マルタでのワーホリの基礎知識|ビザや費用、仕事などの全体像

マルタでのワーホリの基礎知識|ビザや費用、仕事などの全体像

ついに日本とマルタ共和国の間でワーキングホリデー制度が始まりました。しかし、新しい制度だからこそ、いつから行けるのか、年齢やビザの申請方法はどのようなものか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。さらに、他の国と比較したマルタを選ぶメリットやデメリット、費用目安、仕事探しなど、失敗や後悔をしないための対策も気になるところでしょう。この記事では、マルタへのワーホリを検討している方の疑問を解消できるよう、基礎知識や押さえておきたいポイントを解説していきます。渡航に向けた具体的な計画や、検討する際の参考となれば幸いです。

記事のポイント
  • マルタでのワーキングホリデーの基礎知識とビザ申請条件
  • 渡航前に準備したい初期費用と現地でかかる生活費の目安
  • 現地での仕事探しの基本や時給相場および就労でのルール
  • 失敗を防いでマルタ生活を充実させるための具体的な対策
目次

マルタのワーホリ制度とビザの基本

マルタのワーキングホリデー制度を解説するガイドの表紙スライド

長らく待ち望まれていたマルタとのワーキングホリデー制度がついに実現し、ヨーロッパの英語圏への新たな扉が開かれました。この章では、制度がいつから始まったのかという基本情報から、ビザを取得するための詳しい条件、申請手続きの流れまで、渡航の第一歩となる重要なポイントを解説していきます。初めての海外生活に向けて、まずはビザに関する基礎知識を理解しておきましょう。

2026年開始のマルタワーホリ

ヨーロッパの地中海に浮かぶ美しい島国、マルタ共和国。これまで英語を学ぶ語学留学先として人気を集めてきましたが、長らく日本とのワーキングホリデー協定は結ばれていませんでした。しかし、数年にわたる両国間の協議を経て、ついに2026年1月1日より、日本とマルタの間で正式にワーキングホリデー制度がスタートしました。
(出典:外務省『ワーキング・ホリデー制度』)

注目すべきは、英語を主要言語として使いながらワーホリができるEU(欧州連合)加盟国としては、アイルランドに次いで2カ国目であるという点です。これは、ヨーロッパでの生活と英語学習を両立させたいと願う方にとって画期的な出来事だと言えます。

これまで、「マルタで働きながら長期滞在したい」と考えても、就労許可を得るハードルが高く、多くの人が諦めざるを得ない状況がありました。インターネット上にはまだ「マルタにはワーホリがない」という古い情報が残っていることもありますが、現在は制度が稼働しています。

マルタワーホリの定員は年間100名という狭き門

制度開始にあたって最も注意しなければならないのが、年間発給枠が「100名(日本国籍者向け)」と非常に少なく設定されていることです。

オーストラリアやカナダのように数千人、あるいは無制限で受け入れている国とは異なり、マルタの場合は激しい枠の争奪戦が予想されます。思い立ってすぐにビザが取れるわけではなく、事前の周到な計画と情報収集が明暗を分けることになります。

美しい海と歴史的な街並み、そして比較的温暖な気候の中で1年間暮らせる魅力は計り知れません。だからこそ、最新の情報を常に追いかけ、計画的に準備を進めることが何よりも大切になってきます。

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マルタのワーキングホリデー概要
対象年齢申請時点で18歳以上30歳以下(31歳未満)
滞在期間入国日から最長12ヶ月間(365日)
ビザ種別長期滞在ビザ(Dビザ)/ワーキングホリデービザ
年間発給枠100名(日本国籍者向け)
ビザ申請料マルタ移民局側は無料(※VFSのサービス利用料等が別途必要)
申請窓口VFS Global(東京での対面申請、または大阪からの郵送申請)
審査・発給期間目安6~8週間
就労条件休暇を主目的とした付随的な就労が可能
就学条件就学可能
過去の利用歴生涯に一度のみ(過去に取得歴がないことが条件)

他の英語圏の協定国との比較

欧州周遊や気候の良さといったメリットと、定員の少なさや時給水準などのデメリットを天秤にかけたマルタワーホリの比較図

ワーキングホリデーの行き先として、マルタ以外にもオーストラリア、カナダ、イギリス、アイルランドなど、英語圏の魅力的な国がたくさんあります。

他の国と比較した上で、マルタを選ぶメリットとデメリットを整理してみましょう。

マルタならではのメリットや魅力

1. ヨーロッパ周遊の圧倒的な利便性
マルタは地中海の中心に位置し、LCC(格安航空会社)を利用すれば、イタリア、フランス、スペインなどヨーロッパの主要都市へ数千円〜数万円、わずか2〜3時間で気軽にアクセスできます。「週末はローマ観光」といったヨーロッパを旅するようなライフスタイルが実現できるのは、オーストラリアやカナダにはない特権です。

