英語力を上げる方法とは?学習の基本から実践のポイントも紹介

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英語力を上げる方法とは?学習の基本から実践のポイントも紹介

英語力を上げる方法を探してネット検索をしても、結局何から始めればいいのか分からなくなってしまうことはありませんか。特に忙しい社会人の方や、学校の成績だけでなく実践的な英語力の向上を目指す学生の方にとって、独学でモチベーションを維持するのは簡単なことではありません。私もかつては参考書などを勉強して伸び悩んでいましたが、あるとき異なるアプローチを取り入れることで自然に英語が身につき始めました。この記事では、難しい勉強をせずに楽しみながら英語力を向上させるための具体的なアプローチについて、私自身の経験も踏まえながら解説します。

記事のポイント
  • 本質的な英語力の定義と日本人が英語を苦手な理由
  • 英語力を自然に上げるための考え方とアプローチ
  • インプットを中心とした効果的な学習ステップの例
  • 社会人や学生にもおすすめの目標設定や学習方法
目次

英語力を上げる方法を基本から解説

英語力を上げる方法を基本から解説

「英語力を上げたい」と真剣に考えたとき、皆さんはまず何から始めますか? 書店に走り、一番売れている単語帳を買うでしょうか。それとも、中学英語の文法書を引っ張り出してきて、最初から復習を始めるでしょうか。あるいは、短期間でペラペラになるという魔法のような教材に惹かれてしまうかもしれません。

ここでは、まずは英語力の本質的な意味から、なぜ日本人がこれほどまでに英語に苦労するのか、そして英語習得の土台となる考え方について見直していきます。遠回りに見えるかもしれませんが、この「認識のアップデート」こそが、英語力向上への第一歩となります。

そもそも英語力とは何なのか

「英語力」という言葉を耳にすると、多くの人は無意識のうちに「知識の量」をイメージしがちです。どれだけ多くの難解な単語を知っているか、複雑な構文を正確に分析できるか、TOEICで何点を取れるか。これらは確かに英語力の一部ではありますが、本質ではありません。

本当の意味での英語力とは、知識を蓄えることではなく、「相手とコミュニケーションを成立させる総合的な運用能力」のことです。たとえ中学生レベルの単語しか知らなくても、相手の意図を汲み取り、自分の思いを即座に伝えられるなら、その人の英語力は「高い」と言えます。逆に、どれだけ難しい単語を知っていても、会話のキャッチボールができなければ、実社会での英語力は「低い」と判断されます。

具体的には、以下の5つの要素が有機的に結びついた状態を「英語力がある」と定義することができます。

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リスニング(聴解力)ネイティブのナチュラルスピードの音声を、日本語に変換するプロセスを経ずに、音のまま意味として瞬時に理解する力。単語の拾い聞きではなく、文脈全体を把握する能力。
リーディング(読解力)英文を「返り読み」せず、書かれた順序通りに頭から理解し、必要な情報を素早く取り出す力。一語一句の精読だけでなく、大量の文章を処理する速読力も含む。
スピーキング(発話力)自分の意思、感情、事実を、相手に伝わる適切な発音、リズム、イントネーションで表現する力。流暢さ(Fluency)と正確さ(Accuracy)のバランスが求められる。
ライティング(文章力)自分の考えを論理的に整理し、相手にとって読みやすく、誤解のない文章で表現する力。メール、チャット、レポートなど、目的に応じたスタイルの使い分けも含む。
プロソディ(音声運用力)英語特有のリズム、強弱(ストレス)、抑揚(イントネーション)、音の連結(リエゾン)などを身体的に体得し、使いこなす力。これが欠けると、どれだけ文法が正しくても「通じない英語」になる。

そして、英語力向上を考える上で絶対に避けて通れないのが、「受容語彙(Passive Vocabulary)」と「産出語彙(Active Vocabulary)」の違いを理解することです。

受容語彙とは「読んだり聞いたりすれば意味がわかる単語」のことです。一方、産出語彙とは「話したり書いたりするときに、自力で使いこなせる単語」のことです。一般的に、受容語彙は産出語彙の数倍から十倍以上あると言われています。多くの日本人は受験勉強を通じて受容語彙を増やしてきましたが、それを産出語彙へと転換するトレーニングが不足しています。このように「知っている」を「使える」に変えることこそが、目指すべき英語力だと言えるでしょう。


