「音声情報」の関連性が切れている状態です。そこでおすすめしたいのが、「聞き読み(Reading while Listening)」という手法です。これは、オーディオブックなどの音声を流しながら、同時にスクリプト(テキスト)を目で追うトレーニングです。
目と耳の両方から同時に情報を入れることで、「この単語はこう発音されるのか!」という気づきが生まれます。また、音声がペースメーカーとなるため、返り読みを防ぎ、リーディングスピードを向上させる効果もあります。
多聴だけ行う弱点としては、聞き取れない音があっても確認せずに進んでしまうため、細かい部分の「正確性」が疎かになりがちな点です。一方、多読は文字情報を追えるため、意味の正確な理解を深めるのにも適しています。多聴で「英語のリズムとスピード」を体得し、多読で「正確な語彙力と読解力」を養う。この両輪を回すことで、バランス良く英語力を伸ばすことにもつながるはずです。

英語多聴のおすすめのやり方と教材選び

「多聴が良いのは理屈ではわかったけれど、具体的に何から始めればいいの?」「過去にリスニング教材を買って挫折した経験があるから不安……」
そんなふうに足踏みしてしまう方も多いかもしれませんが、多聴は基本的な方向性さえ間違えなければ英語初心者の方であっても効果を実感しやすい学習法だと言えます。ここからは、今日から実践できるやり方と、失敗しないための教材選びのポイントについて解説します。
多聴学習におすすめのやり方の例
多聴学習は基本的にご自身が楽しめるやり方や教材で行うのがおすすめです。ここでは、日々で習慣化しやすい多聴学習におすすめのやり方の例をいくつかご紹介します。
隙間時間を活用した「ながら聴き」
忙しい現代人が机に向かって何時間もリスニングの時間を確保するのは現実的ではありません。そこで定番の方法として役立つのが「ながら聴き」です。通勤中の電車、車の中、家事をしている最中、入浴中、散歩中など、手や目はふさがっていても「耳が空いている時間」は意外と多いものです。
イヤホンを常に持ち歩き、ちょっとした移動や単純作業の時間などをリスニングに充てると、1日で1〜2時間のインプット時間は確保できるはずです。この「生活のBGMを英語にする」感覚こそが、日本にいながら留学に近い環境を作る鍵となります。
ナローリスニング(Narrow Listening)
これは「狭く深く聞く」というテクニックです。いろいろな人の英語を少しずつ聞くのではなく、特定のトピック、または特定の話し手の音声を集中して聞く方法です。同じ話し手の英語を聞き続けると、その人の発音の癖やよく使う言い回しに耳が慣れてくるため、内容理解に集中しやすくなります。
例えば、好きなポッドキャストのホストを一人決めて、その人の過去のエピソードをひたすら聞く、あるいは「料理」というトピックに絞って複数のYouTube動画を見る、といった具合です。背景知識が蓄積されるため、新しい単語が出てきても推測しやすくなり、語彙の定着率も上がりやすくなります。
わからない箇所があっても止めない
多聴学習では聞き取れない単語やフレーズがあっても、できるだけ音声を止めたり巻き戻したりしないことも意識したい点として挙げられます。実際の会話で「すみません、今の単語を辞書で調べさせてください」と会話を止めることはほとんどないはずです。 多聴は、流れてくる英語の全体像を把握する訓練として活用するのがおすすめです。
もし全く話についていけなくなったら、その素材は今のあなたのレベルには難しすぎるということかもしれません。適切なレベルの素材であれば、わからない単語が多少あっても、前後の文脈から「なんとなく良い意味だな」「怒っているな」といった推測ができるでしょう。
多聴では基本的に流し続けて全体の意味を掴む練習を優先しますが、学習効果を高めるために多聴と並行して「精聴(スクリプト確認・ディクテーション)」の学習を行うのもおすすめです。
失敗しない教材選びのポイント

多聴の成否は、教材の選び方で決まると言っても過言ではありません。世の中には素晴らしい教材が溢れていますが、自分に合わないものを選んでしまうと効果は半減、最悪の場合は英語嫌いになってしまいます。失敗しないための選定基準として、言語習得における「3つのC」も意識してみましょう。
1. Comprehensible(理解可能であること)
繰り返しになりますが、スクリプトを見なくても7〜8割、理想を言えば9割程度理解できるものを選びましょう。i+1(現在のレベルより少しだけ上)が理想ですが、多聴に関してはi-1(自分より下のレベル)でも十分に効果があります。レベルに合った英語を大量に浴びることで、基礎的な理解のスピード(流暢さ)が伸びやすくなります。
2. Compelling(興味を惹かれること)
「ためになるから」という理性的な理由ではなく、「面白くて続きが気になって仕方がない!」という感情的な理由で選んでください。クラッシェン博士は、単に興味があるだけでなく、思わず引き込まれてしまうような素材こそが、言語習得の「情意フィルター(不安や緊張)」を下げ、無意識の習得を加速させると説いています。ミステリー小説、恋愛ドラマ、趣味のガジェットレビューなど、日本語でも見たいと思えるジャンルを選びましょう。
3. Authentic(本物の英語であること)
学習者向けに調整された教材(Graded Readersなど)は初期段階では非常に有効ですが、いつまでも機械的な音声のCD教材ばかり聞いていては、リアルな会話に対応できません。ある程度慣れてきたら、ネイティブがネイティブに向けて発信しているコンテンツ(YouTube、Podcast、オーディオブックなど)を取り入れましょう。そこには、教科書にはない「感情」「間」「省略」といった、生きた英語の要素が詰まっています。
教材選びに迷ったら、まずは「自分が子供の頃に好きだった物語」の英語版を探してみてください。ストーリーを覚えているため難易度が多少高くても文脈でカバーでき、挫折しにくいのでおすすめです。
レベル別おすすめの教材ジャンル