2. 英語圏のヨーロッパでありながらコストを抑えやすい
イギリス(ロンドン)やアイルランド(ダブリン)は家賃や物価が非常に高く、生活費の捻出に苦労することが少なくありません。マルタも近年は物価上昇傾向にありますが、それでも他のヨーロッパの英語圏と比較すると、シェアハウスの家賃や生活費はまだ抑えやすい水準にあります。

3. 温暖な気候とリゾート環境
「年間300日が晴れ」とも言われる地中海性気候は、寒さや悪天候によるストレスを軽減してくれます。美しい海に囲まれたリゾート地での生活は、毎日の気分を明るくしてくれるでしょう。

マルタを選ぶ際の懸念点・デメリット

一方で、他国に劣る部分も理解しておく必要があります。

1. 求人の数と時給水準
オーストラリアは最低賃金が世界トップレベルで高く、求人数も豊富なため「稼ぐワーホリ」の代表格です。対してマルタは、国土が小さいため市場規模が限られており、時給も決して高くありません。ガッツリ貯金を増やしたいという目的には不向きです。

2. 発給枠の少なさ(定員100名)
先述の通り、マルタは年間100名しかビザが発給されません。オーストラリアのように「行きたいと思った時にいつでも行ける」わけではなく、計画段階での不確実性が高くなります。

3. 直行便がない
日本からマルタへの直行便はなく、ドバイやイスタンブール、ヨーロッパの主要都市を経由する必要があり、移動に15〜20時間ほどかかります。

これらを総合すると、マルタのワーホリは「英語環境とヨーロッパ生活のハイブリッドを比較的リーズナブルに楽しみたい方」にとって最適な選択肢になると私は考えています。


学生ビザや語学留学との違い

マルタへの渡航計画を立ててプランを検討している日本人女性

マルタに長期滞在して英語を学ぶ手段としては、ワーキングホリデー制度が始まる前から「学生ビザ」を利用した語学留学が一般的でした。ご自身の目的や年齢によっては、ワーホリビザよりも学生ビザの方が適している場合もあります。ここでは両者の決定的な違いを理解しておきましょう。

年齢制限の違い

両者における最大の違いは年齢制限です。ワーホリビザは「18歳以上30歳以下」という厳格な条件がありますが、学生ビザには年齢の上限がありません。したがって、すでに31歳以上になっている方や、社会人経験を経て落ち着いて留学したいという方は、自然と学生ビザを利用した語学留学を選択することになります。

就労(アルバイト)の自由度

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項目ワーキングホリデービザ学生ビザ(長期語学留学)
就労開始時期入国後、すぐに働き始めることが可能。マルタ到着後、91日目以降(滞在3ヶ月超)から就労可能。
就労時間の上限フルタイム勤務も可能(休暇の付随的活動として)。週に最大20時間までという厳しい制限あり。
就学の義務語学学校に通うかどうかは自由(任意)。週15時間以上の授業に出席することがビザ維持の条件。
就労許可の申請ビザ自体に就労の権利が含まれる。雇用主からの書類提出と、別途の就労許可申請(有料)が必要。

マルタでは、学生ビザであっても一定の条件を満たせば現地でアルバイトをすることが認められています。しかし、ワーホリビザとは明確なルールの違いがあります。

学生ビザの場合、最初の3ヶ月間は働くことができず、また就労許可を申請する時点で「働き先がすでに決まっている」必要があります。つまり、雇用主が学生のために書類手続きに協力してくれなければなりません。

一方、ワーホリビザであれば、到着してすぐにフルタイムで働くことも理論上は可能であり、仕事選びの自由度は格段に高いと言えます。

「まずは学校でしっかり英語を身につけ、少しだけお小遣い稼ぎができればいい」という方は学生ビザ、「色々な場所を旅しながら、フレキシブルに働いてみたい」という30歳以下の方はワーホリビザ、というように目的に合わせて選ぶのがポイントです。


ワーホリビザの年齢や申請条件

マルタワーホリビザ申請に必要な4つの条件を解説したスライド

マルタのワーキングホリデービザ(長期滞在用のDビザ)を取得するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。ここでは、現時点で発表されている主な申請条件を見ていきましょう。

対象年齢と国籍に関する条件

まず最も重要なのが年齢制限です。ビザの申請時点で18歳以上、30歳以下であることが求められます。つまり、31歳の誕生日を迎える前日までに申請手続きを完了していれば、制度を利用することが可能です。また、当然ながら有効な日本国籍を保有している必要があります。