多くの日本人の英語力が低い理由

多くの日本人の英語力が低い理由

残念ながら、客観的なデータを見ても、日本人の英語力は世界的に見て高いとは言えません。むしろ、先進国の中では比較的低い水準に留まっています。

世界最大級の語学教育機関であるEF Education Firstが発表している「EF EPI 英語能力指数(2024/2025 等)」などのデータを見ても、国際的に日本の相対順位が低下している傾向が見られます。
(出典:EF Education First『EF EPI 英語能力指数』)

なぜ、私たちは中学・高校で最低でも6年間、大学を含めれば10年以上も英語を勉強しているのに、これほどまでに英語が使えないのでしょうか。個人の努力不足でしょうか? いいえ、違います。最大の原因は、構造的な問題と学習アプローチの根本的な間違いにあります。

日本人の英語力を阻害する3つの壁

  1. 文法訳読(Grammar-Translation Method)の呪縛
    明治時代以来、日本の英語教育は「欧米の知識を輸入すること」を主目的としてきました。そのため、英文を日本語に正確に翻訳する「訳読」が重視されてきました。先生が英文を読み、生徒がそれを日本語に訳す。この授業スタイルにより、「英語=日本語に直して理解するもの」という癖が脳に刷り込まれてしまいました。これが、リアルタイムの会話でタイムラグを生む要因となっています。
  2. 「正解主義」と「減点法」による心理的ブロック
    日本のテストは、三単現のSが抜けていないか、スペルが正しいかなど、細かいミスを減点する方式が主流です。これにより、「間違えることは恥ずかしい」「完璧な英語でなければ話してはいけない」という強烈な心理的ブロックが形成されます。コミュニケーションの本質は「伝えること」なのに「間違えないこと」が目的化してしまい、結果として口を閉ざしてしまう傾向にあります。
  3. 言語間距離(Linguistic Distance)の遠さ
    言語学的に見て、日本語と英語は「最も遠い言語同士」の一つです。語順(SOV型とSVO型)、発音システム(母音中心と子音中心)、リズム(音節拍と強勢拍)など、すべてが異なります。そのため、ヨーロッパの人々が英語を学ぶのに比べて、日本人はより多くの時間を要すると言われています。この事実を知らずに「短期間でペラペラ」を目指すと、現実とのギャップに絶望し、挫折することになります。

しかし、悲観する必要はありません。原因がわかれば対策が打てるからです。「訳読をやめる」「間違いを歓迎するマインドセットを持つ」「日本語と英語の違いを理解した上でトレーニングする」。これらを意識するだけで、英語力の伸びは劇的に変わります。

日本人の英語力に関するデータについては、以下の公的機関の資料も参考になります。客観的な数値も知ることで、より現状への理解が深まるはずです。
(出典:文部科学省『令和6年度|英語教育実施状況調査』)


英語脳を育てる効果やメリット

英語脳を育てる効果やメリット

ここまで、日本の英語教育に根深く残る「訳読」や「正解主義」が、私たちの英語力を停滞させている大きな要因であることをお話ししました。では、その足かせを外して自由に英語を使いこなすためには、具体的にどのような状態を目指せばよいのでしょうか。その答えの一つが、ここで紹介する「英語脳」を意識することです。

英語学習の世界で耳にする「英語脳」という言葉。なんとなく「英語がペラペラな人のこと」だと思っている方も多いかもしれませんが、より具体的に定義すると「英語の情報を、日本語を介在させずに直接イメージや概念として処理する脳の回路」のことを指します。

私たちが日本語で会話をするとき、「りんご」という言葉を聞いて、一度別の言語に訳してから赤い果物を想像する人はいないはずです。「りんご」という音を聞いた瞬間に、その映像や味が頭に浮かびます。これと同じ状態を英語で作り上げることが「英語脳」の正体です。

では、なぜこの英語脳を作ることが、英語力向上において最も効果的と言われるのでしょうか。その理由は主に3つの観点から説明できます。

1. 処理速度が圧倒的に速くなる

最大の理由は「スピード」です。従来の学校教育で染み付いた「訳読(英語→日本語変換→理解)」のプロセスでは、脳内で2段階の処理を行う必要があります。さらに、英語(SVO)と日本語(SOV)は語順が逆であるため、後ろから前に戻って訳す「返り読み」をしてしまいがちです。

しかし、ネイティブの会話スピードの一般的な目安は1分間に約150語〜180語と言われています。いちいち日本語に変換していては、相手の話すスピードに物理的に追いつけません。英語脳になり「英語→理解(イメージ)」という回路ができれば、タイムラグなしで母国語のように理解できるため、速い会話でも置いていかれにくくなります。

