ヨーロッパで英語を学びたいけれど、まとまった時間が取れないし費用も気になる…そんな悩みを抱えていませんか。マルタへの短期留学は、費用を抑えながらリゾート気分も味わえる人気の選択肢として注目を集めています。特に、有給休暇を活用したい社会人や、夏休みや春休みを利用する大学生にとって、マルタは魅力的な語学学校が集まる最適な環境と言えるでしょう。1週間や2週間といった短い期間であっても、ヨーロッパ中から学生が集まる多国籍な環境で英語漬けの日々を送ることが可能です。この記事では、マルタ留学で安心して渡航できるよう、費用の目安から目的に合わせた滞在エリアの選び方、そして知っておくべき準備のポイントまでお伝えしていきます。
- マルタで留学するメリットや渡航する際の基礎知識
- 1週間から3ヶ月など期間別に必要な留学費用の目安
- 社会人や大学生の世代別に最適な語学学校の選び方
- 現地の治安事情や快適な生活を送るためのポイント
マルタの短期留学における基礎知識

マルタはなぜこれほどまでに世界中の学習者から選ばれているのでしょうか。美しい地中海のリゾート地というだけでなく、英語を学ぶ環境としての魅力や、気になる費用の目安について解説していきます。ヨーロッパの歴史的な雰囲気を楽しみながら学ぶためのヒントを一緒に見ていきましょう。
マルタ留学のメリットや魅力

マルタ共和国は、イタリアのシチリア島の南に位置する地中海の小さな島国です。国土の面積は日本の東京23区の約半分、淡路島ほどの大きさしかありませんが、そこには語学を学ぶための数え切れないほどのメリットが詰まっています。
(出典:外務省『マルタ共和国 基礎データ』)
マルタの最大の強みは「ヨーロッパでありながら英語が公用語として広く使われている」という点にあります。かつてイギリスの統治下にあった歴史的背景から、街の標識からレストランのメニュー、さらには現地の人々の日常会話に至るまで英語が深く根付いています。語学学校を一歩出た後も、スーパーマーケットでの買い物やカフェでの注文など、生活のすべてが実践的な英語のアウトプットの場となるのです。
そして、アメリカやイギリスへの渡航と比較して、留学費用を圧倒的に安く抑えられるコストパフォーマンスの高さも大きな魅力です。ヨーロッパの美しいリゾート地に滞在しながら、北米などの主要な英語圏よりもリーズナブルに学べるという点は、予算に限りのある大学生や、自費で渡航する社会人にとって非常に嬉しいポイントではないでしょうか。
さらに、マルタの語学学校には、イタリア、フランス、ドイツ、ロシア、ブラジルなど、世界90カ国以上からから留学生が集まります。一方で日本人の割合は全体のおよそ4%程度と、他の人気国に比べてかなり低い水準を保っています。日本語に頼りたくても頼れない環境に身を置くことで、英語感覚を養う絶好のチャンスが広がっています。
年間を通して約300日が晴天という温暖な地中海性気候や、ヨーロッパの中でもトップクラスに治安が良いとされる安全性も、留学生の心強い味方です。週末には美しいビーチでのリラックスやダイビングを楽しんだり、世界遺産である首都バレッタの街並みを散策したりと、学業とバカンスを見事に両立できる環境が整っています。また、ヨーロッパ各国へ格安航空会社(LCC)が数多く就航しているため、週末を利用してイタリアやフランスへ数千円から数万円で小旅行に出かけることも可能です。