渡航の主目的と就労のルール

ワーキングホリデービザは、あくまで両国間の若者の文化交流や相互理解を促進するための制度です。そのため、マルタでの滞在目的は「休暇」がメインでなければなりません。

現地での就労は許可されていますが、それは「休暇中の滞在資金を補うための付随的な活動」として位置づけられています。最初から「現地でフルタイムでバリバリ稼いで貯金を作るぞ」という出稼ぎ目的での申請は、制度の趣旨に反するとみなされる可能性があります。

その他の主な申請条件

年齢や目的以外にも、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 同伴家族の不可
    扶養家族(配偶者や子供)を同伴しての渡航は原則として認められません。もし配偶者も同行したい場合は、それぞれが独立してビザの要件を満たし、個別に申請する必要があります。
  • 過去の利用歴
    マルタのワーキングホリデービザを利用できるのは、生涯に一度だけです。過去にこの制度を利用してマルタに滞在したことがある方は、再度申請することはできません。
  • 犯罪歴がないこと
    日本国内での無犯罪を証明する必要があり、これは書類準備において少し時間のかかるステップとなります。

ワーキングホリデーのビザ要件は両国政府の協議や現地の状況により変更されることがあります。ここに記載している情報はあくまで一般的な目安です。申請の際は、必ずご自身でマルタ当局や駐日マルタ大使館の公式情報をご確認ください。最終的な判断や手続きに関する疑問は、ビザ手配の専門家や公式窓口にご相談されることをおすすめします。

ビザ申請から発給までの流れ

情報収集からビザ発給までの4つのステップと期間の目安を示したフローチャート

マルタのワーホリビザ申請は、オンラインで簡単に完結する他国のシステムとは異なり、少し複雑で時間のかかる手順を踏む必要があります。

申請の窓口となるのは、マルタ大使館ではなく、マルタ政府からビザ申請業務を委託されている外部機関「VFS Global」です。日本国内には対面申請の場合は東京センター、郵送申請の場合は大阪にセンターが設けられています。
(出典:VFS Global『ワーキングホリデービザ』)

基本的なな申請ステップ

スムーズに手続きを進めるために、以下の基本的な流れを把握しておきましょう。

  • 情報収集と必要書類の準備(渡航予定の数ヶ月前〜)
    まずはVFS Globalの公式ウェブサイトで最新の要件を確認し、必要な書類を集め始めます。後述しますが、書類によっては取得までに数週間かかるものや、専門家による英訳が必要なものがあるため、早めの行動が不可欠です。
  • VFS Globalへの来館予約
    書類の準備に目処が立ったら、VFS Globalのオンラインシステムを通じて、申請センターへの来館日時を予約します。
  • 申請センターでの書類提出と生体認証
    予約した日時にセンターへ行き、用意したすべての書類を提出します。東京のセンターでは対面での書類提出と同時に、生体認証(指紋の採取と顔写真の撮影)が行われます。
    大阪のセンターの場合は、郵送での書類受け付けのみとなっており、生体認証のために別途手続きが必要になるなどプロセスが異なるため、ご自身の居住地に合わせて詳細な手順を確認してください。
  • 審査とインタビュー
    提出された書類はマルタの移民局(Identità)に送られ、厳格な審査が行われます。場合によっては、申請内容について英語でのインタビューが求められることもあります。
  • ビザの発給
    無事に審査を通過すると、ビザが発給されます。

申請からビザの発給までには、およそ6週間から8週間(約1ヶ月半〜2ヶ月)の期間がかかるとされています。書類の準備期間も含めると、思い立ってからすぐに渡航できるわけではありません。マルタ入国を希望する時期の、少なくとも3〜4ヶ月前には具体的な準備をスタートさせるのが理想的です。

必要書類と保険に関する注意点

保険や英文の証明書など書類準備における条件を解説した図

マルタのビザ申請において、最も高いハードルとなるのが「書類の準備」かもしれません。要求される書類は多岐にわたり、しかも厳格な条件が設けられています。

ここでは、特に注意すべき必要書類とそのポイントを解説します。

提出が求められる主な書類

すべての書類は「英語」で用意する必要があります。日本語の公的書類は、ただ自分で翻訳するだけでなく、認定された翻訳者による英訳証明が求められることが一般的です。

  • パスポート
    マルタでの滞在予定期間が終了する日から、さらに90日以上の有効期間が残っている必要があります。
  • ビザ申請書と証明写真
    指定のフォームに漏れなく記入し、ICAO(国際民間航空機関)基準を満たす規定サイズの写真を添付します。
  • 英文の犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)
    居住する都道府県の警察本部に出向き、指紋を採取して発行してもらいます。取得までに1〜2週間程度かかるため、最も早く着手すべき書類の一つです。
  • 英文の残高証明書
    滞在初期の生活費をまかなえる十分な資金があることを証明します。目安としては最低でも3,000〜5,000ユーロ以上が推奨されており、銀行に「ユーロ建て」かつ「英文」での発行を依頼します。
  • 航空券または追加資金の証明
    往復の航空券の予約確認書、または帰国便を購入できるだけの追加資金(残高証明書に上乗せ)があることを証明します。