2. 本来のニュアンスを正確に掴める

言葉には、翻訳ではどうしてもこぼれ落ちてしまう微妙なニュアンスがあります。例えば「Water」と「水」は、辞書上ではイコールですが、英語圏の人が抱く「Water」のイメージや響きと、日本人が感じる「水」は文化背景によって微妙に異なります。

英語を日本語に訳した時点で、それは「英語のふりをした日本語」になってしまいます。英語脳を育てて英語を英語のまま受け入れることは、その言葉が本来持っている感情や温度感を、歪めることなくダイレクトに受け取る唯一の方法なのです。

3. 脳のスタミナが持続する(疲れない)

常に頭の中で通訳作業を行い続けるのは、脳にとって負荷がかかりやすくなります。少し英語を聞いただけで疲労感を感じたり眠くなったりするのは、脳のメモリを「翻訳」に使いすぎているからです。

英語脳が構築されると、日本語を聞くのと同じように無意識レベルで処理ができるようになります。結果として無駄なエネルギー抑えられ、長時間英語に触れていても疲れにくくなり、より多くの情報をインプットできるようになるという好循環が生まれます。

簡単な英語脳の例
例えば、「Thank you」と言われて、「えっと、これは日本語で『ありがとう』という意味だな」と訳してから感謝の気持ちを感じる人は少ないでしょう。「Thank you」という音自体が、すでに感謝の概念と直結しているはずです。実はこれが、最も原始的な「英語脳」の状態だと言えます。


英語力を上げる学習の順番とは

英語力を上げる学習の順番とは

日本の学校英語の課題は、学習の順番が「文字(読む・書く)」から始まり、「音(聞く・話す)」が後回しにされている点にあります。しかし、人類の歴史を見ても、個人の成長を見ても、言語は常に「音」から始まり「文字」へと進むものです。

赤ちゃんは、生まれてすぐに文字を書いたりはしません。まずは周囲の音を大量に聞き(リスニング)、それを真似して音を出し始め(スピーキング)、ある程度の会話ができるようになって初めて文字を読み(リーディング)、最後に書く(ライティング)ことを覚えます。この自然な順序を無視していきなり文字から入ろうとすることで、多くの日本人は「音」が聞き取れず、カタカナ英語から抜け出せないと考えられます。

英語力を無理なく上げる際には、以下のようなステップを意識して学習に取り組んでみましょう。

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優先順位学習ステップ具体的なアプローチ
Step 1リスニング(大量のインプット)文字を見ずに、まずは「音」として英語を脳に入れます。簡単な物語や会話を聞き、音のリズム、強弱、イントネーションを理屈ではなく感覚として身体に刻み込みます。「耳を英語モードにする」ことが大切です。
Step 2リーディング(意味の定着)耳で馴染んだ音を、文字情報と結びつけます。「あ、あの音はこういう綴りだったのか」と確認していきます。ここでは多読を通じて、語彙を増やし、文法パターンを無意識化していきます。
Step 3スピーキング(音声化の練習)インプットが十分に溜まってくると、自然と言葉に出したい欲求が生まれます。シャドーイングや独り言を通じて、脳内のイメージを音に変換する回路を繋ぎます。最初は模倣から始めます。
Step 4ライティング(正確性の追求)話せるようになった内容を、文字として書き出します。話し言葉では曖昧だった部分を修正し、表現の正確さを磨き上げます。ライティング学習は他の土台ができた上で行うようにします。

「文法も単語もわからないのに、聞くなんて無理だ」と思うかもしれませんが、「たくさん聞くからこそ、文法や単語が自然に身につく」と言えます。文法書で「三単現のS」を理屈で覚えるよりも、大量の英語を聞いて「He likes… She goes…」という音のパターンを脳に蓄積させる方が、会話でとっさに正しい英語が出てくるようになります。まずは簡単なリスニングから始めることが、英語力向上への最初のステップとしておすすめです。


英語力向上に役立つインプット

英語力向上に役立つインプット

英語学習には「魔法」はありませんが、「科学」はあります。闇雲に努力するのではなく、第二言語習得論(SLA)などの科学的知見に基づいたメカニズムを知ることで、無駄な努力を省き、確実に英語力を向上させることができます。

その中心となる最も重要な理論が、言語学者スティーブン・クラッシェンが提唱した「インプット仮説(Input Hypothesis)」です。

この理論は非常にシンプルです。「人間は、メッセージを理解したときにのみ言語を習得する」。そして、そのために必要なのが「理解可能なインプット(Comprehensible Input)」です。具体的には、現在の自分の能力レベルを「i」としたとき、「i+1(自分のレベルよりほんの少しだけ難しい、あるいは新しい要素を含んだレベル)」のインプットを大量に浴びることが、言語習得において必要だとされています。