考えられるデメリットや注意点

マルタには素晴らしい魅力がある一方で、事前に理解して対策を練っておくべき注意点もいくつか存在します。メリットだけでなく懸念点も知っておくことで、より充実した滞在を実現できるはずです。
まず最初に直面するのが、日本からの直行便が存在しないという移動のハードルです。ドバイやイスタンブールといった中東の都市、あるいはロンドンやパリなどのヨーロッパ主要都市を経由する必要があるため、片道の移動時間は最低でも16時間から20時間程度かかってしまいます。特に1週間といった超短期間の滞在を希望する場合、移動だけで往復の貴重な日数が削られてしまうため、スケジュールには余裕を持たせる工夫が必要です。
次に、マルタ特有の英語の訛り(アクセント)についての理解も欠かせません。マルタの英語はイギリス英語をベースとしていますが、マルタ語やイタリア語の影響を強く受けているため、ゆっくりとした抑揚の大きい独特のリズムがあります。完全なアメリカ英語や標準的なイギリス英語の発音のみを求めている方にとっては、少し戸惑う部分があるかもしれません。しかし、語学学校で教鞭をとる教師たちは専門の教育資格を持ったプロフェッショナルであり、授業では綺麗な英語で指導してくれます。
さらに、リゾート地ならではの誘惑の多さにも注意が必要です。ヨーロッパからバカンス気分で訪れる学生も多く、美しい海や賑やかなナイトライフに流されてしまうと、本来の目的である語学学習が疎かになってしまうこともあります。「午前中は徹底的に机に向かい、午後は実践の場としてアクティビティを楽しむ」といった自己管理を徹底することがポイントです。

高校生から社会人向けのプラン

マルタでの滞在を有意義なものにするためには、ご自身のスタイルや年齢に合わせた計画を立てることが不可欠です。語学学校は多種多様なコースを提供しており、時期や滞在方法の組み合わせによって得られる経験は大きく変わります。ここでは、高校生、大学生、社会人という年代別にプランの特徴をご紹介します。
高校生向けプログラムの特徴
初めての海外生活となることが多い高校生には、語学学校が独自に企画している「ジュニアプログラム(主に14〜18歳対象)」の活用をおすすめします。
このプログラムは、教室での英語レッスンに加えて、放課後の世界遺産観光やマリンスポーツといったアクティビティがすべてパッケージになっているのが最大の特徴です。さらに、専任の引率リーダーが同行するグループ渡航の形式をとる学校(EFなど)も多いため、比較的治安が良いとされるマルタであっても、より一層の安全が確保された環境で過ごすことができます。
おすすめの渡航時期は、まとまった時間が取れる夏休み期間(7月〜8月)です。世界中から同世代の学生がマルタのリゾートに集まるため、アクティビティを通じて多国籍な友人を自然に作ることができます。若いうちに異なる文化背景を持つ人々と交流することは、将来の国際的な視野を広げるかけがえのない財産になるはずです。
大学生向けプログラムの特徴
大学生にとってマルタは、将来の長期留学や海外大学進学に向けたステップアップ、あるいは就職活動を見据えた経験づくり(いわゆるガクチカ)に最適な場所です。
渡航時期として私が特におすすめしたいのは、春休み(2月〜3月)の活用です。もちろん夏休みも人気ですが、春休み期間はハイシーズンの追加料金がかからず、渡航費や滞在費を賢く抑えることができます。また、真夏のピーク時ほどの混雑もないため、落ち着いて勉強に集中しやすいというメリットがあります。
具体的なプランとしては、「学生寮」に滞在しながら2〜4週間ほどの一般英語コースを受講するスタイルが王道です。学生寮ではキッチンや共有スペースで他国の留学生と生活を共にすることになるため、授業外でも英語をアウトプットする環境を自ら作り出すことができます。また、すでに一定の語学力がある場合は、IELTSやTOEFLなどの試験対策コースを選択することで、帰国後のキャリアや進学に直結するスコアアップを狙うことも可能です。
社会人・大人向けプログラムの特徴
日々忙しい社会人の方でも、マルタであれば最短1週間(8〜9日間)から有給休暇を利用して渡航することが可能です。また、転職活動の合間や退職のタイミングを利用して、1ヶ月程度じっくりと滞在し、これまでの人生を振り返りながらリフレッシュするケースも近年非常に増えています。
社会人の方にぜひ検討していただきたいのが、「30歳以上専用(30+)」や「25歳以上専用」の大人向けプログラムです。同じように各々の国でキャリアを積んだプロフェッショナルたちと落ち着いた環境で学ぶことができ、ビジネス英語コースを選択すれば実務に直結するスキルを磨くこともできます。
おすすめの時期は、スケジュールが許すのであれば気候が良く混雑も避けられる秋(9月〜10月)ですが、ゴールデンウィークや年末年始の連休を利用した短期渡航も人気を集めています。