海外旅行保険に関する条件

書類の中でも、特に慎重に選ばなければならないのが海外旅行保険です。マルタ当局は滞在者が現地の医療制度に負担をかけないよう、非常に高い補償額を求めています。以下の条件をすべて満たす保険に加入し、その英文の付保証明書を提出する必要があります。

  • シェンゲン協定国全体で有効であること。
  • 滞在予定の全期間(最長1年間)をカバーしていること。
  • 医療費(治療・入院費用)の補償額が100,000ユーロであること。
  • 日本への緊急医療搬送費用や、賠償責任なども包括的にカバーしていること。

一般的なクレジットカードに付帯している海外旅行保険では、医療費の補償額が200万〜300万円程度であることが多く、マルタが求める10万ユーロ(2026年7月のレートで約1,850万円)という基準を満たせません。また、適用期間も3ヶ月(90日)で切れてしまうことがほとんどです。ワーホリ用の専用保険や、長期滞在向けの留学保険などをしっかりと比較検討し、条件をクリアするプランに加入しましょう。

保険料の目安は年間で20万〜30万円前後かかるため、予算にしっかりと組み込んでおく必要があります。保険選びに関しても、専門の保険代理店や留学エージェントにご相談されることをおすすめします。


マルタワーホリの費用目安と現地生活

マルタの開放的なカフェで充実した表情で接客のアルバイトとして働く日本人男性

ビザの次に気になるのは、やはり「費用」や「現地での生活」ですよね。いくら準備すれば安心なのか、現地で仕事は見つかるのかといった不安は誰にでもあるはずです。この章では、マルタでおすすめの滞在都市や費用の目安、仕事探し事情について深掘りしていきます。楽しい生活を送るためにも、現実的な準備とリスク管理をしっかり行いましょう。

ワーホリで必要な費用の目安

マルタでワーキングホリデーをする場合、一体どれくらいのお金がかかるのでしょうか。もちろん個人のライフスタイルや、語学学校にどれくらいの期間通うかによって大きく変動しますが、一つの目安として約120万円〜200万円(約6,600〜11,000ユーロ)を想定しておくのが現実的です。

ここでは、費用を「渡航前に日本で支払う初期費用」と「現地で語学学校に通う費用」に分けて見ていきます。

渡航前に必要な初期費用の目安

マルタに到着する前に、準備段階で確実に飛んでいくお金です。おおよそ47.5万円〜77.5万円を見込んでおく必要があります。

  • 往復航空券代
    約15万円〜25.5万円。夏場のハイシーズンは高騰するため、オフシーズンを狙うか早期予約が節約の鍵です。
  • 海外旅行保険料
    約20万円〜30万円。先ほど解説した通り、10万ユーロ以上の補償を満たす手厚い保険への加入が必須です。
  • ビザ申請関連費用
    申請自体は無料でも、VFS Globalのサービス利用料や、無犯罪証明書の翻訳費用などで約2万円程度かかります。
  • 現地での当面の生活費
    到着直後、仕事が見つかるまでの生活費として10万円〜20万円程度は現金やカードですぐに使えるように準備しておきましょう。

語学学校に通う場合の学費目安

マルタに到着してすぐは、英語力の向上と現地の生活に慣れるため、また友人を作るために語学学校に通う方が大半です。
学費(授業料に加えて学生寮などの滞在費が含まれることが多い)は通学期間によって変わります。

  • 1ヶ月(4週間): 約23万円〜53万円
  • 3ヶ月(12週間): 約71万円〜124万円

初期費用と学費を合わせると、渡航する時点で最低でも100万円〜150万円程度のまとまった貯金を用意しておくことが、心の余裕につながり、現地での生活を成功させるための大前提となります。


上記の金額はあくまで目安であり、ユーロと円の為替レートによって日本円での負担額が変動することがあります。ギリギリの予算で計画を立てるのではなく、想定よりも多めの資金を準備しておくことを強く推奨します。最新の費用については、留学エージェント等に見積もりを依頼してご確認ください。