ここで重要なのは、「理解可能」であるという点です。全く意味のわからないCNNのニュースを1000時間聞き流しても、それは「雑音」でしかなく、英語力は思ったほど向上しません。逆に、簡単すぎて全て知っている内容(i-1)ばかりでも、新たな学びはありません。「だいたいわかるけれど、いくつか知らない単語がある」「文脈でなんとなく意味が取れる」というレベルの英語に大量に触れることこそが、脳の言語習得(LAD)を作動させるポイントだと言えます。

「習得(Acquisition)」と「学習(Learning)」の違い

クラッシェンは、言語能力には2つの種類があると述べています。

  • 学習(Learning)
    教室で文法ルールを教わったり、単語帳で暗記したりする意識的なプロセス。これは「知っている」状態を作るだけで、実際の会話であまり使えるようにはなりません。
  • 習得(Acquisition)
    子供が母語を覚えるように、意味のあるコミュニケーションの中で無意識に言葉のルールを体得するプロセス。これが「使える」状態です。

私たちが目指すべきは「学習」ではなく「習得」です。そして習得のためには面白いと思えるコンテンツを通して大量の英語を「経験」として取り込むことが大切です。


目的や目標を設定するポイント

目的や目標を設定するポイント

英語学習において、テクニック以上に重要なのがマインドセットです。特に「目的(Purpose)」と「目標(Goal)」の設定は、学習の継続率を左右する要です。

多くの人が挫折するのは、「なんとなく英語ができるようになりたい」「ペラペラになりたい」という、漠然としたフワフワした目的で始めてしまうからです。これでは、少し難しい壁にぶつかったときに、「別に英語ができなくても生きていけるしな……」と言い訳をして辞めてしまいます。

成功するためには、「SMARTの法則」に基づいて目標を設定しましょう。

SMARTな目標設定

  • Specific(具体的):「英語を頑張る」ではなく、「ハリーポッターの原書を1巻読む」
  • Measurable(測定可能):「リスニング力を上げる」ではなく、「TOEICリスニングで400点を取る」「映画のセリフを3つ書き取る」
  • Achievable(達成可能):「1ヶ月でネイティブレベル」ではなく、「1ヶ月で中学文法を復習する」
  • Realistic(現実的):「毎日5時間勉強」ではなく、「毎日30分確保する」
  • Time-bound(期限付き):「いつかやる」ではなく、「半年後の〇月〇日までに」

そして、大きな目標(1年後のゴール)だけでなく、小さな目標(マイルストーン)をたくさん作ってください。「今週は絵本を1冊読み切った」「今日はシャドーイングを5分やった」。そんな小さな達成感を積み重ねることで、脳は「学習=楽しい」と認識するようになります。このポジティブなサイクルこそが継続のエンジンとなります。


英語力を上げる実践的な方法を紹介

英語力を上げる実践的な方法を紹介

基礎的な考え方とメカニズムを理解したところで、ここからは具体的なアクションプランに移ります。「理論はわかったけど、じゃあ今日から何をすればいいの?」という疑問に答えるべく、机に向かってガリガリ勉強するスタイルではなく、日常の中で楽しみながら実践できるトレーニング方法や対策について深掘りしていきましょう。

初心者におすすめの学習ステップ

「英語は学生時代以来まったく触れていない」「何から手をつけていいかわからない」という完全初心者の方は、いきなり高いハードルを設定せず、まずは「英語に対するアレルギー」をなくし、生活の一部に英語を組み込むことから始めましょう。

以下の3ステップで進めることをおすすめします。

  1. Step 1: 「絵」と「音」で基礎単語を再インストールする
    まずは「ピクチャーディクショナリー(絵辞典)」を使います。絵を見て、その単語の音を聞き、口に出す。これを繰り返して、日本語を介さずに「イメージ=音」の回路を作ります。日常の身の回りのもの(家具、食べ物、動作など)を英語で言えるようにするだけで、世界が英語で見えてきます。
  2. Step 2: 中学レベルの文法を「感覚」で掴む
    「SVO」「関係代名詞」といった文法用語を覚える必要はありませんが、英語の基本的な語順のルールは身につけておく必要があります。「Big Fat Cat」シリーズのような、物語形式でイメージを掴める本や動画などを視聴するのがおすすめです。理屈ではなく、ネイティブの自然な表現や感覚を養います。
  3. Step 3: 超簡単な「音読」を習慣にする
    簡単な教材や子供向けの絵本を、毎日5分でいいのでネイティブを真似しながら「音読」してみてください。自分の声で英語の音を耳に入れることで、脳が「英語は自分に関係のある言語だ」と認識し始めます。このとき、感情を込めて読むことで記憶への定着率も変わります。