期間別での費用の目安と傾向

「マルタへの渡航には、結局のところ総額でいくら必要なのか?」これは最も多くの方が抱える疑問だと思います。学費、滞在費、航空券、海外旅行保険、そして現地での食費や交通費など、必要な資金の全体像を期間別にお伝えします。
なお、これらの金額は為替レートの変動や渡航する時期(夏場のハイシーズンか冬場のオフシーズンか)によって大きく変わるため、あくまで一般的な目安として捉えてください。
| 滞在期間 | 費用の目安(総額) | 費用の特徴と傾向 |
|---|---|---|
| 1週間 | 約15万円 ~ 25万円 | 学費や滞在費は5万〜10万円程度で収まりますが、航空券代(約7万〜23万円)が総費用の大きな割合を占めるため、期間に対する割高感が生じやすいです。 |
| 2週間 | 約25万円 ~ 40万円 | 社会人の有給休暇や学生の短期休みに最も人気の期間。学生寮かホテル滞在かによって、滞在費の変動幅が大きくなります。 |
| 4週間(1ヶ月) | 約30万円 ~ 70万円 | 学費、滞在費、生活費がバランスよく加算される標準的なラインです。ヨーロッパ各国への小旅行も視野に入るようになります。 |
| 8週間(2ヶ月) | 約70万円 ~ 120万円 | この期間から「長期割引」を適用する語学学校が増え始め、1週間あたりの学費単価がお得になる傾向があります。 |
| 12週間(3ヶ月) | 約95万円 ~ 180万円 | ビザなしで滞在できる最大期間です。外食を控えて自炊を徹底することで、生活費を大きくコントロールできます。 |
この表からも分かるように、マルタはアメリカやイギリスと比較するとコストパフォーマンスが非常に高いです。例えば、同じ4週間の滞在でも、アメリカが56万〜65万円、イギリスが41万〜64万円程度かかるのに対し、マルタであれば37万〜46万円程度で実現できるケースが多く見られます。ヨーロッパ圏でありながら、これほどリーズナブルな価格設定であることは、マルタならではの大きな強みです。
渡航費用を安く抑えるポイント

少しでも予算を抑えて充実した時間を過ごしたいと考えるのは当然のことです。ここでは、マルタ滞在中の費用を賢く節約するための具体的なテクニックをいくつかご紹介します。
まず最も効果的なのが、渡航する時期をオフシーズンにずらすことです。マルタはヨーロッパ屈指のリゾート地であるため、6月中旬から9月末にかけての夏季は「ハイシーズン」と呼ばれ、世界中から観光客が押し寄せます。この時期は航空券が高騰するだけでなく、語学学校の授業料やホームステイ・学生寮の滞在費に「ハイシーズン追加料金」が上乗せされることが一般的です。もしスケジュールに融通が利くのであれば、気候が穏やかで費用が下落する秋から春(11月〜4月頃)を狙うと、全体のコストを驚くほど抑えることができます。
次に、滞在先として「学生寮(レジデンス)」を選択することも有効な手段です。一般家庭に滞在するホームステイも現地の文化を学べて素晴らしい経験になりますが、食費込みの価格設定となっているため、どうしても費用が割高になりがちです。学生寮であれば、週あたり約1.6万円〜3.3万円程度で滞在できることが多く、キッチンが共有でついているため自炊が可能になります。
その他にも、航空券を数ヶ月前から早期手配する「早割キャンペーン」を利用したり、手配手数料が無料の良心的な留学エージェントを活用したりすることで、初期費用を大幅に抑えることも可能です。
現地での物価や交通事情
マルタは「物価が安い」と言われることもありますが、レストランでの外食費は日本と同等かそれ以上に高額です(ランチでも1,600円〜2,400円程度)。しかし、ローカルなスーパーマーケットでの食材費は非常に安く、例えばパスタ500gが数十円、パン1個が30円以下、水2リットルが150円程度で手に入ります。学生寮で多国籍なルームメイトと一緒に自炊を楽しむことは節約になるだけでなく、素晴らしい異文化交流の機会にもなります。
また、マルタには電車がなく、移動はすべて路線バスに頼ることになります。短期滞在者には、空港やバスターミナルで購入できる観光客向けの乗り放題パス「Explore Card(7日間乗り放題、大人21ユーロ程度)」がおすすめです。また近年はクレジットカードやスマートフォンのコンタクトレス決済でそのまま乗車できるため、カードを事前に準備しておく方法が最も手軽です。
マルタ留学で人気の滞在都市