マルタ現地での生活費の目安

マルタでの生活費の目安と節約のポイントをまとめたグラフ

では、マルタで実際に生活を始めると、毎月どのくらいの出費があるのでしょうか。

自炊を中心とした一般的なワーホリメーカーの生活を想定すると、1ヶ月の生活費は約12.9万円〜24.6万円(約710〜1,350ユーロ)が目安となります。

1ヶ月の生活費の内訳目安

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項目費用の目安(ユーロ)費用の目安(日本円換算)
家賃(シェアハウス)約400~800ユーロ約7.3万円~14.6万円
食費(自炊中心)約200~300ユーロ約3.6万円~5.5万円
交通費(バス)約0~40ユーロ約0円~0.7万円
通信費(現地SIM)約10~30ユーロ約0.2万円~0.5万円
交際費・娯楽費約100~200ユーロ約1.8万円~3.6万円

生活費を抑えるための節約術

生活費の中で最も大きなウェイトを占めるのが「家賃」です。マルタでは一人暮らし用のアパートを借りるのは高額なため、複数人で一軒家やアパートをシェアする「フラットシェア(シェアハウス)」が基本となります。人気エリアを少し離れるだけで家賃は抑えられます。

また、マルタは外食費が比較的高く、レストランでディナーを食べるとすぐに数千円が飛んでいきます。食費を抑えるためには、「Lidl(リドル)」などのドイツ系格安スーパーマーケットを活用し、パスタや地元の野菜を使って自炊を徹底することが重要です。地元のパン屋で買える「パスティッツィ」などの手軽な郷土料理も、安くて美味しいのでおすすめです。

交通費に関しては、マルタ島内の主な移動手段である公共路線バスで使える「Tallinja Card(タリンヤカード)」という交通系ICカードを事前登録して活用することで、運賃を無料または大幅に節約できる制度があります。到着後すぐに手配したいアイテムの一つです。

マルタで主要な滞在都市の特徴

スリーマ、セントジュリアン、グジラ&ミシダ、バレッタ、セントポールズベイなど、マルタの主要な滞在拠点の特徴をまとめたスライド

マルタは東京都の23区の半分ほどしかない小さな島国ですが、滞在するエリアによって家賃相場や街の雰囲気、ライフスタイルが大きく変わります。ここでは、現地での生活拠点として、ワーホリメーカーや留学生によく選ばれる主要な都市をご紹介します。ご自身がどのような生活を送りたいかをイメージしながら、エリア選びの参考にしてみてください。

スリーマ (Sliema):利便性抜群の王道エリア

マルタで最も外国人に人気があり、生活のしやすさにおいて圧倒的なトップを誇るのが東海岸のスリーマです。マルタ最大のショッピングモールである「The Point」をはじめ、多くのスーパーマーケット、おしゃれなカフェ、レストランが密集しており、日常の買い物に困ることはありません。海沿いには美しい遊歩道(プロムナード)が整備されており、朝夕のジョギングや散歩を楽しむ人たちで賑わいます。

治安が良く、外国人コミュニティも充実しているため、初めての海外生活でもすんなりと馴染める環境です。ただし、その人気の高さゆえに家賃相場はマルタ国内でも高めに設定されています。予算に余裕があり、便利で快適な生活を重視する方におすすめです。

セントジュリアン (St. Julian’s):活気あふれる観光の街

スリーマのすぐ北隣に位置するセントジュリアンは、マルタの観光とエンターテインメントの中心地です。このエリアには多くの語学学校や外資系の大型ホテルが集中しています。特に「パーチャビル(Paceville)」と呼ばれる地区は、クラブやバーが密集するマルタ最大の繁華街であり、週末の夜は多くの若者で熱気に包まれます。

ホテルやレストランが多いため、接客業を中心としたワーホリ向けの求人が最も見つかりやすいエリアでもあります。一方で、夜間はどうしても騒がしくなるため、静かで落ち着いた環境で暮らしたいという方には少し不向きかもしれません。

グジラ (Gżira) & ミシダ (Msida):コスパに優れた実用エリア

スリーマに隣接、もしくは徒歩圏内にありながら、よりローカルな生活感が漂うのがグジラとミシダのエリアです。ミシダにはマルタ大学や国立病院があり、学生向けのリーズナブルなカフェや飲食店が点在しています。交通のハブとしても機能しており、バスを利用して島中のどこへ移動するにも便利です。

中心街のスリーマやセントジュリアンへすぐにアクセスできる好立地でありながら、家賃相場がそれらよりも一段階安く設定されているのが最大の魅力です。華やかさよりも、生活費を抑えつつ利便性を確保したいという現実志向の方におすすめできるエリアです。

バレッタ (Valletta):世界遺産の首都で歴史を感じる

街全体がユネスコの世界遺産に登録されているマルタの首都、バレッタ。バロック様式の美しい建築物が並び、歩いているだけで中世にタイムスリップしたかのような感動を味わえます。マルタ全土の路線バスの発着ターミナルがあり、観光の拠点としては最高の立地です。おしゃれなカフェやレストランも多く、働き口を見つけるチャンスもあります。