初心者のうちは、「勉強している」という感覚を持たないことが継続のコツです。「英語を勉強する」のではなく、「英語で遊ぶ」「英語の音を楽しむ」というスタンスで、まずは最初の3ヶ月を乗り切ってください。


多読と多聴を取り入れるポイント

多読と多聴を取り入れるポイント

私がこれまでの英語学習人生の中で、最も効果を実感し、かつ自信を持っておすすめできる英語力の伸ばし方。それは間違いなく「多読(Extensive Reading)」と「多聴(Extensive Listening)」です。これは、辞書を使わずに大意を掴みながら、自分にとって易しいレベルの英語に大量に触れ続ける学習法です。

なぜ多読・多聴が最強なのか。それは、この方法だけが「英語を英語のまま理解する量(処理量)」を圧倒的に稼げるからです。精読や文法学習では、1時間に触れられる英文の量は限られています。しかし、多読・多聴なら、その数十倍、数百倍の英語を脳に流し込むことができます。

多読・多聴を成功させるための「3原則」というものがあります。

多読・多聴の3原則

  1. 辞書は引かない(Don’t use a dictionary)
    わからない単語があっても、できるだけ止まって辞書を引かないようにしましょう。わからない単語は飛ばすか、文脈から推測します。どうしても気になる単語が何度も出てくる場合だけ、後で調べましょう。
  2. わからないところは飛ばす(Skip over difficult parts)
    完全に理解しようとする完璧主義は捨ててください。全体のストーリーや言いたいことがなんとなくわかればOKです。霧の中で景色を見るように、ぼんやりとした理解で先に進むことに慣れてください。
  3. つまらなければやめる(Quit if it’s boring)
    これが最も重要です。内容がつまらない、自分に合わないと感じたら、すぐにその本や音声をやめて、別のものに変えてください。「楽しまなければ習得は起きない」ということを忘れないでください。義務感で読む英語は、脳に残りません。

具体的な素材としては、多読なら「Oxford Reading Tree」や「Graded Readers(語彙制限本)」、多聴なら「Peppa Pig」のような子供向けアニメや、英語学習者向けのポッドキャストなどがおすすめです。ポイントは、「今の自分のレベルよりもかなり簡単(i-1 〜 i+1)」と思えるものを選ぶことです。スラスラ読める、スッと入ってくるレベルのものを大量にこなすことで、英語の「基礎体力」とも言える語感や語順感覚が養われます。


シャドーイングの効果とやり方

シャドーイングの効果とやり方

多読・多聴によって大量のインプット(英語のデータ)を脳に蓄積したら、次に行うべきは、そのデータを「使える形」に変換し、口からスムーズに出すための回路を繋ぐ作業です。そこで私が推奨するのが、プロの通訳者も訓練に取り入れている「シャドーイング(Shadowing)」です。

シャドーイングとは、聞こえてくる英語音声のすぐ後(約0.5秒〜1秒後)を、まるで影(Shadow)のように追いかけて発音していくトレーニング法です。単に「聞く」だけでも「読む」だけでもなく、その両方を瞬時に行いながら発声するため、負荷は高いですが、その分見返りも大きいです。

なぜシャドーイングがおすすめなのか

シャドーイングを取り入れるメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • 「音声知覚」の自動化
    英語には、単語同士が繋がって音が変化する「リエゾン(例:Check it out → チェケラ)」や、音が消える「リダクション(例:Good night → グッナイ)」など、文字通りには発音されない特有のルールがあります。シャドーイングでネイティブの音を完コピしようとすると、これらのルールを理屈ではなく「音の塊」として脳に焼き付けることができます。結果、今まで雑音にしか聞こえなかった速い英語が、少しずつクリアな単語として聞こえるようになります。
  • 「意味理解」への脳内リソースの開放
    初心者は「音を聞き取ること」に脳のエネルギーを使い果たし、肝心の「意味を考える」余裕がありません。しかし、シャドーイングによって音の処理が無意識レベル(自動化)でできるようになると、脳のリソースが空き、その分を「話の内容を理解すること」に使えるようになります。これが、リスニング力も向上するメカニズムです。
  • スピーキングのための「発音の筋トレ」
    英語を話すために必要な舌の動き、唇の形、喉の使い方は、日本語とは全く異なります。ネイティブのナチュラルスピードについていくために口を動かし続けることは、物理的な「英語筋」を鍛えることになります。これにより、頭で考えた英語が自然に出てくるためのトレーニングになります。