マルタは小さな島国ですが、滞在するエリアによって街の表情や日々のライフスタイルが異なります。ご自身の年齢や留学の目的に合わせて、どのような環境に身を置きたいかを想像しながら、最適な滞在先を見つけてみてください。
セントジュリアンズ(St. Julian’s)
マルタ最大の繁華街であり、島内で最も多くの語学学校が密集しているエリアです。美しいスピノーラ湾沿いには世界各国の料理を楽しめる無数のレストランやオープンカフェが立ち並び、大型ショッピングモールも完備されているため、日々の生活における利便性は群を抜いています。
ヨーロッパを中心とした多国籍な留学生が集まるこの街では、さまざまなバックグラウンドを持つ人々との会話を通じて、異なる文化やコミュニケーションの取り方をリアルに学ぶことができます。放課後のアクティビティやナイトライフを存分に楽しみながら、英語を実践の場でどんどんアウトプットしたいアクティブな大学生や20代の方にはお勧めのエリアです。
ただし、マルタ有数のナイトスポットである「パーチャビル」を抱えているため、週末の夜間は人が多く非常に賑やかになります。静寂な環境で集中して勉強したい方には、少し刺激が強すぎるかもしれません。
スリマ(Sliema)
セントジュリアンに隣接しながらも、喧騒から一歩離れた落ち着いた雰囲気が漂うのがスリマです。海岸沿いに続く美しいプロムナード(遊歩道)からは、海を挟んで対岸にそびえる首都バレッタの景色を望むことができます。
マルタ最大級のショッピングモール「ザ・ポイント」をはじめ、大型スーパーマーケットや日用品店がすべて徒歩圏内に揃っています。Wi-Fi環境の整ったおしゃれなカフェも多く、PCでのリモートワークや英語の予習・復習を行うのにも最適な環境が整っています。
セントジュリアンのような過度な賑やかさはなく、生活に必要なインフラが完璧に整っているため、自分のペースでしっかりと学習を進めたい社会人の方や、長期間滞在する方にとってはバランスの取れたエリアと言えます。
バレッタ(Valletta)
街全体がユネスコの世界遺産に登録されている、マルタの首都にして象徴的な要塞都市です。中世のマルタ騎士団が築き上げた蜂蜜色のライムストーン(石灰岩)の街並みや、細く入り組んだ坂道、荘厳な歴史的建造物が密集しており、ただ歩いているだけで映画の世界にいるような雰囲気を味わうことができます。
このエリアは土地柄、語学学校の数自体はそれほど多くありません。しかし、その分クラスの人数も少人数制を採用している学校が多く、よりパーソナライズされた丁寧な指導を受けることが可能です。
物価や家賃相場は他のエリアと比べて高めですが、歴史や芸術に直接触れ、その国が持つ文化的な背景を深く理解することを重視する「大人の留学」には魅力的なエリアです。
その他の注目エリア
主要な3都市以外にも、近年じわじわと人気を集めているエリアもあります。目的に合わせて、あえて中心部から少し離れるという選択肢あります。
グジラ(Gzira)
スリーマの南側に位置し、マルタ大学へのアクセスが良いアカデミックな雰囲気を持つ学生街です。スリーマやセントジュリアンと比較して家賃や物価の相場がやや安く、長期滞在の留学生にとって非常に暮らしやすい居住区として注目されています。
セントポールズベイ(St Paul’s Bay)
中心部の喧騒から離れて、のどかな自然と透明度の高い海を心ゆくまで満喫したい方にぴったりの北部リゾートです。日本人の割合が極めて低いため、完全な英語環境に身を置きやすいという隠れたメリットもあります。
ゴゾ島(Gozo)
マルタ本島からフェリーで約25分ほどの距離にある離島です。マルタ島よりも手つかずの大自然が多く残り、雄大な風景の中でダイビングやハイキングを楽しみながら、都会のストレスから完全に切り離された環境でじっくりと語学に向き合うことができる特別なエリアです。
マルタ短期留学での準備のポイント