教材選びは多聴の成否を分ける重要なポイントです。自分のレベルに合わない教材を選んでしまうと、ただの雑音になってしまいます。前述した「i-1(自分より少し易しい)」の法則を基本に、レベル別のおすすめジャンルをご紹介します。
レベル別のおすすめジャンル
- 初級者
ここでの鉄則は「映像の助けを借りる」ことです。子供向けの童話、ディズニーアニメなどが最適です。ストーリーが単純で、次に何が起こるか予測しやすいため、英語の音だけに集中できます。また、英語学習者向けに作られたポッドキャスト(ゆっくり話してくれるもの)も良い入り口になります。 - 中級者
少しずつ「生の英語」に触れていきましょう。自分の興味のある分野(料理、ゲーム、ガジェット、旅行など)のYouTube動画、語彙制限されたオーディオブック(Graded Readers)、シットコム(フレンズなど)やティーン向けのドラマがおすすめです。日常会話のテンポに慣れるのに最適です。 - 上級者
ここまで来れば、制限はありません。CNNやBBCなどのニュース、TED Talks、一般向けの映画や海外ドラマ、ネイティブ同士が雑談するコメディ系ポッドキャストなど、知的好奇心を満たせるものを選びましょう。
無理に背伸びをして難しいCNNニュースを聞く必要はありません。自分の趣味に関連するコンテンツなら、背景知識があるため専門用語も推測しやすく、飽きずに続けられます。「英語を学ぶ」のではなく、「英語で好きなことを楽しむ」という意識で教材を選んでみてください。