段階別シャドーイングの手順

いきなりテキストを見ずにシャドーイングを始めると、ほとんどの人が挫折します。正しい手順を踏むことで、負荷を調整しながら確実に効果を得ることができます。以下の5ステップで進めてみてください。

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Step 1リスニング(音の確認)
テキストを見ずに音声を何度も聞き、音やリズムの感覚を掴みます。この時点で全く聞き取れない場合は、教材が難しすぎます。
Step 2テキスト確認・精読(意味の理解)
スクリプト(台本)を確認して、ざっくりでも良いので音声の内容を理解します。ディクテーションでどこまで聞き取れていたか確認するのも効果的です。
Step 3オーバーラッピング(音の同化)
スクリプトを見ながら、音声と「同時に」被せるように発音します。ネイティブのリズム、抑揚、息継ぎのタイミングまで完全にコピーします。
Step 4プロソディ・シャドーイング(音の再現)
スクリプトを見ずに(難しければ見ながら)、音声の少し後を追いかけて発音します。ここでは意味を考えず、音程やリズム(プロソディ)を真似ることに全集中します。
Step 5コンテンツ・シャドーイング(意味の定着)
音が正確に再現できるようになったら、最後に「意味」や「情景」を思い浮かべながらシャドーイングします。発音の確認やフィードバックをするのもおすすめです。

シャドーイングのポイントと注意点

シャドーイングを実践する際には以下のポイントも意識しましょう。

  • 難しすぎる教材を使わない
    これが最大の失敗原因です。ご自身に合ったレベルの教材を使ってください。負荷が高すぎると脳が処理しきれません。
  • ボソボソ声でやらない
    小さな声では英語特有の息の使い方が身につきません。環境が許す限り、はっきりとした声で、お腹から声を出すイメージで行いましょう。
  • 自分の声を録音する
    自分の声は客観的に聞くのが難しいものです。スマホなどで録音してネイティブの音声と聞き比べることで、「リズムが遅れている」「この音が言えていない」といった点を確認することができます。

中・高校生や大学生向けの学び方

中・高校生や大学生向けの学び方

学生の皆さんは、日々の授業や定期テスト、そして受験勉強といった英語学習に多くの時間を割いていることでしょう。しかし、そこで求められる勉強だけで実践的なコミュニケーション能力を身につけるのは難しいと言えます。

もしあなたが使える英語を習得したいのであれば、皆さんが持っている「好きなものに没頭する好奇心」「デジタルの力」を使い、学校の勉強とは異なる環境で英語に触れることをおすすめします。

興味のあるものに「没入(イマージョン)」する

学生時代に英語力を飛躍的に伸ばす人は、例外なく英語を「勉強の対象」ではなく「遊びのツール」として使っています。これを「イマージョン(浸し)学習」と呼びます。教科書や参考書で勉強する代わりに、自分の興味関心(趣味、推し活、ゲームなど)と英語を直結させてしまいましょう。

現代には、スマホひとつで海外のリアルなコンテンツにアクセスできる環境が整っているので、これを活用しない手はありません。

「好き」を英語にする具体例

  • 動画配信サービス(Netflix/Disney+)
    海外ドラマや映画を「英語音声・英語字幕」でビンジウォッチング(一気見)します。教科書には載っていない生きたスラングや、感情が乗った会話のリズムを大量にインプットできます。
  • YouTube
    ゲームが好きなら海外のゲーム実況者の動画を、メイクが好きなら海外の美容YouTuberのチュートリアルなどを見ましょう。「内容を知りたい」という強い欲求が、言葉の壁を越えさせます。
  • SNS(Instagram/TikTok/X)
    海外のセレブ、アーティスト、スポーツ選手をフォローし、彼らの発信する生の言葉を毎日チェックします。教科書的な正しさよりも、リアルな感情表現を学び取ってください。

重要なのは、「英語のために見る」のではなく、「コンテンツを楽しみたいから、手段として英語を使う」という状態を作ることです。夢中になって見ていたら、気づけば英語のまま理解していた。この「没入体験」こそが、自然な英語力を育てます。