費用や基本的なルールを押さえた後は、現地での生活をいかに充実させるかが重要になります。ここからは、数ある語学学校やプランの中から自分に最適なものを選ぶためのポイントをご紹介します。限られた時間を最大限に活かすための準備を進めていきましょう。
留学前のスケージュール目安

短期間の滞在を成功させるためには、「現地に到着してから頑張る」のではなく、日本にいる間の事前準備が多くを決めると言っても過言ではありません。スムーズに出発の日を迎えられるよう、ここでは必要な準備とスケジュールの目安をご紹介します。
渡航の半年〜4ヶ月前:情報収集とプラン決定
まずは、どの都市のどの語学学校に通うか、そして滞在先(学生寮かホームステイか)を比較検討する時期です。一般的には渡航の2〜4ヶ月前までの申し込みが目安とされていますが、人気の高い夏休み期間(6〜8月)を狙う場合は、世界中から予約が殺到して満室になるため、半年以上前からの準備を強くおすすめします。
ご自身の目的に合わせて、気になる留学エージェントの無料カウンセリングなどを活用しながら、費用と環境のバランスが取れたプランを絞り込んでいきましょう。
渡航の3〜2ヶ月前:申し込み・各種手配・英語の事前学習
学校が決定したら、正式な申し込みと費用の支払いを済ませます。それと同時進行で、往復の航空券や海外旅行保険の手配も進めましょう。マルタへの直行便はないため、中東やヨーロッパ主要都市での乗り継ぎ時間、現地への到着時刻などを考慮して無理のないフライトを選ぶ必要があります。
そして、この時期から本格化させておきたいのが英語の事前学習です。1週間〜1ヶ月の短期留学において、現地で基礎のテキストを開いている時間はありません。英語力の土台を少しでも構築しておくことが、現地での吸収力を劇的に高めます。対人レッスンだけでなく、最新のAIツールや会話アプリなどを駆使して、英語の音とリズムに徹底的に耳と口を慣らしておくアプローチが効率的です。
渡航の1ヶ月前〜直前:最終確認と心の準備
出発が近づいてきたら、パスポートの有効期限が十分に(滞在期間+3ヶ月以上)残っているかを改めて確認し、現地でメインとして使うクレジットカード(JCBは使えない店舗が多いため、VISAまたはMastercardが推奨です)の暗証番号や海外利用限度額をチェックしておきましょう。
荷物のパッキングと同様に大切なのが、異文化に飛び込むためのマインドセットです。マルタの語学学校に集まるヨーロッパ系の留学生たちは、英語が不完全であっても物怖じせずに堂々と発言します。日本の学校教育で身についた「完璧な英語を話さなければ恥ずかしい」というメンタルブロックを外し、「間違えてもいいから積極的に話す」という姿勢を心に決めておくことが、短期間でも成果を得るためのポイントとなります。


短期留学におけるビザの基本

海外へ長期間滞在する際に、多くの方を悩ませるのが複雑なビザ(査証)の申請手続きです。しかし、日本国籍を持っている方にとって、マルタへの短期滞在はハードルが低いという特徴があります。
結論から言うと、90日(約3ヶ月)以内の滞在であれば事前のビザ申請は一切不要です。語学学校の入学許可証、帰りの航空券(または第三国へ出国するチケット)、そして有効期限が十分に余っているパスポートを持って現地の空港に降り立てば、観光ビザ扱いで入国し、そのまま語学学校に通うことができます。面倒な書類の準備や大使館での面接などを省いて、思い立った時にすぐ出発できる身軽さは、忙しい社会人や大学生にとって大きなメリットと言えるでしょう。
シェンゲン協定のルールには注意
ただし、ここで絶対に知っておかなければならない重要なルールが「シェンゲン協定」の90日ルールです。
マルタはヨーロッパの国境審査を免除する「シェンゲン協定」に加盟しています。この協定のルールでは、「あらゆるシェンゲン加盟国内での滞在日数は、過去180日間のうち合計で90日以内」と厳格に定められています。
(出典:外務省『欧州諸国を訪問する方へ』)
つまり、ビザなしで滞在できる90日という枠は、マルタ国内の滞在だけでなく、フランス、イタリア、スペインなど他の加盟国での旅行日数も「合算」されて計算されます。マルタでギリギリまで(例:12週間=84日間)学校に通った後、卒業旅行としてイタリアに1週間滞在すると、90日の上限を超えてしまい「不法滞在(オーバーステイ)」と見なされるリスクがあります。
ビザなしでヨーロッパ周遊も楽しみたいと考えている方は、語学学校の受講期間を4週間〜8週間程度に余裕を持って設定し、旅行のための日数を意図的に残しておく緻密なスケジュール管理が必要です。また、ビザなしの短期滞在中は現地でのアルバイトなどの就労は一切認められていない点にも注意しましょう。
目的に合った語学学校の基準