しかし、居住エリアとして考えると少しハードルがあります。観光の超中心地であるため家賃が著しく高く、日常の食料品を安く買えるような大型スーパーが少ないのが現状です。さらに街全体が要塞であるため急な坂道や階段が多く、毎日の生活となると足腰への負担を感じることも少なくありません。

セントポールズベイ (St. Paul’s Bay):海を身近に感じる北部リゾート

セントポールズベイやその周辺のブジッバ(Bugibba)などは、マルタ北部に広がる海沿いのリゾート・住宅エリアです。夏場は観光客で賑わいますが、中心部に比べると全体的にのんびりとした空気が流れています。同じ家賃予算でも、スリーマ周辺より部屋が広く、設備の整った物件を見つけやすいというメリットがあります。

最大の懸念点は交通アクセスです。語学学校や職場の多くが集中するセントジュリアン方面へバスで通う場合、片道45分から1時間ほどの時間がかかります。バスの遅延が日常茶飯事のマルタにおいて、毎日の長時間の通勤・通学は思いのほかストレスになるため、ご自身の職場や学校の場所を考慮して慎重に選ぶようにしましょう。

仕事探しの現状と時給の相場

収入と支出のバランスや接客業で必須となる就労免許「Skills Pass」について解説したスライド

ワーキングホリデーの醍醐味である「現地で働く」経験。しかし、マルタでの仕事探しは、他国とは異なる特有の事情とハードルが存在します。

主要な職種と時給の目安

マルタの主要産業は観光業であり、留学生やワーホリメーカーの就職先もホテル、レストラン、カフェ、バーといったホスピタリティ関連のサービス業に集中します。
日本食レストランの数は非常に限られているため、「日本語だけで働ける環境」はほぼ存在しないと考えてください。

気になるお給料ですが、マルタの法定最低賃金は時給換算で約5.7ユーロ(約1,000円強)程度に設定されています。実際の求人では、時給6ユーロ〜8ユーロ(約1,100円〜1,500円)程度からのスタートが一般的です。
(出典:マルタ労使関係・雇用局『National Minimum Wage』)

仮に時給6ユーロで週40時間のフルタイムで働けたとしても、額面の月収は約1,040ユーロ。そこから税金や社会保険料が引かれると、手取りは900ユーロ(約16万円)程度になります。

シェアハウスで自炊中心の質素な生活(月800ユーロ程度)を維持できれば、ギリギリ赤字にはなりませんが、少し外食したり旅行に行ったりすればすぐにマイナスになってしまいます。つまり、マルタワーホリは「稼ぐこと」を主目的にするのではなく、「現地収入で生活費の赤字を減らしながら、豊かな経験を得る」というスタイルが正解だと言えます。

就労に関する新制度「Skills Pass」

2026年以降にマルタで接客業(ホテルやレストラン等)に就こうと考えている方にとって、最大の壁となるのが「Skills Pass(スキルパス)」という新しい制度です。

これは、マルタ政府が観光業のサービス品質を向上させるために導入した「就労免許」のようなものです。EU市民以外の外国人(日本人を含む)がマルタのホスピタリティ産業で働くためには、このスキルパスの取得が義務付けられました(出典:マルタ観光局『Skills Pass 公式サイト』)

取得するためには、オンラインでの学習モジュールを受講し、英語面接や実技評価をパスしなければなりません。しかも、取得には約450〜500ユーロという決して安くない費用がかかります。
この制度があるため、「とりあえず現地に行ってから、英語ができなくても皿洗いのバイトを探せばいいや」という甘い考えは通用しなくなりました。雇用主は、すでにスキルパスを取得している「即戦力」を優先して採用するため、渡航前や語学学校に通っている間に、いかに早くこの資格を取得できるかが仕事探しの鍵を握ります。

オンラインカジノ求人には注意

マルタはiGaming(オンラインカジノなど)産業の世界的拠点のひとつであり、高給な「日本語カスタマーサポート」などの求人を見かけることがあります。

しかし、日本人が海外から日本の顧客向けにオンラインカジノ業務に従事することは、日本の法律(賭博罪等)に抵触するリスクが極めて高い行為です。将来のキャリアに深刻な悪影響を及ぼす可能性があるため、いかに条件が良くてもオンラインカジノ関連の仕事は絶対に避けるようにしましょう。


法定最低賃金は毎年改定されるため、最新額はマルタ政府の公表値をご確認ください。また、ホスピタリティ業界ではSkills Passが必要となるケースが多い一方、一部職種には例外があります。応募する職種ごとに最新要件を確認しましょう。