ネイティブの子供向け素材で「OS」を再インストールする

もう一つのアプローチは、ネイティブの子供たちが育ってきた環境を擬似的に再現することです。「中高生や大学生にもなって子供向けなんて」というプライドは必要ありません。日本で学ぶ私たちが最も欠けている「英語の基礎回路(英語OS)」は、子供向けのコンテンツにこそ詰まっています。

基本から学びたい人は、大人のニュースや難解な論文はいったん脇に置いて以下のような素材に触れてみるのもおすすめです。

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海外の絵本絵とシンプルな文章がセットになっているため、日本語に訳さなくても「イメージ」で直接理解する訓練に最適です。『Curious George(おさるのジョージ)』や『The Very Hungry Caterpillar(はらぺこあおむし)』など、名作には英語のリズムのエッセンスが凝縮されています。
子供向けアニメ『Peppa Pig』や『SpongeBob』などのアニメは、日常会話で頻出するフレーズの宝庫です。動作とセリフが完全にリンクしているため、シチュエーションの中で自然な英語の使い方を学べます。
児童書(チャプターブック)『Magic Tree House』のような、ネイティブの小学生が読む児童書は、多読の入り口として最高です。辞書なしでスラスラ読めるレベルの物語を大量に読むことで、英語の語順感覚が盤石になります。

これらのコンテンツは、英語ネイティブが幼少期に大量に浴びてきた「理解可能なインプット」そのものです。彼らが辿ったのと同じプロセスを追体験することで、学校教育で歪んでしまった英語への認識を修正し、無理なく自然な英語力を積み上げることができるはずです。


忙しい社会人におすすめの習慣

忙しい社会人におすすめの習慣

社会人にとって、英語学習の最大のボトルネックは間違いなく「時間」です。残業、家事、育児、付き合い……。机に向かって1時間集中する時間を確保するのは、至難の業でしょう。しかし、諦める必要はありません。社会人が英語を学ぶための戦略は「隙間時間(スキマ時間)の活用」です。

1日は24時間ですが、その中には無数の「デッドタイム」が存在します。通勤電車の中、車を運転している時間、レジの待ち時間、お湯が沸くのを待つ時間、洗濯物を畳む時間、お風呂に入っている時間。これらをすべて合計すると、実は1日に数時間は捻出できると言われています。

社会人の方は、以下のような「生活習慣」に英語を組み込んでみると良いでしょう。

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シチュエーション「ながら学習」の具体例
通勤中(電車・バス)【多読】
スマホでKindleやニュースアプリを開き、洋書や記事を読む。満員電車でスマホが出せないときは、イヤホンでオーディオブックを聞く(多聴)。
通勤中(車・徒歩)【多聴・シャドーイング】
車内は一人だけのプライベート空間です。ポッドキャストを流したり、シャドーイングに利用することもできるでしょう。
家事中(料理・掃除)【多聴(聞き流し)】
手は動いていますが、耳は空いています。ワイヤレスイヤホンを常時装着し、常に英語の音声をBGMとして流し続けます。
入浴・トイレ【独り言(Self-Talk)】
今日あったこと、今の感情、これからの予定を英語でつぶやきます。「I’m tired… I want to drink beer.」のような簡単な一言からでOKです。
就寝前【単語のイメージ化】
学習ツールなどで今日出会った新しい単語や表現をイメージと一緒に確認してから眠りにつきます。睡眠中に記憶が整理されます。

社会人の英語学習は、根性で頑張るものではなく、「習慣化(ルーティン化)」できれば効果的です。歯磨きをしないと気持ち悪いのと同じように「英語を聞かないと落ち着かない」という状態になるまで、まずは1つの習慣を2週間続けてみるのもおすすめです。


英語力向上に役立つ教材やアプリ

英語力向上に役立つ教材やアプリ

現代は間違いなく「英語学習の黄金時代」です。かつては高価な英会話スクールに通うか、分厚い教材を何冊も買うしか選択肢がありませんでしたが、今はスマホひとつあれば、世界中の良質なコンテンツに指先ひとつでアクセスできます。教材やアプリ選ぶ際には「自分のレベルに合っているか(i+1)」と「自分が楽しめるか(Compelling)」を基準として意識しましょう。ここでは、英語力の向上に役立つ教材やアプリを厳選してご紹介します。