マルタ島内には大小合わせて40校以上の語学学校が存在しています。どこを選ぶかによって、滞在中の満足度や語学力の伸び幅は大きく変わってきます。学校選びで迷った際は、「規模感」「国籍バランス(日本人比率)」、そして「年齢層別のプログラム」という3つの軸に注目して比較検討するのがおすすめのアプローチです。
1. 規模感:大規模校か小規模校か
まず押さえておきたいのが、学校の規模によるカリキュラムや雰囲気の違いです。
「EC Malta」や「EF Malta」に代表されるような大規模校は、世界中から圧倒的な数の留学生が集まります。最大のメリットは、語学レベルに応じたクラス分けが細かく設定されている点です。また、放課後の無料ワークショップや週末の観光ツアーといったアクティビティも豊富に用意されています。
一方、「Easy School of Languages」などの小規模校は、1クラスの人数が少なく、アットホームな雰囲気が最大の魅力です。教師との距離が物理的にも心理的にも近く、個別の学習サポートを受けやすいため、落ち着いた環境で自分の弱点とじっくり向き合いたい方に向いています。
2. 国籍バランス
語学学習において、頭の中で日本語に翻訳せずにダイレクトに英語を理解する感覚を養うためには、周囲の環境が極めて重要です。マルタ全体の日本人比率は他国に比べて低い傾向にありますが、人気校の夏休み期間などには特定の国籍が集中することがあります。「日本語を絶対に話したくない」というストイックな目標を持つ方は、あえてセントポールズベイなどの郊外にある、日本人比率が1〜2%程度の学校を選ぶのも効果的です。
しかし、初めての海外生活で不安が大きい場合は無理をする必要はありません。日本人スタッフが常駐している学校や、あえて日本人が10〜20%ほど在籍している学校を選ぶことで、有益な現地の情報交換ができ、精神的な安心感を得ることができます。ご自身の性格と現在の語学力に合わせて、最適なバランスを見極めましょう。
3. 年齢層別プログラム
マルタの語学学校が持つ優れた特徴の一つが、年齢別のプログラムが発達している点です。他の国では10代からシニアまでが同じ教室で学ぶことも珍しくありませんが、マルタでは若い学生向けの活気あるコースから、30歳以上や50歳以上に限定した大人向けのコースまで、世代ごとに細やかなプログラム設定がなされています。
プログラムを選ぶ際は、単に自分の実年齢に合わせるだけでなく、「どのような環境で、どんな話題について語り合いたいか」という視点を持つことが成功の秘訣です。例えば、若い世代のエネルギーに触れながらアクティブに過ごしたいのか、あるいは落ち着いたラウンジで各国のビジネス事情や時事問題について大人のディスカッションを楽しみたいのか。ご自身が最も心地よく、自然体で英語をアウトプットできる環境をイメージして選んでみてください。
最適な留学エージェント選び