多聴におすすめのサイトやアプリ

「多聴を始めたいけれど、いきなり有料の教材を買うのはハードルが高い」「勉強感の強い教材だとすぐに飽きてしまう」という方も多いのではないでしょうか。実は、インターネット上にはネイティブスピーカーが普段楽しんでいるコンテンツや高品質な無料素材が溢れています。
大切なのは、自分のレベルと「好き」にマッチしたツールを見つけることです。ここでは、学習者向けに調整されたものだけでなく、ネイティブが視聴する英語に触れられるものも含めてご紹介します。
おすすめの無料学習サイト
パソコンを使ってじっくり学習したい時や、スクリプト(台本)を確認しながら進めたい時に役立つサイトです。今回は特におすすめの4つを紹介します。
- Storyline Online
アメリカの著名な俳優や女優が、子供向けの絵本を感情豊かに朗読してくれるサイトです。プロの演技とアニメーション映像のおかげで、英語がわからなくても文脈や状況を推測しやすく、多聴の入り口として最適です。「字幕なしでストーリーを楽しむ」感覚を養うのにうってつけです。
(Storyline Online 公式) - ELLLO (English Listening Lesson Library Online)
世界中の英語スピーカーによる自然な会話音声が3,000以上公開されています。特徴は、ノンネイティブの英語も多く含まれている点です。実際のビジネスや旅行の現場では、様々なアクセントの英語を聞き取る必要があります。多様な「生の英語」に触れられる貴重なデータベースです。
(ELLLO 公式) - LibriVox
著作権の切れた名作文学(パブリックドメイン)を、ボランティアが朗読してオーディオブックとして公開しているサイトです。『不思議の国のアリス』や『シャーロック・ホームズ』などの世界的な名作を無料でダウンロードして聞くことができます。ナレーターによって音質や読み方にばらつきはありますが、無料で大量のオーディオブックを手に入れられる点は大きな魅力です。
(LibriVox 公式) - TED / TED Talks
各界の専門家によるプレゼンテーション動画です。内容は少し難しめですが、自分の興味のある分野(テクノロジー、心理学、デザインなど)を選べば、驚くほど内容が入ってきます。スクリプトが完備されており、知的興奮を感じながら英語を学べるため、中級者以上の多聴素材として非常に優秀です。
(TED 公式)
ネイティブも視聴するYouTubeチャンネル
学習者向けにゆっくり話してくれる動画に慣れてきたら、ネイティブスピーカーが普段見ているチャンネルに挑戦してみましょう。実際のスピードやスラングに触れることで、実践的なリスニング力が鍛えられます。
- Curious George Official(おさるのジョージ)
「えっ、子供向けアニメ?」と侮るなかれ。実はネイティブの子供たちが言葉を覚える過程で見るアニメこそ、最高のお手本です。映像がストーリーを完全に説明してくれるため、英語が聞き取れなくても話の筋を見失うことがありません。日常会話で使われるシンプルな動詞や前置詞の使い方が、文脈と共に自然にインプットされます。
(Curious George Official チャンネル) - TED-Ed
本家のTED Talksよりも短く(5分程度)、全編アニメーションで作られている教育チャンネルです。「なぜ猫は高いところから落ちても平気なのか?」といった知的好奇心をくすぐるトピックが多く、映像の助けがあるため理解しやすいのが特徴です。ネイティブの学生も視聴する質の高いコンテンツで、教養と英語力を同時に高められます。
(TED-Ed チャンネル) - The Tonight Show Starring Jimmy Fallon
アメリカで大人気の深夜トークショーです。ホストのジミー・ファロンと豪華セレブとのトークは、手加減なしのナチュラルスピード。ジョーク、スラング、相槌、そして観客の笑い声など、教科書では絶対に学べない「現地の空気感」が詰まっています。上級者向けですが、これが聞き取れるようになればリスニングで困ることはほぼ無いはずです。
(The Tonight Show Starring Jimmy Fallon チャンネル)
習慣化に最適なスマホアプリ
「通勤時間」や「家事の間」をリスニング時間に変えるには、スマホアプリの活用も役立ちます。
- Podcast(ポッドキャスト)アプリ
SpotifyやApple Podcastを使えば、世界中のラジオ番組が無料で聴き放題です。学習者向けの番組だけでなく、ニュース、コメディ、ドキュメンタリーなど、自分の趣味に合った番組を探してみましょう。画面を見ずに耳だけで情報を取る訓練になるため、ながら聴きの王道ツールと言えます。
( Spotify 公式 / Apple Podcast 公式) - LingQ(リンク)
「多聴」と「多読」を組み合わせたインプット重視の学習アプリです。ネット上の記事やポッドキャスト、YouTube動画などをアプリに取り込み、音声を聞きながらテキストを読むことができます。知らない単語をハイライトして自分だけの単語帳を作れる機能が秀逸で、大量のコンテンツを楽しみながら語彙を増やしたい人に最適です。
(LingQ 公式)
動画配信サービス(Netflix / Hulu / Disney+)
映像の助けを借りたい場合は、動画配信サービスもおすすめのツールになります。これらは英語学習者にとって神ツールと言えます。
最初はざっくりとストーリーを把握し、2回目は「英語音声+英語字幕」で音と文字を一致させ、最終的には「字幕なし」で音だけに集中する。このように段階を踏むことで、同じ素材から深く学ぶことができます。個人的には、日常会話の宝庫である『Friends』や『Full House』のようなシットコム(シチュエーション・コメディ)が、1話が短く(約20分)、会話のテンポが良いので多聴教材として最適だと感じています。
特に初心者から中級者向けのディズニーや海外ドラマでの多聴学習を考えている方は、HuluとDisneyプラスのセットプランがお得なのでおすすめです。
オーディオブック(Audibleなど)
「聴く読書」であるオーディオブックは、多聴学習の王様です。特にAmazonのAudibleはラインナップが豊富で、多聴に欠かせない機能が揃っています。
- プロのナレーターによる朗読: 発音がクリアで、感情表現が豊か(プロソディが学べる)。
- 再生速度の調整: 初心者は0.7倍速から始め、慣れたら1.2倍、1.5倍と負荷を上げていくことが可能。
- オフライン再生: 電波のない場所でも学習を継続できる。
活用法のコツは、最初は「児童書(Children’s Books)」や「YA(Young Adult)小説」から入ることです。『Harry Potter』や『The Little Prince(星の王子さま)』などは、世界観に入り込みやすくおすすめです。また、余裕があれば紙の本やKindle(電子書籍)も用意し、音声を聞きながら目で文字を追う「聞き読み」を行うと、文字と音のリンクが強化され、リーディング力も同時に向上します。
総括:英語の多聴学習の効果とやり方
英語の多聴は、一朝一夕で劇的な効果が出る魔法ではありません。しかし、正しい方向性とやり方で継続すれば、ある日ふと「あれ、今のニュースの英語が自然に聞き取れた!」「字幕なしで映画のジョークで笑えた!」という瞬間が誰にでも訪れます。
大切なのは、英語を「辛い勉強の対象」として見るのではなく、「情報を得るためのツール」や「日々の楽しみ」として生活に組み込むことです。
通勤電車のBGMをいつもの音楽から英語のポッドキャストに変える。
お風呂に入りながらリラックスしてオーディオブックを聞く。
寝る前の15分、ベッドの中で海外ドラマを1話だけ見る。
そんな小さな「耳のスキマ時間」の積み重ねが、あなたの脳内に確かな「英語の回路」を作り上げていきます。まずは自分がワクワクできる音声をひとつ選んで始めてみることで、英語習得への大きな一歩へとつながるはずです。