多読に役立つアプリ

多読の鉄則は「辞書を引かずに読めるレベル」の本を大量に読むことです。以下のアプリは、その環境を簡単に作ってくれます。

  • Kindle(キンドル)
    洋書が即座に手に入るだけでなく、英語学習者にとって役立つ内蔵辞書機能や英英辞典も搭載されています。辞書をいちいち引く手間が省け、読書のリズムを崩さずに読み進めることができます。特にKindle Unlimittedでは豊富なジャンルを読み放題で利用できます。
  • LingQ(リンク)
    多読・多聴に特化した学習プラットフォームです。知らない単語をタップしてハイライトすると、その単語が自分の「学習リスト」に登録されます。自分が知っている単語数が可視化されるため、ゲーム感覚で語彙を増やせます。

リスニング・多聴に役立つアプリ

通勤中や家事の最中を「英語環境」に変えるためのツールです。BGMとして流すのではなく、内容をイメージしながら聞くのがポイントです。

  • Podcast(ポッドキャスト)
    無料の宝庫です。初心者には「6 Minute English (BBC)」、少し慣れてきたら「All Ears English」などがおすすめです。興味のあるジャンル(テック、歴史、コメディなど)の番組を登録すれば、飽きずに聞き続けられます。
  • Audible(オーディブル)
    プロのナレーターや俳優によるオーディオブックです。機械的な音声ではなく、感情が乗った「生きた朗読」を聞くことで、英語特有の抑揚(プロソディ)や間の取り方が自然と身につきます。多読で読んだ本を耳で聞き直す「再読」も効果的です。

動画・没入学習に役立つ教材

「勉強」という感覚を捨て、コンテンツそのものを楽しむためのツールです。映像があることで、言葉の意味を推測しやすくなります。

  • YouTube(ユーチューブ)
    世界最大の動画ライブラリです。英語学習者向けチャンネルの「VOA Learning English」「Easy English」はもちろん、自分の趣味(料理、ゲーム、ヨガなど)を英語で検索してみてください。好きなことなら、少しくらい分からなくても食い入るように見られるはずです。
  • Disney+(ディズニープラス)|Hulu(フールー)
    ディズニーの作品は、子供でも理解できるように作られているため、英語脳の初期段階を作るのに最高の素材です。Huluでも英語学習向けのドラマも多いため、「状況と英語」を直接リンクさせるトレーニングに向いています。セットプランではこれら両方をお得に利用することができます。

アウトプット・実践に役立つ教材

インプットが溜まってきたら、実際にアウトプットする場所も必要です。ここでは、英語脳を加速させるための「実践の場」を紹介します。

  • Speak(スピーク)
    シリコンバレー発のAI英会話アプリです。対人レッスンだと恥ずかしくて話せない人でも、AI相手ならいくらでも間違えられます。最大の特徴は「圧倒的な発話量」。従来の英会話レッスンの約10倍の量を話すことになるため、英語を話すための「口の筋肉」と「反射神経」が鍛えられます。
  • ネイティブキャンプ
    「予約不要・回数無制限」でレッスンが受けられるオンライン英会話です。「カランメソッド」という学習法を取り入れており、講師の質問に対して瞬時に英語で答える訓練を通してアウトプット力を高めることが可能です。とにかく量をこなしたい人にも最適です。
  • EF English Live(EFイングリッシュライブ)
    講師が全員ネイティブスピーカーであることが特徴です。また、24時間開講している「グループレッスン」では、世界中の英語学習者と一緒に授業を受けることができます。ブラジル人やフランス人の生徒と英語で意見を交わす経験は、まさに「留学」そのもの。実践的な英語力につながります。

最初からこれら全てに手を出す必要はありません。まずは無料のもの、もしくは安価なアプリから始めて、自分のライフスタイルに合うものを見つけてください。自分の成長のために「ツール」を使いこなす意識さえあれば、スマホ一台で世界はどこまでも広がるはずです。

紹介した教材やサービスは2026年1月時点で有益と判断したものです。各サービスは機能や料金が変わることがあるため、利用前に公式ページで最新情報をご確認ください。


英語力を上げる方法について総括

ここまで、長文にお付き合いいただきありがとうございました。英語力を上げる方法に、魔法のような「聞くだけでペラペラ」という近道はありません。しかし、正しい地図を持って進めば、必ず目的地には辿り着けます。

大切なのは、「英語を勉強する」のではなく、「英語で人生を楽しむ」ことです。好きな映画を原語で見たい、海外の友人と楽しみたい、最新の情報をいち早く手に入れたい。その「やりたい」という気持ちを燃料に、毎日の小さなインプットを積み重ねてください。

まずは、お気に入りの洋書を1ページ読んでみることや、興味のあるポッドキャストを5分聞くことから始めてみましょう。今回の内容が、少しでもあなたの英語力を上げるヒントとなれば幸いです。


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