マルタへの渡航を決意した際、「すべて自分で手配すべきか、それとも留学エージェントを利用すべきか」と迷う方は少なくありません。
もちろん個人での手配も可能ですが、特に初めて海外で生活される方や、日々のお仕事で忙しい社会人の方には、プロのサポートである留学エージェントの活用をおすすめします。大きなメリットとしては、語学学校の選定から入学手続き、学生寮やホームステイの手配、さらには渡航のアドバイスまでを日本語で一括してサポートが得られる安心感にあります。
一方で、無数にあるエージェントのどれを選んでも良いというわけではありません。信頼できるパートナーを見極めるために、以下のポイントも確認するようにしましょう。
- 費用の透明性と為替レートの確認
最近は「手配手数料無料」を掲げるエージェントが増えていますが、中には独自の高い為替レートを設定して実質的な手数料を上乗せしている業者も存在します。見積もりを出してもらう際は、必ず語学学校が提示している現地通貨(ユーロ)建ての正規料金表と照らし合わせ、不透明な項目の上乗せがないかをチェックしましょう。 - マルタに対する専門性と現地サポートの有無
マルタに特化した専門のエージェントや現地にオフィス(または提携デスク)を構えているエージェントは、いざという時に頼りになります。万が一、現地で病気になったり盗難などの予期せぬトラブルに巻き込まれたりした際に日本語でサポートを受けられる体制があるかどうかは、慣れない海外生活においてセーフティネットとなります。 - カウンセラーの質と留学経験
担当してくれるカウンセラー自身が海外での滞在経験を持っているかどうかも、判断の大きな分かれ目です。パンフレットに書かれている表面的な情報だけでなく、各エリアのリアルな治安の雰囲気や、学校ごとの国籍バランスの傾向など、実体験に基づいた生のアドバイスを提供してくれる担当者を見つけることがポイントです。
最初から1社に絞り込むのではなく、気になるエージェント2〜3社に無料のカウンセリングと見積もりを依頼して比較検討することをおすすめします。対応のスピードや、ご自身の要望(費用を極力抑えたい、同世代の落ち着いた環境が良いなど)に対してどれだけ的確な提案をしてくれるかを見極めてから、サポートを任せるパートナーを検討するようにしましょう。

現地での治安事情と安全対策

ヨーロッパの中で留学先を選ぶ際、多くの方が懸念するのが治安の問題です。その点において、マルタはヨーロッパの中でも犯罪率が低く、女性が夜に一人で歩けるほど治安が良好な国として知られています。
とはいえ、ここは日本ではなく海外です。凶悪犯罪が稀であるというだけで、観光客や留学生を狙ったスリ、ひったくり、置き引きといった軽犯罪は日常的に発生しています。特に、首都バレッタやスリーマの混雑するメインストリート、バスの車内、そして週末のサンデーマーケットなどでは、リュックサックを前に抱える、貴重品をポケットに入れないといった基本的な防犯対策が必須です。また、夏のビーチで荷物を置いたまま海に入り、スマートフォンや現金を盗まれるケースが後を絶たないため、複数人で荷物の見張り番を交代するなどの工夫が必要です。
もう一つ警戒すべきエリアが、セントジュリアンの一角にあるマルタ最大の繁華街「パーチャビル(Paceville)」です。ここはナイトクラブやバーが密集しており、週末の深夜にはヨーロッパ中から集まった若者で熱狂的な盛り上がりを見せます。しかし、泥酔者同士のトラブルやスリが多発する危険地帯でもあります。夜間に外出する際は、パスポートなどの重要な身分証は持ち歩かず(必要な場合はコピーを持参)、必ず複数人で行動することを心がけてください。
移動手段にも注意が必要です。路上で客待ちをしている非合法なタクシー(白タク)に乗車し、法外な料金を請求されるトラブルが報告されています。現地での移動は、料金が事前に確定しGPSでルートが追跡できる「Uber」や「Bolt」といった配車アプリを利用するのが最も安全で確実です。
総括:マルタの短期留学ガイド

ここまで、マルタの環境の魅力からリアルな費用の内訳、都市や学校の選び方までお伝えしてきました。ヨーロッパの歴史と地中海の美しい自然が融合するマルタは、ただ英語を学ぶだけの場所ではありません。フレンドリーな地元の人々や世界中から集まったクラスメイトとの「体験を通じた生きた学び」が詰まっています。
もちろん、1ヶ月以内の期間でネイティブスピーカーのように流暢な英語を操ることは難しいかもしれません。しかし、異なる文化背景を持つ人々と英語を使って心を通わせた経験は、あなたの中にある「英語を話すことへのハードル」を取り払い、その後の学習のモチベーションを劇的に変えてくれるはずです。
社会人になってからでも、学生の短い休みであっても、ビザなしで気軽に飛び込めるマルタの環境は「挑戦してみたい」という気持ちを後押ししてくれます。費用を賢く抑えながら実りある留学を実現するために、この記事の情報が少しでもお役に立てれば幸いです。ぜひ、充実したマルタ滞在を実現させてください。