語学学校やエージェントの活用

マルタの語学学校で多国籍な留学生たちと英語でコミュニケーションをとる日本人女性

マルタでの仕事探しは、すでに解説した「Skills Pass」の導入や、現地の雇用主がビザ手続きの不要なEU(欧州連合)市民を優先して採用しやすいという背景もあり、決して簡単な道のりではありません。そこでおすすめしたいのが、と「語学学校」への通学「留学エージェント」の活用です。自力ですべてを手配することも不可能ではありませんが、定員の狭き門を突破し、限られた1年間の滞在期間を最大限に活かすためには、これらのサポート機関を利用することが一つの近道となります。

語学学校を利用するメリット

現地に到着してからの語学学校通学は、単に英語を学ぶ以上の実践的な意味を持っています。特に仕事探しにおいて、語学学校は現地でのプラットフォームとして機能します。

  • 強力な就労支援プログラムの存在
    語学学校の中には、ワーキングホリデー滞在者向けに特化した就職サポートを提供しているところがあります。大規模校などでは就職サポートを提供している学校もあり、提携企業への紹介や面接機会を設けているケースがあります。自力で履歴書を配り歩くのが不安な方にとって心強いセーフティネットになります。
  • 「Skills Pass」面接に向けた実践トレーニング
    接客業に必須となったSkills Passの取得には、英語での面接や実技評価をクリアしなければなりません。語学学校の多くは、この面接を突破するための実践的なスピーキング対策や、マルタの文化・ホスピタリティに関する知識をサポートしてくれる環境が整っています。
  • ローカルな求人情報とシェアハウスのネットワーク
    実は、条件の良いローカルジョブや、安くて綺麗なシェアハウスの情報は、インターネット上の掲示板よりも「語学学校の友人づて」に回ってくることも多いです。多国籍なクラスメイトと情報交換を行うことで、表には出ない有利な情報をいち早くキャッチすることができます。

マルタには大小約40校の語学学校があります。もしあなたが「確実に仕事を見つけたい」なら就労サポートが手厚い大規模校を、「落ち着いて勉強に集中したい」なら社会人向けの30歳以上限定コース(30+コース)を併設している学校を選ぶと良いでしょう。また、日本人が極端に少ないイギリス資本の学校などを選べば、必然的に英語しか使えない環境に身を置くことができ、英語力の向上が期待できます。

留学エージェントを利用するメリット

ワーホリの準備においてエージェントを利用する最大のメリットは「複雑なビザ申請手続きの確実性」を高められる点にあります。マルタのワーホリビザは初めての方には難解な要件が山積みです。もし書類に不備があって審査に時間がかかってしまえば、その間に貴重な枠が埋まってしまうリスクもあります。また、ご自身の希望(とにかく英語漬けになりたい、仕事探しのサポートが手厚い環境が良いなど)に合わせて、数ある語学学校の中から最適なプランを提案してもらえるのも大きな安心材料です。

初期費用を節約しようとしてエージェントや語学学校を削り、結果的に仕事が見つからず無収入の期間が長引いてしまうのは本末転倒です。最初はしっかりと投資をして生活の基盤と英語力を固め、その後にローカルの職場で働きながらマルタ生活を満喫するというステップアップ型の計画をぜひ立ててみてください。

エージェントを選ぶ際にはマルタ留学に特化しているか、あるいはマルタの実績が豊富なエージェントを選ぶのがおすすめです。まずは無料カウンセリングなどを利用し、担当者との相性を見極めることが大切です。


現地生活における注意点と対策

マルタでの部屋探しにおいてトラブルを避けるために部屋の設備を内見する日本人男性

地中海のリゾート地という華やかなイメージだけでマルタに飛び込むと、日本との生活環境や文化の違いに戸惑い、最悪の場合は途中で帰国せざるを得ないような厳しい現実に直面することもあります。せっかくの貴重なワーホリを有意義にするためにも、実際に起きがちな失敗やトラブルの具体例と対策をお伝えしていきます。

英語力不足による後悔

マルタへの渡航において気をつけたい後悔や失敗として「英語力の不足」に起因するものが挙げられます。「現地に行けば自然と英語が話せるようになるだろう」という期待だけで渡航してしまうと、厳しい現実に直面することになります。すると、心理的な安心感を求めて言葉が通じる日本人留学生のグループとばかり過ごすという「日本語環境への逃避」が起きてしまいがちです。

この失敗を避けるための対策は、「日本にいる間にできる限りの英語学習を終わらせておくこと」です。基礎力があれば、現地の語学学校は「英語を学ぶ場所」から「英語を”使う”練習をする場所」へと変わり、上達のスピードが飛躍的に上がります。また、日常会話レベル以上のスピーキング力があれば、到着後比較的早い段階でサービス業の仕事を見つけられる可能性が高まります。

現地での住環境に関するトラブル

歴史的な街並みが美しいマルタですが、現地で流通しているアパートの多くは歴史のある古い石造りの建物です。そのため、水回りなどの生活インフラに悩まされる人が少なくありません。また、暑い夏にエアコンが完備されていない部屋を契約してしまい、暑さで体調を崩してしまうというケースもあります。

住居を探す際は、家賃の安さや写真の雰囲気だけでインターネット越しに即決するのは避け、現地に到着してから必ず自分の足で「内見」へ赴いてください。実際にシャワーを出して水圧やお湯の出方を確かめ、エアコンが正常に作動するか、網戸や窓の建て付けに問題がないかを自分の目で細かく確認することが、入居後のストレスを未然に防ぐ対策になります。

「マルタ・タイム」などの文化の相違

マルタ島内の主要な公共交通機関は路線バスですが、日本の電車やバスのように時刻表通りに運行されることはまずありません。20分や30分の遅延は日常茶飯事であり、ひどい時には「待ち続けたバスが満員を理由に目の前を素通りしていった」ということもあります。このような「マルタ・タイム」に対して、日本と同じクオリティの正確さを求めてしまうと、日々の生活だけで大きなフラストレーションを溜め込み、精神的に疲弊してしまう原因になります。

語学学校への通学やアルバイトの出勤など、絶対に遅れられない用事がある場合は、常に1本から2本早いバスを想定して行動するのが鉄則です。「日本の常識は海外の非常識」と割り切り、不便さそのものを異文化体験として受け入れる柔軟なマインドを持つことが現地生活を楽しむための秘訣だと言えます。

シェアハウスにおける金銭トラブル

マルタでの滞在費用を抑えるために、SNSのコミュニティなどを活用して個人間でフラット(シェアハウス)の契約を結ぶ人が多いですが、ここにも落とし穴があります。「退去時にデポジット(敷金)が一切返金されなかった」「事前の取り決めにない費用を上乗せして請求された」という金銭的なトラブルや、悪質なケースでは事前に手付金を振り込ませ、現地に行ったら物件自体が存在しなかったという詐欺の被害に遭う例もあります。

オーナーや同居人とどれだけ仲が良く見えても、お金が絡む契約を口約束だけで済ませるのは絶対にやめましょう。デポジットの具体的な返金条件や、毎月の電気・水道代が家賃に含まれているかどうかを事前に細かく確認し、必ず内容が明記された英文の契約書を交わしてサインを残すことが、トラブルを回避するための条件となります。

繁華街におけるスリや置き引き

マルタはヨーロッパの中では犯罪率が低く、夜間でも比較的安心して歩ける治安の良い国とされています。しかし、この「安全」という言葉に油断して日本にいる時と同じような感覚で行動した結果、スリや置き引きに遭遇する確率を高めてしまいます。特にバーやナイトクラブが集中する繁華街である「パーチャビル(Paceville)」や観光客で混雑するバレッタの旧市街では常に警戒が必要です。

バッグのチャックを開けたままにしていたり、カフェのテーブルの上にスマートフォンや財布を置いたまま一瞬だけ席を離れたりした一瞬の隙を狙われてしまいます。ここは海外であるという意識を持ち、遊びに行く際には貴重品が入った荷物からは目を離さない、夜遅くの単独行動は避けるなどを徹底することが楽しい思い出を守るための鉄則です。

総括:マルタのワーホリガイド

マルタのワーホリで準備や心構えが大切であることを伝える総括スライド

ここまで、マルタのワーキングホリデーに関する制度の仕組みから準備のポイントまで解説してきました。最後に、マルタでのワーホリを、充実した滞在にするためのポイントをまとめます。

マルタのワーホリは、2026年に始まったばかりの新しい制度であり、定員も非常に限られています。また、「Skills Pass」の義務化や、決して高くない時給水準など、乗り越えなければならないハードルは確かに存在します。単にお金を稼ぎたいだけなら、オーストラリアなど他国を選んだほうが賢明でしょう。

しかし、「ヨーロッパで暮らし、多国籍な人々が集まる環境で実践的な英語力を磨く」という経験価値においては、マルタは他国にはない唯一無二の魅力を持っています。渡航を充実させるためには、明確な目標を立てて計画的に情報収集を行い、英語の基礎力を伸ばしておくことが大切です。しっかりと準備を整え、皆さんのマルタでの挑戦が素晴らしいものになることを応援しています。


本記事で紹介したビザの申請条件、費用相場、法制度に関する情報は2026年の制度開始時点の状況に基づいています。これらの情報は予告なく変動する可能性が高いため、実際に渡航を計画・手配される際は必ずマルタ政府や関連機関の最新の公式情報をご確認ください。また、ビザの手続きや保険選びに不安がある場合は、信頼できる留学エージェントなどの専門家にご相談されることをおすすめします。

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